テッドチャンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレようやく文庫を発見した。
待ちに待ったテッド・チャン二冊目。
『商人と錬金術師の門』はハヤカワ文庫のSF傑作選『ここがウィトカなら、きみはジュディ』で、『息吹』は『SFマガジン700』でそれぞれ読んでいたが、テッド・チャンの文庫として入手できてとても嬉しい。
私がテッド・チャンの文章を表現する時よく「緻密」という言葉を使用するのだけど、今回も改めて。もっとも緻密なのは表題作の『息吹』。静かで、息を殺して主人公の一挙手一投足を見守るような、そんな読書体験。
そして『息吹』もそうなのだが、構築された世界観にも言及したい。
『息吹』は人間ならざるもの(ロボット?)が生きる世界。
そして神が世界 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第一作品集は全作面白かったが、本作9編もまた、全作面白い。
ひとつひとつ感想は書かないが、第二作品集は親子のテーマが多いせいか、人の善性を歌い上げるような話が印象的。
もちろん、徹底した思弁と、辛い状況をふまえて、なお人には自由意志があるのだ、と。
絵面としては「息吹」が可愛くてお気に入り。
■「商人と錬金術師の門」
■「息吹」
■「予期される未来」
■「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
■「デイシー式全自動ナニー」
■「偽りのない事実、偽りのない気持ち」
■「大いなる沈黙」
■「オムファロス」
■「不安は自由のめまい」
◇作品ノート
◇大森望 訳・解説 -
Posted by ブクログ
同著者の別作品『息吹』がすごく良くて、この本もいたるところで良い評判だったので、『息吹』を読んだ時と同等の面白さや感動を得られるのではと期待していた。期待しすぎてしまっていた。結果、悪くはないが思っていたほどではない。
表題作『あなたの人生の物語』がいちばん好き。地球外生命体との交流というと、映画公開直前となった別の某作品が思い浮かぶ。その作品では故郷に危機が迫っているエンジニア同士が意気投合するという流れだが、本作品は言語学者である主人公が地球外生命体の用いる言語や文字を学ぶことで異質な思考法を習得する。話の終盤になって、この物語の間に挟まれる主人公の娘にまつわる回想の意味、そしてその回想 -
Posted by ブクログ
星3.5
日本人には馴染みずらいメッセージが多いと感じた。
映画化された「あなたの人生の物語」(映画の題名は「メッセージ」)を含む短編集。
・もし神罰が実際に存在する世界だったら?
・もし人間の美醜を見分けられなくなる装置が発明されたら?
等、この世界においてひとつだけ「もしも」の設定を組み込み、それ以外はその設定に基づいて徹底的にリアルに描写されていた。
私が三体やプロジェクトヘイルメアリー、火星の人、星を継ぐもの等、エンタメの側面が強いSFしか読んでこなかったからか、
哲学的なメッセージを含む今作は非常に難解だった。
考えさせられるのはわかるが、どうにも言語化できない。
ワクワクす -
Posted by ブクログ
めっちゃくちゃ期待して読み始めたけど、正直思ったより楽しめなかった。結構SF慣れしているつもりだったけど、少し自分には難しかったかも。あまり乗れなかった。
読みながら、レムの『完全な真空』にも似た読み味だなと感じた。何か面白いことに取り組んでいるエッセンスは感じるが、ドラマは薄味。
語り方、或いはSFらしく世界の設定や仕組みそれ自体が主役で、物語は、キャラクターの遍歴・帰結を描くことを通じて、主役を載せる皿としての機能が強い。
一見ファンタジーらしい題材ではあるものの、科学的な思考様式を採用することでSFに昇華している作品も幾つかあって、その幅広さは面白かった。
語り方と題材、物語 -
Posted by ブクログ
ネタバレ重厚なsfとページ数の多さに読むのを尻込みしていたが、最初の「商人と錬金術師の門」が面白くてその後一気に読み進めた。
けど面白かったのはそれだけで、あとはハマらなかった。科学の知識が豊富なだけあって意外な知識も得られたけど、後半の短編になるにつれて、小説より解説書とかで出した方がいいんじゃないの?となった。
あと文化圏の違いだからか、理解も共感もできなかった価値観や表現が多々あった。主よ、とか。自分は主に選ばれた人間、とか。それは度し難かった。
あとカウンセラーの質問とかあったけどいやカウンセラーそんな質問しないし、なんでカウンセラーがクライエントが出してない言葉を出して決めつけてるんや……と -
Posted by ブクログ
時間論とか決定論と自由意志とか記憶とか知性とか責任とかとにかく哲学的なテーマを題材としている。それを物語にする技巧は上手いとは思うものの,物語としての完成度はどうなんだろう。描写という意味では一般文学とは違う気がする。
普段,上記の哲学的テーマを哲学的に考えることに慣れすぎているので,深掘りが足りないように思う。エンターテイメントで哲学的問題に気付くきっかけになるという意味では意義はあるのかもしれないけれど,その問題それ自体を考えている人には物足りないのではなかろうか。
これが当代最高の短編SFなのだとすれば,SFの楽しみは哲学的テーマ以外に見いださねばならないのではないかと。
兼業作家である