鳥山まことのレビュー一覧

  • 時の家

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    家がかつてそこで暮らしていた人たちの
    想いや出来事を慈しむように回想し、
    別れを告げていく
    そんな物語だった

    死に逝く人の頭によぎる自分の来し方
    走馬灯のように蘇る記憶
    それと同じように
    その家にかつて住んでいた人たちの姿や想念が
    浮かんでは消えていく

    空き家になったその家で
    一人の青年が絵を描く

    ダイニングの真ん中に立つ丸柱
    漆喰の壁
    洗面台のタイル
    部屋中の取っ手

    それはその家とそこに息づいていた人たちを悼む
    静かな儀式のように思えた

    私が昔住んでた家
    小さな建物の
    シルエット
    部屋の間取り
    家具の配置
    空気感
    明るいところ
    暗かったところ
    父や母の声
    そこにいた私

    覚えてる

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    2026年09月20日
  • 時の家

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    ネタバレ

    誰も住まなくなって汚れ、荒れてしまった家の前に青年は立っている。
    家に侵入し、リビングに座り、見えるものをスケッチブックに描く。
    家は住んだ人の記憶を刻んでいる。その記憶を少しでも残すために、青年は描く。

    自分が子どもの時、この家を建てた建築家の藪さんが住んでいた。ここで彼にスケッチを教えてもらった。
    次に住んだのは緑と飼い犬のマルタ。彼女はこの家で塾を開いた。
    その次は圭さんと脩さん。夫婦だったと思うのだが…。何やら隙間の空いたような関係性。
    それに、藪さんが家を建てる時の記憶。左官屋さんや大工さんと一緒に作業をしている。

    それぞれのタイミングにそれぞれの生き方がある。
    同じ家を見ていて

    0
    2026年08月28日
  • 時の家

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     生活の基盤には家がある。家という媒体を通して、そこで人の縁が紡がれていく。家は記憶としてそれを残していく。誰かの記憶は、その人にとってかけがえのないものでも、他の誰かにとってはそうでもない。ただ、家はそんな全てを見続ける。
     死んでしまったことと、長く会えないことの違いはいったいどこにあるのだろう。ぽっかりとそこには穴が空いている。

    0
    2026年08月21日
  • 時の家

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    衝撃的。
    最近いい小説にたくさん出会っているけど、この小説ほど心の琴線に触れたものはない。
    超おすすめ。
    特に生きる意味とか考えちゃう30代40代の方!

    物語としての起伏がほとんどないうえに、最初に詳しすぎるやろ!というレベルの家の細かい描写から始まるのでとっつきにくい感じがするけど、がんばって読み進めてほしい。

    家の物語。
    空き家となり取り壊される家に、かつて縁があった青年が忍び込みスケッチをする。
    スケッチするたびに四十年前、三十年前、二十年前に住んだ人の記憶がテクストに流れこむ。

    青年は家に住んだ人々のことを知らない。
    住んだ人々もお互いのことを知らない。
    だけど家の記憶を通して、

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    2026年08月04日
  • 時の家

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    異常なまでの建築描写に息を呑む。
    徹底した写実的描写に特化した作風が、最後のシーンを効果的に演出している。建築家ならではの視点、観察力、描写力、そして、構成力。脱帽。

    0
    2026年07月28日
  • 時の家

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    冒頭の熱を受けて家が膨張していく様子の書き込みは建築家ならではの解像度。そこに立つ家が見えてくるようだった。
    『このままの密度でいくつもりなのか…』と心配になったが、結局最後までその詰まり具合で書き切った感じだった。
    脳内では、勝手に吉村順三→中村好文さんの系譜を想像しながら読んだ。

    0
    2026年07月08日
  • 時の家

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    結構良かったけどな、お家って見えない歴史があるよね。誰かが、大切に作った家でも、古くなったら壊されて更地にされてしまう切なさ

    0
    2026年06月29日
  • 時の家

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    家はそこで過ごした人々の記憶が積み重なってそこにあるということを、丁寧な描写で伝えてくれる一冊。シームレスに人物が入れ替わる展開も、記憶の積み重なりを感じて心地よく、いつまでも読んでいたいと思える素敵な読書体験でした。
    この家のサイズは四間四方とあり、検索すると、縦横の長さが約7.27メートルの正方形で面積に換算すると約16坪(約52.9平方メートル)、32畳分の広さに相当とのこと。圭さん夫婦がこの家を広く感じるか、狭く感じるかで行き違う場面がありますが、このコンパクトさでどのような空間が生まれていたのか、藪さんの設計を(特に大黒柱のあるLDKを)想像しながら読むのも楽しめました。

    0
    2026年06月06日
  • 駅と旅

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    ネタバレ

    「そこに、私はいなかった。」が胸が張り裂けそうなくらい青春だった。
    「東京駅、残すべし」もファンタジー要素があって好きだった。
    遠くに行きたくなる短編集。

