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主人公の沙智は、難病の母を介護しながら高校に通う17歳。母の排泄介助をしていると言ったら、担任の先生におおげさなくらい同情された。「わたしは不幸自慢スカウターで言えば結構戦闘力高めなんだと思う」。そんな彼女を生かしたのは、くだらない奇跡だった。選考委員が大絶賛した「R-18文学賞」大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
1)救われてんじゃねえよ 深刻な家庭環境の酷さに苦しくなるが、ドライな文章で最後に笑わせてくれる。いや、これは笑わないとやってられないという状況を表しているのか。この著者只者ではないなと感じる。 2)泣いてんじゃねえよ ヤングケアラーという言葉ができる以前からケアラーであった主人公。親元を離れて暮...続きを読むらし始めたらもう“元”ヤングケアラーなのか? そんなことは全然なくて久々に実家に帰ったら依然として家族に頼られ依存され現役ケアラーである。しかし主人公が離れている間は両親だけで暮らしが成り立っていた痕跡は見える。就職活動を邪魔されたりまたいろいろ酷いがちょっとだけ光が見える、そんな章。 3)縋ってんじゃねえよ 誰かが見てくれている、本当はちゃんと見てくれている、それがほんのちょっと分かるだけで人は救われる。 最後近く、小銭を握りしめた感触が戻ってくるくだりがグッとくる。
ヤングケアラーの主人公。 母親の介護シーンがやたらリアルだった。 母親はもうどうしようもなくダメダメで、父親もけっこうな人。でも憎めないところもあるからむずかしい。 つらい時に「オッパッピー」で笑って、お母さんが笑いながらお漏らし。で、二人でゲラゲラ笑っちゃう場面が忘れられない。
ただひたすら辛かった ところどころ自分の境遇と似てる箇所があってなお辛い。 自分の親がひたすら自分に寄りかかってくるのは、周囲が思うよりも辛い。けどかといって周囲に可哀想とかそんな同情の目で見られるのも嫌い。だって、些細なことでみんなで笑ってくだらない時間こそ愛しかったりするから。 私の人生は私の...続きを読むものだってそんなの分かってる。けど、じゃあこの状況から救ってくれるのか。誰も救ってくれないじゃない。 でも、そんな私もいつかは大人になって、布団の中でひたすらに縮こまっていた自分を自分自身で救える時がくる。 絶望と幸福が波のように来るから、情緒乱されまくってた、面白い一冊でした。
確かに重たい内容ではあった。 介護とかヤングケアラーとか。 でも、所々笑えるし、救われてんじゃねえよというタイトルが、すごく合っていると感じた。 読んでよかった、とても面白かった、
しんどい。ヤングケアラーなんて単語で片付けていい問題じゃない。外から見ると異様な状態に慣れきってて抜け出したいと思ったり期待したりしないところも、感情が揺れるポイントがおかしいところも、両親に障害があって沙智にも続いてるのが明らかな描写の数々から主観に寄り添えないところも、読んでいて苦しかった。介護...続きを読むってやらないとわからないしうまくなんてやれないし間違って傷ついて傷つけられてばかりだし、でも読んでよかった。
難病の母の介護をしているヤングケアラーの物語。 8畳一間のアパートで家族3人で暮らす高校生の沙智は、母の排泄の世話をしている。 父は帰りも遅く、酒を飲んでいる日もありほとんど沙智だけが家事も母の介助もしている。 進学など先が見えない状態の高校時代が、「救われてんじゃねえよ」で、家を出て東京の大学...続きを読むに行っていたが、ことごとく母に就活の邪魔をされる日々が「泣いてんじゃねえよ」で社会人が「縋ってんじゃねえよ」である。 母の病気は一進一退のようであるが、なんとか希望の職についた沙智。 何度も母は沙智を頼るがそれだけ甘えているのだろう、恨み辛みを口に出さずにいるのが痛々しくもあるが、暴言を吐かずにいる家族にほっとできる部分もある。 そして母娘のやりとりにクスッとさせる笑いもあるのが救われる。
ニッポン放送ポッドキャスト 「中瀬ゆかりのブックソムリエ」 2025.5.15放送 これ体験談なの? あまりな状況で、疑問ばっかりわいてきて、誰が書いた?と検索。 上村裕香(かみむら・ゆたか) 2000年、佐賀市生まれ。京都芸術大学大学院在学中。「救われてんじゃねえよ」で第21回〈女による女の...続きを読むためのR‒18文学賞〉大賞受賞。 どうやら新人さんみたい。 noteも見つけた。近況や他の作家さんの作品を読んだ読書会の記事などあった。 とにかく、今回は辛かった。 けど、気になる作家さんになった。
頼れそで頼れない大人。 介護してるけど、それを当たり前のように思っている母親。 それを見守るだけのギャンブラーのおっさん(父親)。 自分の状況を発信して、ことを改善しようとしない主人公。 救われてんじゃねぇよ…はは。もう何も言えねえや。
ヤングケアラーの実体験をベースに書かれた小説。 決して誇張してる訳じゃなく、もっとドロドロしたものを文章に昇華してるんだと思う。 それなのに読んでいると苦しい。 そうか、生々しいんだ。 がっつり向き合って、取っ組み合いしてるんだ。 小綺麗にまとまってないから、逆に生に溢れていて、それが表面を取り繕っ...続きを読むて毎日をやり過ごす私とは真逆で、何か大事なことを突きつけられてる気になる。 自分が大人で、彼女は子供で、けど、どっちが大人だろう。 世の中にはこんな事例が他にもあるだろう。 子供を産んだから、育てているから、だから、子供は親の言いなり? 子供を縛り付け自由を奪ってもいい? 無力感、偽善、いろんな感情が込み上げてきて苦しい。 家族ってなんなんだ 動物の方がよっぽどましなのか たまたまある一定期間一緒に暮らしてる存在って腹をくくった方が楽じゃないか。 こんな風に思う私は何か欠落してるのか。 そんないろんな感情が混ざったまま読み進めたら、最後に救われたのは私かもと思った。 何も出来ず、ただこの小説を読むだけの私が、最後になんで救われてんだろ
概要だけ読んだら本屋大賞によくあるウケ要素つまみ食いのヤングケアラー作品かと思ったら、一章の地獄っぷりの解像度から「笑い」を通底させて、主人公がなぜそこまで母を支えてたかを描いてるあたり、思ったより骨がしっかりしている作品だった。こういう作品では無理解やら性加害やらで主人公の物語の障害になりがちな脇...続きを読む役の男性キャラだけど、それに当たる恭介と町屋が主人公を図らずも導いているのも良い。
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救われてんじゃねえよ
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