あらすじ
まさかこれが自分の生活なのか、とうたがいたくなるときがあります。
それは自分にはもったいないようなしあわせを感じて、という場合もあれば、
たえられないほどかなしくて、という場合もあるのですが、
それはもちろん自分の生活であるわけです。
その自分の生活というものを、つまりは現実を、
べつだん、大げさにも卑屈にもとらえず、そのまま受けいれたとき、
みえてくるのは「ほのおかしさ」ではなかろうかと思います。
ままならない生活にころがる「ほのおかしさ」を私はずっと信じています。
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自費出版作品としては異例の売れ行きを記録した
『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』の小原晩、書き下ろし最新作!
まぶしいほどまっすぐで、愛おしい。ままならない生活をめぐる38編のエッセイ。
感情タグBEST3
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優しい。優しくて人一倍感情に敏感なのだ。
殆どの「うまくやれる側」の人間はずっと矢印が外へ向かっているでしょう。何かあっても深く理由は考えず、自分の方へ矢印を向けることはないと思う。他へ向けて、その向けられた相手もまた他へ向けて。
それでも他人の感情に敏感で、変なところで真面目なタイプの人間は、その矢印連鎖を自分のところで止めてしまいたいと思ってしまう。むしろ自分がその矢印の最終地点なのかなとも。なんとなくそんな印象をこの本を読んで感じました。
心のホウプと対話したい。自分の心に耳を傾けたい。
本当に何もかもが自分のこれまでの生活の中で実際にあったことと重なって、まるで自分の日記を読んでいるみたいだった。ひとつひとつ丁寧に、考えながら生きている感じなんだけど、でも考えすぎて一周回って何も考えられなくなったり、このまま入浴剤みたいにお湯に溶けてしまいたいって気持ちに激しく共感してしまった。
とにかく優しく繊細で布団みたいに包み込んでくれるエッセイで心が温かくなりました。
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やっぱりこの人の文章が好きだ。前作と内容や登場人物が被る部分も多いのに、読みたくなってしまうのは、ひとつの出来事や同じ人物に対して、小原さんが特定の感情にこだわることなく、色々な感度から覗きこんで、色々な可能性を含んだ解釈をしているからだと思う。特に「ほんとうはやさしい子」「兄のサービス」なんかは、前作の兄への印象とは大きく異なっていてすごく印象に残った。生き様は真逆でも、同じ人間から生まれ、同じ家で、同じルールのもと育ったから共有できる感覚みたいなものをここまで表現できるのはすごいと思う。
それから、わさびとテストの話を読んでどこに江國香織を感じるのかまた少しわかった。恋人の善意を無碍にできず、涙を浮かべながらわさび入りの寿司を食べるなんて健気だし、それに気づいてほしいなんて意地らしくてかわいいなあと思った次の瞬間、「私はいつのまにかわさびを平気で食べられるようになっていた」とつづく。こっちが切なさを覚えた途端に突きはなされる。
テストの話もそう。苦手だった勉強に目覚めて、それまで雑に扱われてきた先生たちから認められた瞬間、「私はざまあみろと思って、すっかり満足し、また勉強に興味がなくなった」。人間くさくてリアルな一方で、熱が冷めて現実に戻る残酷さがある。
がんばって誰かの望む自分になるところまでは健気なヒロインそのものなのに、途中でぶりっ子(言葉のあや)をやめて「じゃ、私のスタンスに戻りますね」ってところに芯を感じるし、その温度差に惹きつけられる。
こういう、ふんわりした雰囲気のなか、最後にスッと真顔に戻る文章を書けるのも才能だと思うけど、何より小原さんは生きてるだけで勝手にドラマになる星に生まれてるみたいだ。三人暮らしの初日を祝っていたら居酒屋で救急車を呼ぶような喧嘩が起きるなんてあまりにもフィクション。三人暮らしのメンバーも個性豊かで、奇人の周りには奇人が集まるのかな、と思ってしまった。
p67
次へ行くと決めた人間というものは、そうやって、自然に、当たり前に、さらりと顔を合わさなくなるものであるのだと、私はそのとき知ったのだった。
p155
彼はたしかにやせている女のひとが好きだったけれど、たぶん、ほんとうは、彼は、彼のためにやせようとする私を見て、やっと彼へのきもちを確かめていたのだ。
小説の一文すぎる。エッセイでこの空気を出せる人を私はこの人と江國香織以外知らない……
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前作につづき、小原晩さんの人柄が文章や選ぶ言葉に溢れており、この唯一無二の世界観が心地よくて、好き。
小原晩さんの豊かな感受性は、やり過ごしてしまうような何気ない日常、きっと相手にとってはほんのささやかな関わりの中からも、何かを感じ取る。その時の感情に向き合うことで、社会を知り、自分の心を育てていく。自身の等身大の言葉で綴られるエッセーにはリアリティや重みを感じて、感情移入させられた。
自分自身も日記を残したいと思った。日常で経験するどんな退屈、平凡に思うことさえも、何かを得ているんじゃないかと思わされる。自分の感性とも向き合って日々の棚卸をしていきたい。
p.s.
