【感想・ネタバレ】若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージのレビュー

あらすじ

愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。2003年から2008年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。この一連の講義録をもとに、本書は構成された。「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。【目次】「まえがき」にかえて/若き友人への手紙/第一章 まず憲法について話してみよう/第二章 そもそも日本人とは何者か/第三章 二つの日本人論を読む/第四章 沖縄から日本が見えるか?/第五章 さまざまなメディアを歩いてみよう/第六章 雑誌と新聞をめぐる私的ジャーナリズム論/第七章 国家、この厄介なるもの/第八章 教育こそが国の基本である/第九章 「知の三角形」という考え方/第十章 この国がおかれている現実を見つめる/第十一章 そして、この国の行方は……/「あとがき」にかえて/思い出す事など

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簡単に希望をくれない本書

究極的な「答え」が何も書いてない。
良い本である証拠でしょうが、最終的に答えは自分で見つけろと言われる様で、分かりやすい希望は本書にはありません。
他国を知らず何とも言えないのですが、少なくとも日本の社会システムとして常に贄を求めている部分はある、なので若者が幸せを求める心をそれ自体不遜と感じてしまいやすい……かもしれない。

#深い #タメになる #じれったい

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

読みやすく、勉強になった。
出来ればもっと早く、この本に出会っていればと思いました。
物事の本質について伝えている内容は、ファクトフルネスやスマホ脳にも共通する部分があります。
やっぱり大切な事は普遍的なんですね。

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2021年06月08日

Posted by ブクログ

テレビで観ていた著者をより知ることが出来たと思う。
イギリスの文学者サミュエル=ジョンソンの言葉"愛国主義は悪党の最後の隠れ家である"
著者が映画に精通しており、年間400本も見られているとは知らなかった。
疑うことを忘れてはならないと心に刻む。
大学、大学院は疑うことを学ぶところだと書かれている。
あとがきにかえて著者が16歳の頃に書いた自叙伝が掲載されていた。
しっかりした文章で何とも感心する。
亡くなって2年。今の世を見たら著者は何と言うだろうか。

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2018年11月23日

Posted by ブクログ

物事をわかりやすく、さまざまな角度から検証できている。こういう視点を持っている人が亡くなってしまったことが残念。もう少し彼の著書を読んでみようかなと思う。

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2012年11月13日

Posted by ブクログ

 筑紫さんの最後のメッセージが綴られています。
 話題は多方面にわたり,楽しく読み進めることができます。今までの著書と同じように,本書で気になった映画や本なども取り寄せたくなりました。
 人が学ぼうとする時一番大切なのは「好奇心」,それから「探究心」であるという指摘には,賛同します。
 本書の最後には,あとがきのかわりに筑紫さんの高校時代の作文が掲載されていて,筑紫さんの原風景を見た思いがしました。

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2012年10月14日

Posted by ブクログ

「知の三角形」
バランスよく、三角形を広げてゆくこと。
自分で考え、選んで信じたものが人生の道標になること。
それが大事だと筑紫さんから教わりました。

自分ひとりではどうすることもできないからと
知らんぷりしたり、諦めたりしていては
少しもよくならない。
本当にしなくてはいけないことは何か
考えて見極めることが大事だ。

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2012年01月21日

Posted by ブクログ

筑紫哲也さんが遺しておきたい言葉があるということで始まった「若き友人たちへ」の連載だったが、たった2回で終了してしまった。その2回分と大学での講義テープを構成したものでこの本は成り立っている。

筑紫さんの人間愛が強く伝わり、日本という国を私たちの未来を真剣に心配していることがよくわかる。これがたった2回で終わってしまったことは非常に悲しいが、後のメッセージは個々が自分の言葉で後世に残して言ったらよいのだと思う。

日本国憲法には世界で例のないことがたくさんあるという話や映画の話、教育の話など興味深い話がたくさんあった。筑紫さんの危惧は2011年末でも危惧のままです。

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2011年11月19日

Posted by ブクログ

筑紫さんのメッセージが30代の私にも強く響いた。
自分の目で、自分の価値観で見つめることの大切さを改めて感じた。

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2011年07月22日

Posted by ブクログ

筑紫さん大学で講義してたんですね
ぜひ受けてみたかった

筑紫哲也という男の深さを実感しました
彼は縦と横にプラス奥行きがある3D。
自分はやっと縦だけじゃなく横の広がりも意識し始めた、
ぺーぺーの2D
さらに奥行きもあるんだなーと教えてもらった一冊でした
彼にはかないません!!

