筑紫哲也のレビュー一覧
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自伝を書いてくれと頼まれた筑紫が考えたのが,「自分と出会ってきた人とのかかわりを書くことで,自分の生きてきた一部分を示していく」というやり方だった。筑紫の言葉を借りると「他人様に読んでもらうほどのことはやっていない。それでも強いて何かを書くとすれば,自分が出会ってきた他人様のことしかないだろう―というものだった」。
他人様との貴重な出会いを導いてくれたのは,ジャーナリストとしての指名と言うよりも,文字通り,好奇心の旺盛さのなせるわざのような気がする。多士済々な面々との出会いは,その度に筑紫の懐を大きく大きくしてくれたようだ。
こんな本を読むと,「わたしの出会ってきた人は,どんな人だったのだろ -
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筑紫哲也さんが遺しておきたい言葉があるということで始まった「若き友人たちへ」の連載だったが、たった2回で終了してしまった。その2回分と大学での講義テープを構成したものでこの本は成り立っている。
筑紫さんの人間愛が強く伝わり、日本という国を私たちの未来を真剣に心配していることがよくわかる。これがたった2回で終わってしまったことは非常に悲しいが、後のメッセージは個々が自分の言葉で後世に残して言ったらよいのだと思う。
日本国憲法には世界で例のないことがたくさんあるという話や映画の話、教育の話など興味深い話がたくさんあった。筑紫さんの危惧は2011年末でも危惧のままです。 -
Posted by ブクログ
筑紫哲也が最期に書き残そうとして途中で終わってしまった連載「若き友人たちへ」と、大学講義の内容を書きおこした内容の、まあいちおう二本立て。
分量は9割、大学講義の内容で、それもすごく面白い、筑紫さんの考えや伝えたいことがよく出ている内容なのだが。
なにより冒頭、わずか28ページの「若き友人たちへ」、特にその第1回の内容に、筑紫さんの若者に対する愛ある眼差しが感じられて、今更ながら筑紫さんの死を想って泣ける。
僕自身はかなり根本的な考えが筑紫さんに近い人間だが、意見を異にする人でも是非読んでほしいと思う。
筑紫さんの考えるジャーナリズムというものがよくわかるし、意見が違っていても筑紫さんなら話を -
Posted by ブクログ
筑紫さんは肺がんを患われ、2008年に他界されました。
BSで特集番組を見ていて、過去に読んだ本書を再読しました。
本書は最後の時期に早稲田大学、立命館大学で行われた講義録を元に若い世代の人たちに、筑紫さんが残したラストメッセージになってます。
本当であれば、「若い友人への手紙」として連載されるはずであった企画は、筑紫さんの病状により2回で終わっているそうです。
あなたは何をを考えなくてはならないか
あなたは何をやらねばならないか
あなたは何をやってはいけないのか
ジャーナリストの視点に立ち、世の中全体の論調が一つ方向で進んで行くときに、立ち止まって真実を自分の視点で考え直し、互 -
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ネタバレ筑紫さんは朝日新聞社記者、朝日ジャーナルの編集長をを経て、長年にわたりTBS「筑紫哲也 NEWS23」のメインキャスターとして活躍なされました。2008年、他界しました。
「日本人とは何者か」。日本人とは、自分がなんであるかを、まるで説明しない民族です。そのなかで、ほとんど唯一例外的に外に向かって自己説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」です。
「武士道」は1900年に英語で書かれたものです。奈良本辰也さんという著名な歴史学者の翻訳で読まれた方が多いと思うんですが、「自分とは何者か」を考えて武士道に辿り着くというプロセスが書かれた本です。
戦時中に当然この「武士道」は特別な読まれ方をしました