井筒俊彦のレビュー一覧

  • コーラン 上

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    ネタバレ

    ややこしい本を読む方法で紹介本の1冊である。1冊本のコーランよりも格段に読みやすい。信者は信者を殺してはならない、と書いてあるにも関わらず、殺人が絶えないということには回答されていない。

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    2025年06月24日
  • 意識と本質 精神的東洋を索めて

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    井筒俊彦の文章が初めてわかりやすく感じて、何が書いてあるのか朧げに浮かび上がってきた。

    若松英輔が新聞の文芸欄で井筒の偉業を解説して、柳田國男や折口信夫の巫女や神話の話、言語のもつ霊性、アラヤ識、大乗仏教や空海、禅や無の思想などのことを書いていたのが印象に残っていた。自分の読書体験のなかでも井筒の東洋哲学や思想がいろいろなところで目につき気になって仕方がなかった。そうした経緯で彼の著書『イスラーム思想史』が重要な必読書となっていた。しかし哲学と宗教の専門用語と彼一流の深い表現についていけず何度となく途中で読むのを諦めた。彼の思想は難しくて自分には理解するのは無理だと思い込んでいた。
    なのに、

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    2024年11月25日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    イスラーム文化という壮大なテーマを、わずか1時間×3回に凝縮して語られた講演録である。書籍化するにあたって加筆修正もされているようであるが、もともと話し言葉で語られたものであるだけに、とてもわかりやすく、私は行間からいくつもの絵や図を想起した。

    本書では、クルアーンやハディースなど聖典をめぐる問題、神と個人との関係から始まり、シャリーアといった法や倫理をめぐる問題、シーア派とスンニ派、イマームやスーフィズムに至るまで多岐にわたるテーマが出てくるが、それが紀元610年~622年のメッカ期と、622年~ムハンマドが亡くなる632年までのメディナ期という性格の異なる2つの時代にきれいに整理・収斂さ

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    2024年08月13日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    予備知識が無かったが読みやすかった。もちろん専門用語は多いし哲学の話も入ってくるが、都度必要なだけ説明があったのが良かった。
    『脱常識の社会学』に引き続き、講演を書籍化したものは良著が多いなというイメージ。

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    2024年05月08日
  • コーラン 上

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    六信。アッラー・天使・啓典・預言者・来世・予定を信じなさい。アッラー以外に神はなし(47:19)。ムハンマドはアッラーの使徒(48:29)。アッラーは全能(35:1)。神に並ぶものは存在しない(4:48)。
    ※ムハンマドは預言者・人間。神ではない。クルアーンの著者はあくまで神アッラー。アッラーが天使ジブリール(ガブリエル)を通じて、ムハンマドに伝えた内容。
    ※カリフは「ムハンマドの後継者」という意味。
    ※「アッラー」は固有名詞ではない。唯一神を意味する言葉。
    ※ラー・イラーハ・イッラッラー。ムハンマドゥッラスールッラー。

    五行。信仰告白、礼拝、断食、喜捨、巡礼をしなさい。礼拝。決まった時間に

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    2025年02月09日
  • 意識と本質 精神的東洋を索めて

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    かなり興味深く面白いものの、井筒さんの知識量と引用範囲が広すぎて、時々著書の趣旨を見失いそうになる。後半の8、9、10あたりはかなり難解だった。

    表層意識、深層意識。分節、無分節。などなど難しい言葉が結構出てくるものの、かなり丁寧に反復しながら言葉の説明をしてくれる印象。とにかく東洋思想の意識・本質の捉え方は、極めて多層的で反二元論的であることがわかった。サルトルの嘔吐、荘子の道など、読んでみたい本が多く出てきた。

    普段自分がどのようにして事物を捉えているのか。言葉無くしてその物の存在を証明することは可能なのか。その物を表す言葉(名前)は何を持ってそれになるのか。つまり言葉には必ず本質が求

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    2023年02月05日
  • 意識と本質 精神的東洋を索めて

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    意識とは何か?を知るに非常に勉強になりました。
    著者はイスラム哲学、仏教、禅、老荘思想、儒学、ソクラテス、プラトンのイデア論などのあらゆる角度から意識の本質を説明します。
    意識にも表層意識と深層意識があり、著者はこの深層意識に立ち現れてくる存在の実体と表層意識に現れる実体の違いなどを様々な思想をでかがりに、さまざまな角度から物の本質を媒介として意識の本質を説明します。
    説明された内容はすでに概念化されているため、この概念化を脱した脱概念のむき出しの実在の本質について解き明かします。なかなか面白く手応えがある読み物ですが意識を知るに大変参考になりました。

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    2022年05月14日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    一昔前のビジネスマン?向けの公演の内容ということらしい。
    堅苦しさはなく、読みやすい。
    一宗教としてでなく、文化そのものを包含し吸収と発展を遂げてきたイスラームと、イスラームを育てた中近東について体系的に知ることができる。
    イスラームとはなんぞや、という入門にはうってつけの本と言えるだろう。
    詳しいことは他の本を読む必要があるが、読みやすさと幅広さをして良書と言える。

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    2022年01月03日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    “言い換えますと、イスラーム法とは、神の意志に基づいて、人間が現世で生きていく上での行動の仕方、人間生活の正しいあり方を残りなく規定する一般規範の体系でありまして、それに正しく従って生きることがすなわち神の地上経綸に人間が参与することであり、それがまた同時に神に対する人間の信仰の具体的表現となるのでありまして、その意味でイスラーム法がすなわち宗教だといわれるのであります。“

