近藤一博のレビュー一覧
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「疲れたなー」「しんどいなー」。程度の差はあれど、日々の中でそうつぶやくことは多い。だが、本書『疲労とは何か』を読んで、私がこれまで漠然と捉えていた「疲労」という現象が、実は極めて精緻かつ科学的なメカニズムのもとに成り立っていることを学んだ。
著者・近藤一博氏は、うつ病の原因に関わるとされる遺伝子「SITH-1」を発見したウイルス学の第一人者である。彼は疲労を単なる「感じ方」ではなく、「身体機能の変化」として科学的に捉えることが可能になった歴史を紐解きながら、そのメカニズムに迫っていく。
特に興味深かったのは、「疲労感」と「疲労」は異なる、という点だ。前者はあくまで主観的な感覚であり、後者 -
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近藤先生の情熱大陸を見て、読んでみた。
疲労とは、脳の炎症!
ヘルペス発症の原理から、疲労度合いを測る!
ストレスとは、強い刺激、ストレッサーを受けた時に起きる抵抗反応のことを指す!日本人は、ストレッサーの事を「ストレス」と間違えて呼んでいる!
エナジードリンクが疲労感を減少させるのは、カフェインではない!(コーヒーの半分しか入ってない)。正体は、抗酸化成分。それも、肝臓の疲労感だけ低下させるが、心臓、脳、筋肉には効果がない。脳は肝臓の疲労感で「疲れてない」と判断してしまうため、、、体を休めるシグナルが出なくなってしまう!疲労が蓄積し、突然死するのも納得。
ハンセン病も、当初は遺伝だ -
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ネタバレ疲れるとヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)が唾液の中に増えることを利用して疲れを定量化できる!
TVの情熱大陸で興味を掻き立てられ近藤一博先生の本を手に取りました。
疲労、疲労感、うつ、新型コロナ後遺症、これらにはヒトヘルペスウイルスが関係していることを解き明かしていきます。
うつ病は生理的疲労(短期)が移行した病的疲労(長期)です。
うつ病発症の最大要因と思われる脳内炎症はHHV-6が発現させるSITH-1遺伝子が招くアセチルコリン不足によってコリン作動性抗炎症経路という脳内の消火機能が低下することで起こることが分かってきたようです。
なるほどなるほどと納得しながら読み進めているうちに何 -
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1. 疲労と炎症の関係
本書では、疲労の正体は「炎症性サイトカイン」にあると説明されている。
サイトカインは、血液脳関門というバリアをすり抜けて脳に影響を及ぼすため、身体の炎症が脳の疲労感につながる。
この視点は、単なる「休めば回復する」といった疲労のイメージを大きく覆すものだった。疲労が生理的な限界ではなく、免疫系が関わる現象であるという視点は新鮮であり、医学と心理の橋渡しになるように感じた。
2. 疲労の計測とウイルスとの関係
疲労を客観的に測定する方法として、唾液中のヒトヘルペスウイルス(HHV-6)の量を調べるというアプローチが紹介されていた。
疲労によってウイルスが活性化する -
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生理的疲労と病的疲労という2種類の疲労があり、後者は脳内炎症を伴うことが特徴とのことです。病的疲労の代表がうつ病であり、そのメカニズムは新型コロナウイルス後遺症と深い関連があることが述べられています。
結論から言えば、ウイルス由来の遺伝子SITH-1が発現して作られるタンパク質(うつ病の原因とされる)と、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に含まれるS1が、似たような経路で脳内炎症を起こすとのこと。
かなり分かりやすく解説されていますが、専門用語も多く、ある程度背景を知っていないとなかなか読むのに苦労しそうです。
エナジードリンク(というか抗酸化物質?)に頼って無理をすることが危険な理由や -
