伊藤亜和のレビュー一覧

  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    都会じゃないが田舎でもない。窓を空ければ潮風が吹き抜ける。育ったのは本牧から少し離れた山の上。向かいには”放置子”が住む。お菓子を運んであげて、利用されているなんて意識はない。怒りや憎しみという感情を持ち続けるのは不得意。誰かを思いやっていたい自分の意思。汚いことも飲み込んだ上で、『清くあろう』という音がする。優しさを粗末にしている自分自身。幸せも不幸も努力も、その本当の手触りを知らずに死んでいくのは怖い。…家から歩いて1分の場所に住む。パパとは7年会っていない。名前はアワ、亜細亜の亜に、平和の和と書く。

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    2025年10月08日
  • わたしの言ってること、わかりますか。

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    伊藤亜和さんの3冊目のエッセイ。本当にこの人の文章はゴクゴクと飲み干すように読み進めてしまう。
    本作の中でその文章、日本語が自身の容姿から生まれる偏見に抗った末に身につけ磨き抜いたものだと感じた。
    とは言え読みながら今回は「自分も同じように相手を傷つけるようなことを言っていなかったか?」を自問せざるを得ないようなエピソードが多かった。
    遠い昔のカサブタもあれば、切りつけられ血が止まってない新鮮な傷口を見せられるような…とても辛い体験なのに伝える日本語が美しいからスルスル体の中に入ってくるのが伊藤亜和さんの凄さなのでは、と思いました。(〇〇ファンクを聴きながら)

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    2025年05月12日
  • わたしの言ってること、わかりますか。

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    言葉とか、人と関わることとかについて、とても染みることが書かれていた。
    短いエッセイ集。「言葉」「復讐」「わたしはわたし」が良かった。荒々しくなったり繊細になったり、振れ幅の豊かな人だなと思った。

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    2025年05月06日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    トークイベント参加に先駆け、購入済みだったこちらを。本当に言葉のセンスが素晴らしくて、もっともっと読みたくなった。お婆様との話が特に好きで、文句を言いながらも世話をしてくれる姿が愛おしい。ジェーン・スーさんと共に推し文筆家として読んでいきたい。

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    2025年04月13日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    ペンの力。楽しいとか心地よいだけじゃない一冊だった。育ってきた環境、家族、学校、社会、全てが似通った人なんていない。

    それでも共感する何かを、ペンの力で、文章、言葉、エピソード、その時の感情を表現することで他者、読者に伝わるってのはもうとんでもなく凄いことなんだよな。

    父親との関係って、本当に難しい。私にとっては、年々難易度が増している。これを読み切った今日も、なんとも言葉にできない嫌悪感を感じて、できるだけ距離を置きたいと思ってしまった。

    作者が10年会ってなくても「親孝行したい」と思えるのは、何がそうさせるんだろう。しょっちゅう会っている私とは全然違う感覚なんだとは思うけど、何かどこ

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    2025年03月02日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    亜和ちゃんが出版区で、
    「知らない人の知らない話読んでなにが面白いの?笑」って言った時から私はこの人に興味が出た。
    私の長年のプチコンプレックスに同意する人がこの世にいたなんてと感動すらした。
    どんなにおもしろいと言われてるエッセイでも、その人に興味が持てないと私は途中で挫折してしまう。
    亜和ちゃんのことを知りたいと思ったからか、この本は一気読みでした。
    言語化できない感情や現象を表現するのが上手な人。わかる〜と異世界…!が混在する人。

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    2025年02月09日
  • アワヨンベは大丈夫

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    前作に引き続き、異常なほどに引き込まれる文章。降りる駅に着いた、とかご飯が出来た、とか何か読む手を止める理由がないと延々読み続けてしまう。
    相変わらずめちゃくちゃ面白いけど前作の「存在の耐えられない愛おしさ」で描かれた(あまり描かれなかった)家族がより立体的に浮かび上がるような、前作を読んでいた時のイメージがひっくり返るような「え?!そんな話(人)だったの?!」みたいな驚きの連続で、良い意味での裏切りの連続で唸らされた。
    最後はとてもワクワクする新章のスタートを予感させる終わり方をしていて、本当にこれからが楽しみな人だなぁ、と思いました。

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    2024年12月22日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    『引き出しが多い、おもしれー女』

    伊藤亜和さん、めっちゃ失礼でごめんなさい。
    でも心の底からリスペクトしての表現です。
    ポッドキャストも聴いてます。
    さくらももこみがあるというか、中央線沿いに住んでいた頃の星野源みがあるというか。
    作中に"清濁併せのむ"という表現が出てくるのだけど、筆者の文章もこんな感じ。

    これまで読んできたエッセイって、ゆとりや余裕があって丁寧な暮らしを匂わせていたりとか
    時間とお金に糸目をつけずに旅と食を満喫してたりとか
    浮世から数センチ離れてるような、庶民的とは言えない作品が多かったのだけど
    今作は、大卒後フリーターとしてわかりやすくどこかに所属

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    2024年12月15日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    2024.10.18発売の雑誌『CU』の書評コラムで紹介させていただいた1冊。自分の人生がこれからどうなるかわからない、自分のやりたいこともできることもわからない——そんな漠然とした不安を抱えながら生きてきた経験と、その時々考えたことを赤裸々に、ユーモアたっぷりの文体で綴っている。

    飾っていない伊藤亜和さんの人柄に触れるたびに、ポジティブにさせてくれた一冊だった。僕も自分の身に起きた面白いことや楽しいこと、悲しいことさえもこんな風に綴れたらなと思う。

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    2024年10月18日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    4.5よりの5!
    文章が軽快でこんなにも人柄が出るんだって面白い。読者に何か伝えようとかそういうエゴが感じられない不思議な文章。脱力しすぎて5じゃないのかも?
    でも好きな文章を書いてて書籍も出版してってすごい素敵なストーリー。でも彼女としてはストーリーに消化されるのは嫌そう。これがゴールじゃないしゴールってなに?って思ってそう笑
    これからも応援したい!