とりあえずもっといい映画が見たくなったよ。
彼の危惧が杞憂で終わる、そんな社会にしていきたいです。

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2011年03月08日

Posted by ブクログ

筑紫哲也が最期に書き残そうとして途中で終わってしまった連載「若き友人たちへ」と、大学講義の内容を書きおこした内容の、まあいちおう二本立て。
分量は9割、大学講義の内容で、それもすごく面白い、筑紫さんの考えや伝えたいことがよく出ている内容なのだが。
なにより冒頭、わずか28ページの「若き友人たちへ」、特にその第1回の内容に、筑紫さんの若者に対する愛ある眼差しが感じられて、今更ながら筑紫さんの死を想って泣ける。
僕自身はかなり根本的な考えが筑紫さんに近い人間だが、意見を異にする人でも是非読んでほしいと思う。
筑紫さんの考えるジャーナリズムというものがよくわかるし、意見が違っていても筑紫さんなら話を聞いてみようと思わせるだけの人間性が伝わるし、考えさせられることは多いのでは。

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2011年02月13日

Posted by ブクログ


憲法から国家論、情報化社会での護身術に至るまで、深い洞察がされていた。ポピュリズムが台頭する昨今において大切な本だと思う

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

朝日ジャーナルの編集長だったころからファンだった。
文化的な分野でも造詣が深くて尊敬する人でもあった。
亡くなられて11年、この書籍が出て10年たっているんだと思うのと灌漑ひとしおだ。

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2019年11月14日

Posted by ブクログ

筑紫哲也氏の文字通りの最後のメッセージ。
細かいことは省略するが、一つ一つが心に染みる。
影響を受けたと言うのはおこがましいが・・・
Warm Heart and Cool Headを本当に貫いた人なのだろうと思う。

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2014年11月06日

Posted by ブクログ

筑紫さんは肺がんを患われ、2008年に他界されました。
BSで特集番組を見ていて、過去に読んだ本書を再読しました。

本書は最後の時期に早稲田大学、立命館大学で行われた講義録を元に若い世代の人たちに、筑紫さんが残したラストメッセージになってます。

本当であれば、「若い友人への手紙」として連載されるはずであった企画は、筑紫さんの病状により2回で終わっているそうです。

 あなたは何をを考えなくてはならないか
 あなたは何をやらねばならないか
 あなたは何をやってはいけないのか

ジャーナリストの視点に立ち、世の中全体の論調が一つ方向で進んで行くときに、立ち止まって真実を自分の視点で考え直し、互いに論をなすことの重要性を繰り返し述べています。

憲法問題、日本人と愛国心、メディアとジャーナリズム、国家の行方情報化社会の中の知、講義の焦点は多岐に及びます。2008年の講義録ですので、その後世の中はリーマンショックと世界規模の景気後退に入りました。この前後で世の中の論調は新自由主義の支持から、景気後退後の再検討、再批判と180度転換しているようにも思います。

小泉チルドレン、小沢チルドレンではないですが、メディアが作り上げた虚像をそのまま信じてしまうリスクを、自分の頭で考え回避せよと論じられている気がします。

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2014年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

筑紫さんは朝日新聞社記者、朝日ジャーナルの編集長をを経て、長年にわたりTBS「筑紫哲也 NEWS23」のメインキャスターとして活躍なされました。2008年、他界しました。

「日本人とは何者か」。日本人とは、自分がなんであるかを、まるで説明しない民族です。そのなかで、ほとんど唯一例外的に外に向かって自己説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」です。
「武士道」は1900年に英語で書かれたものです。奈良本辰也さんという著名な歴史学者の翻訳で読まれた方が多いと思うんですが、「自分とは何者か」を考えて武士道に辿り着くというプロセスが書かれた本です。
戦時中に当然この「武士道」は特別な読まれ方をしました。それがこの「武士道」という本についてまわったある種の宿命だったと言いましょうか。
これから死ににいくという時にどうしたらいいのかを考えるのに、この本は非常に大事だったわけです。戦争という極限の場で、自分の命を捧げるための精神的な拠り所にする本として使われ、戦後は忘れ去られていたんですが、今再び、また悪用が始まっているんじゃないか、という恐れを感じています、
この本が書かれた動機、「武士道」というものを考えてみようとした動機、ここ数年、この本が小さなブームになっている動機、そういうものには共通したものがある。つまり、「自分は何者か」という問いに対する答え探しです。

