あらすじ
疲労することが恥とされてきた欧米では、疲労の研究はタブーとされ、結果として、日本が世界の疲労研究をリードしてきた。しかしいま、うつ病や新型コロナ後遺症によって、疲労は世界共通の大問題となってきた! どうすれば科学的なアプローチができるのかもわからなかった疲労研究において、疲労の度合いを正確に測定する方法などを開発して世界のトップランナーとなっている著者が、そもそも疲労とはなにか、ヒトはなぜ疲労するのか、疲労を起こすメカニズムはどのようなものかを説く、かつてなかった疲労を科学する本!
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Posted by ブクログ
私はうつで仕事を辞めたことがあるので「うつは脳への疲労の蓄積の結果として起こるのであって、その疲労の蓄積はウイルスによって左右される」という主張と解説によって、うつは気持ちの問題ではないのだ、ということに十分納得ができて気持ちの面でとても救われた。
科学的な説明が丁寧に展開されているため使われている言葉が難しくはあるが、論理展開はとても素直なので(化学、生物をあまりやってこなかったため)言葉の意味はきちんとは分からなかったものの、疲労のメカニズムをよく理解することができた。
病的疲労が生活を破壊することは明白なので、疲労とは何かを中学校の理科や保健体育などで噛み砕いて教えるようになって欲しい。
Posted by ブクログ
いやー面白い。
うつ病とコロナにこんな関係があるとは思いもよらなかったし、うつ病はあくまでも「病気」であることを再認識させられた。
健常者からの偏見は抑制されるべきことがよくわかる一冊。
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疲労と疲労感は違う。疲労は体の炎症で、疲労感は脳がその炎症をキャッチして、体を休ませるために、疲れたから休みたいと思わせること。
エナジードリンクは、疲れたから休みたいと思わせることを麻痺させるだけで、体の炎症は治まっていない。エナジードリンクの飲み過ぎで体調を壊すのは、脳からの休みたいという指令を遮断して、体の炎症が悪化してしまうから。
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疲労とは何か?そういわれたら…
冒頭、疲労と疲労感の違いが説明されれる。その上で、それぞれ数値化できるか?という命題が示される。疲労感は、個人の感じ方によるので、1-10までのグレードで表すことはできるが、違う人で比べることはできない。そこに登場したのは、疲労物質の分泌があるか、どれくらいあるか、ということ。
それが突破口になり、疲労を感じるメカニズムが解き明かされる。それにはウイルスが大きな役割を果たす。うつ病は大きな社会問題になっているが、その症状の一つが疲労感。これだけ流布している病気で、しかも遺伝的な要因が大きいと見られているがうつ病に関連する遺伝子はいまだ未発見。それを埋めるのがウイルスでは?という論証がなされる。これにより、家族間で疲労ウイルスを共通でもっていることで遺伝と同じような現象が起きるのでは?と発展していく。
このウイルス、ホモサピエンスが共通で感染することで、不安やそれを共感する気持ちが醸成されその結果、ネアンデルタール人を駆逐できたのでは?と結ぶ。
これが日本の新書の威力。これをアメリカで出版したらハードカバーで無駄に厚く、無駄に高い本になるはず。
Posted by ブクログ
先日、「情熱大陸」に出演されていて気になり手にしました。
「疲労感」と「疲労」の違いから「うつ病」の根本に迫る一冊。少し科学的なことにも言及されていますが分からなければ飛ばし飛ばし読んでも余りある一冊!
