筑紫哲也のレビュー一覧

  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    筑紫さんは朝日新聞社記者、朝日ジャーナルの編集長をを経て、長年にわたりTBS「筑紫哲也 NEWS23」のメインキャスターとして活躍なされました。2008年、他界しました。

    「日本人とは何者か」。日本人とは、自分がなんであるかを、まるで説明しない民族です。そのなかで、ほとんど唯一例外的に外に向かって自己説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」です。
    「武士道」は1900年に英語で書かれたものです。奈良本辰也さんという著名な歴史学者の翻訳で読まれた方が多いと思うんですが、「自分とは何者か」を考えて武士道に辿り着くというプロセスが書かれた本です。
    戦時中に当然この「武士道」は特別な読まれ方をしました。それがこの「武士道」という本についてまわったある種の宿命だったと言いましょうか。
    これから死ににいくという時にどうしたらいいのかを考えるのに、この本は非常に大事だったわけです。戦争という極限の場で、自分の命を捧げるための精神的な拠り所にする本として使われ、戦後は忘れ去られていたんですが、今再び、また悪用が始まっているんじゃないか、という恐れを感じています、
    この本が書かれた動機、「武士道」というものを考えてみようとした動機、ここ数年、この本が小さなブームになっている動機、そういうものには共通したものがある。つまり、「自分は何者か」という問いに対する答え探しです。

    新渡戸は旧制一高の校長もやりました。その校長を辞める時に、サミュエル・ジャクソンの言葉を引用して辞任演説を締めくくっています。それは「愛国主義は悪党の最後の隠れ家である」というものです。これ、痛切に今も生きていると思います。
    国を愛するということは、悪いことでもなんでもないと思っています。でもそれが地球環境の問題やいろんな問題を考えた時に過剰に出てくるのは、自分にとっても世界にとってもプラスにならない。愛国主義とは、そういう両刃の剣だということをきちんと認識しておいたほうがいいと思うのです。

    本書は愛国主義、憲法改正、国家論、ジャーナリズム、教育など筑紫哲学というべき考えが書かれています。

    筑紫氏を表す言葉として「死してこれほど喜ばれる人はいない」といわれることもあります。
    これはある意味ではジャーナリストとして評価されているのではないでしょうか。
    この言葉の真意がどうあれ、日本に本物のジャーナリストが少なくなったのは間違いないでしょうね。

    今日、11月7日は筑紫さんの命日になります。
    筑紫さんは、今の日本の現状を、天国でどんな事を思いながら見ているのだろう。

    0
    2013年04月27日
  • 旅の途中 ジャーナリストとしての私をつくった39人との出会い

    Posted by ブクログ

    新聞、雑誌、テレビと謂う3種類のメディアのなかで、であった人々。それぞれ個性的で時代を築き上げた人々。
    筑紫哲也の幅広い人間関係から、戦後の昭和から経済成長の時代そして、混乱の平成までが人との出会いと交友で語られている。
    私個人的には、氏の戦後の沖縄についての携わり方が参考に。

    0
    2013年04月02日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

    「グローバル化で人間は幸せになれるのか」「福沢諭吉の考え:多事争論の大切さ」「物事を一元ではなく二元論で見ること」「地産地消」「若者の食の荒廃」「フンデルトヴァッサーの日本の見方」「長寿と人間の豊かさ」「セクハラは定着したがエイジズムはしていない」・・・印象的な著者の視点をざっと挙げてみるとこのようになった。
    息が詰まる様な忙しさに生きている私たちにとって考えさせられるものばかりだ。
    「スローライフ」を送る余裕が無い人も、最後の章の七つの望ましいルールだけでも目を通してみて欲しい。

    0
    2012年10月29日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

     筑紫さんがまだ朝日ジャーナルの編集長だったころに、年末年始の郵便配達アルバイトをしていて、たまたま著者の家に郵便物を届けていた。そんなこともあり親近感を感じていた。なのでこの本もかなり好意的に読んだ。
     
