テッドチャンのレビュー一覧

  • 息吹

    Posted by ブクログ

    当代随一のSF作家、テッドチャンの2冊目。前作は心に残るけれど難しい、と思ったんだけど、今作は泣けた。
    もう1作目の「商人と錬金術師の門」から文字通り泣いたもんね。事実は変えられないタイムマシンで亡くなった妻に会いに行く夫。泣くしかない。悲しいんじゃなくてよかったよねって。
    「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」は心に残った。アナとデレク、どっちの決断を自分なら支持するだろうか…デレクがかわいそうじゃん、みんな結局自分が可愛いんじゃん、と思っちゃったけど。
    「不安は自由のめまい」はタイトルが美しすぎて。自由意志ってないかもだけど、だけどその時自分がした決断に意味がないってことはないよ!

    0
    2024年08月11日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画「メッセージ」の原作が短編だったという理由と、映画で描かれたことを小説ではどのように表現されているのか、という好奇心で読み始めた次第だ。

    この作品は短編集で、8篇の物語で構成されている。当然ながら映画原作でもある表題作から読んでみたが、映画のような緊迫した争いごとは特に描かれていない。それよりも言語のデザインを逐次的から同時的に変えることで時間を超越するという発想にこそ重きを置いて、主人公のプライベートなエピソードはその補完として扱われているのだろうと初見では読み取ったのだが、いまひとつ自信のないまま最初の1ページ(「バビロンの塔」)から本作を改めて読み始める。

    「バビロンの塔」は円筒

    0
    2024年08月03日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    本当に本当に面白い本だった。僕にとってこの本を読む体験は自分にはすこしむずかしい学術書を読む体験に似ていて、ギリギリのところでなんとか食らいついて読みといた先に、驚くべき新しい世界(しかし、優秀な誰かにとっては当たり前な世界)が見えてくるような、そんな読後感が、短編それぞれに対して発生した。そのために読むのに非常に時間がかかってしまった。

    0
    2024年07月15日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    テッド・チャン作品がハードSFでありながら広く受け入れられている理由は、映画化のタイトルに象徴されるように「メッセージ」が明快で、美しいことにあると思う。ハードSFらしい現実離れした世界観やアイデアがありながら、詩的で流麗な筆致が読者を引き込み、力強いメッセージを胸に刻んでいく。本当に稀代の作家だと思う。

    様々な価値観、背景を持った人間たちが「運命」(世界の運命かもしれないし、自分の運命かもしれない)に直面した時、何を考え、どう振る舞うのかを徹底的に突き詰めていく作品が多い。ここまで多様な価値観を一人で想像できるのか、と驚かされる。

    著者は死ぬほど頭が良く、人間の知性を強く信じてもいるので

    0
    2024年07月04日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    『三体』繋がりでサジェストされたので読み始めた。短編集のタイトルと同じ2つめの『息吹』はほんの2〜30ページだけど、長いあいだ私が考えてきたことそのものだし、きっと誰もが考えてきたことそのものなんだと思う。

    0
    2025年03月15日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    『あなたの人生の物語』から18年ぶり2冊目の短篇集。


    相変わらずどれも完成度が高く、世界設定や近未来的なガジェットは明らかになるたびワクワクさせてくれるだけでなく、私たちの現在を鋭く照射して思考を促してくる。
    だが、前作に比べて幻想的なモチーフがグッと減り、倫理的な問題を扱う傾向が強くなった。そのためなのか、前作では割り切ってばっさりとバッドエンドを書く作品もあったが今作はどれも道義的な決着がつくところが教訓じみていて、個人的な好みと少しズレたなぁと思った。
    読んでるあいだは夢中で楽しめたけど、良くも悪くもたとえ話が上手な科学ノンフィクションの読後感。
    以下各篇感想。

    ◆商人と錬金術師の

    0
    2024年04月26日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    寡作で知られるテッド=チャンの2冊目の著作.
    テッド=チャンには「未来がわかっている時に,人はどのような選択をするのか?」というテーマが多いようだ.個人的に本書のベストである「不安は自由のめまい」も,少し設定は違うが近いパターンである.これは「ある場面で別の選択肢を選んだことによって分岐したパラレルワールドとコンタクトができる」世界を描くが,登場人物たちは別の世界の自分を見て,自分自身の選択の結果に,ある場合は安堵し,ある場合は嫉妬し失望する.あまり詳しくは書かないが,ある登場人物は,過去の自分の行動について責任を感じて罪悪感を抱き続けていたが,実は....という救いのある話である.