Posted by ブクログ
新型コロナの流行で病態解明が進んだ! うつ病の原因について、ウイルス研究者である近藤一博氏が、エビデンスを積み重ねて解明してきた経過を理論的に書かれており、非常にエキサイティングな一冊だった。
・疲労はeIF2αがリン酸化されて炎症性サイトカインを産生することで生じる。
・軽い運動はeIF2αの脱リン酸化を誘導し、生理的疲労を軽減する。
・疲れると潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化する
・うつ病の原因遺伝子は、SITH-1(シスワン)で、これはヘルペスウイルスの一つHHV-6Bが持っており、嗅球のアストロサイトに潜伏感染しているときに発現する。抗体保有者のリスクは12倍。
・SITH-1はアストロサイトのアポトーシスを引き起こし、アセチルコリンの産生を低下させ、コリン作動性抗炎症経路が阻害される。
・コロナ感染では、SITH-1と似たスパイクタンパクS-1が、やはり嗅球に感染してアストロサイトを破壊し、後遺症を引き起こすと考えられている。感染症によるサイトカインで脳に炎症が起こる。
・うつ病の際はコロナと違って炎症の「火種」がないかと思われていたが、疲労によるeIF2αのリン酸化が起これば炎症性サイトカインが産生されるため、脳に炎症が起こりうる。
・GWAS等の遺伝子検査でうつ病を発症しやすい遺伝子は確認できないが、家族内で集積があることの謎は、SITH-1を発現するHHV-6Bの家族内感染が起こっていれば説明できる。
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疲労と疲労感の違いがあるとは知らなかった。「疲れた」ってどんな状態?と思っていたけど、本書でとてもよく理解できた。疲労は重要な体からのアラートだけど、まだわかっていないことのほうが多い。現代社会はストレス社会(厳密にはストレッサーが過多でストレスが慢性化しやすい社会)なので、疲労とはいったい何なのか、どういう対処法が必要になのか、治療法はあるのか──判明すれば助かるのになぁと思った。
Posted by ブクログ
以前読んだ『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』(最上悠・著/永岡書店、2011年)という本がなかなかおもしろかった。本書では脳内の炎症がどのように起きるかというメカニズムを、疲労とウイルスとの関係から追っていく内容だとのことだったので、興味を感じて手にとってみた。
仕組みの解説というだけでなく、研究のプロセスを研究者ご本人が語ってくれる。一つの発見によって当初考えていた目的とは異なる視野がひらけたりする展開にワクワクした。「研究者の思考回路というのはこうなんだなあ」と感じられるところも楽しい。解明しても解明しても、まだ次の謎が控えている……探求は終わらない。
ちなみに本書の中では、病的疲労の一つである新型コロナ後遺症の治療薬として「ドネペジル」(これまで認知症の治療薬として使われてきた)の臨床治験が実施されているという記述があるが、ネットで調べてみたところ有意な結果は出なかったようだ。アセチルコリン不足を補うだけでは、脳内炎症はおさまらないということなのだろうか? メカニズムの解明と治療方法の間には、まだまだ越えなければならない大きな溝があるのだなあ。
Posted by ブクログ
疲労やうつの原因をウイルスを使って解明していく。
細かいところは難しかったけれど、科学者・研究者の頭の中をのぞき見したようで、面白かった。
現状の確かなもの、と、まだ確かでないものを切り分けて考えるって、難しそうだと思ったり。
疲労やうつの仕組みは分かってきたけれど、
「人類は疲労やうつとうまくつきあっていくしかない」というまとめが身に染みた。
以下メモ
・「疲労」のとらえ方
日本:頑張っている、疲労した相手をたたえあう
欧米:疲れたときは休んで、仕事の効率を上げようとする。疲れているのに無理に働いている人は自己管理のできないだらしない人
・疲労:疲労感の原因となる「体の障害や機能低下」
疲労感:疲れたという感覚
・疲労の種類
生理的疲労:短期的な疲労
病的疲労:何か月も続き、少々休んだだけでは回復しない疲労(うつ病、慢性疲労症候群)
病的疲労では、脳内炎症が起きている
