野尻抱影のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
解説で名取佐和子さんが「野尻抱影の名を見て、肩書きより先に<星>が浮かぶ人は多いだろう」(p200)と書かれている。私もそう思っていた。この『三つ星の頃』は一九二四年に研究社から出た短篇小説集で、初の単著だったとのこと。貧しくも精一杯生きている少年たちの姿が印象的で、たとえ東京が舞台であっても土と木々の濃い匂いが立ち込めているような作品がならぶ。病床にある少年が亡き義姉のことを思う表題作、博物学という分野がまだ現役だった頃の学校に迷い込んだ山椒魚の悲喜劇「悲しい山椒ノ魚」、学問を続けたいけれど周囲の大人に恵まれない少年の成長物語「職工の子」、親を殺した奴への復讐が天狗伝説を背景に行われる「天
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Posted by ブクログ
装丁の美しさに惹かれて手に取った一冊。
冥王星の和訳命名者で、天文随筆家である野尻抱影さんの作品。
1930年から1946年頃にかけて書かれた随筆を集めたもので、明治生まれとは思えないくらい、現代人の私でも、とても読みやすかった。
星に対する知識も豊富で、読み物としても素晴らしかった。野尻抱影さんの星に対する親愛の情が、ひしひしと伝わってきた。
今のイスラエル辺り、古代カルデアの人々が眺めた星空と、明治生まれの野尻抱影さんが眺めた星空。そして今を生きる私たちが眺める星空は、そんなに大差はない。
そして遥か悠久の時を経て、昔からやってきた光が、今の私たちが見ている、星の輝きであることは、周