鳥山まことのレビュー一覧

  • 時の家

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    ネタバレ

    住まい手がなく取り壊しを待つ家。
    その家もかつては住まい手があった。
    薮さん、圭さん、緑の歴代3人の住まい手たちの日常を見てきた家。それぞれの思いが詰まった家。
    薮さんは「意匠」を大事にし、自分の心に向き合うつもりで、細部にまで思い入れを持ち、この家を建てた。薮さん亡き後も、薮さんと懇意だった不動産屋が住まい手を選ぶほど、思い入れの強い家だった。
    緑は夫と距離を感じている専業主婦。この家で塾を開き、第二の人生を始める。圭さんは、夫とすれ違いを感じながらも、別れないための理由を探していたがいつしかしこりもなくなり、夫の転勤のため引っ越すことになる。

    最期は住まい手がなくなり、取り壊しになる家。

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    2026年02月03日
  • 時の家

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    P31
    人生の全体像を真面目に想像したことなどなかったが 1/3以上の時間を表示した時点でこんなに 無彩色で だらりとしたものになるとは思っていなかった。結婚でもしていれば子供でもできていれば違った色の時間を過ごしていたのだろうか。 一昔前なら誰かに急かされて誰かと結婚して家族を持ったりしていたのだろうか。 恋人を作らなくても子供を作らなくてもある程度 理解ある人に囲まれてしまった 今の自分は誰に咎められるでもなく 肯定をされるでもないが否定もされずに多様性社会に散らばっている 余白の穴にすっぽりとはまってしまったようだった。 はまってしまったことも否定されずにはしごのない 余白の穴の中で自分

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    2026年02月08日
  • 時の家

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    設定を理解するのに時間がかかり、最初は入り込めないかと思ったが、後半からどんどん引き込まれた。最後のシーンで思わずあっと口を開けた。建築という初めてのジャンルだったが、丁寧な描写に興味が湧いた。籐巻きの柱がわからなかったので、検索したら物凄く綺麗だけど物凄く手間がかかってて驚きだった。

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    2026年02月01日
  • 時の家

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    本を読んでいる最中の感覚としてこの上ないものをもたらしてくれる小説だった
    冒頭一文目から情景に惹き付けられ、その後は文体や、回想から現実(?)への滑らかな繋ぎなどに堪らない心地良さを覚えながら読むことができた
    記憶は不確かではあれど、不正確なものではない

    取り壊しが目前に迫っている家を見て、青年は家を描き残しておこうと思い立つ
    籐の巻かれた柱や白い漆喰の壁を写していくうちに、家に残る熱や湿気から「思い出される」過去の住人の記憶
    震災で亡くした友人、塾の教え子、離婚した両親に思いを馳せた先には何があるのか
    「家っていうのは時の幹やから」

    非常に感動した
    目が覚めるようなオチの強さを期待するの

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    2026年01月28日
  • 時の家

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    解体予定の家に忍び込み、時の流れを遡るかのように室内をスケッチする青年。この家の施主だった薮さん、この家で塾を開いた緑さん、そして圭さん脩さん夫婦の3代に渡る住人の記憶があたかもこの小説を一戸の家として建築するかのように緻密に構成されて描かれる。傑作です。

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    2026年01月26日
  • 駅と旅

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    ネタバレ

    「そこに、私はいなかった。」が胸が張り裂けそうなくらい青春だった。
    「東京駅、残すべし」もファンタジー要素があって好きだった。
    遠くに行きたくなる短編集。

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    2025年06月21日
  • 時の家

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    改行が、あって2回程度のページが延々と続く、現代の読み物ではあまり見かけない余白の少なさに面食らう。こんなにも美しい景色を、このぎちぎち文字配置でみせるなんて勿体無いと感じる。
    視覚的描写のきめ細やかさに対し、人物は簡素で温度を感じられないほど。その熱量の違い、ちぐはぐ感は、第一印象として興味深かった。