・SITHー1
うつ病の原因遺伝子、と同時に不安の亢進作用もある。
不安が亢進することで、怒りと憎しみ、それと同時に強い力を得て生き残ってきた種族なのかも。
Posted by ブクログ
【星:4.0】
溜まった疲れがなかなか抜けない、ということがあるので手に取ってみた。
疲労と疲労感、生理的疲労と病的疲労の違いなど疲労についての根本、そして病的疲労、特に慢性的な疲労の原因は脳内炎症であるということを科学的かつ分かりやすく説明しており、疲労についての理解を深めることができた。
ただ、脳内炎症はどうやったら抑えられるのかというところの説明は薄く、慢性疲労からどうやって抜け出すかという知りたい部分は分からずじまいで終わってしまった。
慢性疲労の原因にかなり近づくことができたという著者の喜びがやや出過ぎという感じである。
Posted by ブクログ
シスというふざけた名前に著者の遊び心を感じる。それと素直にブルーバックスに著者になれる喜びを示すなんて、素直な方だ。私もブルーバックスが好きだが、そんなに沢山は、読んでいない。若い頃ワクワクしながら読みは、したが。
エナジードリンクの脳が疲れていないというサインが、疲労回復障害を起こすとは。
Posted by ブクログ
脳の炎症が起きることにより疲労やうつ症状が起きてしまう。仕組みを理解することで、疲労や憂鬱の原因が心ではなくウイルス起因だと知ることができて安心した。とてもためになる本でした。
Posted by ブクログ
「疲れたなー」「しんどいなー」。程度の差はあれど、日々の中でそうつぶやくことは多い。だが、本書『疲労とは何か』を読んで、私がこれまで漠然と捉えていた「疲労」という現象が、実は極めて精緻かつ科学的なメカニズムのもとに成り立っていることを学んだ。
著者・近藤一博氏は、うつ病の原因に関わるとされる遺伝子「SITH-1」を発見したウイルス学の第一人者である。彼は疲労を単なる「感じ方」ではなく、「身体機能の変化」として科学的に捉えることが可能になった歴史を紐解きながら、そのメカニズムに迫っていく。
特に興味深かったのは、「疲労感」と「疲労」は異なる、という点だ。前者はあくまで主観的な感覚であり、後者は身体内部で起きている生理学的な変化である。本書では、疲労に関わるメカニズムとして、HHV-6というウイルスの再活性化や、eIF2αのリン酸化が鍵を握っていることが丁寧に解説されている。
印象的だったのは、「疲れること自体が悪ではない」という視点だ。適度な疲労(運動やストレス応答)を経験することで、むしろ体は「疲労回復力」を高めていくという。これを著者は「健康な疲労」と呼び、私たちが日常生活の中で適切な負荷をかけることの意義を再確認させてくれる。
一方で、「病的疲労」──慢性疲労症候群やコロナ後遺症などの症状──は、生理的疲労とは全く異なるメカニズムで生じているという分析が、実に理論的に述べられている。ここにはウイルスの再活性化は見られず、むしろ脳神経系の異常や免疫機構の攪乱といった複雑な背景が関わっている。つまり「ただの疲れ」では済まされない状態であり、周囲の理解と医学的な支援が不可欠であることを痛感する。冒頭で提示される「過労死の原因の1位はうつ病による自殺」という衝撃的な事実が、ここでひとつの伏線として回収される。
ただし、遺伝子やウイルスの変異や反応に関する記述は(図があったとしても)かなり難解であり、素人に理解できる部分は限られていた。
本書を通じて私が得た最大の学びは、「疲労とは生体の防御反応である」ということだ。休息を促す疲労感は、自己の破綻を防ぐための警報装置といえる。そう考えれば、無視してはならないサインにもっと耳を傾ける必要があると強く感じた。
仕事や家庭において常に成果を求められる中で、私たちはつい「がんばり続けること」を美徳としがちだ。しかし、健全なパフォーマンスは、正しく疲れ、正しく回復するプロセスの上に成り立つ。疲労を科学するという試みは、自己管理のみならず、働く環境そのものを見直す契機となるだろう。
Posted by ブクログ
近藤先生の情熱大陸を見て、読んでみた。
疲労とは、脳の炎症!
ヘルペス発症の原理から、疲労度合いを測る!
ストレスとは、強い刺激、ストレッサーを受けた時に起きる抵抗反応のことを指す!日本人は、ストレッサーの事を「ストレス」と間違えて呼んでいる!
