北杜夫のレビュー一覧

  • 木精―或る青年期と追想の物語―

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    【本書より】ぼくの気質は年と共により内閉的に狷介に、一見人間嫌いといったふうになってゆくことだろう。おそらく自己嫌悪に満ちた、いかがわしくふみ迷える人生を送ることになるかもしれない。にもかかわらず、片側の意識で、ぼくは生涯、人間を愛し、人生を愛してゆくことができるだろう。倫子、それがぼくに君が与えてくれたもの、これからも追憶のなかでずっと与えつづけてくれるはずのものなのだ。君は幼少期からぼくを魅し、恍惚とさせた草や虫たち、或いはひそかな愛慕を寄せた少年や少女の結晶であり綜合であり、その化身なのだから。

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    2009年10月04日
  • マンボウ 遺言状

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    エッセイ。なんていうか、独特な人。っていうか、病んでる。文豪斎藤茂吉の息子にして医者であり、躁鬱病を抱える患者でもある。躁鬱病に振り回される日常が中心にあって大抵の題の内容が「早く死にたい」「僕はヘンテコなのだ」「早く死にたい」という奇人ぷり。こんなに死にたい死にたい連発してるのに中身は馬鹿げたことばっかり。奥さんの気持ちがよく分かる。儲けたお金を全部つぎ込んで株で大損して家で腰痛と歯痛に痛い痛いと喚き、かと思ったら躁状態でお前なんか家に帰れと罵られたり。「人は痛みで死にません」とか言いたくもなる。娘さんも素敵。「パパは駄馬だから安楽死もさせてもらえない」と言ったり。うお。それでも、躁鬱を繰り

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    2009年10月07日
  • どくとるマンボウ昆虫記

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    虫に関する思い出や伝説や空想を自然の観察を織りまぜて語り、美醜さまざまの虫と人間が同居する地球の豊かさを味わえるエッセイ。

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    2009年10月04日
  • さびしい王様

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    役にも立たない帝王学だけ教え込まれて育ち、恋も政治も知らぬ幼児のような王様ストンコロリーン28世。オッパイを見ては、「あ、オレンジ!」などと呟いていたおく手な彼が、私腹を肥やす悪辣な総理大臣への反感からおこった革命の渦中で、すこしずつ人間の喜怒哀楽に目ざめ、純真な恋を感じ始める…。

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    2009年10月07日
  • マンボウ 遺言状

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    「どくとるマンボウ」こと、北杜夫のエッセイ。

    北杜夫が躁鬱病であることは有名な事實である。
    どうやら1990年代はかなりの鬱状態にあつたやうだ。
    しかし、突然1999年〜2000年にかけて、躁状態がやつて來たらしい。

    この作品は2001年3月に刊行されてゐるが、どうやら躁状態から鬱に戻るあたりで出來上がつたやうだ。

    さて、疑問がある。
    それは、文體である。
    北杜夫の文體ではないやうに、私には思へるのだ。
    もしかすると、口述筆記したものに北が手を加へたのかもしれない。

    「(略)といふわけで、僕の遺言として、思ひ出話やら、ヘンテコな話やら、あれこれ、お話ししやうと思ひます。」
    と序文には書

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    2009年10月04日
  • 母の影

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    北杜夫のお母樣、即ち齋藤茂吉の妻、齋藤輝子は大昔から惡妻の譽れ高き女性である。
    北杜夫がそのお母樣の想ひ出を中心に綴つた、自傳的な作品。

    茂吉への尊敬の念と、その惡妻である自分の母親への愛情とが、輕いタッチでありながら、しみじみと傳はつてくる。

    さういへば私が中學、高校生の頃、「痛快婆さま」としてTVなどにもでていたなあ。
    お年をかなり召されてから、日本人女性として初めて南極にいつたのではなかつたつけ?
    同じ年をとるなら、こんなふうにとりたいものである。

    2003年5月7日讀了

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    2009年10月04日