【感想・ネタバレ】若き友人たちへ――筑紫哲也ラスト・メッセージのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年04月27日

筑紫さんは朝日新聞社記者、朝日ジャーナルの編集長をを経て、長年にわたりTBS「筑紫哲也 NEWS23」のメインキャスターとして活躍なされました。2008年、他界しました。

「日本人とは何者か」。日本人とは、自分がなんであるかを、まるで説明しない民族です。そのなかで、ほとんど唯一例外的に外に向かっ...続きを読むて自己説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」です。
「武士道」は1900年に英語で書かれたものです。奈良本辰也さんという著名な歴史学者の翻訳で読まれた方が多いと思うんですが、「自分とは何者か」を考えて武士道に辿り着くというプロセスが書かれた本です。
戦時中に当然この「武士道」は特別な読まれ方をしました。それがこの「武士道」という本についてまわったある種の宿命だったと言いましょうか。
これから死ににいくという時にどうしたらいいのかを考えるのに、この本は非常に大事だったわけです。戦争という極限の場で、自分の命を捧げるための精神的な拠り所にする本として使われ、戦後は忘れ去られていたんですが、今再び、また悪用が始まっているんじゃないか、という恐れを感じています、
この本が書かれた動機、「武士道」というものを考えてみようとした動機、ここ数年、この本が小さなブームになっている動機、そういうものには共通したものがある。つまり、「自分は何者か」という問いに対する答え探しです。

新渡戸は旧制一高の校長もやりました。その校長を辞める時に、サミュエル・ジャクソンの言葉を引用して辞任演説を締めくくっています。それは「愛国主義は悪党の最後の隠れ家である」というものです。これ、痛切に今も生きていると思います。
国を愛するということは、悪いことでもなんでもないと思っています。でもそれが地球環境の問題やいろんな問題を考えた時に過剰に出てくるのは、自分にとっても世界にとってもプラスにならない。愛国主義とは、そういう両刃の剣だということをきちんと認識しておいたほうがいいと思うのです。

本書は愛国主義、憲法改正、国家論、ジャーナリズム、教育など筑紫哲学というべき考えが書かれています。

筑紫氏を表す言葉として「死してこれほど喜ばれる人はいない」といわれることもあります。
これはある意味ではジャーナリストとして評価されているのではないでしょうか。
この言葉の真意がどうあれ、日本に本物のジャーナリストが少なくなったのは間違いないでしょうね。

今日、11月7日は筑紫さんの命日になります。
筑紫さんは、今の日本の現状を、天国でどんな事を思いながら見ているのだろう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年10月05日

これからの日本は色々とまずいことになるよ、
今の若者がだめだとは言わない、
(なぜなら若者は大人の鏡だから)
でも、将来を作っていくのは若者しかいない。

本当は、今の日本人(若者)は力も能力もあるけれど、
無知と考える力が無いことで、気付いていないこと、
力が発揮できていないことがたくさんある。
...続きを読む
考える力を持って、
自分が持っている力(権利や資源や能力)を
ちゃんと生かしてほしい。

…って筑紫さんは、言いたかった…のかな?

メディアコントロールや、
ナショナリズムとパトリオティズム、
ポピュリズムの怖さ、
日本国憲法が理想に基づいて作られた『奇跡的な産物』であること
(でも男女平等についてのくだりは知らなかった)
なんかは他の本などで読んでいた内容なので
おさらいというかんじ。
(日本国憲法については前回読んだフリーメイソンの思想も
やっぱり関係しているのかな?と思えて興味深かった)

今回新しくへえ〜っと思ったのは

・知識の体系化
・知の三角形(情報・知識・判断する力)

のところ。とくに知の三角形の『知識』の領域が狭く、
『情報』の範囲が広いだけでは
『判断する力』が無いので、
情報の精査ができず溺れてしまうだけだ。

『知識』の領域を広くし、『情報』を『判断する力』を
手に入れなければならない。

というのは、今の私がこれからはそうでありたい、
とぼんやり考えていたことを、
ズバッと言葉にしてもらったので、気持ちよかった。

頭の中でばらばらに散らばっていた点のいくつもが
急にピーーーーンと線になるときがあって、
その気持ちよさがたまらない。

それが『知識の体系化』する瞬間…かな?

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