筑紫哲也のレビュー一覧
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筑紫さんがまだ朝日ジャーナルの編集長だったころに、年末年始の郵便配達アルバイトをしていて、たまたま著者の家に郵便物を届けていた。そんなこともあり親近感を感じていた。なのでこの本もかなり好意的に読んだ。
この本は大学の講義をまとめたものなのでとてもわかりやすい。取りあげている題材が小泉政権時のものなので、若干古いが、日中韓のナショナリズム問題の構図が簡単明瞭に書かれている。この当時は靖国問題だが、現在の尖閣諸島や竹島と構造は一緒だ。中韓のナショナリズムを非難している日本も実は同じ問題を抱えている。政権の末期が三国ともたまたまこの時期に重なった。政治家の人気取りのためにナショナリズムを高揚 -
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筑紫さんは生前、流行語 「KY」 についての批評をしています。
「この国の歴史のなかで、これだけはあなたたち若者が引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが 『KY』 に濃縮している思考なのです。」 とあります。しかし病のためこの続きは書かれることはありませんでした。
「空気読めよ」 と突き放して、鋭く刺すような脅迫思考を他者に向ける、若者の思考に対して不安を抱いているように思いました。
この本では、憲法や国家の事、日本の現在の問題点を挙げています。そして情報社会の中で自分はどう見たらいいのかという視点を獲得する重要性を伝えています。
今の時代・世間に対して自分の考え -
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「静かな哲学的ストライキ」
社会への消極的参加・不参加という方法で、経済成長を前提とした日本の社会システムを連鎖的に破壊する。
「合衆国憲法修正第一条(ファースト・アメンドメント)」
言論・出版・集会の表現の自由
「判官贔屓」
日本人の心情の中にある弱者に対する肩入れ。「勧進帳」
「バンドワゴン効果」
賑やかで面白そうなところへみんながついていく、という現象。
日本人の中で強まっている。
「axis of evil(悪の枢軸)」
枢軸=ファシズムへの連想
言葉とは単に単語ではなくて、そこにこめられた意味が重い。
「視点」
デモ隊側から状況を撮ろうとすると、警官隊がデモ隊におそいかか構 -
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神戸震災、オウムビデオ事件、9.11…世界を変えた事件の数々。ニュース23キャスターとして常に報道現場にいた筆者の筑紫さんが当時の状況を記している。
大きな事件が起きた時、特番の時、事件と並行しながら番組を臨機応変に対応しながら進めなければならない。それを「いざという時の5原則」として書いているが、これがとても深いので、メモ。
1.あわてない、うわずらない。
どんなに現場が緊迫していても、本部は常に冷静に。
2.とりつくろわない。ミスを恐れない。
率直に、大胆に進める
3.俯瞰、メリハリ、総括を忘れない。
全体像を見る。今起きていることは全体のどの位置、どの部分を占めるのか。途中途中で -
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筑紫さんは新聞→雑誌→テレビと主要なメディアを渡り歩いてきた珍しい存在で、落ち着いた口調の中にも確固たる意思を感じる人でした。
中で書かれていることは日本の将来に対する不安。2007年に書かれた本ですが、不安は的中しています。(あの当時みんな不安に思っていたことだろうけど)日本はよくなっていません。震災を経てさらに悪化の一途をたどっています。
提言のように政府がやるべきことの順序を理解して問題解決にあたってもらいたい。日本の病気は以下の3つ。全く納得です。
・経済の破綻(金借りすぎ)
・人口の減少
・教育の崩壊
非常に心に残った一言
「学ぶことは具体的な問題を抽象化すること」
コンピューター -
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[ 内容 ]
IT革命の進行の下で、いま暮らしと仕事のあらゆる領域でスピードや効率を求める勢いが加速している。
だが、他方でその潮流への根本的な懐疑も確実に拡がっていよう。
「秒」に追われるニュースキャスターならではの痛切な問題意識に立って、「スロー」に生きることの意味と可能性を全国各地の食生活・教育・旅などの実例から考える。
[ 目次 ]
「それで人は幸せになるか」
スローフード、9・11、一神教
ファストフードの時代
寿司と蕎麦、そして「地産地消」
「食」の荒涼たる光景
小さな旅、スローな旅
失われた「子どもの楽園」
急ぐことで失うもの
「学ぶ」ということ
「スローウエア」「ファストウエ -
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私はマスコミが好きではありません。
何故かな?と考えると、理由は発言に責任を持たず、
ただ追い回して報道しているだけの姿勢がまざまざと見えてくるからだと思います。
そんな私が偶然本書を手に取りました。
これはマスコミなどについてを中心に扱った本ではないですが、
マスコミの中でも大きな影響力を持っていた方の本を読むなんて、
我ながら珍しいと思いながら読んでしまいました。
「常識を見直す。固定概念をゆさぶってみる」
スローライフとはただゆっくりと生活するのではなく、
「自分を持った」生き方を提案するものだと感じました。
日本はものすごい速さで戦後復興を果たし、
今の経済的地位を確立していま -
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[ 内容 ]
初めて現場から語る「ニュースキャスター論」。
かつて新聞、雑誌の記者・編集者であった著者が、テレビのニュース報道という未知の世界に飛び込み、そこで何を見、何を考え、何に苦悩してきたか。
「ニュース23」の創設から現在に至る経緯を、自らの体験を軸に書き綴った迫真のノンフィクション。
数々の事件、事故、災害、政局…。
激動する時代と斬り結びながら、一般の視聴者には知ることのできないテレビニュース報道の舞台裏を活写する。
そして、ニュースキャスターとは一体、何者なのか。
[ 目次 ]
番組誕生
音楽の力
「北風型」と「太陽型」―インタビューの攻防
テレビは「小泉首相」を作ったか
「主