    薮さん、緑、圭さん、青年。彼らを見つめ「こちら」と言うおぬしはだれだ感と、文字びっしりの中で時間軸がころころ変わる流れに、序盤はだいぶ困惑した。圭さんと脩さんが登場したあたりからだんだんと読みやすくなるものの、どこから目線なのか、なぜこんなにも淡々としているのか、それに気づくのはまだ先。情報

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    2026年02月07日
  • 駅と旅

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    どれもお初な作家さんで、楽しめた!こういうオムニバス作品て作風も違うから、気分も変えられて、楽しいよね。
    国内から海外まで幅広く。情景を思い描きながら読むのが、楽しいよね。自分でドラマ化してる気分。

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    2026年02月01日
  • 時の家

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    時間の流れを静かに感じる本だった。

    1つの家を中心に、そこに関わった人たち、この家を建てた建築家、その後の住人の歴史を紡ぐ内容。何か大きなイベントがあるわけでもなく、淡々と流れていた日常に震災や離婚を絡めて人々の心情を描き出す。

    丁寧な内容の一冊でした。

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    2026年01月26日
  • 時の家

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    これは!建築の世界とその「建築物としての家」の中に住んだ人々の物語が、作家鳥山まことさんの建築の知識と巧みな文章によって綺麗に交互に編み込まれたような作品!
    それを読者の私が「浴びる」体験でした!

    この本の直後に直木賞受賞作を読んだのですが、やはりとても良い意味で「人を楽しませよう」とエンタメ要素が強い文学作品の直木賞とは違って、芥川賞は作家の表現したいものを「浴びる」ものだと改めて感じました!

    歴史的な建築物を学ばないといけない時期が学生時代にあったのですが、その時から建築について考えたり、理解したりするのが苦手だったので、今回の本でも細かい家の作りとかの描写は正直完全に理解していな

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    2026年01月21日
  • 時の家

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    その家にはかつてその家を建てた設計士が、次に数学を自宅で教えていた女性が、最後に子どものいない夫婦が住んでいた。
    やがて、売物件となり取り壊されることとなった家にかつて設計士を知っていた青年が忍び込み家の中を細部まで丹念にスケッチをしていく。。
    スケッチする度に立ち上がるはかつて人がそこに居た情景。。

    容赦ない時の流れの中、消えゆく運命の家は人の一生にも似ていて、シームレスに行き来するそこに住んでいた人々の記憶の断片は家が記憶を辿ってるようでもあった。

    芥川賞受賞作品。選ばれたからと言うこともないけどその発表記者会見での著者のお話を聞いて是非読んでみたいと思った。

    著者もその奥さまも建築

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    2026年01月21日
  • 時の家

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    第174回芥川賞受賞、第47回野間文芸新人賞受賞作、ということで早速、手に取る。
    著者は建築士だそうだ。

    読み進め、読み終えると「時の家」というタイトルが腑に落ちるようだった。
    家が建つところから解体されるまで、その家に住んでいた、訪れた四人の人間の記憶、意識が、まるでその家が語り手であるかのように描かれている。
    木造の平屋の家。漆喰の壁や籐を巻いた柱。今はもうこのような家は珍しいのではあるまいか。
    思わず祖父母の家や、自分の実家を思い出して懐かしい思いがした。
    密度の高い詰まった文体と、四人の人間の記憶がスムーズに入れ替わって行く手法は、時間感覚を上手く忘れさせ、思い出させる。

    専門的な

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    2026年01月19日
  • 時の家

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    「家っていうのは時の幹やから」という言葉が重くのしかかる。
    ひとつの家にまつわる叙事詩。家から見た、家を取り巻く人々の定点観測。それを外側の視点で描いた小説。
    これは物語ではなく小説と呼ぶのがふさわしいと思う。