    例えば日本文化について3つのテーマから述べよ、と言われたら、仏教や神道などの宗教をテーマの一つに選ぶことはあるだろう。
    しかし、法について、というのはどうだろう。
    ちょっと思いつかない。
    漠然とした「文化」なるものをどう

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    2020年05月26日
  • 意識と本質 精神的東洋を索めて

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    ネタバレ

    サルトルは嘔吐で、神降ろしに失敗して、それが"得体のしれない"ものに見えた。悟りや禊を終えてないものが、偶然、原初の存在を見せられるとどうなるかを示している。

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    2019年12月19日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    1981年、第2次石油ショック、イラン革命、イラン・イラク戦争の衝撃がおさらないなか、一般の人を対象とした講演を本にしたもの。

    といっても時事的な話になるはずもなく、著者は、日本におけるイスラームがほとんど関心外であったことを指摘しつつ、その根源にあるイスラーム教の根本的な構造を明快に説明してくれる。

    さすがに当時よりは、現在日本での一般的なイスラーム理解は進んだんだろうと思うのだが、それでも、知らなかったことをたくさんあった。

    イスラーム文化というからには、やはりコーランが中心になって、それを絶対的な基準とするというところでの共通性がイスラーム社会にはあるのだが、その解釈の違いなどから

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    2019年11月12日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    「イスラーム生誕」に続けて読んだ。これまたおもしろかった!
    シャリーアに依拠するスンニー派(アラブ)と、ハキーカに基づくシーア派(イラン)、そしてハキーカそのものから発出する光の照射のうちに成立するスーフィズムの3つについて述べられている。
    スンニー派とシーア派の違いについてよくわかった。かたや「外面への道」、かたや「内面への道」というまったく逆の道をたどるのだと。
    スンニー派もシーア派も、現世を悪と考えるところまでは同じだが、シーア派は悪いスンニー派のように悪い現世を良くしようとはせず、現世に背を向ける。隠者、世捨て人として長い修行の道を行く。これが自己否定の道であり、これを突き詰めていくと

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    2019年10月21日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    ◯イスラーム文化を理解するための入門書。
    ◯大学受験で世界史を選択した者であれば、おおよそ知っている話が多いが、その文化や精神世界を改めて論理的に説明されると、なるほど、理解が深まり、面白い。
    ◯歴史的なイランとイラクの相克や、トルコやエジプトに関するイスラーム世界での立ち位置なんかも知ることができる。
    ◯現代の中近東における国際政治の動向を知る上でも、導入書としてオススメの一冊。

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    2019年08月18日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    知的好奇心を満たすとてもおもしろい本。
    イスラーム文化の精神性、多重性、信仰だけに留まらず、社会規範としての役割など、までもわかりやすく説明されている。手元に置き、線を引いて読み返す。

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    2018年10月15日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    1981年に3回にわたって行われた講義を書籍化。メッカ、メディナそれぞれの時代の成立の歴史、メディナ期以降のイスラーム法成立と政治運営の関係、外面的な方向性を持つスンニ派と内面的な方向性を持つシーア派の比較、さらには自己を否定するがゆえに「我=神」の境地となるスーフィズムまで。再読しなくては。

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    2017年09月27日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    コーランの内容は商人の言葉で満ちている。
    アッラーはヒジュラ(聖遷)の前後で変容する。前期は脅威であり、後期は救いである。
    「お隠れ」になったムハンマドの子孫が、終末に姿を現し人々を救うのを待っている。

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    2016年08月18日
  • コーラン 上

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    前提として自分が持っていた知識を大きく超える記述は見られなかったけれども、キリスト教・ユダヤ教への対抗意識の表出や、時代の変遷に伴う記述の変化を実際に読むことが出来たのは収穫であった。時代による記述の変化の存在を頭に置いて読まないと、混乱を来してしまう恐れがあるので注意されたし。

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    2012年11月20日
  • イスラーム文化 その根柢にあるもの

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    あまりにも馴染みがなく、理解の手がかりをどこに得るべきかすらわからない、イスラムの文化や考え方。だが、井筒の講演録をベースとしたこの本は、ビジネスパーソンを聴衆として内容が選択され練られたものだけに、とてもわかりやすい。
    アッラーは、哲学的、抽象的な「神」だと思い込んでいた。しかし、井筒によれば、人間と絶対超越ではあるが「生ける神、生きた人格神」であるとのこと。

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    2018年10月14日
  • 意識と本質 精神的東洋を索めて

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    手が届きそうで、そうはいかない。そう易々と分からせてもらえない。なのにあとちょっとで届きそうだから追い求める。また今度リベンジしてやる。

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    2009年12月08日
  • コーラン 上

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    上・中・下の三巻。言わずもがなのイスラム教聖典。雷鳴のようにとどろくアッラーの声と、地獄の恐怖とアッラーの慈悲深さに危うく、イスラム教徒になろうかと思ってしまった。ユダヤ・キリストと同じ一神教ながら、旧・新約聖書とはかなり趣が違った。また、それぞれの巻に書かれている井筒氏の解説はコーランの成立やその背景、ムハンマドの生涯の理解に役に立つ。素晴らしい。

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    2009年10月04日