     この本は大学の講義をまとめたものなのでとてもわかりやすい。取りあげている題材が小泉政権時のものなので、若干古いが、日中韓のナショナリズム問題の構図が簡単明瞭に書かれている。この当時は靖国問題だが、現在の尖閣諸島や竹島と構造は一緒だ。中韓のナショナリズムを非難している日本も実は同じ問題を抱えている。政権の末期が三国ともたまたまこの時期に重なった。政治家の人気取りのためにナショナリズムを高揚させてはいけない。日本人も冷静になったほうがいい。

     著者は新聞、雑誌、テレビとメディアを歩いてきた経験故に、それぞれのメディアの強みと弱みを語っている章も興味深い。週刊誌のいいかげんさにはあきれ返る。情報源の秘匿を盾にとり、虚偽を繰り返す姿勢はまさに言った者勝ち。週刊誌はメディアじゃない。

     良くも悪くも筑紫さんのように主義主張をはっきり述べるキャスターは今いない。肯定するにしろ否定するにしろ、ある程度のたたき台を提示してくれないと素人は考えるきっかけがない。ニュースは聞き流すものではなく、ちょっと待て!と素通りを許さず視聴者にの前に立ちふさがって欲しい。最近の司会者は番組を無事に終わらせることだけに終始している。漠然とした物足りなさはそこから来ているように思う。 


     
     

    0
    2017年08月15日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

     筑紫さんは生前、流行語 「KY」 についての批評をしています。

     「この国の歴史のなかで、これだけはあなたたち若者が引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが 『KY』 に濃縮している思考なのです。」 とあります。しかし病のためこの続きは書かれることはありませんでした。

     「空気読めよ」 と突き放して、鋭く刺すような脅迫思考を他者に向ける、若者の思考に対して不安を抱いているように思いました。

     この本では、憲法や国家の事、日本の現在の問題点を挙げています。そして情報社会の中で自分はどう見たらいいのかという視点を獲得する重要性を伝えています。
    今の時代・世間に対して自分の考えや見解をもつ、その方向への思考を促してくれた本でした。

    0
    2012年08月25日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    「静かな哲学的ストライキ」
    社会への消極的参加・不参加という方法で、経済成長を前提とした日本の社会システムを連鎖的に破壊する。

    「合衆国憲法修正第一条(ファースト・アメンドメント)」
    言論・出版・集会の表現の自由

    「判官贔屓」
    日本人の心情の中にある弱者に対する肩入れ。「勧進帳」

    「バンドワゴン効果」
    賑やかで面白そうなところへみんながついていく、という現象。
    日本人の中で強まっている。

    「axis of evil(悪の枢軸)」
    枢軸=ファシズムへの連想
    言葉とは単に単語ではなくて、そこにこめられた意味が重い。

    「視点」
    デモ隊側から状況を撮ろうとすると、警官隊がデモ隊におそいかか構図になる。逆側にカメラを据えればデモ隊がこっちを襲ってくる。

    「メディアのコングロマリット化による問題」
    上の会社に都合の悪いことが簡単に抑えられ、記者やディレクターたちは意欲を失う。

    「情報源の秘匿」
    法的には保障されていない。
    しかし、それを隠れ蓑にしてなにかをでっち上げることも可能。

    平野啓一郎「文明の憂鬱」
    愛国心=人間の自然なところから生まれてくる心情
    国家主義=作られたもの

    「知の三角形」
    情報・知識・知恵(判断力)

    日本の財政状況はEUに入る基準をクリアできない。

    世間で言われてることに懐疑心を持つことは大切だが、そのなかに正しい答えが絶対にあるんだ、と考えることについても懐疑心をもつことが重要。

    「ええじゃないか」
    先が見えないという閉塞状況のなかで、先が見えないなら踊っちまえ、という状況。

    今までの文明の歴史のなかで、地方をめちゃくちゃにして栄えた都市なんてない。

    0
    2012年07月09日
  • ニュースキャスター

    Posted by ブクログ

    神戸震災、オウムビデオ事件、9.11…世界を変えた事件の数々。ニュース23キャスターとして常に報道現場にいた筆者の筑紫さんが当時の状況を記している。

    大きな事件が起きた時、特番の時、事件と並行しながら番組を臨機応変に対応しながら進めなければならない。それを「いざという時の5原則」として書いているが、これがとても深いので、メモ。