心が「無」である時の感覚表現がしっくりきて好きな一文。
"その間、心のなかは無である。からっぽ、というのとは違くて、心には無が満ちていて、それ以外はもう入る隙間がないという感じである。"(生きたくなるセット より)
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友人の杉野さんが姉につけられたあだ名が「斎藤」というエピソードは、
田中芳樹氏『創竜伝』の子犬に「松永良彦」と名付けた以来の衝撃だった。
それと兄のレモンティーたまらん。
美容室の先輩の客引きのコツが自分に全く応用できなかった話はふつうに経済のTipsとして感心した。
対象(客)と自分(販売)がお互い人間だとマニュアル化できなさすぎる好例。
「自らのストロングポイントを生かして対応しよう!」
とか具体性に乏しい自己啓発本みたいなのが流通するのはこういうケースがあるからだろう。
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すごく詩的な文章を書かれる人ですね…!
恋愛感情に振り回されるようなところもあって親近感。内容も文章も読みやすい。
ずっと文章を書いていた人なのかと思っていましたが美容師さんだったとは。波瀾万丈な生活をシンプルにまとめていて面白い!
個人的に三人暮らしがとても微笑ましくて愛おしく感じました。
他の作品も読みたくなりました。
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仲良くなりたいと言ってくれた人が貸してくれた。僕も仲良くなりたかった。友だちになるかもしれず、それよりももっと淡くて名前をつけるにはもったいないような関係になるのかもしれない人。一瞬の気まぐれだと後から思い、知り合いでなかった頃の距離に戻るかもしれない人。僕は近づきたいから、彼女に借りた本を読む。
とっても良かった。人生を書いているから。
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影響を受けて今日は日記を書いた。
わたしは過去を思い出す力が弱いので、小原さんは小学生時代を覚えていてすごいな〜と思ったり。
苦しかった時期もあっただろうけど、いまは穏やかに暮らしていそうでいいね。
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小原晩さんの移り変わる生活とその中で起きた出来事を記したエッセイ。 ヤンチャな兄の存在、労基アウトな職場、生活用品全捨てリセットとかなり波乱万丈なことも、淡々とさりげなく描かれているためかえって引き込まれた。
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最近暮らすことや生活することに対してうっすらと興味があったので、こちらを。言葉の選び方やリズムが心地よくてすきです。おろおろとしたものを出す、という表現を気に入りました。
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『ここで唐揚げ弁当を…』も読んだけど、
日記なのか、エッセイなのか、文学なのか、カテゴライズなんてどうでもよくなるような、あけっぴろげな書きっぷりが気持ちいいよね。
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一人暮らし、実家暮らし、寮、3人暮らし、と過去を振り返り話が進んでいくのだが、時系列はバラバラなのに読み終わった後、1人の女性が学生から成長して最期誰かと一緒になるまでを見届けたような気持ちになる
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ひとり暮らし、友人たちとの三人暮らし、実家暮らしなど、著者が実際に体験した日々の小さな(たまに大きな?)出来事を綴ったエッセイ。
自分を飾らずにありのままを書いていて、脱力感があって、するすると読み切ってしまいました。
平和な日々や楽しいとはいえない日々が混ざりつつ、けどなんだかんだ人生を楽しんで自由に生きている著者の言葉に、私自身も元気づけられました。
「それより私とサボりませんか」の話が特に好きで、誰もが考えてしまうような人間の弱いところを表現していて、面白かったです。
著者の別のエッセイである「からおげ弁当をここで食べないでください」にも登場した方たちも垣間見れて、よかったです。
その作品は半年前に読んだのですが、読みやすい文章の中に丁寧に、個性的に描かれているので、著者の印象に残す力が強いのかと思いました。
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私も一人暮らしをしたり、実家に戻って今生活をしてる中で、生活って、こんなにも愛おしいんだ、ひとつひとつの何気ない生活なのに、こんなにも思い出や愛おしさが詰まってるんだ、わたしがしたいのはこんなせきかつだー!!!みたいなものが詰まっててよかった
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素直な飾らない文章のエッセイ。
他人の生活を切り取ったら小説みたいだな、って読みながら感じた。
それは作者の持ち味のせいかも。
