浅暮三文のレビュー一覧
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メフィスト賞を受賞した、でもミステリじゃない風変わりな小説。行方不明になった恋人を探して、ついに辺境の地・ダブ(エ)ストンに漂着した主人公が繰り広げる恋人探し道中…の合間に、謎の王様と執事ピエールその他の大集団の謎な旅模様、変なところで道徳的な半魚人、蝶ネクタイに手間取る熊、さまよう幽霊船、「白馬に白タイツ」の白雪仮面などなどなどなど…ダブ(エ)ストンを迷い歩く者たちの小話が突然紛れ込む!迷うファンタジー。タイトルの絶妙なバランス感覚、本文冒頭の文章の引き込みのうまさが瞬間的にレジ行きを決意させる本!?癖のないさっぱりした文章は非常に読みやすく、ダブ(エ)ストン全体の妙さ加減も面白い作品です。
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けっこうおもしろかった。初読の作家さん。メインキャラの白井氏より、白井氏の大学時代の知り合い(知り合い?だったかしらんが同窓生)の警察犬ハンドラーの原が主人公に思えてくる。一人、関西人異邦人の原友美。関西弁というか神戸系っぽいような、結構オセンティックな発音が頭に浮かぶ、いい話し言葉なので、作者は関西人だろうか、といらんことも考えてしまう。動物が専門ではなさそうだが、良いトピックを拾って面白く設定つくっているな、という印象。
カラスの貯食を利用した事件解決。文鳥と鳩の審美眼を利用した事件解決。警察犬の嗅覚とニホンリスの習性で事件解決。セミの習性で解決。オオムラサキ、ツバメ、イヌワシ、カモシカ、 -
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【感想】
・このミステリは「こう」と明確な推理はしない。動物の行動を根拠に確率を少しずつ上げてゆき絞り込む。最後まであくまでも蓋然性の問題であり確定はしない。このパターンは新しい気がする。
・著者は関西の人みたいやけど、作中の関西弁がなんかヘン。関西弁に「ですます」をつけてるからかな? もともと関西弁、特に大阪の商人言葉はそれ自体で敬語を含む用法が可能やから。
【内容】
・誘拐犯が死んで誘拐された人の居場所がわからない。
・鳩や文鳥の絵画鑑賞能力が盗まれたシャガールを見つけ出す?
・バラバラ殺人で身許不明の腕や足から犯人を追う犬たち。リスやアリの行動をヒントに。
・現金輸送車襲撃犯はつかまっ -
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「セブン」シリーズの2作目。
主役は、文京区本郷M署の女刑事、如月七。親しい者は、彼女を「セブン」と呼ぶ。
カナダ人の父親と日本人の母親の間に生まれたハーフで、彫りの深い美しい女性だ。
1作目も同様なのだが、捜査を主導するのは先輩であり、
彼女の師匠でもある土橋。
セブンと土橋の間で交わされる、クイズのような、禅問答のようなやり取りは、たまに「?」となる。
土橋から捜査のヒントを得ながら、事件を推理、捜査を行う、つまりは、彼女の成長物語ともとれる。
また、五歳の時、自宅が全焼し、その際、両親を失っている。
そのショックで、感情を置き忘れたようで、そのせいか、彼女自身の感情の揺れ -
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また、新たな女性刑事モノに出会えた。
だが、最近、過去にさまざまな事件で傷を負っていたり、事件で家族を失ったりしている刑事がやたらと多すぎませんか。
この作品の主人公、文京区本郷M署に勤める如月七(ナナ)もそうなんですね。
カナダ人の父親と、日本人の母親との間に生まれたハーフ。彫りの深い顔、長い手足、170cmに近い身長とくれば、ああ、きっと「美しすぎる刑事」とか呼ばれるんだろうなと、余計なことを思ってしまう。
だがどうやら、幼児期にその両親が殺害された模様。
(まだ、この作品では真相が明らかにされていません)
その傷のためか、感情を置き忘れたようなところがあるが、一人の親友と、そし -
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ネタバレ夢遊病のためにどこかよく分からない場所に行ってしまった恋人タニヤを探して旅立った考古学者ケン。乗っていた船が難破して辿り着いたのは、目的地ダブ(エ)ストンだった。地下鉄を運行する親子や人食い熊、郵便配達人など、様々な人や人じゃないものと出会いながら旅を続け、やがて自己の本質に思い至る。
ダブ(エ)ストンとは架空の場所で、なぜ(エ)なのかというとそこにいる人々が各々違う発音をする為だ。それで(現実の)書店では(エ)を発音するかどうかで混乱したという。本当なら面白いエピソードだ。勿論本編も面白い。カテゴリとしてはファンタジーよりも冒険小説だと思う。ダブ(エ)ストンの環境は厳しく、生きていくだけで -
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メフィスト賞受賞作だけどミステリではない異色作。
夢遊病である日突然いなくなってしまった恋人のタニヤを追って、謎の島ダブ(エ)ストンへ向かったケン。
ダブ(エ)ストンでは誰もかれもが道に迷っている。
幽霊や王様、人食い熊や半魚人なども道に迷っている。
ケンは郵便屋のアップルと出会い、ともに旅をする。
不思議の国のアリスみたいな雰囲気もあり、正直かなりとらえどころのない作品。読み終わるまでにけっこうな時間かかってしまった。。
でもラスト近くで繰り返される「たどり着くことではなく目的地をめざしてさまよい続けることが楽しいのだ」という感覚はわかる気がする。
あまりに心もとなくてどうしても「それ