あきのレビュー一覧
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購入済み
出会えたことに感謝!
この作者さんの他作品も読んでますが、この作品が一番です。
もう何度も読んでいますが、読むたびに泣けてきます。
内容は是非、読んで確かめて下さい(笑)
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Posted by ブクログ
ネタバレ少女小説が読みたくて、信頼と実績のコバルト文庫の棚をあさって目に付いた本。表紙には色鮮やかな花草に囲まれて立つ民族衣装を身に付けた少女と寄り添う大きな犬、その後ろに薄く描かれた人物の姿。あーこれ絶対面白いぞー!?で買ったんだけど、面白かった。表紙の力って大きいよね。
世界観は、好みが分かれるんじゃないかと思う。海外ファンタジーが苦手な私の友人なんかは読めないかも。私は作者が想像豊かに生み出した世界に夢中になった。めっちゃおすすめである。とんでもなく魅了されたので、主にこの世界を紹介してレビューとしたい。
『犬恋花伝』の世界には、人と獣両方の姿を持つ「花犬」という生き物がいる、というのがこの物語を読む大前提。彼らは花を主食としている。どうも読み進めていくと、この花犬、元々は人間の言葉を話すことはできないが訓練すると覚えることができるという、高い知能を持った生き物のようだ。個体によって、体格も毛色も性格も異なり、さらには優れた花犬は、水を操ったり火を操ったりというファンタジックな能力まで持つ。
ちなみに、生まれる花犬には、身体の弱い個体もいる。育てても役にたたないだろう花犬は、早くに捨てられてしまうこともある。育てるのにだって労力がいるのだ、世界は弱者に厳しい。そんな弱者であるところの白い花犬・ハルシを拾ったのが、花育人の生れであるコトナであった。ハルシを拾ったことから、コトナは花育人の生まれでありながら、花守人として、花犬と共に狩猟をする花操師として生きていく道を選ぶ。物語は遡れば、概ねこんなところから始まる。なお、このハルシ、表紙に描かれた犬ではない。勘のいい人は、このあたりで何かを察していただきたい。
また新しい言葉が出てきたな!?と思った人、構えるほどややこしくないから安心してほしい。『犬恋花伝』の世界では、古くから人と花犬が手を取り合って暮らしてきた。花を主食とする花犬のために人は花を育て、人のために花犬はその牙でもって獲物を狩る。花を育てることを先祖からの生業にしているのが花育人、そして狩猟に携わるものを花守人という。課せられた試験に合格し、花犬を相棒に狩猟をするものを特に花操師という。花犬と花操師の間には特別な絆が存在する。彼らは、友であり家族であり、そして恋人でもある。どちらかが死なない限り、彼らは生涯を共にする。特に花犬は、自らの花主が死なない限り、主を変える事はできない。とんでもなく―――ロマンチックで私好みの設定!
その他に覚えておくといい設定としては、人にも部族があり、部族によって花犬の扱いが違うことである。ヒロイン・コトナの部族では、花犬の意志が尊重され、花操師と花犬との絆の主体は花犬である。花犬が主を選ぶのだ。そして、表紙に描かれたもふもふで凛々しい大きな花犬・セキが生まれた部族は、人に主体がある部族であった。
世界を中心に、とは言ったが、やはりキャラクターや物語にも触れざるを得ない。このセキという花犬、とても優秀で将来を期待された花犬だったのだが、凶暴で巨大な「赤鬼」との異名をとる犬に臆病傷を付けられ、「療養」の名目で部族を追い出され、コトナに預けられることになるのである。プライドをへし折られた上に部族から厄介者あつかいされたセキ、見知らぬ土地での暮らしとなれなれしいコトナ・子どもっぽいハルシに、最初のうちこそふてくされ戸惑ってはいたが、段々と心を許し、いつしかはコトナを花主にしたいと望むまでになる。コトナにとっては二度目の花操師の試験、コトナとハルシとセキ、一人と二匹がそろって挑んだ試験で、他の受験者が帰ってこなかった。その受験者の捜索で、ハルシは「赤鬼」に殺されてしまう。ずっと一緒だった、大好きなハルシを失い、どこかぽっかりと空いた空白を埋める事ができないまま、花操師への昇格試験、コトナにとって挑戦できる最後のチャンスである3度目の試験が近づいていた。
あとは実際に読んでもらいたい。コトナとサキの心の動きが丁寧に描かれていて、読み終わるとなんともいえない幸福感がある。副題がついているということは続刊に期待してもいいんですかね期待してますコバルト文庫集英社さんよろしくお願いしますね! サキは思い悩んでいたせいか生来の彼のキャラクターを出し切れていないと思うんでぜひコトナとサキの二人のお話を! 他の花犬と花主の話でもいいですよ! この世界の物語をもっと読みたい! 神話時代に遡っていただいてもいいですよ!
