上村裕香のレビュー一覧

  • ほくほくおいも党

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    ネタバレ

    各章の主人公が活動家2世、という構成なのかと思いきやそういうわけでもない。でもそういう外した章(東北のこととか)こそ好きだったり。むしろどちらかというと、千秋と正、そして健二の家族とその周りの群像劇と捉えればいいかもしれない。

    帯にある「お父さんに家族との対話を要求します!」という言葉がいつ出てくるのかと読み進めていったが、結局最後まで出てこなかったのは少し残念だった。この言葉が「ほくほくおいも党」のエネルギッシュな活動ぶりを事前に想像させたがために、千秋たち家族の話に収めていく「畳み方」が意外に思えたのかもしれない。ただ、作り物っぽくない、いいラストだったと思う。

    書籍は初めて読んだけど

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    2025年07月22日
  • 救われてんじゃねえよ

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    妻の介護は娘に丸投げ、何もしない身勝手な父親に腹が立つ
    ヤングケアラーってことのようだ
    もしかしたら、この小説のような事が身近な所にもある事例かもしれない
    唯一この小説で救われるのは主人公が自分から自立の道を選んだことだ
    親を振り切り独り立ちしていくことを決めた勇気に拍手を送りたい

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    2025年07月16日
  • 救われてんじゃねえよ

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    ネタバレ

    宇佐見りんさんの「かか」を思い出しました。
    ヤングケアラーって成人するともうそう呼ばないんですかね?本書で大学生になった主人公が「もうヤングケアラーじゃないんで」のようなことを言っていて「え、そうなの?」と不勉強な自分はそんなところに引っかかり。自分から見ると20代だって十分ヤングですし、こんな親の人生背負うには重すぎる年頃と思えるんですが。
    まぁそれはさておき。

    この親はひどい。けどこんな親たくさんいるんだろうな。けど捨ててしまえないというのも親だから、家族だから、というのも分かる。
    そして何故だか一生懸命ケアしてしまう助けに行ってしまうのも家族だから。そういう絡め取られるような関係性から

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    2025年06月30日
  • 救われてんじゃねえよ

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    難病を患った母、パチンコ好きで介護しない父、高校生ヤングケアラーとなった沙智。

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    p72
    でも、結局それじゃ、制度の話しかできない。『いま介護をしている子ども』にスポットライトを当てられない。

    p120
    「わたし、『見てるよ』っていいたいかもしれません」
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    この辺がこの小説のハイライト。すぐには当事者に届かない、響かない。でも「自分」が存在していることにケアラー自身に気づいてもらいたいという気持ちを読み取った。
    外側(他者)から「あなた」自身が見えているよのメッセージを伝えることがいつかの救いになるかもしれない。

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    2025年10月27日
  • 救われてんじゃねえよ

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    難病の母の介護をする高校生の沙智。介護も家事も全く手伝ってくれない父と三人で八畳一間のアパートで暮らす。
    いわゆるヤングケアラーの沙智。
    狭い家の中での三人の暮らしの様子を読んでいて、さすがに17歳の沙智には辛いだろうと思われることばかり。
    本書は短編集なのですが、表題の『救われてんじゃねえよ』が高校生時代、『泣いてんじゃねえよ』が大学生時代、『縋ってんじゃねえよ』が社会人時代の物語になっています。高校生時代の話があまりに悲惨で、読んでいてこちらも沙智の両親を恨んでしまいたくなるほど。
    でも、大学生時代と社会人時代の話は読んでいて笑ってしまうことが多く、なんだかコントを見ているかのような気持ち

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    2025年10月26日
  • 救われてんじゃねえよ

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    家族という呪縛から
    どうしても逃れられない苛立ち、悔しさ
    憤り、苦しさ、もどかしさ…
    そんな感情が激しく渦巻いていた。
    それでも
    「救われてんじゃねえよ」と言えてしまえる
    覚悟と逞しさに
    不幸のどん底にいるはずの女子高生が
    どこか、少し幸せそうにも見えてしまった。
    家族というものの
    あたたかさを知っているからこその
    辛さなのかな。

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    2025年10月18日
  • ほくほくおいも党

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    活動家二世やここ数年問題になっている宗教二世と呼ばれる立場の人たちの生きづらさが、実際問題として親と対話することですべて解決する訳ではないけれど、だからってそれを理由に言葉を奥に抱えたままでは分かることと分からないことが二人の間にあることも分からないし、何よりしないことで分かることが見つかることは無い。どちらかの要求だけを相手に飲ませるような半ば暴力の為ではなく、ちょうど中間の地点に日向を一緒につくり合う為に言葉が使われる世界であって欲しいと私は思う。

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    2025年10月13日
  • 救われてんじゃねえよ

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    ヤングケアラーの話し
    テンポよくグイグイ読んだ
    狭いワンルームの部屋で親子3人が暮らす様子が目に浮かんで、匂いやユニットバスの汚れとか想像できて絶望的になった
    でも父も母も現状をただただ維持するだけで、私が娘だったら逃げ出したいけど、やっぱり主人公と同じように、誰かがやらなきゃならない、自分しかいないってなりそう、なんでお金ない人って入ってきたらいらんもの買うんかなーー

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    2025年10月12日
  • 救われてんじゃねえよ

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    第21回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作。
    ヤングケアラーとか、毒親とか、共依存とか、テーマとしては確かにこの作品のなかに存在するのだけど、その言葉同士の間にあるものが描かれていたのかな、と思う。家族って、どんなにひどくても見捨てられないものだよね、とかそういう単純な言葉ではあらわせない何か。
    私は親の目線で読んでしまうから、出てくる親に対して、怒りに似た感情しか湧いてこないけど、読む人の目線によって、それは変わるのかも。
    何にせよ、「不幸」とか、「かわいそう」とか、そういうありきたりな言葉ではくくれない話だった。

