鳥山まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
真っ白い大きな壁にプロジェクターで映写しているような作品だと感じた。
映像が目に浮かぶような小説なのだ。
取っ手の形状や壁の傷。
さらには、本来ならば目に見えない空気の動きや熱の移動までも描写することによって、人物だけではなく、空間全体が見えてくるような気がする。
圧巻なのは、最後に家が解体されるシーン。
何ページにもわたって、家が更地になっていく過程が丁寧に描かれている。
その様子は残酷だけど、同時に荘厳な雰囲気もたたえている。
人も家も同じ。最後は無に還る。
その事実が、不思議と気持ちを落ち着かせてくれる。
それは「形あるものはいつかはなくなる」という、自然の理を感じるからなの -
Posted by ブクログ
第174回芥川賞受賞作品。
静かに、だが淡々と積み重ねられる想いが伝わってくる。冒頭、解体される予定の建物を前に、佇む青年、しばらくして建物の中に入っていく。それを迎える建物が1人称になっている。青年は記憶を刻むように、記憶を慈しむように、建物の内部をデッサンしていく。この家は設計者であり施工した人物の想いが込められている。施工主の後に、個人塾を営む女性、親友を突然亡くした女性夫婦が住んでいる。青年のデッサンと並行して過去へと呼び覚まされた記憶が現れ、そこに住んでいた人々のエピソードが綴られていく。それぞれのドラマ、何気ない日常に重さが加えられていく。ありふれた日々には深い思いが並走していた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毎年同じ日に弁天島駅の入場券を購入している恋人が突然いなくなり、その日に弁天島駅へ向かう一話目。
私は自分を高く見せるような嘘を吐く人はものすごい勢いで冷めてしまうだろうな。
東京駅が戦闘ロボットになる突然のSFには危うく振り落とされそうになったけど、段々二人を応援する気持ちがうまれた。私は結構好き。
北海道にある夫の実家へ、義姉妹で乗り込む話も良かった。一緒に過ごすのに心地よい自分になれたらいいなあ。
額賀さんの明洞の話も良かった。おさまるべきところへおさまった。
最後の話でポルトガル行きたくなった。なんだろう、読んでいてイメージするポルトガルの雰囲気がすごく良かったな。