エナジードリンクが疲労感を減少させるのは、カフェインではない!(コーヒーの半分しか入ってない)。正体は、抗酸化成分。それも、肝臓の疲労感だけ低下させるが、心臓、脳、筋肉には効果がない。脳は肝臓の疲労感で「疲れてない」と判断してしまうため、、、体を休めるシグナルが出なくなってしまう!疲労が蓄積し、突然死するのも納得。
ハンセン病も、当初は遺伝だと言われていたが、実際は細菌感染だった。感染力が弱いので、家族にしかうつらなかっただけ!
ニコチンがうつ病に効く可能性が指摘されているが、タバコの害についての偏見が大きすぎて、研究が進まない!
Posted by ブクログ
疲れるとヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)が唾液の中に増えることを利用して疲れを定量化できる!
TVの情熱大陸で興味を掻き立てられ近藤一博先生の本を手に取りました。
疲労、疲労感、うつ、新型コロナ後遺症、これらにはヒトヘルペスウイルスが関係していることを解き明かしていきます。
うつ病は生理的疲労(短期)が移行した病的疲労(長期)です。
うつ病発症の最大要因と思われる脳内炎症はHHV-6が発現させるSITH-1遺伝子が招くアセチルコリン不足によってコリン作動性抗炎症経路という脳内の消火機能が低下することで起こることが分かってきたようです。
なるほどなるほどと納得しながら読み進めているうちに何の話だったっけと話の筋が分からなくなるのがたまにキズです。
研究が進んで新型コロナ後遺症やうつ病の患者がきちんとした治療が受けられ治るようになることを切に祈ります。
Posted by ブクログ
1. 疲労と炎症の関係
本書では、疲労の正体は「炎症性サイトカイン」にあると説明されている。
サイトカインは、血液脳関門というバリアをすり抜けて脳に影響を及ぼすため、身体の炎症が脳の疲労感につながる。
この視点は、単なる「休めば回復する」といった疲労のイメージを大きく覆すものだった。疲労が生理的な限界ではなく、免疫系が関わる現象であるという視点は新鮮であり、医学と心理の橋渡しになるように感じた。
2. 疲労の計測とウイルスとの関係
疲労を客観的に測定する方法として、唾液中のヒトヘルペスウイルス(HHV-6)の量を調べるというアプローチが紹介されていた。
疲労によってウイルスが活性化するという点は非常に興味深く、病的な疲労とウイルスの関係が今後の診断や治療のヒントになると感じた。
疲労の原因として「eIF2αのリン酸化によってHHV-6が活性化される」という仮説も提示されており、細胞レベルでの反応が疲労感につながるという点が印象的だった。
3. ストレスと疲労感の逆説的関係
ストレスがあるときに一時的に疲労感が抑制される仕組みについて、本書では「興奮性ホルモン」や「コルチゾール」などが関与していると説明されていた。
これは、野生動物が危機的状況でも行動できるように進化したメカニズムとされているが、現代人にとっては「疲労を無視して働き続けてしまう」という過労死のリスクにつながる。
疲労感と実際の疲労のズレが生む問題に、現代社会がどれだけ無防備かを痛感させられた。
4. 慢性疲労とウイルス
慢性疲労症候群(ME/CFS)の原因は明らかになっていないが、新型コロナウイルス後遺症との類似性が指摘されている。
原因が分かっている新型コロナの研究が、ME/CFSの解明にもつながる可能性があると知り、今後の進展に希望が持てた。
5. うつ病とウイルスの関係:SITH-1という仮説
うつ病の原因は脳の炎症だと考えられており、SITH-1というウイルス由来のタンパク質が関与している可能性があると紹介されていた。
遺伝性の要因が弱い(オッズ比が1.2未満)中で、SITH-1を産生するウイルスが家族間で感染することで、見かけ上「遺伝」に見えるという仮説は説得力があった。
実際にうつ病患者の約7割にSITH-1抗体が見られるというデータは、今後の研究の重要な足がかりになると思う。
6. S1タンパク質との共通点
新型コロナウイルスのS1タンパク質も脳内炎症を引き起こす可能性がある点が指摘されていた。
