あらすじ
初めて現場から語る「ニュースキャスター論」。かつて新聞、雑誌の記者・編集者であった著者が、テレビのニュース報道という未知の世界に飛び込み、そこで何を見、何を考え、何に苦悩してきたか。「ニュース23」の創設から現在に至る経緯を、自らの体験を軸に書き綴った迫真のノンフィクション。数々の事件、事故、災害、政局…。激動する時代と斬り結びながら、一般の視聴者には知ることのできないテレビニュース報道の舞台裏を活写する。そして、ニュースキャスターとは一体、何者なのか!?【目次】第一章 番組誕生/第二章 音楽の力/第三章 「北風型」と「太陽型」――インタビューの攻防/第四章 テレビは「小泉首相」を作ったか/第五章 「主持人」の周辺/第六章 大統領がやって来た/第七章 「モニカおばさん」のガツン/第八章 「赤い皇帝」の椅子/第九章 世界が変わった日/第十章 「多事論争」のできるまで/第十一章 TBSが死んだ日――オウムビデオ事件をめぐって/第十二章 神戸震災報道/第十三章 ただの現在にすぎない仕事/あとがき
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Posted by ブクログ
神戸震災、オウムビデオ事件、9.11…世界を変えた事件の数々。ニュース23キャスターとして常に報道現場にいた筆者の筑紫さんが当時の状況を記している。
大きな事件が起きた時、特番の時、事件と並行しながら番組を臨機応変に対応しながら進めなければならない。それを「いざという時の5原則」として書いているが、これがとても深いので、メモ。
1.あわてない、うわずらない。
どんなに現場が緊迫していても、本部は常に冷静に。
2.とりつくろわない。ミスを恐れない。
率直に、大胆に進める
3.俯瞰、メリハリ、総括を忘れない。
全体像を見る。今起きていることは全体のどの位置、どの部分を占めるのか。途中途中で、随時まとめていくことも大事。
4.見えるものの背後を見る
見えているものをどう理解するか。どう解釈するか。
5.入ってくるものを鵜呑みにしない
まちがったまま進んで行かないように、
常に再確認、再検証する。
Posted by ブクログ
筑紫哲也さんの視点。ジャーナリズムとは。様々なことを考えさせられました。裏も少し垣間見ることができた気がします。高校のとき読みましたが再読しました。
Posted by ブクログ
1989年から18年間News23のアンカーを務めた筑紫哲也さんの本著。
坂本弁護士事件では自らの番組内でTBSの対応に疑問を呈するなど、権力に迎合しない姿勢は、数ある報道番組にあっても好感を持てた記憶があります。(逆にいまの報道番組はWBSくらいですかね。。)
新卒で朝日新聞社に勤務し、後にニュースステーションのメインキャスターを務める久米宏さんがTBSの人間だったことからスワップ人事だったことを明かすエピソードなども。読んで損のない本です。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
初めて現場から語る「ニュースキャスター論」。
かつて新聞、雑誌の記者・編集者であった著者が、テレビのニュース報道という未知の世界に飛び込み、そこで何を見、何を考え、何に苦悩してきたか。
「ニュース23」の創設から現在に至る経緯を、自らの体験を軸に書き綴った迫真のノンフィクション。
数々の事件、事故、災害、政局…。
激動する時代と斬り結びながら、一般の視聴者には知ることのできないテレビニュース報道の舞台裏を活写する。
そして、ニュースキャスターとは一体、何者なのか。
[ 目次 ]
番組誕生
音楽の力
「北風型」と「太陽型」―インタビューの攻防
テレビは「小泉首相」を作ったか
「主持人」の周辺
大統領がやって来た
「モニカおばさん」のガツン
「赤い皇帝」の椅子
世界が変わった日
「多事争論」のできるまで
TBSが死んだ日―オウムビデオ事件をめぐって
神戸震災報道
ただの現在にすぎない仕事
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
TBSの「ニュース23」について、メディアについて、ジャーナリズムについて、筑紫哲也さんの日常を通じて自分の中でいろいろなことが見えてきた気がしました。
Posted by ブクログ
「News23」の裏話。
かつ、これを通したニュースキャスター論。
新聞記者だけあって(というより、筆者の腕だろうが)文章はすこぶるわかりやすく面白い。「クリントン対話集会」がまざまざと蘇った。
それにしても、筑紫亡き後、ニュースキャスターを持たない我が日本は、ますます劣化してきている。
Posted by ブクログ
ニュースキャスターとは一体いかなる存在なのか?