新渡戸は旧制一高の校長もやりました。その校長を辞める時に、サミュエル・ジャクソンの言葉を引用して辞任演説を締めくくっています。それは「愛国主義は悪党の最後の隠れ家である」というものです。これ、痛切に今も生きていると思います。
国を愛するということは、悪いことでもなんでもないと思っています。でもそれが地球環境の問題やいろんな問題を考えた時に過剰に出てくるのは、自分にとっても世界にとってもプラスにならない。愛国主義とは、そういう両刃の剣だということをきちんと認識しておいたほうがいいと思うのです。

本書は愛国主義、憲法改正、国家論、ジャーナリズム、教育など筑紫哲学というべき考えが書かれています。

筑紫氏を表す言葉として「死してこれほど喜ばれる人はいない」といわれることもあります。
これはある意味ではジャーナリストとして評価されているのではないでしょうか。
この言葉の真意がどうあれ、日本に本物のジャーナリストが少なくなったのは間違いないでしょうね。

今日、11月7日は筑紫さんの命日になります。
筑紫さんは、今の日本の現状を、天国でどんな事を思いながら見ているのだろう。

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2013年04月27日

Posted by ブクログ

 筑紫さんがまだ朝日ジャーナルの編集長だったころに、年末年始の郵便配達アルバイトをしていて、たまたま著者の家に郵便物を届けていた。そんなこともあり親近感を感じていた。なのでこの本もかなり好意的に読んだ。
 
 この本は大学の講義をまとめたものなのでとてもわかりやすい。取りあげている題材が小泉政権時のものなので、若干古いが、日中韓のナショナリズム問題の構図が簡単明瞭に書かれている。この当時は靖国問題だが、現在の尖閣諸島や竹島と構造は一緒だ。中韓のナショナリズムを非難している日本も実は同じ問題を抱えている。政権の末期が三国ともたまたまこの時期に重なった。政治家の人気取りのためにナショナリズムを高揚させてはいけない。日本人も冷静になったほうがいい。

 著者は新聞、雑誌、テレビとメディアを歩いてきた経験故に、それぞれのメディアの強みと弱みを語っている章も興味深い。週刊誌のいいかげんさにはあきれ返る。情報源の秘匿を盾にとり、虚偽を繰り返す姿勢はまさに言った者勝ち。週刊誌はメディアじゃない。

 良くも悪くも筑紫さんのように主義主張をはっきり述べるキャスターは今いない。肯定するにしろ否定するにしろ、ある程度のたたき台を提示してくれないと素人は考えるきっかけがない。ニュースは聞き流すものではなく、ちょっと待て!と素通りを許さず視聴者にの前に立ちふさがって欲しい。最近の司会者は番組を無事に終わらせることだけに終始している。漠然とした物足りなさはそこから来ているように思う。 


 
 

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

 筑紫さんは生前、流行語 「KY」 についての批評をしています。

 「この国の歴史のなかで、これだけはあなたたち若者が引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが 『KY』 に濃縮している思考なのです。」 とあります。しかし病のためこの続きは書かれることはありませんでした。

 「空気読めよ」 と突き放して、鋭く刺すような脅迫思考を他者に向ける、若者の思考に対して不安を抱いているように思いました。

 この本では、憲法や国家の事、日本の現在の問題点を挙げています。そして情報社会の中で自分はどう見たらいいのかという視点を獲得する重要性を伝えています。
今の時代・世間に対して自分の考えや見解をもつ、その方向への思考を促してくれた本でした。

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2012年08月25日

Posted by ブクログ

「静かな哲学的ストライキ」
社会への消極的参加・不参加という方法で、経済成長を前提とした日本の社会システムを連鎖的に破壊する。

「合衆国憲法修正第一条(ファースト・アメンドメント)」
言論・出版・集会の表現の自由

「判官贔屓」
日本人の心情の中にある弱者に対する肩入れ。「勧進帳」

「バンドワゴン効果」
賑やかで面白そうなところへみんながついていく、という現象。
日本人の中で強まっている。

「axis of evil(悪の枢軸)」
枢軸=ファシズムへの連想
言葉とは単に単語ではなくて、そこにこめられた意味が重い。

「視点」
デモ隊側から状況を撮ろうとすると、警官隊がデモ隊におそいかか構図になる。逆側にカメラを据えればデモ隊がこっちを襲ってくる。

「メディアのコングロマリット化による問題」
上の会社に都合の悪いことが簡単に抑えられ、記者やディレクターたちは意欲を失う。

「情報源の秘匿」
法的には保障されていない。
しかし、それを隠れ蓑にしてなにかをでっち上げることも可能。

平野啓一郎「文明の憂鬱」
愛国心=人間の自然なところから生まれてくる心情
国家主義=作られたもの

「知の三角形」
情報・知識・知恵(判断力)

