井筒俊彦のレビュー一覧
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イスラーム文化を、真にイスラーム的ならしめているものとは何か。今や世界動向を左右するほどの力を持つこの宗教の根源に、イスラーム研究の第一人者が迫った書籍。
イスラームは、アラビアの商人であった預言者ムハンマドが興した宗教で、商業取引における契約の重要性を意識している。すなわち、イスラームは商売人の宗教といえる。
神の啓示を受けたムハンマドは、その神の言葉を記録した。それが聖典『コーラン』である。ここに書かれた言葉を解釈するのは人間であり、理解の仕方や解釈は人によって様々だ。この自由性が、イスラーム文化の多様性の源となっている。
イスラームという宗教は、聖と俗の領域を区別しない。神聖な領域 -
Posted by ブクログ
イスラム教がキリスト教やユダヤ教と同じ神を崇拝していることすら知らなかった私のような無知者でも一通りの知識は得られた(ような気がする)イスラム教の入門書。キリスト教ひとつとってもカトリック、プロテスタント、東方教会、西方教会、ルター派、カルヴァン派など様々な宗派が存在するのと同様に、イスラム教もまた同じ聖典「コーラン」からさまざまな宗派が派生し今日に至るまで闘争し続けている理由がよくわかった。おそらくこの先も統一されることはないだろうということも。
相関図を書かなきゃ分からなくなるくらい複雑ではあるけれども、キーワードが明示されているので整理すれば非常にわかりやすい説明になっている。
文 -
Posted by ブクログ
読み終わった。…ツラかった。ツラかった!
ナニコノ精神攻撃。
なんの苦行!?
「コーラン」つまり「クルアーン」はもともと「読誦」を意味するそうです。
つまり、この内容を、イスラームの人たちは日々読みあげている、と。
そもそも「言葉」には力があるんだよ?(と私は信じてる。)
それなのに、これを毎日読み、聞くなんて…!
なんて恐ろしい。
「コーラン」を読んだきっかけは、「知らない」というコトは恐怖や嫌悪の原因になる、知れば、怖くなくなるかもしれない、と思ったから。
読み終わって。
「知った」からこそ、怖いコトがあるんだと分かった…。
怖かった。
イスラームの人たちから、私たちはこう見えている -
Posted by ブクログ
言葉とは、本質とかなにか。哲学的には実に普遍的なテーマだが、それを東洋哲学の視点から語った本は案外貴重だ。とにかくよくもまぁこんだけ幅広くポンポン話が出てくるもので、著者の名を世に知らしめているイスラーム哲学は当然ながら、その出典は世の東西を問わずアリストテレスら西洋古典哲学に、儒学・老荘思想に禅の言語論や仏教的世界観、あげくにカバーラまで登場する。ただ、語られている論点は非常に限定されているし、文章自体は難解でもないので、案外読みやすい。あくまで「東洋思想によってどう語られてきたか」という切り口。それほど身構える必要はなく、場合によっては興味のあるところからじっくり読んでいけばよい。ただそ