鳥山まことのレビュー一覧

  • 時の家

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    家はそこで過ごした人々の記憶が積み重なってそこにあるということを、丁寧な描写で伝えてくれる一冊。シームレスに人物が入れ替わる展開も、記憶の積み重なりを感じて心地よく、いつまでも読んでいたいと思える素敵な読書体験でした。
    この家のサイズは四間四方とあり、検索すると、縦横の長さが約7.27メートルの正方形で面積に換算すると約16坪(約52.9平方メートル)、32畳分の広さに相当とのこと。圭さん夫婦がこの家を広く感じるか、狭く感じるかで行き違う場面がありますが、このコンパクトさでどのような空間が生まれていたのか、藪さんの設計を(特に大黒柱のあるLDKを)想像しながら読むのも楽しめました。

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    2026年06月06日
  • 時の家

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    全体的に静かなお話に感じられました。個人的に静謐な雰囲気が好きな上、純文学といえどそれほど難しいわけではなかったのでとても楽しく読めました。絵が得意ではないので絵に描いて記録するってことを普段しないけど、そういう記憶の仕方もいいな、やってみたいなと思います。

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    2026年05月31日
  • 時の家

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    だれもいない家をスケッチすることで、そこにかつてあったものについて思い巡らす。不在ってなんだろう。居ることといないこと。
    夫婦、親子、家族の関係、生死を扱っているが、生々しさから距離を取り、終始穏やかな空気が流れている。時間の流れの救い(残酷さを見せながらも)を感じて馥郁とした気持ちになる。
    静かな筆致がめちゃくちゃ心地よかった。

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    2026年05月17日
  • 時の家

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    作者の家に対する想いを感じました
    家の記憶と登場人物の記憶が混ざり靄の中にいるような感覚でお話が進んで行きます
    家の素材が凄く丁寧に描かれている本は初めてでした

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    2026年03月22日
  • 駅と旅

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    ネタバレ

    「そこに、私はいなかった。」が胸が張り裂けそうなくらい青春だった。
    「東京駅、残すべし」もファンタジー要素があって好きだった。
    遠くに行きたくなる短編集。

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    2025年06月21日
  • 時の家

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    取り壊しの決まった、寂れた町の一軒家。そこに忍び込む一人の青年。彼はスケッチブックを取り出し、デッサンを始める。彼が鉛筆を動かしてゆくと、その家のあらゆるところから、そこに住んだ人たちの記憶があふれ出し、描かれてゆく。
    家の記憶なのか、彼の見た風家なのか、人の人生と家の人生を重ね合わせながら物語は進む。

    エンタメではありませんが、面白い読書体験ができました。

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    2026年06月05日
  • 時の家

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    第174回芥川賞受賞、そして第47回野間文芸新人賞受賞作品

    「売物件」の看板が掲げられた一軒の平屋。その家の壁や傷や柱を前に青年と三代の人たちが何を思っていたのか。それぞれの人が交わることはないのだけれど、それぞれの思いをしっかりと受け止めたような気がしました。

    まるで家自体が生きているかのように感じた小説でした。家自体の木も石も漆喰も金属も温度や湿度で変化していくことを初めて実感できました。それと同時に、かつてそこに住んでいた三代の人たちのことが書かれていました。なかでも、その家を建てた最初の住人の藪さんの並々ならぬ思いを感じることができました。

    家を建てようと思い、逡巡し、形になって

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    2026年05月30日
  • 時の家

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    ネタバレ

    藪さんが自分のために設計した家がある。その家は賃貸となり、それぞれは無関係な人たちの人生を受け止める家となる。人生というかもっと普遍的な時間を受け止めると言っていいかもしれない。過去の住人の青年は売家となったその家で壁からタイルなどあらゆる物をデッサンする。その描写は時の流れを描きながらもその瞬間の時を止めたようにも思える。家や庭の景色があまり変わらないが、住人は変わる。家の時間と人の時間は交わらないような感じだ。もし交わるとすれば、家が取り壊される時なのかもしれない。

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    2026年05月18日
  • 時の家

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    芥川賞&野間文芸新人賞のダブル受賞作。
    芥川賞は何が良いのかよくわからない、と感じることが多く、村上龍「限りなく透明に近いブルー」、高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」くらいだったが、これは素晴らしかった。

    筆者が建築士ということもあり、冒頭の建物が日に当たる描写からすでに美しすぎる。

    いつまでも売れない古い戸建てに侵入し、絵を描く青年。その家が建てられてから住んでいった3人とその家族や関わった人々の想いが、青年が目にし、触れ、嗅ぎ、感じるものとともに蘇っていく。