日本の財政状況はEUに入る基準をクリアできない。

世間で言われてることに懐疑心を持つことは大切だが、そのなかに正しい答えが絶対にあるんだ、と考えることについても懐疑心をもつことが重要。

「ええじゃないか」
先が見えないという閉塞状況のなかで、先が見えないなら踊っちまえ、という状況。

今までの文明の歴史のなかで、地方をめちゃくちゃにして栄えた都市なんてない。

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2012年07月09日

Posted by ブクログ

考えには共感できない部分もある。いや、そちらの方が多いかもしれない。
しかし…

筑紫哲也自身が書いた文章は最初の方に少し載っているだけ。あとは講演(というか授業か?)で語ったことを編集者が文字に起こしている。この文章がとてもわかりやすい。
先にも書いたとおりこの方の考全てに共感は出来ないが、読みやすい文章であることには好感が持てた。

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2012年02月09日

Posted by ブクログ

切ないタイトル。

筑紫さんが私たちに残したい、伝えたい言葉がたくさんつまっている。
やわらかい口調で、どれも心にすっと染み入ってくる。

ものを考えず、流されやすい国民性。それはいかに危険であるか。
知の三角形のお話。膨大な情報にのまれるのではなく、自分の頭で判断していくことの大切さ。そして、その判断の土台となるのはやはり知識であること。

長年ジャーナリストとしてご活躍された方のお言葉には、説得力がある。


これからも本をたくさん読んでいこうと強く思わさせられた。

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2011年12月20日

Posted by ブクログ

筑紫さんは新聞→雑誌→テレビと主要なメディアを渡り歩いてきた珍しい存在で、落ち着いた口調の中にも確固たる意思を感じる人でした。
中で書かれていることは日本の将来に対する不安。2007年に書かれた本ですが、不安は的中しています。(あの当時みんな不安に思っていたことだろうけど)日本はよくなっていません。震災を経てさらに悪化の一途をたどっています。
提言のように政府がやるべきことの順序を理解して問題解決にあたってもらいたい。日本の病気は以下の3つ。全く納得です。
・経済の破綻(金借りすぎ)
・人口の減少
・教育の崩壊

非常に心に残った一言
「学ぶことは具体的な問題を抽象化すること」
コンピューターにはできないことだと思います。人間の存在意義。その人が必要だと思われるためにはこのような考えが必要だと強く感じました。

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2012年01月22日

Posted by ブクログ

若くないから対象外ではあるけれど、自分に向けられたメッセージのつもりで読んでいました。昔、朝日ジャーナルをラッシュの通学時に読んでいたからか、彼は特別な存在でしたし。あの人が、最後に伝えたかったこと、それはきっととてもとても大切なことなのだと思います。文中で触れられた本や映画はメモしました。ラストメッセージ、受け止めたいです。

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2011年10月19日

Posted by ブクログ

若き友人たちへ向けた最後のメッセージ。しかし、それは若者だけではなく、大人も何かを感じられるはず。筑紫さんの考え方が凝縮されている。特に、教育についてと知の三角形の話は必読。

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2011年04月05日

Posted by ブクログ

ダンナさんの本棚より。

すごく、面白かった。
もっとちゃんと、聞きたかった。

言葉をすごく大切に、重要視して扱ってくれるのが個人的に嬉しかった。
それにしても、すごい知識量。
そしてただ知識を並べ立てるのではなく、面白く分かりやすく興味を持てるように話すって、すごい。
読みたい本や調べたいテーマが広がりました。

超余談ですが。
先日のNHKスペシャルに出てきた人が、(すごく興味深いことを話していたので、メモってた。)この本にも出てきて吃驚した。
こういうワクワクする偶然があるから、本を読むのはやめられない。

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2011年03月19日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。
本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。
誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。
二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。
その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。
この一連の講義録をもとに、本書は構成された。
「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。
筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。

[ 目次 ]
第1章 まず憲法について話してみよう
第2章 そもそも日本人とは何者か
第3章 二つの日本人論を読む
第4章 沖縄から日本が見えるか?
第5章 さまざまなメディアを歩いてみよう
第6章 雑誌と新聞をめぐる私的ジャーナリズム論
第7章 国家、この厄介なるもの
第8章 教育こそが国の基本である
第9章 「知の三角形」という考え方
第10章 この国がおかれている現実を見つめる
第11章 そして、この国の行方は…