    0
    2025年06月21日
  • 時の家

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    ネタバレ

    丁寧に作られたであろう平屋の一軒家にまつわるお話。現在に生きる青年が壊される前の家をスケッチしてゆくのと同時進行で過去の住み手の記憶が差し込まれて重層的に語られる。それだけなのに心に染み入るストーリー。長島有の「三の隣は五号室」に通じる設定ではあるが、家が建てられてから無惨に解体されるまでを描き、家に対するこだわりを感じた。それもそのはず、著者は建築士だった。ちょうどBRUTUSの特集に載っていてお顔も拝見したけど、想像と雰囲気ごぴったり合っててビックリ。お家の描写から伊礼智や中村好文に影響を受けたというのにもうなずけた。とても素敵な一軒家なんだろうと想像できます。だから後半の解体シーンは胸が

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    2026年09月04日
  • 時の家

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    ネタバレ

    ああ、きたよ、芥川賞だよ、これは!
    ってなくらいとっつきにくくセリフがほぼなくてひたすらシーンのあちこちで登場人物の考えや見たもの、感じたことが延々と書き綴られ、しかもいきなり登場人物が増え、切り替わり、彼女が誰を指しているのか、一体だれがだれに対して言っているのか、思っているのか頭がこんがらがってそのまま瞑想の世界に飛び立ちそうになりながらも読み進めていく。最初は建築関係の用語がずらずらと出てくるんだけど、どうも建築の話とも思えないし、主人公が入れ替わるような文体で、で、誰が主人公なのよ?ってなかなか頭がついていけなかったのが、ようやく一人の男が自分が住むことになる平屋一戸建てを一から設計し

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    2026年08月29日
  • 時の家

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    しみじみと良い作品。建築士だから描けた物語。他の職種の兼業作家の作品ももっと読みたいと思った。
    個人的には、解釈が難しいところもあったが、空き家を抱え、命や人生について考えるようになった自分には、共感できるところも多かった。

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    2026年08月28日
  • 時の家

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    芥川賞受賞作
    最近の受賞作に多いものと違って、粗はあるけれど、正統な純文学という感想

    取り壊される運命にある家を背景に、10年ごとの居住者の人生が紡がれます
    著者は建築士と言うこともあって、家に対する視線が独特でした

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    2026年08月19日
  • 駅と旅

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    東京駅、残すべしか異質で前から順番に読んでいたため何の話や?と頭がこんがらがった。他の作家さんのお話は読みやすくて青春だったり人間関係のアレやこれやが共感できる内容だった。特に最後の鳥山まことさんはほんとの旅行記かな?と思うほど具体的で言葉の流れが綺麗で締めにふさわしかった。

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    2026年08月09日
  • 時の家

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    「更地にした方が売りやすい」と取り壊しすることになった住宅街の中の空き家は、35才の青年にとって小学生の頃慣れ親しんだ隣人の家だった。
    隣人は引退した建築家で、人の手の温もりを大切にする丁寧な設計で職人達から慕われてきた。最後の仕事として自分自身のための平家を設計し、退職後はそこでスケッチをする日々を送っていた。青年は鍵っ子だった子ども時代、彼に誘われて共に絵を描く午後を過ごしていた。
    その家は建築家が亡くなると、海外赴任の夫のいる主婦が開く学習塾の場となる。さらに子どものいない夫婦のものへと代替わりし、時を紡ぐ。
    誰もがこの家の「心が馴染む感覚」を愛しみ、彼らの生活の背景には家があった。
    こ

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    2026年08月02日
  • 時の家

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    文章がきれい
    独特な間で登場人物の視点が変わっていく
    人生の最期と家の最期
    家っていうのは時の幹
    ねじれ
    手紙という詩

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    2026年07月24日
  • 時の家

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    独特の感性と建築を知る者の視点が新鮮で、段落なんて気にしないかのように改行が少なく、会話も少なく、薮さん、緑さん、圭さんへの往来にも改行だけで済ませ、ひたすら文字を連ねていくのに、情景は細かく写実的で妙に没頭して読み進めた。

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    2026年07月22日
  • 時の家

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    ある家屋を舞台に、その家を作ったり、そこで生活をしたり、学習塾を開いたりした、住人たちそれぞれの生き様が描かれている
    穏やかな文章だが、登場人物達の心理を巧みに描いている
    さすが芥川賞を受賞した作品だと感じた

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    2026年07月13日
  • 時の家

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    家に関わった人達の記憶が唐突に切り替わりながら語られる
    それが不思議な空気感を作ってる
    改行少なめで読みにくいかと思ったけど
    読むうちに心地よくなった

    家への愛着も湧いてきて
    その家が最後を迎えるのが
    なんか寂しかった

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    2026年07月05日
  • 時の家

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    籐巻の大黒柱や漆喰壁などおもてに見えるものから梁や躯体など直接は目に触れないところ。さらにそれらの経年による味わいだったり、細かについた無数の傷だったり。青年の描く写実的なスケッチを通して、そこにある温度や湿気、匂いまでもが丁寧に描写されていて、まるでその場に自分もいるかのような没入感があった。

    この家に住んでいた三代の住人たち。亡き妻を想いながら設計し自身の住処とした薮さん。震災で最愛の友人を亡くしても、実感が湧かないまま17年を過ごし、現在はひとりで塾を営む緑さん。両親の熟年離婚に照らして、夫との気持ちのすれ違いと2人のこれからが不安になる圭さん。家は時の幹。そこから伸びる枝葉は彼らの毎

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    2026年06月29日