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イスラーム哲学研究の第一人者が,『コーラン』をテキストにそって,多角的な観点を用いながら解読する.イスラームの根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を通して,『コーラン』の深い精神性が明確にされる.本書は,優れたコーラン入門としてはもとより,井筒哲学の基礎的構造を論じた「井筒俊彦入門」の書でもある.(解説=若松英輔)
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Posted by ブクログ
これは分かり易い。 井筒先生のまるで息遣いが伝わってくるような気がする素晴らしい本。 時を置いてまた読み直してみたい。 「『コーラン』を読む」という本だが、単に読むのではない、そこには「一つの与えられた言語テクストに対して解約学的操作が加えられなければならない」という高度な知的作業を行うというもの...続きを読むだ。 7世紀のアラビアの砂漠に生まれた『コーラン』。日本人である我々との間には想像を遥かに超えた距離がある。そんなことももろともせず『コーラン』の読み方を解説する井筒先生に敬服する。どうしてこんなこのができるのか。30言語に堪能な語学の鬼才、井筒先生しかできない偉業だ。 『コーラン』は神のコトバ、啓示で約20年間にわたって作られた。始めから終わりまで一字一句、ムハマンドの口から出たコトバ。しかも、当時は本の形になっていない。讀むつまり暗誦していた。今でも『コーラン』の全てを暗誦している人が沢山いるようだが、その量、岩波文庫で上中下の3巻にわたる膨大な量。人の能力、凄いとしか言いようがない。 7世紀にムハマンドに起きた神の啓示。これが『コーラン』なのだが、ムハマンドはアラビア語を読めなかった。だが、暗誦はできた。それが今、イスラム教の聖典として世界に大きな影響を与えている。 やはり、アラビア半島、オリエントと言ってもいいかもしれないが、ここには地球の中でも特殊な「磁力」があるような気がする。その「磁力」が神の啓示という現象を引き起こすのかな。
たった数行に含まれる、表面的に訳せる意味からは到底見えないあらゆる背景を延々と具体的な例示やニュアンスとともに読み解いていく内容で、詩文やそれに類する、特に古い文に書かれてる内容なんて、意味解ったって解りきらんな、をすごい痛感。 そして、それだけ延々と文そのものだけからは見えないものを「読む」講話...続きを読むの書き下ろしだったにもかかわらず、後記で書かれてる「読む」に関する話がまさに皮肉を効かせてるかのようにも読めて、笑ってしまった。 井筒さん面白い人だなあ。
いくつかの宗教について学んだが、ついぞ、イスラム教について学ぶ機会がなかった。9・11以後、日本に住む私にとっても、折に触れひっかかるテーマではあったが、やはり、距離を感じていたのだろう。 ようやく手に取った一冊であったが、ここから学び始めることができ、とてもよかったと思う。 おすすめ 東京ジャ...続きを読むーミィ 見学会 TEDTalks LesleyHazleton "On reading the Koran"
世界宗教としては一番新しいものであるがゆえに、その時その頃の一神教としては最適化していたがゆえに、思った以上にその在り方が難しく見える。あらためて難しい宗教だなと思った。一神教としてはとても合理的な宗教なのだけど。
「読め」ばわかりますが、「コーランを読む」という題名から発想されるような・・・・、市民文化講座「源氏物語を読む」をイメージして読み始めると期待は裏切られる。 しかし、裏切られる感覚は知的には快感である。 なるぼと・・・・「読む」とはそういうことだったのか・・・という自戒。文化講座でなかったという喜び...続きを読むもある。 ただ、あくまでも岩波のセミナーですから、語り口調でとてもわかりやすい。 なるほど、エクリチュールを紐解くというのは、並大抵のことではないのです。
ムスリムが良かった時などにマーシャアッラーと言うのを知っていたが、日常生活においてもアッラーの名前を口にするのが普通で、深い宗教的意義をもたらすため、神の名前を事あるごとに口にするのがイスラム教の特徴らしい。ユダヤ教のヤハウェとは真逆だ。そして、神は絶対的支配者であり、人間は神に従うしもべとして位置...続きを読むづけられるのがイスラーム的な信仰の在り方。普通一神教と聞くと、全知全能で抽象的な神というイメージだが、アッラーはそういう哲学的・形而上学的な神ではない。アッラーは歴史の中でアブラハムやイサクやヤコブと関わった人格神だ。つまり遠い存在、抽象概念としての神ではなく、人間の歴史や生活、行動に直接関わる神である。だからムスリムにとって、神の行動や命令は具体的な規範や物語を通して理解される。ムスリムは人間の歴史や生活に直接関わる神を信じているということだ。イスラーム法が存在するのも、そうした世俗に関わる事柄まで神の意志によって秩序づけられているからなのだろうと思った。
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