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年10月26日

Posted by ブクログ

個人的な意見ですが、御本人が書いた文章が少ないからか、パンチがない内容でした。
本の中に出ていた小泉元総理との対談、はぜひ見てみたいと思いました。

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2021年10月22日

Posted by ブクログ

著者の遺作となった本書。「若き友人への手紙」と称された連載は2回で終わることになり、本書のほとんどの部分は大学講義からの文字起こしが中心となっている。その分、新書としてはまとまりがない印象を受けたが、氏のジャーナリズムに対する姿勢、情報化社会に対する目は参考になった。「知の三角形」の概念は常に意識しておきたいところ。

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2013年02月27日

Posted by ブクログ

昨年の衆議院選挙前から読んでいましたが、やっと読み終わりました。
知らなかった視点をつつかれた心境。
崇拝する程ではないものの、筑紫さんのような報道マンはいなくなったなあ、と寂しく思いました。
内容が今も問われている問題点だったことに驚く。3・11の影響の大きさもさることながら、民主党政権時代一歩も前進していなかったとは。
安倍政権での中国・韓国との交流に一抹の不安を抱えつつ、それでも日本国の前進を願わずにはいられない。

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2013年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これからの日本は色々とまずいことになるよ、
今の若者がだめだとは言わない、
(なぜなら若者は大人の鏡だから)
でも、将来を作っていくのは若者しかいない。

本当は、今の日本人(若者)は力も能力もあるけれど、
無知と考える力が無いことで、気付いていないこと、
力が発揮できていないことがたくさんある。

考える力を持って、
自分が持っている力(権利や資源や能力)を
ちゃんと生かしてほしい。

…って筑紫さんは、言いたかった…のかな?

メディアコントロールや、
ナショナリズムとパトリオティズム、
ポピュリズムの怖さ、
日本国憲法が理想に基づいて作られた『奇跡的な産物』であること
(でも男女平等についてのくだりは知らなかった)
なんかは他の本などで読んでいた内容なので
おさらいというかんじ。
(日本国憲法については前回読んだフリーメイソンの思想も
やっぱり関係しているのかな?と思えて興味深かった)

今回新しくへえ〜っと思ったのは

・知識の体系化
・知の三角形(情報・知識・判断する力)

のところ。とくに知の三角形の『知識』の領域が狭く、
『情報』の範囲が広いだけでは
『判断する力』が無いので、
情報の精査ができず溺れてしまうだけだ。

『知識』の領域を広くし、『情報』を『判断する力』を
手に入れなければならない。

というのは、今の私がこれからはそうでありたい、
とぼんやり考えていたことを、
ズバッと言葉にしてもらったので、気持ちよかった。

頭の中でばらばらに散らばっていた点のいくつもが
急にピーーーーンと線になるときがあって、
その気持ちよさがたまらない。

それが『知識の体系化』する瞬間…かな?

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2011年10月05日

Posted by ブクログ

2008年に肺がんのために亡くなった、
ニュースキャスター、ジャーナリストの筑紫哲也さんによる、
2005年ころに行われたと思われる大学院生を対象にした講義を主軸として、
他の原稿などもまとめた本がこれです。

若者たちに向けて、「こんな世の中にしてしまったのは、僕たち大人たちなんだ…」
というようなことを、自らの保身抜きで、そして自らの世代の代表として、
若者から搾取する多くの小ズルイ大人たちを告発するかのように言ってくれます。
そういうところから、この本は始まります。

「そんな常識も知らないで」と言いながら、
まるで常識を教えなかったり小出しにしたりする大人って
多いと思うんです、僕の経験からしても。
それは、勝手に自分で学びなさい、ということなのかもしれない。
でも、若者が勝手に自分で学べるくらい、
この世界は開かれていない状況になってしまっているし、フェアじゃない。
また、大人が若者にいちいち教えるのが面倒だから、他の誰かが教えればいいというような、
上の世代として持っているはずの責任を逃れようとする姿勢からくるのかもしれないし、
若者に知識を与えないことで、自らの保身のため、アドバンテージを持とうとする狡猾な考えからくる
行為なのかもしれないです。

