あらすじ
古今東西の文学や民俗を渉猟し、軽妙洒脱な筆致で星を紹介した「星の文人」野尻抱影。星との出会い、抱影が特に愛したオリオン座やシリウス、四季折々の星にまつわる話などを厳選。
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1977年(昭和52年)没の天文随筆家による短編50遍あまり。書かれた時代は戦前から戦後にかけて。甲府で先生をやっていた時代の思い出話から、東京郊外で暮らす家の庭から見る星の話など。
星の話なので基本的には夜の話。ただし季節は四季すべて。当時の東京市の夜空がまだ暗かったことが想像できる。
冬のグラウンドでボールを探しながらみた空にオリオン座がでかく出ていたときの冷たい空気を思い出した。
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月も星も好きだし、よく仰ぎ見るけれど、しっかり学んだり調べたりはしてこなかった自分の背を、ぽんと押してくれた野尻抱影の随筆集
美しくロマンチックな語りで、星々の悠久の魅力、生活に根付いた親しさ、世界中で異なる星の名前の奥深さを教えてくれる
本著を含むSTANDARD BOOKSは、科学と文学を繋ぐ随筆シリーズ
この本と出会ったおかげで、星空に覚える「きれい」というシンプルな感動に、知識という陰影が加わりました
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プルートの和名「冥王星」の名付け親にして古今の星の名前を収集した随筆家野尻抱影のエッセイ。
オリオンやベガを季節ごとに訪れる旧友のように懐かしみ、
戦前の友との思い出や登山で見た星の輝き、ギリシャ からベツレヘム、中国、砂漠を旅するベドウィン、日本の船乗りの間での星にまつわる逸話と自身の回想が叙情的に綴られる。
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装丁の美しさに惹かれて手に取った一冊。
冥王星の和訳命名者で、天文随筆家である野尻抱影さんの作品。
1930年から1946年頃にかけて書かれた随筆を集めたもので、明治生まれとは思えないくらい、現代人の私でも、とても読みやすかった。
星に対する知識も豊富で、読み物としても素晴らしかった。野尻抱影さんの星に対する親愛の情が、ひしひしと伝わってきた。
今のイスラエル辺り、古代カルデアの人々が眺めた星空と、明治生まれの野尻抱影さんが眺めた星空。そして今を生きる私たちが眺める星空は、そんなに大差はない。
そして遥か悠久の時を経て、昔からやってきた光が、今の私たちが見ている、星の輝きであることは、周知の事実である。
それを考えると、小さなことでくよくよするなんてな、と思わせてくれる1冊だった。
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文章が、とても普通。読みやすいというか、普通なのだ。
良い意味でなのだけど、驚くほどに普通。
そして、明治生まれとは、とても思えない。
でも、内容は、全く普通ではない。
文学を元にした教養の広さ、そこから派生する星への考察。
そのギャップが何とも不思議な空気感を醸し出している。
何より、星に対する愛情が満ちあふれている。
本当に、好きなんだなあ。
科学としてではない、星の楽しみを感じる。
なんとなく、夜空を見上げたくなる一冊だ。
Posted by ブクログ
本文とは関係ないが、
電気の無い時代。薄暗い朝から働き、暗くなると休む生活をしていたと思われる頃。
真っ暗な夜に眩しいほどの星が輝き、微妙な光り方の違いを感じつつ結びつけ、色々なストーリを作り出していたんだろうと思った。
Posted by ブクログ
素敵な本です。
星空を語る人の穏やかさ。星のように静かにちかちか瞬くような美しい言葉で優しさに包まれます。
しかしそのほとんどが1945年に書かれた文章というのは不思議で仕方がない。あるいはそこに変わらずあったのは星々だけだったのかもしれないけれど。