伊藤亜和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
伊藤亜和さんの3冊目のエッセイ。本当にこの人の文章はゴクゴクと飲み干すように読み進めてしまう。
本作の中でその文章、日本語が自身の容姿から生まれる偏見に抗った末に身につけ磨き抜いたものだと感じた。
とは言え読みながら今回は「自分も同じように相手を傷つけるようなことを言っていなかったか?」を自問せざるを得ないようなエピソードが多かった。
遠い昔のカサブタもあれば、切りつけられ血が止まってない新鮮な傷口を見せられるような…とても辛い体験なのに伝える日本語が美しいからスルスル体の中に入ってくるのが伊藤亜和さんの凄さなのでは、と思いました。(〇〇ファンクを聴きながら) -
Posted by ブクログ
ペンの力。楽しいとか心地よいだけじゃない一冊だった。育ってきた環境、家族、学校、社会、全てが似通った人なんていない。
それでも共感する何かを、ペンの力で、文章、言葉、エピソード、その時の感情を表現することで他者、読者に伝わるってのはもうとんでもなく凄いことなんだよな。
父親との関係って、本当に難しい。私にとっては、年々難易度が増している。これを読み切った今日も、なんとも言葉にできない嫌悪感を感じて、できるだけ距離を置きたいと思ってしまった。
作者が10年会ってなくても「親孝行したい」と思えるのは、何がそうさせるんだろう。しょっちゅう会っている私とは全然違う感覚なんだとは思うけど、何かどこ -
Posted by ブクログ
前作に引き続き、異常なほどに引き込まれる文章。降りる駅に着いた、とかご飯が出来た、とか何か読む手を止める理由がないと延々読み続けてしまう。
相変わらずめちゃくちゃ面白いけど前作の「存在の耐えられない愛おしさ」で描かれた(あまり描かれなかった)家族がより立体的に浮かび上がるような、前作を読んでいた時のイメージがひっくり返るような「え?!そんな話(人)だったの?!」みたいな驚きの連続で、良い意味での裏切りの連続で唸らされた。
最後はとてもワクワクする新章のスタートを予感させる終わり方をしていて、本当にこれからが楽しみな人だなぁ、と思いました。 -
Posted by ブクログ
『引き出しが多い、おもしれー女』
伊藤亜和さん、めっちゃ失礼でごめんなさい。
でも心の底からリスペクトしての表現です。
ポッドキャストも聴いてます。
さくらももこみがあるというか、中央線沿いに住んでいた頃の星野源みがあるというか。
作中に"清濁併せのむ"という表現が出てくるのだけど、筆者の文章もこんな感じ。
これまで読んできたエッセイって、ゆとりや余裕があって丁寧な暮らしを匂わせていたりとか
時間とお金に糸目をつけずに旅と食を満喫してたりとか
浮世から数センチ離れてるような、庶民的とは言えない作品が多かったのだけど
今作は、大卒後フリーターとしてわかりやすくどこかに所属 -
Posted by ブクログ
伊藤亜和の言葉の巧みさに惚れる!
読みやすい文章に、ほどよいユーモア。
誰にでも似た記憶の一つや二つありそうだ。そんな幼い頃の記憶に大いに共感したり、或いは自分はそれを気にも留めずに忘れ去ってしまっているのに、彼女はそこにスポットをあて、この様に文章にするのかと驚く。しかもこんなにおもしろく書くなんて!
全体的に面白おかしく、自らの幼少期を振り返るが、その中で生きづらさを抱えもがいている様子がわかる。周りに溶け込むために真面目に過ごすよう努めるのだが、それがどうにもこじらせてしまうようだ。
彼女の幼い頃を垣間見ることができて、
楽しい読書時間だった。