    0
    2024年02月23日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    書店で目立つ場所に置いてあり深く考えずに購入しました。恥ずかしながらテッド・チャンのことをよく知らず本書で初めて読みましたが、とても満足しています。

    本書は9つの短編が盛り込まれていますが、それぞれがとてもユニークで粘着性があり、ストーリーやそこから浮かび上がる情景を当分忘れないだろうなと感じました。クライマックス感やラストの驚きなどはないかもしれませんが、まるでカズオ・イシグロ作品のような静かな深い感動を与えてくれる作品とも思いました。さらに言えば、SF作品というよりは未来社会の課題や機会を純文学作家がSF調で書きました、というような印象すら持ちました。時間や空間、自由意思などを哲学的に扱

    0
    2024年01月23日
  • あなたの人生の物語

    匿名

    購入済み

     

    面白かった。
    難解な話がいっぱいあったけど、全体的に楽しめた。
    映画のメッセージからしったけど、どの話も深みがあってとてもよかった。

    #タメになる

    0
    2023年12月10日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    オムファロス
    科学者であることとキリスト教徒であることは両立するのかずっと疑問だった。これはこういう世界だったら…の話だけど、現代の科学者はどう折り合いをつけているのだろう?

    不安は自由のめまい
    クリストファー・ノーランの映画になりそうな設定。選択をした時点でもう一方とは違う自分。その選択が次の選択に影響を与える。

    ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル
    ディジェントの流行とブーム終了。プラットフォームの廃止で動かせる場所が無くなるとか、ありそーな展開。
    が、我が子のようにディジエントに感情移入するアナには全く共感出来ない。

    0
    2023年10月25日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    『あなたの人生の物語』のテッド・チャンによる 17年ぶりの短編集。映画化もされた世界的な有名作家なのに専業ではなくものすごい寡作ぶりで、そのぶん一編一編が奥深く、消化するのに時間もエネルギーもかかる。
    収録は全 9本、ネビュラ賞やヒューゴー賞など名だたる賞を獲得した珠玉の作品ぞろい。

    この人の頭の中はどうなってるんだと思うようなぶっ飛んだ設定の上で、さらに話が想像もつかない方向に発展していくので、一度読んだだけではなかなか理解が難しい。
    毛色の違う作品ばかりだが、「避けられない運命、受け入れ難い真実を知ったとき人はどうするか」というテーマは一貫している。

    「息吹」
    舞台が地球でもなく主人公

    0
    2023年10月15日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    「息吹」の方を読んで面白かったので、こちらも読んでみようと思って手に取りました。
    今回も「もしもこんなものがあったら、どんな社会でどんな人々が何を思って暮らしているか」が鮮明に描かれてて考えながら読んだので時間がかかりました。
    個人的には「地獄とは神の不在なり」が好きでした。この、善行をしていれば報われるとも限らない理不尽さはいつも感じるので、結末まで理不尽でいっぱいなところ噛み締めちゃいます。
    他の作品も色々後から色々思いを馳せるところが多くて余韻に浸れる作品でした。

    0
    2025年10月27日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    骨太SFだった。。。
    かなり読書筋が必要だけど、唯一無二の読後感があり、何食べたらこんな設定を思いつくのかと感じるほど斬新なテーマが多かった。全体を通して透明でキレイなSFでした!