また彼女の生活を文章を通して知りたくなった。
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ユーモアのある素敵な先輩に教えてもらった本。
春の日に、窓を開けて読むのにとてもよかった。
全体的にひらがなが多く、ふわふわした印象。また、私の語彙が少ないのかもしれないけど、あまり聞いたことのない独特な表現を多用していた。ひとつひとつの話が長くなく、かつリズムのいい引き込まれるような文章なので読みやすかった。
読んでいて、結構ハードモードな人生なんだなと思った。でも、それをそこまで苦に思っていないし、なんなら、楽しそうで、どこか客観的に捉えている気がした。なんとなくずっと恋人のような存在がいるのに(知らんけど)、めっちゃハッピーとはなってなくて、つかみどころがないなと感じた。
この本から読み取れる印象は、生活を少し笑顔になれるように切り取れる人だということだ。客観的で楽観的、私が憧れる生き方で、おそらく私は仲良くなれない人だ。(もし、小学生以前に出会っていたら、仲良くなってたかもしれないが、中学生以降に知り合っていたら、仲良くはなっていないだろう。)
三人暮らしと実家暮らしのほんとうはやさしい子と兄のサービスが好きだった。
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一人暮らし、三人暮らし、実家暮らし、寮暮らし、二人暮らし、その時々のエッセイ
私は実家暮らしの章が好きだなあ
前回のエッセイでもそうだけど、小原さんとお兄さんのかけ合いがすごく好き
ヤンキーのお兄さんだけど本当は優しいんです
Posted by ブクログ
難しい言葉が使われておらず、かなり読みやすいエッセイだと思う。
小原晩さんの作品は初めて読み、文体のリズム感が特徴的で面白かった。
美容師時代の精神的・肉体的な疲労感が伝わって来た。
美容師時代のスティックパンしか食べてなかった食を意識する余裕のない時代から、ずいぶん食を楽しめるように回復されていて良かった。
生活の一つ一つを、愛おしむ様な優しい表現も良かった。
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さり気ない日々の中の たのしさ、ときめき、きらめき、どんより、もやもや。そんな一瞬が散りばめられて、それぞれの日々に優劣はなく戻ることもできないけど、どれも自分の欠片なんだと気づかせてくれるような一冊。
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なんてことない普通の生活をちょっとのぞき見したようなエッセイ。
ひとり暮らし、友人たちとの3人暮らし、恋人との2人暮らし、それぞれに普通の生活があってどれも味わい深い。
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自費出版作品としては異例の売れ行きを記録した『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』の小原晩、書き下ろし最新作!
気になっていた唐揚げ弁当の著者。わくわくしながら読みました。新しい作家さんでまだ有名になりきっていないときの新鮮さというか、独特の光がある感じ、いいよね。文章は読みやすくて、あーいいねと気軽に頷ける感じ。その分ぎゅっと刺さるかと言われると正直私には微妙だったけど、好きな人は多いんじゃないだろうか。3人暮らしの話が一番面白くて、やっぱり気が合う女同士のシェアハウスってまじで楽しそう。一回やってみたいなあと思った。彼氏との同居生活は、彼氏の思考回路がいまいち理解できなかったのもありそこまで面白味を感じず。
Posted by ブクログ
とても好きな本屋さんで装丁に惹かれて
衝動買いした本。初読の作家さん
で、いきなりエッセイはなかったかなと。
冒頭は軽めの文章でさらっと入れたのだけど
後半は何やらイマドキの遠回しな言葉で
恋の話。なんだけど使い慣れない言葉を
わざわざ選んで使ってみた?的な印象。
好き嫌いがはっきり出そうな作家さん?では
あると思う。単に自分には合わなかった
だけだと思うけれど1冊読んで批評するつもりは
全くない。
Posted by ブクログ
「こんな生活あるのかしらん」なんて思ったりして
なぜか悲しくて可笑しい文章が
ストレートに心にささる。
読むのを止めることが出来ない
この魅力はどこからくるのか?
これからもそっと小原晩という人を見続けていたい。
Posted by ブクログ
休日にゆっくりコーヒー飲みながら読むエッセイとしてはいい温度。
兄との関係が描かれてるところが一番好きかな。
最初の洗濯物の話は、ザワザワして「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」に通ずるものがあるね。
Posted by ブクログ
人間とはなんと自分勝手なものかと思い知らされる数々のエピソードを、鳥のような高い視点から冷静にエッセイに落とし込んでいて、読んでいて落ち着く。
Posted by ブクログ
なんともかわいらしい話。
かわいらしい人が書いてるのかな?
エッセイ漫画みたいになったら読みたいような、文章だけだからいいような。
若い日々。自分で決めて生きてる人の若い日々。いいなぁ。