そういうのをとっぱらって、もったいぶることなく、
筑紫哲也さんは、若者たちに言葉を投げかける。
受け手が扱いやすいようなフラットさだし、現代の物事の核心をついている言葉。
そしてその言葉は、いろいろな知の道を照らす光となり、
好奇心や探究心を刺激することにもなる。
ましてや、もたらされた知識は、世界を見る目を著しくクリアにしてくれる。
つまり、若者の「やる気」のスタートラインとしては絶好のポジションを与えてくれるのです。

僕はもう、若者といえるか微妙な年でもあるし、まぁ青年ですし、
近所のスーパーなんかでも、おばちゃんに「お兄さん」と呼ばれる感じではあります。
それでも、筑紫さんがもたらしてくれた知識と知恵のかけらと常識というものが
大変ありがたかったです。
どうして、こう、みんなが知っていたらいいのにという部分は、暗部というか、
闇の中にあって、どうにか光で照らさなければ見つけられないものなのでしょう。
大声で言ってくれる人もいないものなんですよね。
今回だって、たまたま雑誌でこの本が紹介されていたのを知って、買ってみたら
すごく良かったわけで、口コミで野火のように広がる本ではないことに、
「きっと、この本に暴露される真実によって、困る人たちが多いのだろうな」ということが
わかったりします…、たぶん、ですけどね。
教訓としては、やっぱり自分から進んで求めないといけないということですね。
この本でいえば、「求めよ、されば与えられん」を地で行く本でした。
「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という本であるかもしれませんよ。

巻末に、筑紫さんが16歳の時に書いた、幼少時からそれまでを振り返る作文が掲載されています。
それを読んで、まぁ、誤解を持たれるかもしれませんが、僕はこういう感想を持ちました。
やっぱり、手持ちのカードが良い人だったんだな、と。

作家・東野圭吾さんの『時生』という小説にこんなセリフがあります。

「苦労が顔に出たら惨めやからね。それに悲観しててもしょうがない。
そら誰でも恵まれた家庭に生まれたいけど、
自分では親を選ばれへん。配られたカードで精一杯勝負するしかないやろ」
(東野圭吾『時生』P278 竹美のセリフ)

筑紫さんに比べれば、僕のカードは良くないようですが、それで精一杯やるのが人生ってもんですね。
ぐだぐだ言っても何にもなりませんからね。とはいえ、この小説の竹美に比べたら、
僕のは全然良いカードだとは思います。

このブログを読んでくださっている方々の中にも、
手持ちのカードが良くない人っているかもしれないですね。
100%の力を出せる環境がととのっていたなら!なんて考えて悶々とすることが
あるかもしれませんが、大体の人間は、万全の状態で事に臨むことが難しい中で、
なんとか結果を出したりするものだと思うのですよ。例外はあるとしても。
それに、この筑紫さんの本にも出てきますが、制約のある中で作られた映画が
20世紀のもっとも評価の高い映画だったっていいますからね、
人間だって、もしかすると、そういう制約に縛られながら必死に生きることで
素晴らしい何かを得られる場合もあるかもしれないです。
悲観はしないことですね。

えーと、この本ですが、高校生以上は必読というポジションに置こうと思います。
この本で書かれている「考えない日本人」に、どうやら僕は片足を突っ込んでいるようなので、
なんとか、その泥沼から片足を引っこ抜いて、筑紫さんの最後っ屁を胸一杯に吸い込んだ者として、
またこのブログなんかで、わーわー言っていきたいです(なんだそれ)。

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2011年07月19日

Posted by ブクログ

物静かに優しく語りかける姿が浮かびます。

この本の企画は、こんなように始まったそうです。
「2008年の年が明けて間もないころ、筑紫さんからひとつの提案をいただきました。 『この何年か講義をしてきて、私なりに遺しておきたい言葉というものがあります。それを新書の形にできないでしょうか』 ということでした。その時すでに病に冒されていた筑紫さんからは、『いきなり新書一冊分書き下ろすのはきついので、“青春と読書”に連載して、その後本にまとめるというのはどうでしょう』 という提案もいただきました。
 こうして、2008年の夏に集英社がもつ刊行PR誌“青春と読書”で『若き友人への手紙』というタイトルの連載が始まりました。しかしとても残念なことに、病の進行のため連載は2回のみで終了してしまいました。」

ということで、これに代えるものとして、筑紫さんが大学で講義した講義録を再構成して生み出されたものだそうです。

当初の企画が完結されていれば、もっと強いメッセージが若い人に届いたのではないかと、とても残念です。

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2012年01月17日

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