    1.あわてない、うわずらない。
    どんなに現場が緊迫していても、本部は常に冷静に。

    2.とりつくろわない。ミスを恐れない。
    率直に、大胆に進める

    3.俯瞰、メリハリ、総括を忘れない。
    全体像を見る。今起きていることは全体のどの位置、どの部分を占めるのか。途中途中で、随時まとめていくことも大事。

    4.見えるものの背後を見る
    見えているものをどう理解するか。どう解釈するか。

    5.入ってくるものを鵜呑みにしない
    まちがったまま進んで行かないように、
    常に再確認、再検証する。

    1
    2018年12月28日
  • ニュースキャスター

    Posted by ブクログ

    筑紫哲也さんの視点。ジャーナリズムとは。様々なことを考えさせられました。裏も少し垣間見ることができた気がします。高校のとき読みましたが再読しました。

    0
    2012年02月20日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    考えには共感できない部分もある。いや、そちらの方が多いかもしれない。
    しかし…

    筑紫哲也自身が書いた文章は最初の方に少し載っているだけ。あとは講演(というか授業か?)で語ったことを編集者が文字に起こしている。この文章がとてもわかりやすい。
    先にも書いたとおりこの方の考全てに共感は出来ないが、読みやすい文章であることには好感が持てた。

    0
    2012年02月09日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

     モノと情報が溢れる中、分単位で忙しい毎日を送る。はたして我々の生活は豊かになったのだろうか?いったいどんな生活を理想としているのだろうか? 
     二宮尊徳の名言「道徳なき経済は罪悪である。経済なき道徳は寝言である」を、いまこそ各人が胸に手を当てて考えるべきであろう。

    0
    2012年02月07日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    切ないタイトル。

    筑紫さんが私たちに残したい、伝えたい言葉がたくさんつまっている。
    やわらかい口調で、どれも心にすっと染み入ってくる。

    ものを考えず、流されやすい国民性。それはいかに危険であるか。
    知の三角形のお話。膨大な情報にのまれるのではなく、自分の頭で判断していくことの大切さ。そして、その判断の土台となるのはやはり知識であること。

    長年ジャーナリストとしてご活躍された方のお言葉には、説得力がある。


    これからも本をたくさん読んでいこうと強く思わさせられた。

    0
    2011年12月20日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    筑紫さんは新聞→雑誌→テレビと主要なメディアを渡り歩いてきた珍しい存在で、落ち着いた口調の中にも確固たる意思を感じる人でした。
    中で書かれていることは日本の将来に対する不安。2007年に書かれた本ですが、不安は的中しています。(あの当時みんな不安に思っていたことだろうけど)日本はよくなっていません。震災を経てさらに悪化の一途をたどっています。
    提言のように政府がやるべきことの順序を理解して問題解決にあたってもらいたい。日本の病気は以下の3つ。全く納得です。
    ・経済の破綻(金借りすぎ)
    ・人口の減少
    ・教育の崩壊

    非常に心に残った一言
    「学ぶことは具体的な問題を抽象化すること」
    コンピューターにはできないことだと思います。人間の存在意義。その人が必要だと思われるためにはこのような考えが必要だと強く感じました。

    0
    2012年01月22日
  • ニュースキャスター

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1989年から18年間News23のアンカーを務めた筑紫哲也さんの本著。

    坂本弁護士事件では自らの番組内でTBSの対応に疑問を呈するなど、権力に迎合しない姿勢は、数ある報道番組にあっても好感を持てた記憶があります。(逆にいまの報道番組はWBSくらいですかね。。)

    新卒で朝日新聞社に勤務し、後にニュースステーションのメインキャスターを務める久米宏さんがTBSの人間だったことからスワップ人事だったことを明かすエピソードなども。読んで損のない本です。

