【感想・ネタバレ】ほくほくおいも党のレビュー

あらすじ

お父さんに家族との対話を要求します!

高校三年生の千秋は、父と兄との三人暮らし。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて六年。兄は父の出馬をきっかけにいじめられ、引きこもりになった。母は同じころ家を出た。政治と政党に没頭し話の噛み合わない父だが、千秋は対話をしたいと願う。
すれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークルに集う「活動家二世」たち、震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年、高校の生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮ることで新たな視点を得る高校生──それぞれの姿を家族の物語とともに描く全六話。

わたし選挙権の話なんてしてないじゃん。話聞いてよ──「千秋と選挙」
母の言葉とわたしの言葉はちがうのに、わたしは母の言葉を借りてしまう──「佐和子とうそつき」
どっちもそのひとで、どっちも親子の本当じゃん──「和樹とファインダー」
ボランティアって素晴らしいと思ってん──「康太郎と雨」
親父は結局、子どものことなんて考えてないんです──「健二とインターネット」
話すことを諦めたら、わたしはお父さんを憎んで、憎んで憎んで、死んでほしいと思っちゃうかもしれない──「千秋と投票日」

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

二世あるあるとひきこもるお兄さんと。終わり方が明るいんだかそうじゃないんだか。
親が、信念からくる概念を広げる仕事の職業規範が生活にまで侵入してくる職に邁進していること、ととらえると宗教者も政党政治も教育も共通点があるのかもしれない。その割に教育者の話って出てこないよなあ。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

●政治について考えたい方、必見の今オススメの1冊●

表紙を見る限り、「読書の秋?」いや、「食欲の秋」もいいな〜!と思って手に取った。
読み始めると、まさかのテーマは政治と家族をテーマにした物語で、想像とは異なり、ちょっとビックリした!

絶えない活動家2世たち。
「活動家2世」という言葉は、あまり聞かないが、「宗教2世」に似たようなものだと本作を読んだ限りは思った。

主人公の千秋自身、共政党に入党したかったわけでもない。
(やはり、これはまさに親ガチャ失敗というのか…。
そんなことで、日々、父親にコンプレックスを抱えて生きていた。)

「共政党」の支持者ははなかなかいないこともあり、共政党員の家族や2世たちは、生きづらさを感じているケースが多い。

「ほくほくおいも党」(自助サークル)は、千秋にとって同じような悩みを抱える者同士、会話ができる。
それは、彼女にとって、初めてで新鮮な経験だった。

自助サークルの存在を知って、このようなサークルは、生きづらさを軽減させるためには、かなり重要だと感じた。

今の日本のは、連立政権をどこと組むのかが話題になっている。
日本政治の概念として、リベラル、保守、左派、右派などがある。
そこで、どの政党が、どの派に所属しているのかを現在の政党を調べながら読んでみた。
(そうすると、いわゆる左派である「共政党」への理解が深まった気がした。)


ここまで、現実、上手くいくとも思えない。
しかし、流石、物語といえるだろう。
最終的に、千秋と父の念願だった対話が叶い、家族の愛を感じられたのはよかったなぁと思った。

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは刺さる人には刺さる本だなぁ。
そして私は刺さる人だったよ。

ちょっと違うけど、私も千秋と同じような立場で、いわゆる宗教二世(正確には三世)。
千秋や健二ほど放っておかれたわけではないけど、自分に選択の自由がなかった点や、いろんな会合に連れてかれたり、思想を学ばされた点ではかなり境遇は似ている

たしかに親は愛情をベースに自分の子どもを二世・三世にしてるのかもしれない。
でも私は絶対に反対。法に触れないかぎり、すべての選択権は本人にあるべき。
というか、父親も母親も千秋の言葉を受け入れてなかったでしょ。あれは対話じゃなくて意見のぶつけ合いだよね。

そして、健二は自分の言葉を持てていない。だから暴力に頼ろうとする。
早く自分の言葉を持って、言葉によって状況を打開できるようになったらいいなと思った。
そして一方で、健二がネットでアンチコメントを書いてる様子、心の動きがかなりリアルで、図らずも少し共感してしまった。よくないことだけど、ああするしかなかったんだろうなと思ってしまう。
だからこそ、やはり自分の言葉で主張するって大事なことなのよね。

途中の話(第二章、第三章)は位置付けがよくわからなかった。
和樹、康太郎など家族以外の人から見た父親を描いてるということなのかな?
千秋の父親みたいな人って、外面はいいからねーという健二が書くようなアンチコメントみたいな感想しか出てこない。
自分がけっこう捻じ曲がってるんだなという気づきに恐怖…。

あまりに共感できすぎて読むのちょっとしんどかったけど、あんまりこういう類の話は人とできないので、レアな読書体験でした!