    0
    2025年10月18日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    表題作
    映画メッセージは、随分前に観て、感動して泣いた。

    原作はそれから何年も経って読んだ。
    積読チャンネルの飯田さんが、最も美しい物語と言っていたので。

    正直、言語学とかよく分からない用語など次々出てきて、いつも寝落ち。
    何日もかかって、ついにカフェで読み終えた。

    後半、どんどん主人公の思考と現在の描写が近づき、混ざっていく。
    私はラストを知っていたけれど、それでもゾクゾクして、最後は心がギュッとなった。
    妻として、親として、どんな人生か分かっていても、きっと私も同じことをする。
    大切な人を大切にしたい。
    ちゃんと言葉や行動で伝えて。

    ○バビロンの塔
    書かれていることの意味が分からず

    0
    2025年10月12日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ようやく文庫を発見した。
    待ちに待ったテッド・チャン二冊目。

    『商人と錬金術師の門』はハヤカワ文庫のSF傑作選『ここがウィトカなら、きみはジュディ』で、『息吹』は『SFマガジン700』でそれぞれ読んでいたが、テッド・チャンの文庫として入手できてとても嬉しい。

    私がテッド・チャンの文章を表現する時よく「緻密」という言葉を使用するのだけど、今回も改めて。もっとも緻密なのは表題作の『息吹』。静かで、息を殺して主人公の一挙手一投足を見守るような、そんな読書体験。

    そして『息吹』もそうなのだが、構築された世界観にも言及したい。
    『息吹』は人間ならざるもの(ロボット?)が生きる世界。
    そして神が世界

    0
    2025年09月15日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    理解出来ないところもあったが、面白かった。
    人間愛を感じられる小説だった。
    バビロンの塔
    理解
    あなたの人生の物語
    地獄とは神の不在なり
    が印象深かった。
    「バビロンの塔」の広大なイメージができるところが良かった。
    「理解」はレオンがよかった。
    「あなたの人生の物語」は親子愛を感じられるところに心動かされた。
    地獄とは神の不在なりはニールのセイラへの思いに切なさを感じた。

    0
    2025年09月13日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    SFを読むのが得意でないので、想像より読むのに時間がかかった。表題作の「あなたの人生の物語」が気になって読み始めたが、1番面白かったのは「顔の美醜について : ドキュメンタリー」だった。自分ならどうするか、どうなった世界を目指すべきなのかを考えながら読むのが楽しかった。

    0
    2025年07月13日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第一作品集は全作面白かったが、本作9編もまた、全作面白い。
    ひとつひとつ感想は書かないが、第二作品集は親子のテーマが多いせいか、人の善性を歌い上げるような話が印象的。
    もちろん、徹底した思弁と、辛い状況をふまえて、なお人には自由意志があるのだ、と。
    絵面としては「息吹」が可愛くてお気に入り。

    ■「商人と錬金術師の門」
    ■「息吹」
    ■「予期される未来」
    ■「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
    ■「デイシー式全自動ナニー」
    ■「偽りのない事実、偽りのない気持ち」
    ■「大いなる沈黙」
    ■「オムファロス」
    ■「不安は自由のめまい」
    ◇作品ノート
    ◇大森望 訳・解説

    0
    2025年03月07日
  • あなたの人生の物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    テッド・チャンほど感想を書くのが難しい作家はいないと思う。

    個人的にやっぱり1番好きなのは元言語学徒なのもあるけれど、「あなたの人生の物語」。
    異星人とのファースコンタクトという舞台設定で言語によるやり取りを細やかに描いて、最終的な物語の核を「異星人との言語を習得することによって認識に影響を及ぼす」というのところにもってくる発想は驚きしかない。
    そんな奇想天外な設定で、家族の愛を切実に感じられる作品であり、読後の衝撃、感動は他の作品とは一線を画していて、まさにテッド・チャンという感想しか出てこない。

    最近宗教について勉強している自分にとって「地獄とは神の不在なり」もかなり興味深かった。

    0
    2024年12月15日
  • 息吹

    Posted by ブクログ

    やたら推されているようなので読んだが、自分にはあまりピンとこなかった。表題の「息吹」はこんなものを読者に想像させて大丈夫か?と思うほど読んでると頭がおかしくなってくる。あとは「オムファロス」のキリスト教的な世界観が本当に科学的だとしたら?という逆転の発想は面白かった

    0
    2024年10月28日