小原晩のレビュー一覧
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やっぱりわたしに似ていると思う。だからすっと入ってくるしすぐに(一日で)読み終わっちゃう。
自転車を取られないようにうまくやれとだけ言われて何回も自転車没収されるとか、わたしも自転車を駆使して働いてて没収されて確か桜木町?まで行っておじさんにいろいろ書いて渡してお金も渡して取り返したなとか、大阪出張でやめるのやめないの?とか聞かれた話でも、Mさんのとこ1週間ついてヘトヘトで、Kさんに確かカフェ連れてってもらってどうするの?的な話になってこれ以上は厳しいと思うと答えたなとか。Mに言っとくし明日の9時までに鍵ポストに入れといてとか、あっ、これで終わりなんだ、えっとこっからどうしよってなった。
いろいろ返しそびれてたものあってそれを返しにやり取りしてる度に、今この瞬間もKさんは都内駆けずり回っててわたしはこうして家にぽつんといるの、これでよかったんだって言い聞かせて。親に周りになんて言おう、、とか昼間から家でなみだなみだで。でも優しかったママもパパも友達も。上京後2週間とかで帰ってくるやついる??笑
おもろいな今振り返ると。
そんな似たような事例が多すぎて、共感しつつ笑える。文章の擬音がかわいくって。あと句点の使い方が他の人にはない、喋ってる感じがして好きだなぁ -
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風を飼う方法もよかったけど、個人的にはカリフラワーがとても好きだった
以下、長文
「けだるいわあ」に出てくるチャーミングでメロウな女性の語録がすてきで、それをメモる主人公の描写も良くて、ホクホクしながら読んでいたら、最後に「風を飼う方法」で思ってなかった方向からぶすっと刺されてしまった。風って自分の気分のことなのかな、もっと言えば希死念慮かなあ。物語の筋的に入れなくても通じる情報番組のくだりは、だからこそ書きたかったことだと思った。あのワイドショーの話を挟むことで、作品そのものがエッセイではなく小説になった感じがした。
「風を飼う方法」は江國香織が書きそうで書かないテーマだと思っていて(少なくとも私が読んだ限りは知らない)、これまで彼女のことを令和の江國香織だと思っていたけど、別の存在として確立された感じがある
一番好きだったのは「カリフラワー」で、これは映像が完全に見えたというか、店の名前も、出てくる人の描写も、もう会わないだろう人にもらった入浴剤をお湯の途中で入れて「雑な森の匂いがする」と表現する感じとか、生活の丁寧じゃない部分、力が抜けた時間をちゃんと描いてくれるから温度があった。 -
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「人間は皆、それぞれの山を登っているからである。似たような山に見えても、細部まできちんと見れば、それは誰ともまったく違う自分だけの山を、それぞれが好きに登っているのだということがわかる。」
小原さんのエッセイを読んで、小原さんの山を100mくらい一緒に登れた気がする。
周りの人たちが眩しくて、自分のことは誰よりもわからなくて、時々押しつぶされそうになる。
エッセイはこんな時寄り添ってくれるんだなと
なぜだか思った。
ぎゅうぎゅう心が苦しかったり、
ぐるぐる消化できなかったり。
はたまたほんのりあったかい気持ちになったりしながら。
エッセイは、生活の細部に宿る幸せを抱えこめるところが本当に素敵で、私は、私自身も周りの人達も蔑ろにしてきたんだなと心がチクリとする。
昔は取り戻せないから、今からでも私はエッセイストになりたい。
ちょっと意識して書いてみました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短いエッセイの集まりなので読みやすいです。
高校を卒業してすぐに美容室で働き始めたようなので不思議だったのですが、高校に通いながら美容師の通信課程に入学しているのでそういう選択肢もあるのか~と思いました。しかし高校を卒業して働いている時も美容師のほうには通っているようで、美容室で働くのって資格なしでも出来るのか、採用するのか?と不思議な気分です。知らない業界の知らない雇用。
八王子って田舎なんですか?東京というだけで都会のイメージがあるのでどの程度なのか想像がつきません。近年なら熊が出る事もあるくらいの場所とのことなので、こっちの県庁所在地くらいで想像していいのか。都会かと言われると県内の他の市町村と比べると発展はしているけど都会では……のラインでしょうか。
18歳になった時に逃げるように就職する先が東京23区なのが東京出身といった感じで羨ましいような、近い分眩しく感じるものがあったのだろうかなと思います。