両者ともアセチルコリンの産生を抑制することで炎症性サイトカインの分解を妨げ、脳内の炎症を誘発するという共通点が興味深かった。
過労や感染症がうつ病の引き金になりうるメカニズムが、科学的に結びつけられていた。
7. 疲労の長期化と精神疾患へのリスク
過度の生理的疲労が持続すると、やがて病的疲労となり、うつ病につながる危険性があることが印象に残った。
ニコチンがうつ病を抑制する可能性についても触れられており、喫煙と気分の関係に一定の生理的根拠があるかもしれないと思わされた。
Posted by ブクログ
生理的疲労と病的疲労という2種類の疲労があり、後者は脳内炎症を伴うことが特徴とのことです。病的疲労の代表がうつ病であり、そのメカニズムは新型コロナウイルス後遺症と深い関連があることが述べられています。
結論から言えば、ウイルス由来の遺伝子SITH-1が発現して作られるタンパク質(うつ病の原因とされる)と、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に含まれるS1が、似たような経路で脳内炎症を起こすとのこと。
かなり分かりやすく解説されていますが、専門用語も多く、ある程度背景を知っていないとなかなか読むのに苦労しそうです。
エナジードリンク(というか抗酸化物質?)に頼って無理をすることが危険な理由や、軽い運動が本当に疲労を軽減させるメカニズムが書かれており、普段の生活の参考にしようと思いました。
まず生理的疲労の「疲労感」とは、体の各所で起こる炎症によって産生された炎症性サイトカインが(血液脳関門を通って)脳に届くことによって生じます。特に肝臓で産生される炎症性サイトカインが疲労感に影響しているとのことです。
一方で、疲労感の原因、すなわち実際の「疲労」は、eIF2αというタンパク質がリン酸化されることが発端です。労働・訓練などの負荷やストレスによってリン酸化酵素が誘導されると、結果的に炎症性サイトカイン産生やアポトーシスにつながっていきます。
ところで、我々の体にはHHV-6というヘルペスウイルスが潜んでおり、これもeIF2αのリン酸化によって再活性化し、唾液中に増加します。
このHHV-6が嗅球のアストロサイトに感染し、それが持つ遺伝子SITH-1(シスワン)が発現すると、細胞内のカルシウム濃度を増加させます。すると嗅球のアポトーシスが起こり、脳内でアセチルコリン産生が低下します。アセチルコリンが減ると抗炎症経路が効かなくなってしまいます。いわばブレーキを失った状態です。さらに、疲労によって産生された炎症性サイトカインが脳内に到達すると、炎症のブレーキが効かずに脳内炎症が発生します。
新型コロナウイルスのS1も同じで、嗅球のアポトーシスを引き起こしてアセチルコリン産生を低下させ、抗炎症経路が効かなくなったところに、コロナウイルス感染によって起きた肺での炎症に由来する炎症性サイトカインが供給され、脳内炎症が起こります。
コロナウイルスにかかると前述のHHV-6も再活性化するので、コロナウイルスがなくなった後も、HHV-6のSITH-1のせいで先ほどと同じメカニズムで後遺症として症状が長引くとされています。
いわばS1とSITH-1による脳内炎症のリレーです。
現在、新型コロナウイルス後遺症の治療薬として治験中のドネペジルが、抗うつ薬としても使えるのではないかと期待されています。
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疲労と疲労感は別物で、過労死が英語圏でもkaroshiと表されるほどの日本では疲労の研究が進んでいるのも納得できる。エナドリはあくまでも疲労感を低減するだけのもので、むしろ疲労そのものを感知するセンサーのスイッチを切っていようなもので、つまりは感覚を麻痺させているだけと気付いて空恐ろしくなる。オロCの味が好きで常に家に置いてあるけど、付き合い方を考えないといけないかもしれない。
ダーウィン「いかなる痛みも苦しみも、長く続くとうつ病を引き起こし、行動力を低下させる。しかし、うつ病は、巨大あるいは突然の悪からわれわれの身を守るための適応なのです。」
