あらすじ
新進気鋭の文筆家による、言葉にまつわるエッセイ集。セネガル人の父を持つ「ハーフ」ゆえに日本語に執着してしまうという著者。“それでも、私は日本語が好きだった。椎名林檎の歌が好きで、谷川俊太郎の「信じる」が好きで、男の人がふと漏らす「あら」の響きが好きだった。日本語は美しいと、感じることができる自分が好きだった”――残酷でやさしくて美しい言葉との邂逅を独自の視点ですくい上げ、唯一無二の世界を紡ぎ出す。
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Posted by ブクログ
とあるこども新聞で「中学受験に出そうな本」として紹介されていた。おー亜和ちゃんすごい(←スーさんのSNS等の投稿で勝手に存じ上げているのに、親戚のおばさん気分の読者)と読んでみた。
なんとなくどのエッセーが受験に出そうかわかるわ、と思いつつ、話によっては際どい話題も出てくるので、こども新聞記者よ、全部読んだのかよと思った。
誤解がないよう言っておけば、どの話も亜和さんの選んだ言葉で綴られていて、気持ちの展開が手に取るようにわかり、おばあさんの姿形まで想像でき、しかもちゃんとオチがある、最高の短編集。私もこんな素敵に日本語を操ってみたい!と思わせてくれる。
例えば人が投げた言葉に傷つけられた子、声の小さい子、人とのコミュニケーションが苦手だと悩んでいる子がいたら、どれほど勇気づけられることだろう。それが受験の問題であれ、いろんな子供たちがこの話に出会えたらいいなあと思う。
が全部マルマル受験生(小6またはそれ以下)に丸投げ紹介は雑だという話(笑)。バニーガールって何、なんでそんな格好するのと聞かれても答えわからないな(実物に会ったことがないのだがガールズバーにいけばいるのか。旧ガールも入れるのだろうか)。みんなうさぎが好きなのか?うさぎにセクシュアリティーを感じるのか?そしたら小動物ふれあい広場とかも、ある種同じ目的なのか?とか余計なことを考えてしまった。
というわけで子ども新聞への若干の疑問を除けば、面白くて少し寂しくて、人間とはみたいなことを考えさせてくれる最高のお話だった。
Posted by ブクログ
伊藤亜和さんの3冊目のエッセイ。本当にこの人の文章はゴクゴクと飲み干すように読み進めてしまう。
本作の中でその文章、日本語が自身の容姿から生まれる偏見に抗った末に身につけ磨き抜いたものだと感じた。
とは言え読みながら今回は「自分も同じように相手を傷つけるようなことを言っていなかったか?」を自問せざるを得ないようなエピソードが多かった。
遠い昔のカサブタもあれば、切りつけられ血が止まってない新鮮な傷口を見せられるような…とても辛い体験なのに伝える日本語が美しいからスルスル体の中に入ってくるのが伊藤亜和さんの凄さなのでは、と思いました。(〇〇ファンクを聴きながら)
Posted by ブクログ
言葉とか、人と関わることとかについて、とても染みることが書かれていた。
短いエッセイ集。「言葉」「復讐」「わたしはわたし」が良かった。荒々しくなったり繊細になったり、振れ幅の豊かな人だなと思った。
Posted by ブクログ
差別や偏見の中、言葉を丁寧に扱う程上手く伝わらず、無造作に投げつけられる言葉に傷ついた__。
分かり合えない孤独を抜け出すために、美しい言葉に気づける自分でいること。見逃さないように拾い集めたい、滑らかな手触りを感じながら思う。
Posted by ブクログ
その人が感じたり、使ったりする言葉は、その人の人生の末につくられた言葉で人生そのもので、自分の発言がその人にとっては心を抉るものだったりする。綺麗な言葉を慎重に使っていきたいなと思った。それから、偏見をもたずに一人の人間としてみることも大切だと思った!噂話に惑わされずに、好きな人も苦手な人も自分で触れて決める