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

タイトルからは想像できない話だった。
読み終えて、なんだか困ってしまって表紙を見た。主人公がおいもを手に持ち、険しい顔をしている。
あらためて見ると、内容によく合った絵だと思う。
現実と微妙に重なる世界でのけっこうな重いテーマ。でも、それをやわらげるような軽さがあった。
お兄ちゃんがチキンでよかった

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

個人的には文のテンポも各章との連なりも面白くサクサク読めました。本のタイトルと中身のギャップも感じながら楽しめる作品です。

「活動家2世」の高校生を中心に、同じく両親が革新政党に所属していた2世、3世、ボランティアで革新政党に出会った大学生など、一見重苦しく思えるテーマですが、タイトルの通り「ほくほく」温かな面も沢山ある「家族と青春の小説」です。

作品の中で出てくる事件は実際にここ数年で起こったものをオマージュしているのだと思い、妙にリアリティを感じられました。登場人物の考え方や主義信条、生きてきた人生がバラエティ豊かなので、どんな主義信条を持っていても楽しめると思います。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

各章の主人公が活動家2世、という構成なのかと思いきやそういうわけでもない。でもそういう外した章(東北のこととか)こそ好きだったり。むしろどちらかというと、千秋と正、そして健二の家族とその周りの群像劇と捉えればいいかもしれない。

帯にある「お父さんに家族との対話を要求します!」という言葉がいつ出てくるのかと読み進めていったが、結局最後まで出てこなかったのは少し残念だった。この言葉が「ほくほくおいも党」のエネルギッシュな活動ぶりを事前に想像させたがために、千秋たち家族の話に収めていく「畳み方」が意外に思えたのかもしれない。ただ、作り物っぽくない、いいラストだったと思う。

書籍は初めて読んだけど、著書の作品は以前、ウェブ連載で「水随方円」という作品を読んだことがあった。あれは大学の講義の何言ってるかよく分からない文言を再現する力に驚かされた作品だった。
今回もそういうところはロシア語のくだりなんかで香った一方で、物語の柱である父親・正の演説からはそのすごみをさほど感じなかった。これはあえて(つまり千秋自身が飲み込めてない言葉として)詳しく書くべきではないと筆致を抑えたのか、あるいは著者自身が左翼活動家の語る言葉をそこまで飲み込めていないのか、それとも読み手である僕らが(というより僕が)活動家の語る言葉に割と慣れているからなのか、少し気になった。
そういう「それぞれの持つ言葉」をテーマに持ってきたのは悪くなかった。著者はそういう表現が得意なのかもしれない。だとすると上の問いの答えは、僕が活動家の語る言葉に世間より慣れているから、なのかも。一般の、特に九州以外の人が読んだら「この人何言ってんの」感をより濃く感じるのかな。オスプレイ配備のこととか。

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

活動家二世やここ数年問題になっている宗教二世と呼ばれる立場の人たちの生きづらさが、実際問題として親と対話することですべて解決する訳ではないけれど、だからってそれを理由に言葉を奥に抱えたままでは分かることと分からないことが二人の間にあることも分からないし、何よりしないことで分かることが見つかることは無い。どちらかの要求だけを相手に飲ませるような半ば暴力の為ではなく、ちょうど中間の地点に日向を一緒につくり合う為に言葉が使われる世界であって欲しいと私は思う。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

かわいい表紙でうっかり読んでしまったけれどしんどい話だった。宗教.活動家二世の苦悩。本人の自己責任でどうにかなる問題ではない『親ガチャ失敗SSランク』。夫婦が離婚出来る様に、親子関係も子どもから切れる様に法改正してあげてほしい。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

表紙からほっこり系かと思ったら、がっつり重たいお話でした。政党員に限らず、自分は絶対正しい!って人の横にいるのは疲れるけど、それが親となると大変だな。活動家二世の苦悩について知ることができました。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

政治に邁進する父親とその二世の娘、息子のすれ違いのような日常にもどかしさや切なさを感じた。有権者ばかりを見るのではなく、身内の苦悩を知ってほしい。そして家族同士で対話したいという切実な要求はもっともな事だし、目の前の弱者とは誰なのか、娘、息子のSOSは読んでいてハッとさせられた。政治的なトピックスも散りばめられていて作家さんの観察力が素晴らしいと思った。

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2025年09月02日

Posted by ブクログ

よい小説だった。ただ左派であることのリアリティが最終的には親子関係の再構築においてあまり重要ではなくなってしまい、物足りなさはある。いわゆる中立的な知識人もあまり出てこない。でも若者にとっての政治とは?という入口としてこのままのほうがみずみずしいとは思う。うーん。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

可愛らしいタイトルにだまされた
なかなかヘビーな話だった

しかし好みと違ったので
書き留めたい感想を思いつかない

全話読んだから
星は3つ

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2025年07月14日

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