鳥山まことのレビュー一覧

  • 時の家

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    衝撃的。
    最近いい小説にたくさん出会っているけど、この小説ほど心の琴線に触れたものはない。
    超おすすめ。
    特に生きる意味とか考えちゃう30代40代の方!

    物語としての起伏がほとんどないうえに、最初に詳しすぎるやろ!というレベルの家の細かい描写から始まるのでとっつきにくい感じがするけど、がんばって読み進めてほしい。

    家の物語。
    空き家となり取り壊される家に、かつて縁があった青年が忍び込みスケッチをする。
    スケッチするたびに四十年前、三十年前、二十年前に住んだ人の記憶がテクストに流れこむ。

    青年は家に住んだ人々のことを知らない。
    住んだ人々もお互いのことを知らない。
    だけど家の記憶を通して、

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    2026年08月04日
  • 時の家

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    異常なまでの建築描写に息を呑む。
    徹底した写実的描写に特化した作風が、最後のシーンを効果的に演出している。建築家ならではの視点、観察力、描写力、そして、構成力。脱帽。

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    2026年07月28日
  • 時の家

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    冒頭の熱を受けて家が膨張していく様子の書き込みは建築家ならではの解像度。そこに立つ家が見えてくるようだった。
    『このままの密度でいくつもりなのか…』と心配になったが、結局最後までその詰まり具合で書き切った感じだった。
    脳内では、勝手に吉村順三→中村好文さんの系譜を想像しながら読んだ。

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    2026年07月08日
  • 時の家

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    結構良かったけどな、お家って見えない歴史があるよね。誰かが、大切に作った家でも、古くなったら壊されて更地にされてしまう切なさ

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    2026年06月29日
  • 時の家

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    家はそこで過ごした人々の記憶が積み重なってそこにあるということを、丁寧な描写で伝えてくれる一冊。シームレスに人物が入れ替わる展開も、記憶の積み重なりを感じて心地よく、いつまでも読んでいたいと思える素敵な読書体験でした。
    この家のサイズは四間四方とあり、検索すると、縦横の長さが約7.27メートルの正方形で面積に換算すると約16坪(約52.9平方メートル)、32畳分の広さに相当とのこと。圭さん夫婦がこの家を広く感じるか、狭く感じるかで行き違う場面がありますが、このコンパクトさでどのような空間が生まれていたのか、藪さんの設計を(特に大黒柱のあるLDKを)想像しながら読むのも楽しめました。

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    2026年06月06日
  • 時の家

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    全体的に静かなお話に感じられました。個人的に静謐な雰囲気が好きな上、純文学といえどそれほど難しいわけではなかったのでとても楽しく読めました。絵が得意ではないので絵に描いて記録するってことを普段しないけど、そういう記憶の仕方もいいな、やってみたいなと思います。

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    2026年05月31日
  • 時の家

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    だれもいない家をスケッチすることで、そこにかつてあったものについて思い巡らす。不在ってなんだろう。居ることといないこと。
    夫婦、親子、家族の関係、生死を扱っているが、生々しさから距離を取り、終始穏やかな空気が流れている。時間の流れの救い(残酷さを見せながらも)を感じて馥郁とした気持ちになる。
    静かな筆致がめちゃくちゃ心地よかった。

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    2026年05月17日
  • 駅と旅

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    ネタバレ

    「そこに、私はいなかった。」が胸が張り裂けそうなくらい青春だった。
    「東京駅、残すべし」もファンタジー要素があって好きだった。
    遠くに行きたくなる短編集。

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    2025年06月21日
  • 駅と旅

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    東京駅、残すべしか異質で前から順番に読んでいたため何の話や?と頭がこんがらがった。他の作家さんのお話は読みやすくて青春だったり人間関係のアレやこれやが共感できる内容だった。特に最後の鳥山まことさんはほんとの旅行記かな?と思うほど具体的で言葉の流れが綺麗で締めにふさわしかった。

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    2026年08月09日
  • 時の家

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    「更地にした方が売りやすい」と取り壊しすることになった住宅街の中の空き家は、35才の青年にとって小学生の頃慣れ親しんだ隣人の家だった。
    隣人は引退した建築家で、人の手の温もりを大切にする丁寧な設計で職人達から慕われてきた。最後の仕事として自分自身のための平家を設計し、退職後はそこでスケッチをする日々を送っていた。青年は鍵っ子だった子ども時代、彼に誘われて共に絵を描く午後を過ごしていた。
    その家は建築家が亡くなると、海外赴任の夫のいる主婦が開く学習塾の場となる。さらに子どものいない夫婦のものへと代替わりし、時を紡ぐ。
    誰もがこの家の「心が馴染む感覚」を愛しみ、彼らの生活の背景には家があった。

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    2026年08月02日
  • 時の家

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    文章がきれい
    独特な間で登場人物の視点が変わっていく
    人生の最期と家の最期
    家っていうのは時の幹
    ねじれ
    手紙という詩

