【感想・ネタバレ】疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていたのレビュー

あらすじ

疲労することが恥とされてきた欧米では、疲労の研究はタブーとされ、結果として、日本が世界の疲労研究をリードしてきた。しかしいま、うつ病や新型コロナ後遺症によって、疲労は世界共通の大問題となってきた! どうすれば科学的なアプローチができるのかもわからなかった疲労研究において、疲労の度合いを正確に測定する方法などを開発して世界のトップランナーとなっている著者が、そもそも疲労とはなにか、ヒトはなぜ疲労するのか、疲労を起こすメカニズムはどのようなものかを説く、かつてなかった疲労を科学する本!

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Posted by ブクログ

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 疲労とは何か?そういわれたら…

 冒頭、疲労と疲労感の違いが説明されれる。その上で、それぞれ数値化できるか?という命題が示される。疲労感は、個人の感じ方によるので、1-10までのグレードで表すことはできるが、違う人で比べることはできない。そこに登場したのは、疲労物質の分泌があるか、どれくらいあるか、ということ。

 それが突破口になり、疲労を感じるメカニズムが解き明かされる。それにはウイルスが大きな役割を果たす。うつ病は大きな社会問題になっているが、その症状の一つが疲労感。これだけ流布している病気で、しかも遺伝的な要因が大きいと見られているがうつ病に関連する遺伝子はいまだ未発見。それを埋めるのがウイルスでは?という論証がなされる。これにより、家族間で疲労ウイルスを共通でもっていることで遺伝と同じような現象が起きるのでは?と発展していく。

 このウイルス、ホモサピエンスが共通で感染することで、不安やそれを共感する気持ちが醸成されその結果、ネアンデルタール人を駆逐できたのでは?と結ぶ。

 これが日本の新書の威力。これをアメリカで出版したらハードカバーで無駄に厚く、無駄に高い本になるはず。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

疲労と疲労感の違いがあるとは知らなかった。「疲れた」ってどんな状態?と思っていたけど、本書でとてもよく理解できた。疲労は重要な体からのアラートだけど、まだわかっていないことのほうが多い。現代社会はストレス社会(厳密にはストレッサーが過多でストレスが慢性化しやすい社会)なので、疲労とはいったい何なのか、どういう対処法が必要になのか、治療法はあるのか──判明すれば助かるのになぁと思った。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』(最上悠・著/永岡書店、2011年)という本がなかなかおもしろかった。本書では脳内の炎症がどのように起きるかというメカニズムを、疲労とウイルスとの関係から追っていく内容だとのことだったので、興味を感じて手にとってみた。

仕組みの解説というだけでなく、研究のプロセスを研究者ご本人が語ってくれる。一つの発見によって当初考えていた目的とは異なる視野がひらけたりする展開にワクワクした。「研究者の思考回路というのはこうなんだなあ」と感じられるところも楽しい。解明しても解明しても、まだ次の謎が控えている……探求は終わらない。

ちなみに本書の中では、病的疲労の一つである新型コロナ後遺症の治療薬として「ドネペジル」(これまで認知症の治療薬として使われてきた)の臨床治験が実施されているという記述があるが、ネットで調べてみたところ有意な結果は出なかったようだ。アセチルコリン不足を補うだけでは、脳内炎症はおさまらないということなのだろうか? メカニズムの解明と治療方法の間には、まだまだ越えなければならない大きな溝があるのだなあ。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

疲れるとヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)が唾液の中に増えることを利用して疲れを定量化できる!
TVの情熱大陸で興味を掻き立てられ近藤一博先生の本を手に取りました。
疲労、疲労感、うつ、新型コロナ後遺症、これらにはヒトヘルペスウイルスが関係していることを解き明かしていきます。
うつ病は生理的疲労(短期)が移行した病的疲労(長期)です。
うつ病発症の最大要因と思われる脳内炎症はHHV-6が発現させるSITH-1遺伝子が招くアセチルコリン不足によってコリン作動性抗炎症経路という脳内の消火機能が低下することで起こることが分かってきたようです。
なるほどなるほどと納得しながら読み進めているうちに何の話だったっけと話の筋が分からなくなるのがたまにキズです。
研究が進んで新型コロナ後遺症やうつ病の患者がきちんとした治療が受けられ治るようになることを切に祈ります。

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2025年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎疲労とは
疲れによる目眩で休んでいる時になんとなく気になった。分析の記述が多いので、それでどうしようという具体の記載は少ない。
中でも参考になったのは、
・疲れは少しの運動で回復する
・疲労は脳の炎症
・疲労感を抑えないようにするそれをためると鬱となる
・スポーツ選手は、過度の運動が原因でうつ病になりやすい
・ストレスがかかると疲労感が抑えられてしまう

また、面白かった説として、ニコチンがコロナ後遺症やうつを治すが偏見があって研究が進まないこと。ガリレオの地動説が受け入れられなかったことに例えており、その通りと思った。

さらに、ウィルスが人類の起源と関わり、それが原因の不安から恐れを生じ、憎しみ、攻撃性に発展、ネアンデルタール人、マンモスをを滅ぼす力となった。なるほどと思う。

疲労が出てくることによってもたらされることは多い。疲労とうまく付き合うこと。無くそうとはしないように。疲労が、何に影響するかを分析、展開していて大変参考になった。


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2025年05月16日

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