かないのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あらすじ:病院の屋上テラスで出会った境遇が真逆の陽羽里と恵美羽は、一目見るなりお互いに嫉妬と羨望を抱き「入れ替わりたい」と願う。
願いが叶い体が入れ替わった二人はそれぞれの望みが叶ったと喜んだのも束の間、自身の真の望みに気づき、また自身の抱える問題を互いに相手になすりつけている罪悪感に苛まれる。
そんな中、陽羽里の体で活動する恵美羽に危機が迫り、物語はクライマックスへ――。
※陽羽里と恵美羽の置かれた環境の対比が描写されるが、毒親描写の解像度が高く、平易な文体で重くなりすぎないテイストにはなっているものの人によっては胸を抉られるため要注意。
感想:入れ替わりモノというよくある題材だが、舞台が現代かつ作者の描写力が高いこともありリアリティをもって読み進められる作品になっている。
恋愛要素がほぼない作品であるためラブコメや青春系が苦手な人も読みやすいと感じた。
陽羽里と恵美羽、それぞれの視点でストーリーが進んでいくが、徐々に相手の気持ちに寄り添い最終的には実感をもって相手の大変さを理解し、思い通りにならない現実に折り合いをつける精神的な成長が見られて読後感はスッキリ。まさに「澄み渡る青空」といった感じ。
ただ背後にあるテーマが重たいうえ陽羽里は自殺願望あり。途中の展開はやや暗め。
二人の心情の変化が似通っている(入れ替われて満足、望みが果たされたように錯覚する→相手の置かれた状況を自分事として把握する→自分の真の望みを理解する)のに、置かれた環境の対比が切なかった。
二人の視点では対照的な表現が散りばめられており、容姿、環境、おとぎ話、名前の由来(鳥言葉)、二人の感情(死にたい陽羽里と生きたい恵美羽)などなど、出てくる度に二人のすれ違いが読者の心を刺してくる。
それぞれの視点で語られる内容を総合すると「自己評価と他己評価が乖離している描写」とも読めるため、終盤で二人に希望の道筋が見えて本当によかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ青春でハートフルな内容かと思いきや、
自らの過ちに目を向けていく作品。
誰しも一度は過ちを侵したことがあるはず。
しかしその過ちと向き合うことのできた人はどれくらいいるのだろうか。向き合い、謝り、縁を結び直せる人はどれくらいいるのか。
恐らくそう多くはないと思う。
それに、過ちを侵したとしても気づかなかったふりもできる。
しかし過ちを認め、相手と向き合おうとした奈央は強いこころの持ち主だと思った。過ちを許す、と決めた睦生も強くやさしい人である。そしてこの2人のすごいところは許し、許されて終わりではなくその後を描こうとするところだ。過去に何があっても、未来に目を向ける姿勢が素敵な人物たちだと思った。