なお、私が読み終わったあと呟いた言葉は「ご結婚おめでとうございます」でした。※作中で結婚するキャラクターはいません -
Posted by ブクログ
重い、けれどハッピーエンド。
嫉妬や罪悪感、憎しみといった醜い感情を、ストレートに描きながらも美しく見せてくれるのは、この方ならではです。
人の願いを叶える力があったとしたら、それは正しく、人を幸せにするために使えるのか…というのがこの作品のテーマであり、主人公・露華の問い続けること。
願いが叶うことは、ふつう幸せだと思うだろうけど、実はそうでもない。人の望みは尽きないし、すべての人の願いが一度に叶うわけでもない。
物足りないと少し思うのは、抽象的・概念的な描写がほとんどだからでしょうか。だからこそ普遍性があり、おとぎ話のような味わいになっているのだけれど、読者としてはもう少し具体的な設定とか固有名詞がほしくなってしまう、難しいところ。私はそれでもやっぱり、おとぎ話のような雰囲気が好きです。
あきさんの作品は「哲学する漫画」だと思っているので、読んだあとモヤモヤするのも含めて味です。よくわからないがすっきりさせてくれない、だがそれがいい!というかんじ。あとからふっと、思い出すときがある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ7巻で完結巻。
前巻でレイとの話にも区切りが付き最終巻ではエデルとアラン2人がメインの話になっています。まさに最後に相応しい。最後とはいえ、やはり靴箱館ですので靴は登場しました。鉄の靴とラストのブライダルシューズでしょうか。鉄の靴はエデルがディセント家に相応しいかを見極めるために遣わされたステイシア城に眠っていた靴。この靴の秘められた魔力がコーディナル家のマリーとレオンに深く関わってくるというもの。魔術師の靴である鉄の靴を見つけ出し城で起きている事件の解決がエデルに与えられた最後の試練。そして一方のアランはディセント家の引き継ぎをするために父親アルヴァよりシンデレラ王妃の息子でありディセント家の始祖とも言えるドゥーガルドの書いた手記をもとに自身の考えを述べよ、と試練を言い渡される。離れ離れになりお互いに試練に取り組むエデルとアラン。そんな2人の未来は…。
苦難に苛まれ失敗しながらも新たに前を向き歩き始める女の子の成長を描いた本作。最終巻では主人公エデルがしっかりと前を見据えてアランと共に生きていこうとする姿勢が描かれていて最後まで楽しく読むことが出来ました。最後の最後までアランの珍名言が飛び出したのもこのシリーズらしいなと思ったり(笑)換毛期を迎えたり幸せな豚になったりと。アランが愛読していた恋愛指南書の著者との絡みなども楽しかったです。本編が終わった後にあとがきがあり、そしてエデルとアランのその後を描いた短編が入るという構成も良かったと思います。作者の方の次回作も楽しみにしています。 -
Posted by ブクログ
好きな場面。
「ーー俺の羽を抱いているんだ。しっかりしろ、かかし。
アンは使役者というよりは、お荷物だ。シャルの羽を抱き込んで離さないから、けして粗略に扱えない。側を離れられない。
シャルにしてみれば、鍵をなくして開けることができない、生きた宝箱を連れ歩いているようなものだ。」
「一生、笑われることはない。人間は、俺たちと違う。人間は、常に変わっていく……。おまえは、あと三年も経てば、驚くほど綺麗になってるはずだ。この髪のも、色の薄い、綺麗な金髪に変わる。そのころには、誰もおまえをかかし呼ばわりしないはずだ。砂糖菓子を作る腕前も、変わっているはずだ。ヒューが言ったことは真実だが、気にする必要はない」
「羽は、ほのかに温かかった。拳を滑らせて、絹よりもなめらかな、ぞくりとするような手触りを確かめる。そして軽く、その羽に口づけた。」
「どうして、と問われたシャルは、むっとして、なんと言うべきか考えあぐねているように見えた。しかし。しばらくすると彼は、降参したようにふっと表情をやわらげた。
答えのかわりに、彼はアンの右手を手に取った。そして。
「アン」
囁くように、呼んだ。はじめて、名前を呼んでくれた。そのことに、アンの胸は熱くなった。
シャルは優しく、アンの指に口づけた。慈しむように。
それは、何かを誓う行為のようだった。」