上村裕香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
難病の母を抱えながら高校生活と介護を両立する17歳の女子高生が主人公で、介護の限界や社会の無理解を突きつけられながら、「救われたい」と願うことすら許されないような苛立ちと、自分の人生を生きることへの葛藤を抱えつつ、それでも一歩踏み出していこうとする物語です。
笑いやユーモアを通じて苦しみを描くスタイルは独特で、重いテーマながらも読みやすさがありました。
笑っていいのか迷うような描写もありますが、それが逆にリアルで、そこにこそこの物語の“本音”があるように思いました。
「誰かを背負うこと」や「笑いに救われること」の意味を、改めて考えさせられる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
笑と言語学/ソシュール、真面目な男が色恋をきっかけに笑いの世界へと足を踏み入れる。
言語学の言葉の構造や作用を検証する眼差しを持つ耕助が、お笑い無知の状態から、様々なお笑いの形/生き様に触れる中で、自身のネタを介してブラッシュアップ/成長していく様は、新たな言語を習得していくようで、眩かった。
根源的な知らないから知りたい、知る喜びというものが根底にある耕助は、出会うべくして漫才と出会ったともいえる。
言語学=漫才(笑い)ではなく、現象として立ち現れる純粋な捉えどころのない「笑い」を光の粒で表現している箇所かま、詩的で素敵で印象的だった。
15年ほど前、大学時代を京都で過ごした身としては -
Posted by ブクログ
ネタバレ京大哲学科らしき耕助が芸大の百合子さんに恋をして漫才を志す。
ストリップもやってる小劇場とか大学の地下のバーとか、なんでこんなに解像度高いんだろう。あと参考文献にも出てくるお笑いの歴史がすごい。
漫才書くのも勇気いるだろうな。キャラの濃い師匠が出てくる感じ火花のユニーク版、それでオタク京大生の感じが森見登美彦さんぽくもある。
「一般言語学講義」フェルディナン・ド・ソシュール著、小林英夫訳(岩波書店)
「M-1はじめました」谷良一(東洋経済新報社)
「お笑い芸人の言語学テレビから読み解く「ことば」の空間」吉村 誠(ナカニシヤ出版)
「答え合わせ」石田明(マガジンハウス新書)
「芸人」永六輔(岩 -
Posted by ブクログ
勉強一筋で生きてきた言語学専攻の男子大学生が一目惚れした先輩と交わした約束(M-1で優勝したらキスしてあげる)の為にお笑いを分かろうと必死にもがく姿が眩しくてイタくてまさに青春だなぁと良い意味で見てられない思いを持ちながら読みました。デビュー作でヤングケアラーの、次作では政治活動家二世の生活の中にある類型から外された笑いを描いてきた作者にとって《社会化されたことばは個人の物語を救えない》という作中の一節が書く原動力になっているんだろうなと思いましたし、分からないものを分かろうと努力する主人公の姿には上村さんが自身を重ねている部分もあるように私には感じられました。
-
Posted by ブクログ
「女による女のためのR-18文学賞」大賞作品。これは読んでおかなくてはと意気込んで手に取ったが、あまりの薄さとテーマがヤングケアラー。苦手分野でこれは流し読みか挫折しちゃうかと温度低めで読み始めた。やはり序盤は介護の苦しい日常、毒親登場で予想通りの展開。ラストで出てきた小島よしおのあたりからなんだか空気が変わってきて。辛いだけではない日常に仄かな温かさや笑いが等身大で描かれていて、ラストまで丁寧に読むことができた。
綺麗事だけでは済まされない、生きていくことの過酷さとそれをやり過ごすことも必要だったり、自分を大切にすることの葛藤でたあったりと本当に色々と考えさせられ作品だった。こんなに薄い本な