伊藤亜和のレビュー一覧
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ネタバレ〈忘備録・ネタバレあり〉
「パパと私」がやっぱりすばらしいな。
普通なら隠したいような父親の気質や2人の喧嘩を(しかも現在進行形)、ユーモアある表現で少し笑いも交えながら書き、私たちに公開してくれた。それはただ自分の過去現在を書いたというよりも、父へのちょっと荒いラブレターのようだった。絶縁状態でも父は近くに住んでいてTwitterフォローしてくるし、その後リムるし、娘は父の仕事にいく姿を見つめている。形はちょっと歪だけど、2人は心で想い合っている。こんな文章を読ませてくれたことに、ありがとうね、という気持ち。
言語の違いで自分の親と完全には意思疎通ができず、厳格な宗教が生活や教育に絡む状態 -
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文筆家・伊藤亜和さんの4冊目のエッセイ集。
『私が私でいるだけなのに、それ自体が悪いことのように思えていた』という強烈な一文が帯に書かれている。なぜか生きていてそんな風に思ってしまうことがある人は、ぜひ読んでほしい。
自他共に認める「変な奴」である伊藤さん。
幼い頃の思い出を、今を生きる20代の女子として見つめ直しながら綴ったエッセイ。めっちゃ面白い。記憶力が半端なく、子供の頃の色々な思い出を、当時の感情ともに瑞々しく書いてくれているので、読んでいて自分の子供時代の記憶が蘇ってきた。同時に、自分にもあった「変だった部分」が炙り出される。
特に『いじめられていたわけでも、仲間はずれにされた -
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文筆家・伊藤亜和さんの3冊目のエッセイ集。
面白いねえ〜。じっとり、優しく、でも確実に刺しにくる感じがたまらない。自己肯定感は低いけど、今の自分のことは嫌いじゃないという絶妙な温度感が文章から伝わってくる。
セネガル人の父を持つハーフゆえに、小さい頃から目立ってしまいそれ嫌だった伊藤さん。特別な存在になることよりも、何の変哲もない人間として好かれることが望みだった。そのために「日本人らしい」丁寧な所作や、話し方を身につけ、異質でなくなろうと努めた。特に日本語への執着は特別なものだった。
エッセイ集はそんな伊藤さんが愛する「言葉」をテーマに記れている。苦い思い出、どうしようもできなかったこ -
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とあるこども新聞で「中学受験に出そうな本」として紹介されていた。おー亜和ちゃんすごい(←スーさんのSNS等の投稿で勝手に存じ上げているのに、親戚のおばさん気分の読者)と読んでみた。
なんとなくどのエッセーが受験に出そうかわかるわ、と思いつつ、話によっては際どい話題も出てくるので、こども新聞記者よ、全部読んだのかよと思った。
誤解がないよう言っておけば、どの話も亜和さんの選んだ言葉で綴られていて、気持ちの展開が手に取るようにわかり、おばあさんの姿形まで想像でき、しかもちゃんとオチがある、最高の短編集。私もこんな素敵に日本語を操ってみたい!と思わせてくれる。
例えば人が投げた言葉に傷つけられ -
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伊藤亜和さんの3冊目のエッセイ。本当にこの人の文章はゴクゴクと飲み干すように読み進めてしまう。
本作の中でその文章、日本語が自身の容姿から生まれる偏見に抗った末に身につけ磨き抜いたものだと感じた。
とは言え読みながら今回は「自分も同じように相手を傷つけるようなことを言っていなかったか?」を自問せざるを得ないようなエピソードが多かった。
遠い昔のカサブタもあれば、切りつけられ血が止まってない新鮮な傷口を見せられるような…とても辛い体験なのに伝える日本語が美しいからスルスル体の中に入ってくるのが伊藤亜和さんの凄さなのでは、と思いました。(〇〇ファンクを聴きながら) -
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ペンの力。楽しいとか心地よいだけじゃない一冊だった。育ってきた環境、家族、学校、社会、全てが似通った人なんていない。
それでも共感する何かを、ペンの力で、文章、言葉、エピソード、その時の感情を表現することで他者、読者に伝わるってのはもうとんでもなく凄いことなんだよな。
父親との関係って、本当に難しい。私にとっては、年々難易度が増している。これを読み切った今日も、なんとも言葉にできない嫌悪感を感じて、できるだけ距離を置きたいと思ってしまった。
作者が10年会ってなくても「親孝行したい」と思えるのは、何がそうさせるんだろう。しょっちゅう会っている私とは全然違う感覚なんだとは思うけど、何かどこ -
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前作に引き続き、異常なほどに引き込まれる文章。降りる駅に着いた、とかご飯が出来た、とか何か読む手を止める理由がないと延々読み続けてしまう。
相変わらずめちゃくちゃ面白いけど前作の「存在の耐えられない愛おしさ」で描かれた(あまり描かれなかった)家族がより立体的に浮かび上がるような、前作を読んでいた時のイメージがひっくり返るような「え?!そんな話(人)だったの?!」みたいな驚きの連続で、良い意味での裏切りの連続で唸らされた。
最後はとてもワクワクする新章のスタートを予感させる終わり方をしていて、本当にこれからが楽しみな人だなぁ、と思いました。 -
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『引き出しが多い、おもしれー女』
伊藤亜和さん、めっちゃ失礼でごめんなさい。
でも心の底からリスペクトしての表現です。
ポッドキャストも聴いてます。
さくらももこみがあるというか、中央線沿いに住んでいた頃の星野源みがあるというか。
作中に"清濁併せのむ"という表現が出てくるのだけど、筆者の文章もこんな感じ。
これまで読んできたエッセイって、ゆとりや余裕があって丁寧な暮らしを匂わせていたりとか
時間とお金に糸目をつけずに旅と食を満喫してたりとか
浮世から数センチ離れてるような、庶民的とは言えない作品が多かったのだけど
今作は、大卒後フリーターとしてわかりやすくどこかに所属 -
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伊藤亜和の言葉の巧みさに惚れる!
読みやすい文章に、ほどよいユーモア。
誰にでも似た記憶の一つや二つありそうだ。そんな幼い頃の記憶に大いに共感したり、或いは自分はそれを気にも留めずに忘れ去ってしまっているのに、彼女はそこにスポットをあて、この様に文章にするのかと驚く。しかもこんなにおもしろく書くなんて!
全体的に面白おかしく、自らの幼少期を振り返るが、その中で生きづらさを抱えもがいている様子がわかる。周りに溶け込むために真面目に過ごすよう努めるのだが、それがどうにもこじらせてしまうようだ。
彼女の幼い頃を垣間見ることができて、
楽しい読書時間だった。