    0
    2011年12月04日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    若くないから対象外ではあるけれど、自分に向けられたメッセージのつもりで読んでいました。昔、朝日ジャーナルをラッシュの通学時に読んでいたからか、彼は特別な存在でしたし。あの人が、最後に伝えたかったこと、それはきっととてもとても大切なことなのだと思います。文中で触れられた本や映画はメモしました。ラストメッセージ、受け止めたいです。

    0
    2011年10月19日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

    ★日本やアメリカの状況を見ていると、もう確実にこれまでの価値観では立ち行かなくなってきているのを感じます。

    0
    2011年08月16日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

    タイトル通りというか…
    ゆっくり、ゆっくり読み進めた。
    今の生活はあまりに気ぜわしい。
    自分はあのゆったりした時間が持てて、ほんとによかったと思う。
    スローへの共感は体験した人でないとなかなか難しいと思うが、
    それをこちらが実践して興味を持たすことはできるかもと思った。
    いい本ですよ。

    0
    2011年07月12日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    IT革命の進行の下で、いま暮らしと仕事のあらゆる領域でスピードや効率を求める勢いが加速している。
    だが、他方でその潮流への根本的な懐疑も確実に拡がっていよう。
    「秒」に追われるニュースキャスターならではの痛切な問題意識に立って、「スロー」に生きることの意味と可能性を全国各地の食生活・教育・旅などの実例から考える。

    [ 目次 ]
    「それで人は幸せになるか」
    スローフード、9・11、一神教
    ファストフードの時代
    寿司と蕎麦、そして「地産地消」
    「食」の荒涼たる光景
    小さな旅、スローな旅
    失われた「子どもの楽園」
    急ぐことで失うもの
    「学ぶ」ということ
    「スローウエア」「ファストウエア」
    ロハスのすすめ、森林の危機
    「木」を見直す
    長寿と「人間の豊かさ」
    スローライフ、北で南で
    真の「勝ち組」になるために

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

    0
    2011年05月16日
  • スローライフ

    Posted by ブクログ

    私はマスコミが好きではありません。
    何故かな?と考えると、理由は発言に責任を持たず、
    ただ追い回して報道しているだけの姿勢がまざまざと見えてくるからだと思います。

    そんな私が偶然本書を手に取りました。
    これはマスコミなどについてを中心に扱った本ではないですが、
    マスコミの中でも大きな影響力を持っていた方の本を読むなんて、
    我ながら珍しいと思いながら読んでしまいました。

    「常識を見直す。固定概念をゆさぶってみる」

    スローライフとはただゆっくりと生活するのではなく、
    「自分を持った」生き方を提案するものだと感じました。

    日本はものすごい速さで戦後復興を果たし、
    今の経済的地位を確立しています。

    しかし、スピードに目がくらむあまり、
    大切な何かを置き去りにしてしまったのかもしれません。

    GDPは増大しました。
    飢餓や衛生状態が原因で亡くなる方も減りました。

    では、ここで聞きます。
    「あなたは今幸せですか?」

    気が付けば自分を持たず、ただ急な流れに流されていただけなのかもしれません。

    ちょっと人生に迷ったり、人と違う思考をして悩んだりした際には、
    本書をパラパラとめくってみると良いかもしれません。

    0
    2011年04月12日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    若き友人たちへ向けた最後のメッセージ。しかし、それは若者だけではなく、大人も何かを感じられるはず。筑紫さんの考え方が凝縮されている。特に、教育についてと知の三角形の話は必読。

    0
    2011年04月05日
  • 若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージ

    Posted by ブクログ

    ダンナさんの本棚より。

    すごく、面白かった。
    もっとちゃんと、聞きたかった。

    言葉をすごく大切に、重要視して扱ってくれるのが個人的に嬉しかった。
    それにしても、すごい知識量。
    そしてただ知識を並べ立てるのではなく、面白く分かりやすく興味を持てるように話すって、すごい。
    読みたい本や調べたいテーマが広がりました。

    超余談ですが。
    先日のNHKスペシャルに出てきた人が、(すごく興味深いことを話していたので、メモってた。)この本にも出てきて吃驚した。
    こういうワクワクする偶然があるから、本を読むのはやめられない。

    0
    2011年03月19日