あらすじ
愛し愛されながらも寄る辺ない
そんな彼女が紡ぐいとしい言葉たち
──帯文・山田詠美
日本人で文学好きのママと、セネガル人のキレやすいパパの間に生まれた亜和と弟。おだやかな祖父と口うるさい祖母、そして海の向こうにいるまだ見ぬ姉など、いずれも個性的な家族たちが織りなす、愛と旅立ちの物語。ジェーン・スー、糸井重里など多くの文化人がその才能を認める文筆家の第二作は、晶文社スクラップブックで大評判だった連載に、note記事、書き下ろしを加えた、せつなくも愛おしいエッセイ集。装画・我喜屋位瑳務、装丁・名久井直子。
まだなんの荷造りもできていないこの部屋から、私はきっと少しずつ荷物を運び出し、さりげなくいなくなっていくのだろう。それは他でもなく、私にまだ「さようなら」と言う勇気がないからだ。誰のためでもなく、私は家族と離れることが寂しいのだ。それでも私はこの家から出ていく。誰のためでもなく、私自身のため、いつか新しい家族を作るために、ひとりで生きてみたいのだ。(本文より)
【目次】
■I
文才って
オール・アイズ・オン・ミー
私を怒鳴るパパの目は黄色だった
ハムスターの心臓
宇宙人と娘
ママの恋人
セイン・もんた
いれもの
■II
アヒルの子
Nogi
竹下通りの女王
ウサギ小屋の主人
小さいバッグとは人間に与えられた赦しである
ごきげんよう
26歳
ジジ
■III
人のパラソルを笑うな
死んでいく
MUMMY & AMY SAYS
陽だまりの季節
笑って損した者なし
モンスター
「はっ」
アワヨンベは大丈夫
出ていきます!
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作に引き続き、異常なほどに引き込まれる文章。降りる駅に着いた、とかご飯が出来た、とか何か読む手を止める理由がないと延々読み続けてしまう。
相変わらずめちゃくちゃ面白いけど前作の「存在の耐えられない愛おしさ」で描かれた(あまり描かれなかった)家族がより立体的に浮かび上がるような、前作を読んでいた時のイメージがひっくり返るような「え?!そんな話(人)だったの?!」みたいな驚きの連続で、良い意味での裏切りの連続で唸らされた。
最後はとてもワクワクする新章のスタートを予感させる終わり方をしていて、本当にこれからが楽しみな人だなぁ、と思いました。
Posted by ブクログ
伊藤亜和さんの中身や出来事ををこれでもかと赤裸々に綴ったエッセイ。
全体的に薄暗い感じがするのは、ご本人の性格に由来するのかも。文章って人の性格が滲み出ちゃうのね。
10-20代の時のあの何とも言えない孤独感を思い出した。私も山田詠美読んでたっけ。
Posted by ブクログ
いちばん好きなのは書き下ろしの「ジジ」
晶文社スクラップブックで連載されてた各話はどことなくラブレター味があるものが多く良かったな
爽やかにラフロイグソーダを飲み干すガールズバーは気になるし、
コーンロウで卒業式に出られる世の中になってほしい。本当に
この方の無駄そうな付け加えられた一文が好み
Posted by ブクログ
小説と思って手に取ったらエッセイでした。お父さんと冷戦中だそうで、でもこの距離感のままがいいっていう理由にすごく共感した。私も同じだから。あとマッチョな夏目漱石ことジジの章がすごく好き。お母さんの「エイミーの本の上に、物を置かないで」も吹き出した笑