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    2025年12月11日
  • 時の家

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    芥川賞候補に選ばれて欲しいと思ったくらい面白かった。
    時間と共に変化していく人々の感情や記憶、考え方。それらの変化は悩みの種になり得るが、大きなプラスにもなる。一つの家に刻まれたいくつかの歴史の中でも、皆に平等に与えられた時間の使い方に対して後悔が多くあった。それならば苦しい選択となるが、自分自身を見つめ直さなければならない。時間による変化は残酷で避けられないけど、後悔しながら向き合いたい。

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    2025年11月24日
  • 時の家

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    面白かった!
    最初にくどいほどに描かれる建物の描写にしんどさを感じたけど、終わってみれば必要だった。
    ある家の中をスケッチする男、家を作った建築家、別時期に家に住んだ女と夫婦、それぞれの視点が入り混じりながら、家と人が紡いできたものを見せてくれる
    住んでいた女と夫婦は「家」として住んでいたけど、同じ凹みを触ってそれぞれの事情に思い悩み、その空間に住んでいた
    家は全部知っている、と感情的になるわけではないけど、そこで人が生活していた、その湿度や温度を積み重ねて存在する家と時間の移ろいが丁寧に描かれていた

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    2025年10月19日
  • 駅と旅

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    松崎有理さん目当てでしたが、他の方々の作品の駅・旅・旅人のどれもひかれるところがあり、思わぬ出会いがありました。
    旅モノの作品集として楽しめ、今度はここに行ってみようと旅ガイドになるのと同時に、こんな面白い作品を書いている作者の他の作品はどんなのだろう?と新しい作家と作品への旅立たせてくれる、そんな1冊です。

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    2025年04月16日
  • 時の家

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    ネタバレ

    同業界の方が芥川賞を受賞ということで、拝読。冒頭から仕事でよく目にする語彙が並んでいたので資料を読んでいる気持ちになりつつ、三世帯&青年と家との関係性が混ざりつつ丁寧に描かれていて愛を感じた。思っていたより建築色が強い小説だった。
    なぜ木造住宅の話なのに表紙はコンクリートなんだろうと疑問に思っていたが、最後まで読んで納得した。
    登場する女性に関して、夫を家で待つとか夫の仕事に影響を受けるという描写が多いことか気になった。
    あと青年が家買い取れば?と思ってしまった。

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    2026年02月06日
  • 時の家

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    一軒家に住まう三代の人びとの人生が、当時の時間を遡るように、静かに語られていく。
    家を設計した藪さんと、その建築に関わった人々。海外赴任から一人帰国し、家で数学塾を開く女性。両親の離婚を経験し、自身もまた夫との微妙な距離を抱えながら暮らす女性。
    それぞれの時間は断片として現れ、家という空間を媒介に、幾層にも重ね合わされていく。

    藪さんの「家っていうのは時の幹」という言葉のとおり、家のさまざまな場所に刻まれた記憶は、時を経て三代分が交差する瞬間を生み出す。過去は遠ざかるものではなく、静かに積層していくものなのだと感じさせられ、読み進めるうちにノスタルジックな感情が胸に残った。

    すでに実家を出

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    2026年01月25日
  • 時の家

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    語り手は家?
    家が語る住人たちの歴史たち。
    様々な想いを持ってこの家にやってきた
    住人たち。
    取り壊しが決まった今だから語られる物語。
    建築士でもある著者だからこそ創れる、ストーリーだと実感しました。
    家に携わる人に読んでほしい。


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    2026年01月18日
  • 時の家

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    一つの家に住んだ歴代の住人たちのお話。歴代それぞれの住人が主体になって話が進んでいくが、その話の区切りは特になく、全てが繋がるようにスムーズに流れていく。大事な人を亡くしたり出会いがあったり、たくさんのエピソードを家がそっと包んで見ていてくれる。壁の傷一つとってもそこに何か歴史がある。
    日本では新築の方が価値があるとされるが、いろんな人に受け継がれて歴史をつないでいく家もいいなと思う。

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    2026年01月16日