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    2024年09月02日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    絶妙—
    この本を読み始めてから最後まで一貫して私が感じたことである。

    日頃から私は人の気持ちや感情は白黒ではなく白と黒の間のグレーゾーンにあると考えているが、伊藤亜和さんはそのグレーゾーンを自由に動き回り、我々では言語化できない気持ちや感情をドンピシャで表してくる。
    だから、読んでいると妙に心地よさを感じるのである。

    読んだ人が「そうそう、同じこと思ってた」、「そうそう、こういうこと言いたかった」と言っているのが聞こえてくる、そんな本である。

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    2024年07月12日
  • 変な奴やめたい。

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    伊藤亜和の言葉の巧みさに惚れる!
    読みやすい文章に、ほどよいユーモア。

    誰にでも似た記憶の一つや二つありそうだ。そんな幼い頃の記憶に大いに共感したり、或いは自分はそれを気にも留めずに忘れ去ってしまっているのに、彼女はそこにスポットをあて、この様に文章にするのかと驚く。しかもこんなにおもしろく書くなんて!

    全体的に面白おかしく、自らの幼少期を振り返るが、その中で生きづらさを抱えもがいている様子がわかる。周りに溶け込むために真面目に過ごすよう努めるのだが、それがどうにもこじらせてしまうようだ。

    彼女の幼い頃を垣間見ることができて、
    楽しい読書時間だった。

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    2025年11月20日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    なるほど、ね。

    ジェーン・スーさんに注目してたら⁉︎
    辿りつきまして。

    温度感のない文章と、静かに刺さるワード。
    エッセイ⁉︎なんだか、違う感か、なと、感じました。

    セネガル人のパパとの喧嘩。
    読書を楽しむ母。
    ブタニクの話。
    山男とじょっぱり女。「放送」
    ⑤よかった。親孝行に、気がつく。学ぶ。
    アマチュアのクレーマー山口。
    メメとスピノザ‼︎

    めっちゃ気になるのだけど…。
    な、コトが、盛りだくさん。
    日々、日常の切り口が軽くないエッセイ。

    巻末もキチンと読ませてくれる。
    タイトルのルーツ⁉︎

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    2025年11月19日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    自分へ向ける卑屈ともいえる冷静な目線に共感してしまう。バニーガールのアルバイト、まだされているのかな。

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    2025年09月26日
  • アワヨンベは大丈夫

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    伊藤亜和さんの中身や出来事ををこれでもかと赤裸々に綴ったエッセイ。
    全体的に薄暗い感じがするのは、ご本人の性格に由来するのかも。文章って人の性格が滲み出ちゃうのね。
    10-20代の時のあの何とも言えない孤独感を思い出した。私も山田詠美読んでたっけ。

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    2025年08月24日
  • わたしの言ってること、わかりますか。

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    差別や偏見の中、言葉を丁寧に扱う程上手く伝わらず、無造作に投げつけられる言葉に傷ついた__。
    分かり合えない孤独を抜け出すために、美しい言葉に気づける自分でいること。見逃さないように拾い集めたい、滑らかな手触りを感じながら思う。

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    2025年06月06日
  • わたしの言ってること、わかりますか。

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    その人が感じたり、使ったりする言葉は、その人の人生の末につくられた言葉で人生そのもので、自分の発言がその人にとっては心を抉るものだったりする。綺麗な言葉を慎重に使っていきたいなと思った。それから、偏見をもたずに一人の人間としてみることも大切だと思った!噂話に惑わされずに、好きな人も苦手な人も自分で触れて決める

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    2025年06月20日
  • わたしの言ってること、わかりますか。

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    この本をまず受け取ったときに一つ驚いた。
    おそらく装丁と中身に深い関連性はないのだろうけど、著者の質量と湿度を持ったことばの数々に、勝手に関連性を見出してしまう。
    ざらつきやもやもやとした感情をストレートかつ文学的に表現できる方なのだと感じた。

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    2025年05月27日
  • 存在の耐えられない愛おしさ

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    noteに掲載した「パパと私」がXで注目を集める。家族・人間・愛を綴ったエッセイ集。



    「パパと私」

    警察が来るほどの大喧嘩をして以来何年も一度も顔を合わせていない。喧嘩の様子はチョップやドロップキックが出てくるほど激しく痛々しい。



    ''あれからパパは私の話をしなくなったらしい。

    中略

    今もパパは弟にお説教をすとき「亜和はひとりでも生きていけるくらい強い。すごい子だ。お前も見習え。女に負けるな」と言っているらしい"


    すごい大喧嘩をしても娘を認めているところがいいなと思う。

    エッセイはもちろん、ジェーンスーさんとの巻末対談も、あとがきにも

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    2025年04月01日
  • アワヨンベは大丈夫

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    ネタバレ

    いちばん好きなのは書き下ろしの「ジジ」

    晶文社スクラップブックで連載されてた各話はどことなくラブレター味があるものが多く良かったな

    爽やかにラフロイグソーダを飲み干すガールズバーは気になるし、
    コーンロウで卒業式に出られる世の中になってほしい。本当に

    この方の無駄そうな付け加えられた一文が好み

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    2025年02月24日