疲労を感じない身体になるのは無理だしむしろ弊害があって、疲労をきちんと感じた上で上手く付き合っていくしかない。
Posted by ブクログ
生理的疲労(運動や風邪など)と病的疲労(慢性疲労・うつ病・コロナ後遺症)の違いと、疲労と疲労感の違いが専門的な知識を含め詳しくかかれていた。
専門知識のない私は、マウス実験などの箇所は幾度か読み飛ばした。
ストレス社会で生きる私たちには自分を守るために必要な知識。
本書の後に【スマホ脳】を読んだ。本題の前にうつ病について触れられてあった。本書とつながりがあり、2冊同時に2周目を読むほどに興味深かった。
2周目はマウス実験の部分も興味を持てる部分は読めた。
より深く理解できた。
長期的なストレスと疲労からくる、心身の不調を見過ごさないように過ごし、早期に適切な対策を日々模索していこうと思う。
Posted by ブクログ
疲労とは一種の脳内炎症とのこと。
うつ病の慢性的な疲労感が特徴的だとのこと。
さらに新型コロナの後遺症も炎症の一種とのこと。
これまであまり分子生物学的な解明がなされていなかった、自閉症や心身症などの精神疾患も、脳内物質によるものであることが解明されてくるのでは無いか。
うつ病の原因は、脳内で何らかの炎症が起きていることだ。脳内の炎症に伴って炎症性サイトカインが疲労感を発生させている。
うつ病は、疲労とヒトヘルペスウイルスから作られるタンパク質が原因で脳内炎症が起きることが原因。
疲労と脳内炎症とウイルスという組み合わせが今後の重要なキーワード。
Posted by ブクログ
難しかった〜、、ですが、構造は少しわかった気がします。さすがのブルーバックス、実験の説明が細かい。。
特に印象的だったのは、うつ病の話ですね。
言われてみればうつ病って疲労か〜と思いながら読んでいるとだんだんと思ってもない方向に話が進んでいきます。
うつ病は疲労の量が大きいために起きている、というよりも、疲労に対してうつ病になりやすくなっているというという理解をしましたが、たしかにそうだよなと感じました。
これだけでそんなに疲れるの?ってことですよね。
良くないです。
Posted by ブクログ
疲労は科学的に測定・理解することができ、疲労をため込まない生活習慣を取り入れ予防や対策をすることが必要と説く内容である。
疲労の測定方法にはスマートウォッチなどで測定するものが身近な例と挙げている。便利な時代になり、手軽に心身の状態をモニタリングすることは意識改善に繋がるだろう。
さて、疲労には種類があることが本著でわかりやすく説明している。健康な人にとっては一時的な運動などで回復や解消をしやすく、病を患っている人や後遺症がある人は慢性的な炎症が続き、一時的な運動などでは回復や解消はしないと示唆。
私たちができることは、健康的な人は生活習慣を意識しながら維持と年代毎に修正していくこと。病を患っている人は疲労を回復を取り入れた生活習慣と治療が必要だろう。
疲労とはどのような形であれ、生きていれば必ず感じるものだ。この本は一つの疲労という理解につながる一冊といえる。
Posted by ブクログ
⚫︎疲労とは
疲れによる目眩で休んでいる時になんとなく気になった。分析の記述が多いので、それでどうしようという具体の記載は少ない。
中でも参考になったのは、
・疲れは少しの運動で回復する
・疲労は脳の炎症
・疲労感を抑えないようにするそれをためると鬱となる
・スポーツ選手は、過度の運動が原因でうつ病になりやすい
・ストレスがかかると疲労感が抑えられてしまう
また、面白かった説として、ニコチンがコロナ後遺症やうつを治すが偏見があって研究が進まないこと。ガリレオの地動説が受け入れられなかったことに例えており、その通りと思った。
さらに、ウィルスが人類の起源と関わり、それが原因の不安から恐れを生じ、憎しみ、攻撃性に発展、ネアンデルタール人、マンモスをを滅ぼす力となった。なるほどと思う。
疲労が出てくることによってもたらされることは多い。疲労とうまく付き合うこと。無くそうとはしないように。疲労が、何に影響するかを分析、展開していて大変参考になった。