近藤一博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んだ『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』(最上悠・著/永岡書店、2011年)という本がなかなかおもしろかったので、関連本かな?と思い手に取った。脳内の炎症がどのように起きるかというメカニズムを、疲労とウイルスとの関係から追っていく内容だとのことで、うむ、面白そうではないか。
仕組みの解説というだけでなく、研究のプロセスを研究者ご本人が語ってくれるところが醍醐味。一つの発見によって当初考えていた目的とは異なる視野がひらけたりする展開にワクワクした。「研究者の思考回路というのはこうなんだなあ」と感じられるのも楽しい。解明しても解明しても、まだ次の謎が控えている……探求は終わらない。
ちなみに本書の中では、病的疲労の一つである新型コロナ後遺症の治療薬として「ドネペジル」(これまで認知症の治療薬として使われてきた)の臨床治験が実施されているという記述があるが、ネットで調べてみたところ有意な結果は出なかったようだ。アセチルコリン不足を補うだけでは、脳内炎症はおさまらないということなのだろうか? メカニズムの解明と治療方法の間には、まだまだ越えなければならない大きな溝があるのだなあ。 -
Posted by ブクログ
疲労やうつの原因をウイルスを使って解明していく。
細かいところは難しかったけれど、科学者・研究者の頭の中をのぞき見したようで、面白かった。
現状の確かなもの、と、まだ確かでないものを切り分けて考えるって、難しそうだと思ったり。
疲労やうつの仕組みは分かってきたけれど、
「人類は疲労やうつとうまくつきあっていくしかない」というまとめが身に染みた。
以下メモ
・「疲労」のとらえ方
日本:頑張っている、疲労した相手をたたえあう
欧米:疲れたときは休んで、仕事の効率を上げようとする。疲れているのに無理に働いている人は自己管理のできないだらしない人
・疲労:疲労感の原因となる「体の障害や機能低下」
疲労感:疲れたという感覚
・疲労の種類
生理的疲労:短期的な疲労
病的疲労:何か月も続き、少々休んだだけでは回復しない疲労(うつ病、慢性疲労症候群)
病的疲労では、脳内炎症が起きている
・SITHー1
うつ病の原因遺伝子、と同時に不安の亢進作用もある。
不安が亢進することで、怒りと憎しみ、それと同時に強い力を得て生き残ってきた種族なのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうつ病はセロトニンという「しあわせホルモン」が不足することによって起きる」「という「セロトニン原因説」と言われ、多くのうつ病患者に処方されているSSRIという抗うつ薬は、このセロトニンを増やす薬だ。しかし、今ではこの学説は間違っているとされている。というのは 抗うつ薬で治るうつ病患者は約半数。SSRI投与でも半分の患者は治らない。セロトニン治療がスタートした当時は、脳内物質の量を測ることは、技術的に不可能だったが、現在では可能で、うつ病患者の脳内にセロトニンが不足しているという証拠は出てこなかった。ただ、まだこの研究は道半ばで、もしかしするとエビデンスが出てくる可能性もある。
にもかかわらずまだセロトニン投与が続いている。
というのは、SSRIは万人の気分を高揚させる働きがあり、うつ状態から気分をあげて引っ張り出す作用がある。うつ状態そのものに効く薬ではない。
かわりに登場した学説の一つが「神経炎症仮説」今研究中の学説。
①体内の異物に反応して免疫細胞が集まってくる。②免疫細胞はさらに仲間を増やすためメッセージ物質「炎症性サイトカイン」を作る(炎症状態)③サイトカインは脳内に入りグリア細胞に「炎症を起こせ」というメッセージを伝える。④グリア細胞が神経細胞に炎症を引き起こし、傷つけることでうつ病が発生する。
もう一つの学説が「ウィルス学説」
感染するウィルスではなく、人体の様々な部位に住んでいる30種類以上の共生ウィする。その中のヒトヘルペスウィルス6(HHV-6)が主役。帯状疱疹、ヘルペスのウィルスの一つで、脳内に住んでいる。このHHV-6があるたんぱく質を作っていることが代わり、ネズミに投与して実験するとうつ状態と興奮状態を繰り返した。このたんぱく質をSITH-1と命名した。①HHV-6の中のSITH-1遺伝子がSITH-1をつくる。②SITH-1が脳(嗅球)にアポトーシスを引き起こす。③脳内のストレス物質が増加する④鬱状態を引き起こす。
日頃はHHV-6はおとなしくしているが、宿主の身体に極度に披露が蓄積したり、強烈なストレスを受けたりすると、HHV-6は再活性化する。唾液に侵入し、口から体外に脱出しようとする。治療薬は動物実験段階の基礎研究はすでに成功している。 -
Posted by ブクログ
ウイルスへの感染がうつを引き起こす、
ということではなく、
うつになる原因のひとつにウイルスが関与している、という話のようだ。
うつ病のリスクファクターのひとつに、シス1というタンパクの発現がある。
統計的にも強く有意差がついているために、疑いようがない。
シス1を合成するヒトヘルペスウイルス6(hhv6)は、基本的にほとんどの人間に共存寄生していて、普段は何も問題ない。
宿主が強いストレスに晒されると、生存の危機を感じて増殖、唾液を介して宿主の外に出ようとする。
その際に鼻の奥の嗅球に感染、シス1タンパクを発現し、脳に炎症を引き起こし、うつ病に至る要因の一つとなる。
シス1タンパクの発現に対して、抗原も発現するため、抗体検査によってうつ病のリスク度合いを検査できる。
しかしまだ治療ができるわけではない。
嗅球への感染量が多いほどに、発症リスクは高い。ストレスに晒される頻度や強度が高いほど、感染量が増える。
結局はストレスコントロールして、疲労を溜めないようにすることが大事だ。