近藤一博のレビュー一覧
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私はうつで仕事を辞めたことがあるので「うつは脳への疲労の蓄積の結果として起こるのであって、その疲労の蓄積はウイルスによって左右される」という主張と解説によって、うつは気持ちの問題ではないのだ、ということに十分納得ができて気持ちの面でとても救われた。
科学的な説明が丁寧に展開されているため使われている言葉が難しくはあるが、論理展開はとても素直なので(化学、生物をあまりやってこなかったため)言葉の意味はきちんとは分からなかったものの、疲労のメカニズムをよく理解することができた。
病的疲労が生活を破壊することは明白なので、疲労とは何かを中学校の理科や保健体育などで噛み砕いて教えるようになって欲し -
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ネタバレ疲労とは何か?そういわれたら…
冒頭、疲労と疲労感の違いが説明されれる。その上で、それぞれ数値化できるか?という命題が示される。疲労感は、個人の感じ方によるので、1-10までのグレードで表すことはできるが、違う人で比べることはできない。そこに登場したのは、疲労物質の分泌があるか、どれくらいあるか、ということ。
それが突破口になり、疲労を感じるメカニズムが解き明かされる。それにはウイルスが大きな役割を果たす。うつ病は大きな社会問題になっているが、その症状の一つが疲労感。これだけ流布している病気で、しかも遺伝的な要因が大きいと見られているがうつ病に関連する遺伝子はいまだ未発見。それを埋め -
匿名
ネタバレ 購入済み疲労とストレスの本質とは
本書では、3種類のキャラクターの事例を交えながら疲労とストレスについて説明しています。内容は漫画で解説されているため非常に分かりやすいです。
本書で最も驚いた点は、疲労が定量的に計測できるということです。この本を読むことで、近藤一博先生の論文を読みたくなること間違いなしです。 -
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新型コロナの流行で病態解明が進んだ! うつ病の原因について、ウイルス研究者である近藤一博氏が、エビデンスを積み重ねて解明してきた経過を理論的に書かれており、非常にエキサイティングな一冊だった。
・疲労はeIF2αがリン酸化されて炎症性サイトカインを産生することで生じる。
・軽い運動はeIF2αの脱リン酸化を誘導し、生理的疲労を軽減する。
・疲れると潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化する
・うつ病の原因遺伝子は、SITH-1(シスワン)で、これはヘルペスウイルスの一つHHV-6Bが持っており、嗅球のアストロサイトに潜伏感染しているときに発現する。抗体保有者のリスクは12倍。
・SITH-1は -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前読んだ『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』(最上悠・著/永岡書店、2011年)という本がなかなかおもしろかった。本書では脳内の炎症がどのように起きるかというメカニズムを、疲労とウイルスとの関係から追っていく内容だとのことだったので、興味を感じて手にとってみた。
仕組みの解説というだけでなく、研究のプロセスを研究者ご本人が語ってくれる。一つの発見によって当初考えていた目的とは異なる視野がひらけたりする展開にワクワクした。「研究者の思考回路というのはこうなんだなあ」と感じられるところも楽しい。解明しても解明しても、まだ次の謎が控えている……探求は終わらない。
ちなみに本書の中では、病的疲 -
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疲労やうつの原因をウイルスを使って解明していく。
細かいところは難しかったけれど、科学者・研究者の頭の中をのぞき見したようで、面白かった。
現状の確かなもの、と、まだ確かでないものを切り分けて考えるって、難しそうだと思ったり。
疲労やうつの仕組みは分かってきたけれど、
「人類は疲労やうつとうまくつきあっていくしかない」というまとめが身に染みた。
以下メモ
・「疲労」のとらえ方
日本:頑張っている、疲労した相手をたたえあう
欧米:疲れたときは休んで、仕事の効率を上げようとする。疲れているのに無理に働いている人は自己管理のできないだらしない人
・疲労:疲労感の原因となる「体の障害や機能低