ちいさな美術館の学芸員のレビュー一覧
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今年に入って美術館に行くようになった。
元々音楽は好きだけど、コンサートのチケット取っても体調不良とかで行けないかも、美術館なら会期のうちに行けばいいよねといったひねくれたコスパ意識から始まったことだった。
地元の美術館。
自分の好きなテーマの展覧会に行ったら、なんだか今年度全部行ってみようとなり、それが偶然仕事で役立ったり、話を聞いてくれる人がいて。
他の美術館にも興味が湧いたり。
数回続けて、世界が広がった実感があった。
そんな私がもっと美術館を楽しみたいと思い、見つけた本書。
(引用)
美術館で作品から適度に刺激を受けつつ、あっちこっちに心を揺り動かしながら、自分自身とじっくり向 -
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第1章は美術館に行かない理由の考察、第2章は美術鑑賞の変遷、第3章は最新の美術館事情を概観、第5章では改めて美術館に行く意味を考察しますが、本書で非常に参考になったのは第4章で解説する美術館鑑賞の心得です。
個人的には年数回美術館・博物館に行くのですが、正直なところ、あまり心に深く残る経験というのはありません。そうした人間にとって、第4章で教示された基本的な鑑賞の心得は大変参考になりました。
まず、必携の持ち物として、メモ帳と鉛筆、クリアファイル、単眼鏡、サブバッグ。たまに単眼鏡で展示作品を見ている人を見かけましたが、作品を味わうにはあったほうがいいような気がします。
そして、鑑賞方法としては -
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最近から頻繁に美術館へ行くようになり、より美術館での体験を特別なものにできるんじゃないかとこの本を読ませていただきました。
具体的な美術館での鑑賞方については4〜5章で扱われています。
1〜3章では現代における美術や、美術館の扱われ方。そして美術館の歴史、最近の美術館事情について語られています。
個人的なハイライトは以下の点です。
・メモを取ること
→小さなメモと鉛筆を持ち、感じたことを何でも書き殴る。
自分の心を動かしたものを美術館から帰った後も捉えておくことが出来ています。
・作品を見る…心を止め、心を見る
→タイパ、コスパと、いつのまにか余裕のなくなっていた自分の歩みを止め、少しの -
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ネタバレすべてをじっくりみなくともよいということを学んだ。最初にさらっとみて、気に入ったものをじっくりみる。美術館の楽しみ方を学べた。展覧会に足を運ぶことは体験なのだ。その体験を記憶に留めるために、アウトプットも重要で、鉛筆とメモを次回持っていきたい。
個人的には3か月に一度ほど、美術館へ行く。
それはただただ、観るために。
例えばある絵をみて救われることがある。
昔から救いを求める人々がいて、その祈りは切実だったのだと、絵を通して自分の心に染み渡る。そして自分だけではないのだと救われる。仕事で嫌なことがあったり、育児で悩んだときにこそ行こうと思う。絵をみていると、思考や感情が整う。
これから芸術 -
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学芸員と編集者って似ている。それがこの本を読んだ僕の1番の感想でした。
学芸員の大事な仕事のひとつに、展覧会の企画・準備があり、プランニングや作品の選定、予算立て、出品交渉、図録の製作や展示作業と、本当にさまざまな仕事をする必要がある。
それってまさに編集者が雑誌や書籍を作る作業と同じなんですよね。共感しっぱなしでした。
また、アートの楽しみ方として「わからない状態を楽しむ」と言ってくれている。
タイパ、コスパ、ファスト教養とは対極ある価値観や感情の動き。
「役に立つ」という考えから解放してくれる存在としてのアートと、それを楽しむ舞台である美術館こそ、まさに今の僕らに必要なんじゃないかと思 -
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一応学芸員の資格持ちではあります。
が、取得したのが今から何十年も前なのと、美術が専門ではないのとで、知らなかったことも多くありました。
第一章「一つの展覧会が出来るまで」が特に印象に残りました。
基本的には、学芸員は館に引きこもって仕事をするんだと思っていました。しかし実際は、交渉の為に出張したり作品と一緒に輸送トラックに揺られたり。
「人と関わるのが得意じゃないから、モノや史料に囲まれて孤独に仕事したーい」という理由で、学芸員を目指そうとした当時の自分に読ませてあげたいです。
第三章「美術館をもっと楽しむためのヒント」は、美術館・博物館好きとして、とても参考になりました。
入口辺り -
Posted by ブクログ
美術に対する深い愛情と、鑑賞者への優しい目線を感じる一冊。
アートを一気に身近な存在にしてくれる、素敵な内容でした。
本書を読むまで、学芸員さんが具体的にどんな事をしているのか、ほぼ知らなかったのですが(原田マホさん作品でほんの少し知った程度)、美術館の要であり、芸術文化の継承にも関わる重要な存在なのだと知りました。
それから、私は美術館に行くのは好きなんだけど、正直なところアートは難しい。
よく理解できなくて作品よりも説明の方にばかり目が行ってしまうこともあります。
でも、分からなくても良い。しっかり作品を自分の目で観て、自分の感情に委ねて何か感じるものがあればそれで良いんだ、と筆者がアート -
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美術品を見るコツなどではなく、学芸員さんのお仕事や美術館の成り立ちについて詳しく述べてくれているエッセイです。
美術品をどう見るかとかを期待して読むと全く違うお話ばかりなので注意です。
私も美術品を見る時のコツを知りたくて手に取ったのですが、これが良い意味で不意打ちで学芸員という知っているようで全然知らないご職業の方の事情を知ることができて非常に面白かったです。
展覧会が出来るまでの流れや美術館の役割など初めて知ることが多く、非常に興味深く読めました。
今度美術館に行く機会にはこの展示にはこういう苦労や工夫がされてはるんやろうなぁと思わず見てしまいそうです。
余談のように語られている筆者の