鳥山まことのレビュー一覧
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第174回芥川賞受賞作品。
静かに、だが淡々と積み重ねられる想いが伝わってくる。冒頭、解体される予定の建物を前に、佇む青年、しばらくして建物の中に入っていく。それを迎える建物が1人称になっている。青年は記憶を刻むように、記憶を慈しむように、建物の内部をデッサンしていく。この家は設計者であり施工した人物の想いが込められている。施工主の後に、個人塾を営む女性、親友を突然亡くした女性夫婦が住んでいる。青年のデッサンと並行して過去へと呼び覚まされた記憶が現れ、そこに住んでいた人々のエピソードが綴られていく。それぞれのドラマ、何気ない日常に重さが加えられていく。ありふれた日々には深い思いが並走していた。 -
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今は亡き妻への思いを具現化するような家を建てた藪さん。彼のあとにこの家に住むことになった3人の視点から描かれる彼らの日常は、移ろいゆく季節や時の流れ、ままならない人生の哀しみを映し出す。彼らは一様に繊細な感覚と観察眼を持ち、生活するなかで藪さんの思いを汲み取っていく。たとえ薮さんを知らなくても、この家に住んでいるうちに、藪さんの妻にあてたラブレターを感じ取っていくのだ。数十年の時間差を一続きのように描いているので、読み手も常に細部にまで意識を集中して頭の中で整理しながら読まなければならず、難儀しながら読んだ。昭和の小説を読んでいるような古風なスタイルと相まって、the 純文学のノスタルジーを呼
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ネタバレ毎年同じ日に弁天島駅の入場券を購入している恋人が突然いなくなり、その日に弁天島駅へ向かう一話目。
私は自分を高く見せるような嘘を吐く人はものすごい勢いで冷めてしまうだろうな。
東京駅が戦闘ロボットになる突然のSFには危うく振り落とされそうになったけど、段々二人を応援する気持ちがうまれた。私は結構好き。
北海道にある夫の実家へ、義姉妹で乗り込む話も良かった。一緒に過ごすのに心地よい自分になれたらいいなあ。
額賀さんの明洞の話も良かった。おさまるべきところへおさまった。
最後の話でポルトガル行きたくなった。なんだろう、読んでいてイメージするポルトガルの雰囲気がすごく良かったな。