【感想・ネタバレ】三つ星の頃のレビュー

あらすじ

星の随筆家として活躍し、当時太陽系第9番惑星として発見された星の和名を「冥王星」と名付けた野尻抱影。いまなおその功績は輝き愛され続けているが、厖大な著作を世に放った野尻が大正13年に初めて刊行した本はエッセイではなく、若者たちに向けた小説集だった。少年の心を占めるオリオンの光が印象的な表題作「三つ星の頃」ほか自然の息吹を感じる11篇を収録。解説 名取佐和子

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 解説で名取佐和子さんが「野尻抱影の名を見て、肩書きより先に<星>が浮かぶ人は多いだろう」(p200)と書かれている。私もそう思っていた。この『三つ星の頃』は一九二四年に研究社から出た短篇小説集で、初の単著だったとのこと。貧しくも精一杯生きている少年たちの姿が印象的で、たとえ東京が舞台であっても土と木々の濃い匂いが立ち込めているような作品がならぶ。病床にある少年が亡き義姉のことを思う表題作、博物学という分野がまだ現役だった頃の学校に迷い込んだ山椒魚の悲喜劇「悲しい山椒ノ魚」、学問を続けたいけれど周囲の大人に恵まれない少年の成長物語「職工の子」、親を殺した奴への復讐が天狗伝説を背景に行われる「天狗の罰」、奉幣使街道を舞台に追い剥ぎに追い詰められる中学生たちのハラハラドキドキの一夜「追剥団」が印象に残る。

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2025年02月16日

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冬の星座といえばオリオン座。真ん中の三つ星が目立つ形で、冬の寒さと相俟って、とても印象的。
俊輔にとって、義姉の思い出と重なって、毎年見上げるのだろう。

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2025年02月09日

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冥王星の名付け親、野尻抱影がしたためた、短編小説集。人間にとって抗いがたい、自然や病の脅威の中で、しかし強く、そして情に厚く自然を尊び生きる人たちの、生きる営みが、血の通った語りを通して描かれる。古めかしい言葉が多いけれど、そこまで読みづらくはないのは、やはりそこに血が通っているからではないかと感じます。序文で著者自身が述べていることですが、ここにおさめられているどの作品も、著者自身の経験や見聞に出発しており、まったく空想で描かれた小説とはやはり歯応えが違うなと思います。なんとも滋味深い一冊です。

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2025年02月01日

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◼️野尻抱影「三つ星の頃」

星の文人の短編集。明治・大正の時代を感じる素朴な話。惹きつけられるものがある。

私は、宇宙好き。なのに野尻抱影のことは寡聞にして知らなかった。星の文人として知られ、星の和名を調べ、冥王星の名付け親となった。そのロマン溢れる表現は日本のプラネタリウムの解説文に影響を与えたとか。小惑星の名前にもなってるらしい。

この短編集では星に関係した話は冒頭の表題作くらい。出版は1924年、大正13年で著者が39歳までに書き溜めた短編を集めたもの。「序にかえて」によれば、年ごろ学生のために、いずれも見聞した材料をもとに書いたものだそうだ。だからか、特に風俗の細かいところまで時代を感じるリアリティやおかしみがあり、構成・成り行きにテクニカルと相反する素朴な感じがある。ただ、妙に惹きつけられる。

14歳の俊輔は窒扶斯(チフス)で高熱を発し、ひと月も入院していた。ようやく熱が落ち着いたころ、夜中に目が覚めた俊輔は窓からオリオンの三つ星を見つけ、同時に自分を可愛がってくれた義姉の死が、胸に浮かび思わず「義姉さん!」と呟くー。(三つ星の頃)

表題作は優しい義姉への強い憧れと、冴えざえとしたオリオンの存在感、死の予感が深く重なる佳作だと思う。他の作品も学生向けに作ったからだろう、少年や学校、青年の話、ワクワクする、クスッとなる、また苦労する少年の、ハッピーエンド的な訓話めいた話も多い。

中では「悲しい山椒ノ魚」が面白い。山の学校に山椒魚が現れ、捕獲されて学校で飼育することに。ラストがなんか落語の結末みたいだ笑「追剥団」もいかにも子供向け読み聞かせのお話。

海軍の者が出てきたり、子供たちが軍歌を歌ったり、浴衣での山越え、学校の合図は喇叭、などなど自然に当時の様子が描かれ、読んでいてすっとなじむ。山の設定が多く、不思議と宮沢賢治を思い出す。解説は「銀河の図書室」ほかの作品の著者・名取佐和子氏。

星の文人の存在を知ることが出来たのはありがたい。長年本読みをしていても、星好きを自認してても、まだまだ耕すところは多い。野尻抱影の他の著作をぜひ読んでみたいと思う。お楽しみは、これからだ(^^)

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2026年09月23日

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この夏は、大佛次郎記念館に野尻抱影の展示を観に行けたことがとても良い思い出になった
『三つ星の頃』は、星の文人として知られる抱影先生の自伝要素も濃い短編小説集。記念館の展示で先生の来歴や人となりに触れたからこそ、これらの作品をしみじみと味わえたのが良かった

どの作品も、自然描写が大変美しい 素朴な登場人物達にも、先生のお人柄を感じた

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2025年08月15日

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本のタイトルにもなっている「三つ星の頃」はもちろ「金時計」「職工の子」が良かった。悪いことばかりではに。希望が持てた。各々のその後は気になるが、この終わり方が良いのだと思う。爽やかな読後だった。

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2025年07月08日

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