    会話が極端に少なく(ほとんどなく)、地の文がひたすら続く。純文学は文章自体を楽しむというのはこういうことか

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    2026年05月13日
  • 時の家

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    いまは空き家や雑木林が点在する住宅街。
    青年は売り物件の家に入り込み
    室内を細かくスケッチしていく。
    その家は藪さんが自ら設計し建てた家だった。
    藪さん亡き後、家の住人になり塾を開いたのは緑。
    緑の後は若い夫婦。
    家は受け継がれるも、住人それぞれの接点は建物だけ。
    家が語る思い出に読者の私も浸る。
    (本作の主人公は家ですから)

    藪さんのあとの住人、緑のエピソードが好き。
    塾を経営し生徒との時間を静かに過ごす。
    深く関らず適切な距離で子供たちを見守る。

    大きな事件やハッと驚くような展開があるわけでもない。
    それでも心に残る作品になっている。
    彼らが住んだ家と一緒に
    住人たちの歴史を共有したよ

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    2026年05月14日
  • 時の家

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    芥川賞の作品は苦手ですが、これは比較的読みやすかったです。最後のシーンで泣きそうになったのは、誰に感情を持っていかれたのか。

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    2026年05月09日
  • 時の家

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    建築士(?)の薮さんが、奥さんへの思いを込めた自身の集大成ともいえる一軒家を仲間の協力を得て建築して住み、さらにその後その家に住んだ二世代の住人らをある青年のスケッチを通しながら辿っていった作品。静かな中に息づく家と住人の生が絡みあうようなお話だった。

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    2026年05月06日
  • 時の家

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    時が交差しながらの住人たちのそれぞれ一部の物語。
    そう…一部。だからなお住人の心の底に興味がわきもっとそこを深くのぞいてみたいと思うのだが、最大の主人公は正に『家』なので家が自分の自叙伝を見せてくれてるかのようであった。家は静かに人と密接に歴史を刻んでゆく。日本人はとても簡単に建物を壊して新しくするがもっともっと長く大切にできたらいい。私は大工の家系なので、本家も分家もあちこちに仕掛けがある家だったことを思い出し懐かしい。
    仕掛けの一番好きだったのは奥行きのあるキッチンの下に一見わからない扉があり実はそこから外とトイレの脇へ2箇所にでられるという秘密の物置兼通路だ。子供の頃は良く遊んだものだ。

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    2026年04月30日
  • 時の家

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    青年は描く.建築家が自分のために建てた家のすみずみを.その注がれた想いとその後住み継がれた2世代の記憶が,売家となった家にそっと入ってきたかってその家で絵を描いた子供によって,スケッチの中から立ち昇ってくる.時代の流れの中にまぎれていた阪神大震災や東北の地震,コロナ感染などもそこにあるかのように現れている.時間の持つ奥行き,あるいは記憶の深さを感じました.

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    2026年04月14日
  • 時の家

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    家への想い、記憶。登場人物たち、作者の家へのこだわりを感じた。薮さんの建てた家を見てみたい。最後のシーンは切なかった。

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    2026年04月03日
  • 時の家

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    自分が住むための家を創る建築家の人生、
    その建てられた家に宿る生命。
    時を経てをまたそこに住む家族、人がまた
    家に生命を吹きかける。
    家へのこだわりや執着がまたその人の
    人生と重なる。そしてそれを1人の青年が
    関わる全てを絵にしてかきあげる
    もう無理だろうけど(笑)
    自分の家をこだわり尽くして
    建てたくなりました。

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    2026年04月02日
  • 駅と旅

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    電車旅の相棒に。最後の鳥山まことさんのやつが良かった。旅の良さは、自分と向き合えることと新しいものと出会えることにある。
    「駅」の要素はあまり感じなかったが、旅の魅力が詰まった楽しい小説であった。

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    2026年03月12日
  • 駅と旅

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    どれもお初な作家さんで、楽しめた!こういうオムニバス作品て作風も違うから、気分も変えられて、楽しいよね。
    国内から海外まで幅広く。情景を思い描きながら読むのが、楽しいよね。自分でドラマ化してる気分。

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    2026年02月01日
  • 駅と旅

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    松崎有理さん目当てでしたが、他の方々の作品の駅・旅・旅人のどれもひかれるところがあり、思わぬ出会いがありました。
    旅モノの作品集として楽しめ、今度はここに行ってみようと旅ガイドになるのと同時に、こんな面白い作品を書いている作者の他の作品はどんなのだろう?と新しい作家と作品への旅立たせてくれる、そんな1冊です。

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    2025年04月16日
  • 時の家

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    『人間の最期と家の最期はよく似ているかもしれへんなあ』
    家を描く仕事の藪さん
    『青年は鉛筆を握る手の側面が真っ黒になっていることに気づいた。時間を忘れてただひたすら描き続けていた』
    その家をスケッチブックに描く青年

    藪さんの後、その家で暮らした人たち
    圭さん夫婦や、塾を開いた緑。
    家はその人たちと共に歩んできた
    その大切な記憶を丁寧に描いた小説でした

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    2026年06月10日