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    2026年07月24日
  • 時の家

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    独特の感性と建築を知る者の視点が新鮮で、段落なんて気にしないかのように改行が少なく、会話も少なく、薮さん、緑さん、圭さんへの往来にも改行だけで済ませ、ひたすら文字を連ねていくのに、情景は細かく写実的で妙に没頭して読み進めた。

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    2026年07月22日
  • 時の家

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    ある家屋を舞台に、その家を作ったり、そこで生活をしたり、学習塾を開いたりした、住人たちそれぞれの生き様が描かれている
    穏やかな文章だが、登場人物達の心理を巧みに描いている
    さすが芥川賞を受賞した作品だと感じた

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    2026年07月13日
  • 時の家

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    家に関わった人達の記憶が唐突に切り替わりながら語られる
    それが不思議な空気感を作ってる
    改行少なめで読みにくいかと思ったけど
    読むうちに心地よくなった

    家への愛着も湧いてきて
    その家が最後を迎えるのが
    なんか寂しかった

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    2026年07月05日
  • 時の家

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    籐巻の大黒柱や漆喰壁などおもてに見えるものから梁や躯体など直接は目に触れないところ。さらにそれらの経年による味わいだったり、細かについた無数の傷だったり。青年の描く写実的なスケッチを通して、そこにある温度や湿気、匂いまでもが丁寧に描写されていて、まるでその場に自分もいるかのような没入感があった。

    この家に住んでいた三代の住人たち。亡き妻を想いながら設計し自身の住処とした薮さん。震災で最愛の友人を亡くしても、実感が湧かないまま17年を過ごし、現在はひとりで塾を営む緑さん。両親の熟年離婚に照らして、夫との気持ちのすれ違いと2人のこれからが不安になる圭さん。家は時の幹。そこから伸びる枝葉は彼らの毎

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    2026年06月29日
  • 時の家

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    そうだよな、芥川賞ってこういう感じのやつだった。自分は最近ポップなものばかり読んでいたかも…と思ってしまった。
    例えば家についての造形を伝える時、動画や画像の方が隅々まで詳細を手っ取り早く伝えられるのに、それを長々と文字で情景描写するなんて…と序盤は読んでいて思った。ただそれだとやっぱりこぼれ落ちてしまうものがあって、場面をとめて文字で語らないと家にまつわる人々のあれこれは伝えられないかもしれない、とも思った。
    大きく何かが起こるわけではないけれど、登場する人達はみな深い優しさみたいなものをたたえているような気がして、そんな雰囲気が最初から最後まで流れていて、本当になぜだか分からないけど涙腺に

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    2026年06月22日
  • 時の家

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    取り壊しの決まった、寂れた町の一軒家。そこに忍び込む一人の青年。彼はスケッチブックを取り出し、デッサンを始める。彼が鉛筆を動かしてゆくと、その家のあらゆるところから、そこに住んだ人たちの記憶があふれ出し、描かれてゆく。
    家の記憶なのか、彼の見た風家なのか、人の人生と家の人生を重ね合わせながら物語は進む。

    エンタメではありませんが、面白い読書体験ができました。

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    2026年06月05日
  • 時の家

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    第174回芥川賞受賞、そして第47回野間文芸新人賞受賞作品

    「売物件」の看板が掲げられた一軒の平屋。その家の壁や傷や柱を前に青年と三代の人たちが何を思っていたのか。それぞれの人が交わることはないのだけれど、それぞれの思いをしっかりと受け止めたような気がしました。

    まるで家自体が生きているかのように感じた小説でした。家自体の木も石も漆喰も金属も温度や湿度で変化していくことを初めて実感できました。それと同時に、かつてそこに住んでいた三代の人たちのことが書かれていました。なかでも、その家を建てた最初の住人の藪さんの並々ならぬ思いを感じることができました。

    家を建てようと思い、逡巡し、形になって

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    2026年05月30日
  • 時の家

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    ネタバレ

    藪さんが自分のために設計した家がある。その家は賃貸となり、それぞれは無関係な人たちの人生を受け止める家となる。人生というかもっと普遍的な時間を受け止めると言っていいかもしれない。過去の住人の青年は売家となったその家で壁からタイルなどあらゆる物をデッサンする。その描写は時の流れを描きながらもその瞬間の時を止めたようにも思える。家や庭の景色があまり変わらないが、住人は変わる。家の時間と人の時間は交わらないような感じだ。もし交わるとすれば、家が取り壊される時なのかもしれない。

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    2026年05月18日
  • 時の家

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    芥川賞&野間文芸新人賞のダブル受賞作。
    芥川賞は何が良いのかよくわからない、と感じることが多く、村上龍「限りなく透明に近いブルー」、高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」くらいだったが、これは素晴らしかった。

    筆者が建築士ということもあり、冒頭の建物が日に当たる描写からすでに美しすぎる。

    いつまでも売れない古い戸建てに侵入し、絵を描く青年。その家が建てられてから住んでいった3人とその家族や関わった人々の想いが、青年が目にし、触れ、嗅ぎ、感じるものとともに蘇っていく。

    会話が極端に少なく(ほとんどなく)、地の文がひたすら続く。純文学は文章自体を楽しむというのはこういうことか

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    2026年05月13日