鳥山まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
家がかつてそこで暮らしていた人たちの
想いや出来事を慈しむように回想し、
別れを告げていく
そんな物語だった
死に逝く人の頭によぎる自分の来し方
走馬灯のように蘇る記憶
それと同じように
その家にかつて住んでいた人たちの姿や想念が
浮かんでは消えていく
空き家になったその家で
一人の青年が絵を描く
ダイニングの真ん中に立つ丸柱
漆喰の壁
洗面台のタイル
部屋中の取っ手
それはその家とそこに息づいていた人たちを悼む
静かな儀式のように思えた
私が昔住んでた家
小さな建物の
シルエット
部屋の間取り
家具の配置
空気感
明るいところ
暗かったところ
父や母の声
そこにいた私
覚えてる
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Posted by ブクログ
ネタバレ誰も住まなくなって汚れ、荒れてしまった家の前に青年は立っている。
家に侵入し、リビングに座り、見えるものをスケッチブックに描く。
家は住んだ人の記憶を刻んでいる。その記憶を少しでも残すために、青年は描く。
自分が子どもの時、この家を建てた建築家の藪さんが住んでいた。ここで彼にスケッチを教えてもらった。
次に住んだのは緑と飼い犬のマルタ。彼女はこの家で塾を開いた。
その次は圭さんと脩さん。夫婦だったと思うのだが…。何やら隙間の空いたような関係性。
それに、藪さんが家を建てる時の記憶。左官屋さんや大工さんと一緒に作業をしている。
それぞれのタイミングにそれぞれの生き方がある。
同じ家を見ていて -
Posted by ブクログ
衝撃的。
最近いい小説にたくさん出会っているけど、この小説ほど心の琴線に触れたものはない。
超おすすめ。
特に生きる意味とか考えちゃう30代40代の方!
物語としての起伏がほとんどないうえに、最初に詳しすぎるやろ!というレベルの家の細かい描写から始まるのでとっつきにくい感じがするけど、がんばって読み進めてほしい。
家の物語。
空き家となり取り壊される家に、かつて縁があった青年が忍び込みスケッチをする。
スケッチするたびに四十年前、三十年前、二十年前に住んだ人の記憶がテクストに流れこむ。
青年は家に住んだ人々のことを知らない。
住んだ人々もお互いのことを知らない。
だけど家の記憶を通して、 -
Posted by ブクログ
家はそこで過ごした人々の記憶が積み重なってそこにあるということを、丁寧な描写で伝えてくれる一冊。シームレスに人物が入れ替わる展開も、記憶の積み重なりを感じて心地よく、いつまでも読んでいたいと思える素敵な読書体験でした。
この家のサイズは四間四方とあり、検索すると、縦横の長さが約7.27メートルの正方形で面積に換算すると約16坪(約52.9平方メートル)、32畳分の広さに相当とのこと。圭さん夫婦がこの家を広く感じるか、狭く感じるかで行き違う場面がありますが、このコンパクトさでどのような空間が生まれていたのか、藪さんの設計を(特に大黒柱のあるLDKを)想像しながら読むのも楽しめました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ丁寧に作られたであろう平屋の一軒家にまつわるお話。現在に生きる青年が壊される前の家をスケッチしてゆくのと同時進行で過去の住み手の記憶が差し込まれて重層的に語られる。それだけなのに心に染み入るストーリー。長島有の「三の隣は五号室」に通じる設定ではあるが、家が建てられてから無惨に解体されるまでを描き、家に対するこだわりを感じた。それもそのはず、著者は建築士だった。ちょうどBRUTUSの特集に載っていてお顔も拝見したけど、想像と雰囲気ごぴったり合っててビックリ。お家の描写から伊礼智や中村好文に影響を受けたというのにもうなずけた。とても素敵な一軒家なんだろうと想像できます。だから後半の解体シーンは胸が
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Posted by ブクログ
ネタバレああ、きたよ、芥川賞だよ、これは!
ってなくらいとっつきにくくセリフがほぼなくてひたすらシーンのあちこちで登場人物の考えや見たもの、感じたことが延々と書き綴られ、しかもいきなり登場人物が増え、切り替わり、彼女が誰を指しているのか、一体だれがだれに対して言っているのか、思っているのか頭がこんがらがってそのまま瞑想の世界に飛び立ちそうになりながらも読み進めていく。最初は建築関係の用語がずらずらと出てくるんだけど、どうも建築の話とも思えないし、主人公が入れ替わるような文体で、で、誰が主人公なのよ?ってなかなか頭がついていけなかったのが、ようやく一人の男が自分が住むことになる平屋一戸建てを一から設計し -
Posted by ブクログ
「更地にした方が売りやすい」と取り壊しすることになった住宅街の中の空き家は、35才の青年にとって小学生の頃慣れ親しんだ隣人の家だった。
隣人は引退した建築家で、人の手の温もりを大切にする丁寧な設計で職人達から慕われてきた。最後の仕事として自分自身のための平家を設計し、退職後はそこでスケッチをする日々を送っていた。青年は鍵っ子だった子ども時代、彼に誘われて共に絵を描く午後を過ごしていた。
その家は建築家が亡くなると、海外赴任の夫のいる主婦が開く学習塾の場となる。さらに子どものいない夫婦のものへと代替わりし、時を紡ぐ。
誰もがこの家の「心が馴染む感覚」を愛しみ、彼らの生活の背景には家があった。
こ -
Posted by ブクログ
籐巻の大黒柱や漆喰壁などおもてに見えるものから梁や躯体など直接は目に触れないところ。さらにそれらの経年による味わいだったり、細かについた無数の傷だったり。青年の描く写実的なスケッチを通して、そこにある温度や湿気、匂いまでもが丁寧に描写されていて、まるでその場に自分もいるかのような没入感があった。
この家に住んでいた三代の住人たち。亡き妻を想いながら設計し自身の住処とした薮さん。震災で最愛の友人を亡くしても、実感が湧かないまま17年を過ごし、現在はひとりで塾を営む緑さん。両親の熟年離婚に照らして、夫との気持ちのすれ違いと2人のこれからが不安になる圭さん。家は時の幹。そこから伸びる枝葉は彼らの毎