上村裕香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
個人的には文のテンポも各章との連なりも面白くサクサク読めました。本のタイトルと中身のギャップも感じながら楽しめる作品です。
「活動家2世」の高校生を中心に、同じく両親が革新政党に所属していた2世、3世、ボランティアで革新政党に出会った大学生など、一見重苦しく思えるテーマですが、タイトルの通り「ほくほく」温かな面も沢山ある「家族と青春の小説」です。
作品の中で出てくる事件は実際にここ数年で起こったものをオマージュしているのだと思い、妙にリアリティを感じられました。登場人物の考え方や主義信条、生きてきた人生がバラエティ豊かなので、どんな主義信条を持っていても楽しめると思います。 -
Posted by ブクログ
ヤングケアラーの実体験をベースに書かれた小説。
決して誇張してる訳じゃなく、もっとドロドロしたものを文章に昇華してるんだと思う。
それなのに読んでいると苦しい。
そうか、生々しいんだ。
がっつり向き合って、取っ組み合いしてるんだ。
小綺麗にまとまってないから、逆に生に溢れていて、それが表面を取り繕って毎日をやり過ごす私とは真逆で、何か大事なことを突きつけられてる気になる。
自分が大人で、彼女は子供で、けど、どっちが大人だろう。
世の中にはこんな事例が他にもあるだろう。
子供を産んだから、育てているから、だから、子供は親の言いなり?
子供を縛り付け自由を奪ってもいい?
無力感、偽善、いろんな感情 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各章の主人公が活動家2世、という構成なのかと思いきやそういうわけでもない。でもそういう外した章(東北のこととか)こそ好きだったり。むしろどちらかというと、千秋と正、そして健二の家族とその周りの群像劇と捉えればいいかもしれない。
帯にある「お父さんに家族との対話を要求します!」という言葉がいつ出てくるのかと読み進めていったが、結局最後まで出てこなかったのは少し残念だった。この言葉が「ほくほくおいも党」のエネルギッシュな活動ぶりを事前に想像させたがために、千秋たち家族の話に収めていく「畳み方」が意外に思えたのかもしれない。ただ、作り物っぽくない、いいラストだったと思う。
書籍は初めて読んだけど -
Posted by ブクログ
難病の母の介護をする高校生の沙智。介護も家事も全く手伝ってくれない父と三人で八畳一間のアパートで暮らす。
いわゆるヤングケアラーの沙智。
狭い家の中での三人の暮らしの様子を読んでいて、さすがに17歳の沙智には辛いだろうと思われることばかり。
本書は短編集なのですが、表題の『救われてんじゃねえよ』が高校生時代、『泣いてんじゃねえよ』が大学生時代、『縋ってんじゃねえよ』が社会人時代の物語になっています。高校生時代の話があまりに悲惨で、読んでいてこちらも沙智の両親を恨んでしまいたくなるほど。
でも、大学生時代と社会人時代の話は読んでいて笑ってしまうことが多く、なんだかコントを見ているかのような気持ち -
Posted by ブクログ
コロナ禍以降、50代の要介護認定者が急速に増えていると現場で感じている。
50代だと、子どもはまだ高校生くらいか小学生のこともある。
仕事柄、そんなヤングケアラー達を垣間見る日々だけれど、彼女達がどんな想いを抱きながら親の介護をしているのかは計り知れない。
そんなヤングケアラー達の日常は、本書に書かれているように笑いでなんとかやり過ごすしかないのだろう。
私も医療従事者としての訪問先で、便を踏んでしまったり、突然のゴキブリの襲来に使い古しのオムツで退治など、笑い飛ばすしかない状況の毎日。
私達医療従事者は、仕事が終われば看護介護から解放されるけれど、家族はそうはいかない。
あなたの人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初の受賞作は刺激的で救いがなくて、でも後の二作は主人公が親と距離を取り結末も明るくなる。読後感はいいけど、物語で救われちゃってるよなぁ、とも思う。脳梗塞にまでなったお母さんがどうやってやってけてるのかあまりに書かれていない。
救われてんじゃねえよ
難病の母と高二でヤングケアラーの私、母の障害年金を散財する父。貧乏で、同じ部屋で両親はセックスをする。
母の薬が効き始めてでもしんどいアピールする今の方がしんどいと言うわたし、脳腫瘍になって私のせいじゃないと喜ぶ母、人という字になれない母娘、あたりがしんどいしよい。
文章は大衆小説向きで上手いわけではなかった。
泣いてんじゃねえよ
東京の大学4