合間に差し込まれる挿し絵が素朴で好きです。佐知みづきさんという方のようです。イラストレーターさんも作者欄に掲載されれば読書の選択肢が増えるのではないかと思うのですが、作者ではないので難しいんですかね……。
奥付の所にある水色の紙、こんな装丁が出来るのですね。紙の本って楽しい。
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Posted by ブクログ
風呂に入るまでが面倒くさい。
サッと入ってしまえばすぐに済むのに、毎夜、「あぁ、風呂に入らないとなぁ……」と思いながら、何時間も無駄な時間を過ごしてしまう。
スマホというやつは本当に良くない。テレビも見られるし、ラジオも聴ける。こうして、風呂に入るまでの時間はいくらでも溶けていく。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」
そんな謳い文句を見て、縋るような気持ちでこの本を手に取った。
本書には、入浴にまつわる18篇の小説と4篇のエッセイが収録されている。どれも5分もあれば読み切れるような短い作品ばかりだ。
しかし、これを読んだら即座に風呂に入れる、という作品は、残念ながら一篇もなかった。
私とて、正直な話、この本を読んだからといって、簡単に風呂に入れるとは思っていなかった。
ただ、少しでも早く風呂に入る決心ができるようになるためのヒントがないかと思ったのだ。そのヒントは、結局「風呂に入らない」2篇の中にあった。
風呂に入らないと決め、痒みや気持ち悪さといった数多の「受難」を乗り越えて、ついには「思い込み」の力で、風呂に入らなくても「入浴の効用」を得られるようになったと主張する青年を描いた、さや香新山作の『プラシーボ!』。
風呂に入らなくても身体を完璧に洗浄する技術が開発された近未来で、人類が入浴という苦難から解放され、ついには入浴が法律で禁止される世界を描いた、日野瑛太郎の『そして誰も風呂に入らなくなった』。
人間というのは天邪鬼なもので、他人から「やれ」と言われればやりたくなくなり、「やるな」と言われれば、やりたくなるものだ。
同じように、風呂に入ることを固く禁じられたなら、私は今すぐ風呂に入りたくて仕方なくなるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
本書は、お風呂にまつわる22篇の短編小説・エッセイ((小説18篇、エッセイ4篇))からなるアンソロジーです。
タイトルに「5分後に」とあるように、1篇5分ほどで読み終えられます。
大変恥ずかしながら、わたしは風呂キャンセル界隈のひとりです。
疲れて帰ってくると、そのまま寝落ちてしまいます。
ですが、疲れた時こそお風呂に入らなくてはいけないという義務感は持っています。
なので、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読んで、これで入浴できれば最高だと思って購入しました。
が、結論から申し上げますと、本書のおかげでお風呂に入れるようになったということはありませんでした。
お風呂に入るモチベーションが湧かないくらい疲れている日は、小説にも手が伸びなかったからです。
わたしが風呂キャンセル勢なのは、モチベーションの問題ではなく、お風呂に入る体力がないからだとわかりました。
このことを明らかにしてくれたのは本書の功績です。笑
というわけでわたしは体力のある日にまとめ読みしましたが、たぶん編者のかたは、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読むことを想定しているのだと思います。
以下、感想です。
5分で読める短編小説と言えば星新一作品ですが、本書には星新一作品ほどウィットに富んだ小説は見当たらないかなと思いました。
宇宙が舞台になっているなど、設定が奇抜な作品はいくつかあったのですが。
(ちなみに、宇宙が舞台の小説は3篇もあります。宇宙というお風呂に入りづらい環境を描くことで、逆説的にお風呂の素晴らしさを強調する意図でしょうか。)
どちらかというと、平凡な1日が描かれていて特に衝撃的なオチがあるわけでもない作品のほうが印象に残りました。
特に日向夏『回復の泉』なんかは、RPG風の軽妙な筆致が良かったですね。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」の謳い文句からは、お風呂の素晴らしさを称賛する作品ばかり並んでいそうな印象を受けますが、お風呂に入らなくてもよくなったと主張する人を描く作品、更には「人類を風呂から解放する」と高らかに宣言する作品まであるのも非常に面白いところです。
(ネタバレ防止のために、具体的な作品名を挙げるのは避けます。)
本書が風呂キャンセル界隈の人のモチベに効くかはわかりませんが、お風呂というテーマがここまで多様な作品を生むことに感動できるのは間違いないです。