近藤一博のレビュー一覧
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疲労からうつ病、コロナ後遺症の原因までHHV-6(ヒトヘルペスウイルス)を中心に解説している。
納得感はあるものの、本当にそれだけが唯一の原因かー?と少し懐疑的にはなる。身体は複雑なシステムで動いているので。
とはいえ、アセチルコリン受容体の話などは睡眠系の書籍を読んでいても出てくることなので一定の説得力はある。
コロナ後遺症にドネペジルは効かなかったが、これはニコチンの禁断症状に似たものと推察される。S1によりアセチルコリンの産生、受容体が攻撃を受けていれば分解能を制限したところでもはや効果は無いだろう。むしろオメガ3系不飽和脂肪酸などの摂取が後遺症の回復に効果的というのも納得。一度壊れてしまったのだから建材のほうが身体には必要なのだ。 -
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私はうつで仕事を辞めたことがあるので「うつは脳への疲労の蓄積の結果として起こるのであって、その疲労の蓄積はウイルスによって左右される」という主張と解説によって、うつは気持ちの問題ではないのだ、ということに十分納得ができて気持ちの面でとても救われた。
科学的な説明が丁寧に展開されているため使われている言葉が難しくはあるが、論理展開はとても素直なので(化学、生物をあまりやってこなかったため)言葉の意味はきちんとは分からなかったものの、疲労のメカニズムをよく理解することができた。
病的疲労が生活を破壊することは明白なので、疲労とは何かを中学校の理科や保健体育などで噛み砕いて教えるようになって欲しい。
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匿名
ネタバレ 購入済み疲労とストレスの本質とは
本書では、3種類のキャラクターの事例を交えながら疲労とストレスについて説明しています。内容は漫画で解説されているため非常に分かりやすいです。
本書で最も驚いた点は、疲労が定量的に計測できるということです。この本を読むことで、近藤一博先生の論文を読みたくなること間違いなしです。 -
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新型コロナの流行で病態解明が進んだ! うつ病の原因について、ウイルス研究者である近藤一博氏が、エビデンスを積み重ねて解明してきた経過を理論的に書かれており、非常にエキサイティングな一冊だった。
・疲労はeIF2αがリン酸化されて炎症性サイトカインを産生することで生じる。
・軽い運動はeIF2αの脱リン酸化を誘導し、生理的疲労を軽減する。
・疲れると潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化する
・うつ病の原因遺伝子は、SITH-1(シスワン)で、これはヘルペスウイルスの一つHHV-6Bが持っており、嗅球のアストロサイトに潜伏感染しているときに発現する。抗体保有者のリスクは12倍。
・SITH-1はアストロサイトのアポトーシスを引き起こし、アセチルコリンの産生を低下させ、コリン作動性抗炎症経路が阻害される。
・コロナ感染では、SITH-1と似たスパイクタンパクS-1が、やはり嗅球に感染してアストロサイトを破壊し、後遺症を引き起こすと考えられている。感染症によるサイトカインで脳に炎症が起こる。
・うつ病の際はコロナと違って炎症の「火種」がないかと思われていたが、疲労によるeIF2αのリン酸化が起これば炎症性サイトカインが産生されるため、脳に炎症が起こりうる。
・GWAS等の遺伝子検査でうつ病を発症しやすい遺伝子は確認できないが、家族内で集積があることの謎は、SITH-1を発現するHHV-6Bの家族内感染が起こっていれば説明できる。 -
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ネタバレ・幼い頃からヘルペスと付き合ってきたのでまさかこんな形で詳細を知れるとは!確かに心体が明確に体が疲れた時に出現するんだよな。
・エナジードリンクの怖さを知った。疲れを感じぬまま消耗されていくなんて怖すぎる...。
・生理的疲労と病的疲労の違いは脳で炎症が起きてるかどうか。生理的疲労のうちに休むのが大事。
・SITH-1が産生し嗅球で細胞死が起きるとうつ状態を招く。となると、嗅覚が感情に及ぼす影響は意外と大きいのかも。
・新型コロナウイルスは脳内で炎症を起こすに上にHHV-6を再活性化させ、うつ病を招くSITH-1を発現させる。この悪循環でアセチルコリンが低下しコロナ後遺症が長引いてしまう。
・未だに「うつは甘え」って言う人がいるけど脳内で炎症が起きてるのに甘えなわけない。
・タバコがうつやコロナの予防・治療対策に効果的とは。豆知識。
難しいところもあったけど文系でもスイスイ読めた。ありがたい限り。常日頃から感じる「疲労」を紐解く1冊でした。 -
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過度な仕事や運動で肉体が疲弊するのが疲労の原因と漠然と考えがちだが、実際に起こる疲労感と疲労について最新の医学研究を元に解説した一冊。
・うつ病は病的疲労であり、主な症状の一つは疲労感であり、それは脳内炎症によって生じる