「人は己を信ずるもののために死す。」
「私が採れる方法は二つあると思う。
一つはひたすらあやまって嵐が過ぎるのをまつ。
もうひとつは何故私があやまったかを
めぐって徹底的に論議することだ。」
「自然破壊を続けたら人類は生きていけない。
人類が滅びれば地球は生き残る。」
「人類の最大の発明はなんだと思うか?」
音楽 12音階
「北風と太陽」
「泥棒にも3分の利」;絶対の真理、絶対の正義はない。
小泉・田中は、文化が違った。
一番違ったのは、「言葉」である。
コミュニケーション
言葉だけによる部分 7%
言葉の抑揚、音節による部分 38%
表情、身振りによる部分 55%
非言語コミュニケーション」A・マレービアン 聖文社
私たちは言葉だけを信じて、相手を信用したり、
疑ったりの判断をしているわけではない。
顔つき、目つき、表情などの、
非言語的部分を含めた総体で評価している。
人間は自分が思っているほどには
かしこい生き物ではないし、理性的に、
ものごとを判断しているように見えても、
たぶんに環境に支配されて生きている。
「単一の説を守れば、その節の性質は
たとい純精善良なるも、これによりて
決して自由の気を生ずべからず。
自由の気風はただ多事争論の間にありて
存するものと知るべし。」福澤諭吉 <文明論之概略>
筑紫哲也の多事争論を見ていると、どうもめんどくさい。
とうまわしな発言が続いているので、
気に入らないと思っていた。
今回のニュースキャスターという本を読みながら、
人と出会いその人のホンネをどう聞き出すか
ということに、かなり注意を払っていることに興味を覚えた。
言葉以上に語るもの。
政治家といういくつものオブラートに
つつまれた存在に対していかにそのオブラートを
解いていくのかが問われるのかもしれない。
現在の経営者で、今の時代に対して
具体的にどう見るのか?ということに対して、
きちんと答える人が少ないのだろう。
Posted by ブクログ
「青春と読書」での連載として読み物らしい文体で、「9.11」「阪神大震災」「クリントン大統領来日特番」「小泉内閣発足」などさまざまな事件を、普段自分の意思を表立たさないニュースキャスターという立ち場から少し距離を置いて語られている。
筑紫氏の面白いところは、ここまで世間にキャスターとしての立ち場が確立されていながらも、つねに「キャスターとは何か」を自問しているところであり、文末に「無軌道修正を連鎖していくのがこの仕事」と括っているあたり、興味深い。
朱鎔基のインタビューにて、経済皇帝の異名をとる要人を前にしても、彼の人柄にこまかく言及している下りが、この人を面白く奥深く見せていると思った。
Posted by ブクログ
ニュースの心がけ
(1)あわてたり、上ずらないこと――現場からの中継はいくら興奮してもよい。そのほうが空気が伝わる。だが、それとの対比を出すためにも、受けとめるスタジオは冷静さを保ったほうがよい。とくにパニックを起こしかねない題材の場合は。
(2)とりつくろおうとしたり、ミスをおそれたりしないこと――失敗を恥ずかしがる日本人の性癖を私も人なみ以上に持ち合わせているが、それが無用の緊張、こわばりを生むくらいなら、捨てたほうがよいと思うようになった。ミスはかえって臨場感を出す効果もある。
(3)俯瞰、メリハリ、“総括”を忘れないこと――番組の途中から見始めた人もいるだろうし、忙しくチャンネルを替えて番組のハシゴをしている人もいるだろう。要所、要所でこれまで起きたこと、わかったことをその都度まとめていくことが必要だ。
(4)目に映りしものの背後を見ること――映像が伝える情報の強さがテレビの生命であることはもちろんだが、それが意味するものをどう理解するかによって、同じ情報でも受け止め方が異なってくる。
(5)入ってくるものを鵜呑みにしないこと――いったん伝えた情報について、その後も再確認、再点検を続けていくこと、時には“消去作業”をしていくことである。
ニュースキャスターは人形じゃない。
しかし、オピニオンリーダーでもない。
それでも、メディアには力がある。
クロンカイトの信じたもの。
それは確かに、世界を動かした。
Posted by ブクログ
著者に関しては賛否両論ありますが、キャスターの舞台裏といういみではおもしろく読めます。ただ偏重報道の観点からこのニュース番組は公平な立場で報道しているという番組がないんですよね。
Posted by ブクログ
報道の形、ということを思わずにはいられなかった。
新聞 対 テレビ はもちろんのこと、テレビの中にも 当然ながら さまざまな伝え方があるのだ。同じ素材でも 切り込み方・味付けによって 見る側には全く別のものになってしまう恐れもあるのだ、と 改めて番組作りの難しさをも思わされた。
そんな中にあって、同じ報道番組のキャスターを10年以上の長きに渡って務めるというのは 並大抵のことではないだろうと容易に察せられる。
ご本人は謙遜して書いておられるが、それは筑紫哲也という人が ご自分の立ち位置を常に明確にしておられるゆえだろう。
それにしても、生放送の報道番組の綱渡り感を毎日しのぐというのは どれほど神経をすり減らすことだろうか・・・と想像すると気が遠くなる。