ちいさな美術館の学芸員のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ終始「そうなんだ!」「なるほど〜」の連続で、興味深く一気に読み終えた。美術館の舞台裏や学芸員の仕事について、普段知ることのない情報が盛りだくさんで、驚きと納得の連続だった。特に印象に残ったことをいくつか挙げてみる。
・美術館同士の作品の貸し借りには基本的にはお金は発生しない(一部の私立美術館や寺社は例外。また、輸送用のトラックや作品にかける保険の費用は必要)。
・「美術品梱包輸送技能取得士認定試験」というものがある。
・作品を借りる側の学芸員は、作品の輸送は業者に任せておしまいではなく、必ず現地に向かう(なんならトラックに同乗することもある)。
・照明について。日本画の掛け軸は巻いてあること -
Posted by ブクログ
いろいろなサービスを支える裏方さんの仕事を知るのが好き。今回はたまたま目にした美術館の学芸員。仕事そのものは昔読んだたくさんのふしぎ、という科学絵本で触れたことがあったのだが、大人向けとなるとどうだろうかと思って読んだわ、
シーレの自画像に感動したエピソードを読んで、たしかにアートにも(書籍もそうだが)出会うタイミングってあるな、と思った。それがいつかは誰にもわからない。いつでも見られると思ったら、いつのまにか見られなくなっている、ということもある。久しぶりに出会った絵から、以前とは違った感情をもらうこともある。
ひさしぶりに、美術館にどっぷり浸りたくなった。 -
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評判が良かったので買ってみた。
著者の人柄が見える優しい文章。美術館にあまり縁がない人を、押し付けがましくなく、さりげなく背中を押してくれるような。
私は美術館に足を運ぶタイプの人間でおそらく著者の想定読者とは少し違うのだけれど、充分楽しめたし、勉強にもなった。やはり現役学芸員かつ大学で教鞭を取っている方は基本的な知識が違う。土台がしっかりした静かな教養からの情報が、無理なく語られる。その辺りが企画物との本と一線を画すのかな。
学生の時頑張って学芸員の資格を取れば良かったな、とすら思う(学芸員の資格が取れる大学だった)。
ドキドキハラハラ、とかどんどんページをめくってしまう、みたいな本では -
Posted by ブクログ
第一章はとても良かった。
ビジネスの世界では「アート思考」が流行しているのに、実際に美術館に足を運ぶ人は少ない。この矛盾の指摘は鋭く、一気に引き込まれた。
一方で、本書自体が「忙しい人のための」という構造を持っているのも興味深い。
本書が指摘するように、アート思考が流行しても人々は美術館には行かず、代わりに本や要約、フレームワークといった“手軽な知識”に向かう。つまり問題は「時間がない」というより、「タイパ(時間対効果)」の感覚にある。
そう考えると、「忙しい人のための」というタイトル自体が、この状況を皮肉なかたちで体現しているように思える。美術館に行く余裕はないが、アートについて“効率よく -
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意外性はないが、「確かにそうだよな」と学芸員や美術館・博物館に限らない共通項を、改めて気付かせてくれた。
具体的には
職業、職種が明確であっても、会社の規模によっては業務の実態は雑多であり、人との信頼関係がベースにあること。
予算の限りがあるため、出来る事は自分でやろうとしてしまいがちだが、その結果、新人の仕事、経験の場を奪っていること。
美術館ならではの話(照明や運送、美術館間でのやりとり、学芸員の仕事内容など)も大変興味深い内容だった。
展示は消え物。だから図録を残す。という事も初めて知ることができた。
そんな中、私にとって一番の収穫だったのは、
そういった方が「アートを理解しようとし -
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日本美術の定義って何なんだろう。大別すると絵画、彫刻、工芸、刀剣、染織、建築とのことだが、種類多過ぎてパニックになる。刀剣なんてどこをどう見たら良いか全く分からない(よく切れそう…と言う貧困な感想しか出てこない)し、工芸品もやはりよく分からない。
日本美術は西洋美術に比べるとどうしても地味だ。
しかし、阿修羅像が意外とイケメンだったり、円山応挙が襖に描いた瀑布の素晴らしさだったり、日本美術は実は楽しいものなのだと気付かされた。写真で見ただけで素晴らしいのだから、実物はもっと凄いのだろう。
著者はあえて本書に写真をあまり掲載していない。美術を実際に観に行って感じて欲しいという思いでそのようにし