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ネタバレうつ病はセロトニンという「しあわせホルモン」が不足することによって起きる」「という「セロトニン原因説」と言われ、多くのうつ病患者に処方されているSSRIという抗うつ薬は、このセロトニンを増やす薬だ。しかし、今ではこの学説は間違っているとされている。というのは 抗うつ薬で治るうつ病患者は約半数。SSRI投与でも半分の患者は治らない。セロトニン治療がスタートした当時は、脳内物質の量を測ることは、技術的に不可能だったが、現在では可能で、うつ病患者の脳内にセロトニンが不足しているという証拠は出てこなかった。ただ、まだこの研究は道半ばで、もしかしするとエビデンスが出てくる可能性もある。
にもかかわらず -
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ウイルスへの感染がうつを引き起こす、
ということではなく、
うつになる原因のひとつにウイルスが関与している、という話のようだ。
うつ病のリスクファクターのひとつに、シス1というタンパクの発現がある。
統計的にも強く有意差がついているために、疑いようがない。
シス1を合成するヒトヘルペスウイルス6(hhv6)は、基本的にほとんどの人間に共存寄生していて、普段は何も問題ない。
宿主が強いストレスに晒されると、生存の危機を感じて増殖、唾液を介して宿主の外に出ようとする。
その際に鼻の奥の嗅球に感染、シス1タンパクを発現し、脳に炎症を引き起こし、うつ病に至る要因の一つとなる。
シス1タンパクの -
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疲労と疲労感は別物で、過労死が英語圏でもkaroshiと表されるほどの日本では疲労の研究が進んでいるのも納得できる。エナドリはあくまでも疲労感を低減するだけのもので、むしろ疲労そのものを感知するセンサーのスイッチを切っていようなもので、つまりは感覚を麻痺させているだけと気付いて空恐ろしくなる。オロCの味が好きで常に家に置いてあるけど、付き合い方を考えないといけないかもしれない。
ダーウィン「いかなる痛みも苦しみも、長く続くとうつ病を引き起こし、行動力を低下させる。しかし、うつ病は、巨大あるいは突然の悪からわれわれの身を守るための適応なのです。」
疲労を感じない身体になるのは無理だしむしろ弊害 -
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生理的疲労(運動や風邪など)と病的疲労(慢性疲労・うつ病・コロナ後遺症)の違いと、疲労と疲労感の違いが専門的な知識を含め詳しくかかれていた。
専門知識のない私は、マウス実験などの箇所は幾度か読み飛ばした。
ストレス社会で生きる私たちには自分を守るために必要な知識。
本書の後に【スマホ脳】を読んだ。本題の前にうつ病について触れられてあった。本書とつながりがあり、2冊同時に2周目を読むほどに興味深かった。
2周目はマウス実験の部分も興味を持てる部分は読めた。
より深く理解できた。
長期的なストレスと疲労からくる、心身の不調を見過ごさないように過ごし、早期に適切な対策を日々模索していこうと思う。 -
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疲労とは一種の脳内炎症とのこと。
うつ病の慢性的な疲労感が特徴的だとのこと。
さらに新型コロナの後遺症も炎症の一種とのこと。
これまであまり分子生物学的な解明がなされていなかった、自閉症や心身症などの精神疾患も、脳内物質によるものであることが解明されてくるのでは無いか。
うつ病の原因は、脳内で何らかの炎症が起きていることだ。脳内の炎症に伴って炎症性サイトカインが疲労感を発生させている。
うつ病は、疲労とヒトヘルペスウイルスから作られるタンパク質が原因で脳内炎症が起きることが原因。
疲労と脳内炎症とウイルスという組み合わせが今後の重要なキーワード。 -
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疲労は科学的に測定・理解することができ、疲労をため込まない生活習慣を取り入れ予防や対策をすることが必要と説く内容である。
疲労の測定方法にはスマートウォッチなどで測定するものが身近な例と挙げている。便利な時代になり、手軽に心身の状態をモニタリングすることは意識改善に繋がるだろう。
さて、疲労には種類があることが本著でわかりやすく説明している。健康な人にとっては一時的な運動などで回復や解消をしやすく、病を患っている人や後遺症がある人は慢性的な炎症が続き、一時的な運動などでは回復や解消はしないと示唆。
私たちができることは、健康的な人は生活習慣を意識しながら維持と年代毎に修正していくこと。病を患っ