・HHV-6(ヘルペスウイルス)が宿主の嗅球のアストロサイトに潜伏感染した時に発現するSITH-1がうつ病を引き起こす
・ストレスと疲労によりSITH-1がうつ病を起こす
・うつ病が遺伝するように見えるのは、SITH-1を発現しやすいHHV-6ウイルスが親から子へ感染するためと考えられる
・新型コロナ後遺症もSITH-1の働きによる
・ニコチンには脳内炎症を抑える働きがあるが、世界的な禁煙の流れのため、論文発表できない
・疲労、疲労感をなくすことは危険である -
Posted by ブクログ
疲労と疲労感を日本では厳密に区別していることから始まり、「疲れた」という感覚が単なる気分ではなく、生体が発する警告システムであることが印象的だった。疲労感を抑えるアドレナリンや栄養ドリンクの仕組みも紹介されていたが、疲労そのものを消しているのではなく、体の声を聞こえなくしているだけという指摘は非常に納得感があった。スポーツ選手がレッドブルを飲むのも、短期的に限界を超えるための合理的な選択なのだろうと思った。
本書では、生理的疲労と病的疲労の違いを「脳内炎症」の有無で説明しており、継続的な疲労が病的疲労へ変化するという考え方が興味深かった。運動は健康に良いものというイメージが強かったが、過剰な運動が脳内炎症を引き起こし、うつ病の原因になりうるというのは意外だった。また、病的疲労が唾液中のHHV-6で客観的に確認できる可能性が示されていたのも印象的で、将来的に手軽に検査できるようになれば、うつ病や適応障害の早期発見につながるのではないかと感じた。
うつ病については、心因説・神経伝達物質説・炎症説の3つの考え方が紹介されていた。特に「脳内炎症」という発想は最初はイメージしにくかったが、死亡した患者の脳で炎症が確認されていることから、かなり説得力があるように思えた。一方で、病態は分かっていても原因は分からない病気が多いこと、腸内細菌とうつ病の関係のように相関と因果を安易に結びつけてはいけないことなど、科学的思考の難しさも学んだ。
また、HHV-6やSITH-1の研究を通じて、「人類は現代社会に適応するようには進化していない」という話が出てきたのも興味深かった。かつては短期的な危険に対応するために有利だった“不安”という機能が、現代の慢性的ストレス社会では過剰に働いてしまうという説明には納得感があった。さらに、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの生存競争を、不安やHHV-6と結びつけて説明する“空想科学”的な議論も面白い。不安を持ったホモ・サピエンスは仲間と集団を形成し、結果として生き残ったという仮説は、人類史を新しい角度から見せてくれた。
加えて、ニコチンの話も印象に残った。タバコは有害という前提が強すぎるあまり、ニコチンの有用性を科学的に検証しようとしない風潮があるという指摘には考えさせられた。科学は本来、「善悪」ではなく「何が起きているか」を中立的に探究するもののはずであり、ガリレオの地動説のように、現代でも社会的空気によって研究しにくいテーマが存在することを感じた。
最後に、聖書とHHV-6を結びつけながら、人類が“不安”を獲得した意味を説明していた部分も非常に印象的だった。科学と宗教を対立ではなく、人間理解のための補助線として扱っており、「疲労とは何か」という問いが、最終的には「人間とは何か」というテーマにまで広がっていく構成が見事だった。 -
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第一線で業績を挙げている研究者自身による研究成果の啓蒙書。面白くないわけがない。
思考プロセス、実験プロセスが丁寧に書かれているので、理路は追いやすく、明快である。
ただ、随所に論理の飛躍があり、理系の研究者特有の還元主義的な発想に抵抗を覚える。
たとえば、強引にSITH-1をうつ病の「原因」と断定してしまうのは勇み足であろう。
ほとんどのヒトにHHV-6は感染しているわけだから、SITH-1が高いことはうつ病の原因でもありうるが、うつ病の結果でもありうる。つまりうつ病そのものによるストレス反応性にeIF2αのリン酸化が生じ、その結果としてHHV-6の活性化が起きて、SITH-1が高くなるという経路も十分考えられる。SITH-1を発現させたマウスが活気を失うことを短絡的に「うつ状態」と言いきるのも問題である。
著者の結論が、疲労そのものやSITH-1、うつを、なくそうとすることは危険であるというのは、正しい。常識的に考えても、疲労は生体の安全装置であり、まさに神からの贈り物だからである。 -
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・面白いが難しい
・特に中盤はわからず流し読みしてた
・ただうつ病という症状からしか診断できなかったものが数値で診断できるかもという話や対症療法しかなかったうつ病の根本治療ができるかもという話は新鮮だった
・そもそもうつ病は気分の問題だと思ってたので脳内で炎症が起きているという物理的な症状があることすら知らなかったので勉強になった
・欧米だと疲れが良くないものという捉え方だから疲労の研究が進んでないという話も面白いのに、新型コロナの後遺症として疲労があったことで世界的に疲労の研究が進むようになったという話がさらに面白い
・とりあえず玉ねぎとりんごと鶏胸肉はたくさん食べようと思う