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    2025年10月03日
  • ほくほくおいも党

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    かわいい表紙でうっかり読んでしまったけれどしんどい話だった。宗教.活動家二世の苦悩。本人の自己責任でどうにかなる問題ではない『親ガチャ失敗SSランク』。夫婦が離婚出来る様に、親子関係も子どもから切れる様に法改正してあげてほしい。

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    2025年10月03日
  • ほくほくおいも党

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    表紙からほっこり系かと思ったら、がっつり重たいお話でした。政党員に限らず、自分は絶対正しい!って人の横にいるのは疲れるけど、それが親となると大変だな。活動家二世の苦悩について知ることができました。

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    2025年09月30日
  • 救われてんじゃねえよ

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    コロナ禍以降、50代の要介護認定者が急速に増えていると現場で感じている。

    50代だと、子どもはまだ高校生くらいか小学生のこともある。
    仕事柄、そんなヤングケアラー達を垣間見る日々だけれど、彼女達がどんな想いを抱きながら親の介護をしているのかは計り知れない。

    そんなヤングケアラー達の日常は、本書に書かれているように笑いでなんとかやり過ごすしかないのだろう。

    私も医療従事者としての訪問先で、便を踏んでしまったり、突然のゴキブリの襲来に使い古しのオムツで退治など、笑い飛ばすしかない状況の毎日。

    私達医療従事者は、仕事が終われば看護介護から解放されるけれど、家族はそうはいかない。

    あなたの人

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    2025年09月21日
  • 救われてんじゃねえよ

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    ネタバレ

    最初の受賞作は刺激的で救いがなくて、でも後の二作は主人公が親と距離を取り結末も明るくなる。読後感はいいけど、物語で救われちゃってるよなぁ、とも思う。脳梗塞にまでなったお母さんがどうやってやってけてるのかあまりに書かれていない。

    救われてんじゃねえよ
    難病の母と高二でヤングケアラーの私、母の障害年金を散財する父。貧乏で、同じ部屋で両親はセックスをする。
    母の薬が効き始めてでもしんどいアピールする今の方がしんどいと言うわたし、脳腫瘍になって私のせいじゃないと喜ぶ母、人という字になれない母娘、あたりがしんどいしよい。
    文章は大衆小説向きで上手いわけではなかった。

    泣いてんじゃねえよ
    東京の大学4

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    2025年09月12日
  • 救われてんじゃねえよ

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    ヤングケアラーという言葉に当てはまる当事者は本当はそんな定義づけなんて要らない。定義づけられることで心が晴れる人も入れば逆にモヤモヤする人もいる。きっとそれはどんなことに対してもだろうなと考えてしまう本だった。上手く言葉に出来ないけど、当事者がモヤモヤするのに定義づけしたいのはなんでなんだろう、、他にもっとすることあるのでは??無限に考えてしまいました笑

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    2025年09月10日
  • 救われてんじゃねえよ

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    作者自身が元ヤングケアラーだったのでは?というほど生々しい表現が多くて読むのが結構大変でした。
    でも本当のヤングケアラーの方々の苦労はこんなものでは無いんだろうなと思うし、そういう意味ではこれは当然ですがノンフィクションではなく「小説」なんだなと。
    詳しくは省きますが両親のあのシーンは無くても良かった。。。キツイ

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    2025年09月08日
  • 救われてんじゃねえよ

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    強烈パンチをくらったような。どうしようもない両親とヤングケアラーの娘。やぶれかぶれなような、といって主人公は両親を捨て切る事もできず、もう開き直って笑うしかないような。そんな感じの話でした。

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    2025年09月07日
  • ほくほくおいも党

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    政治に邁進する父親とその二世の娘、息子のすれ違いのような日常にもどかしさや切なさを感じた。有権者ばかりを見るのではなく、身内の苦悩を知ってほしい。そして家族同士で対話したいという切実な要求はもっともな事だし、目の前の弱者とは誰なのか、娘、息子のSOSは読んでいてハッとさせられた。政治的なトピックスも散りばめられていて作家さんの観察力が素晴らしいと思った。

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    2025年09月02日
  • ほくほくおいも党

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    よい小説だった。ただ左派であることのリアリティが最終的には親子関係の再構築においてあまり重要ではなくなってしまい、物足りなさはある。いわゆる中立的な知識人もあまり出てこない。でも若者にとっての政治とは?という入口としてこのままのほうがみずみずしいとは思う。うーん。

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    2025年08月18日
  • 救われてんじゃねえよ

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    書店で目について購入。親の世話をしているけど、笑いに希望を見出す。共依存になりかけるけど、ダメ親父の意外な一言を受けて、自立する。世間の求める姿や真っ当さとは違うけど、自分らしさ、自分の家族らしさを肯定して生きていく主人公を描いた作品でした。

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    2025年08月10日
  • 救われてんじゃねえよ

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    第21回女による女のためのR-18文学賞大賞受賞作。

    難病の母を介護しながら、金遣いの荒い父の面倒を見、修学旅行にすら行けないがそれでも高校に通う沙智。障害年金は出るのか、薬で母の症状は治るのか、彼女がふつうに暮らせる日が来るのか。

    ヤングケアラーの現実です。目を背けたくなるような日々。これだけ難のある両親を持ちながら、なかなか捨てることができない、なぜなら親だから。読んでて苦しくなる一品。

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    2025年07月18日