テッドチャンのレビュー一覧

  • 息吹

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    シンプルなアイデアでも、それの「カタリ」方が、僕を掴んで離さない。翻訳者はもちろん、作者の技巧をひしひしと感じる。 どこを読んでも鮮烈な素晴らしい短編集。

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    2025年12月06日
  • あなたの人生の物語

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    「メッセージ」を先に観た。映画を観た記憶およびこの作品を読んだ記憶を消して再度一から読み直したいと思えた初めての作品かもしれない。

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    2025年10月14日
  • あなたの人生の物語

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    映画「メッセージ」の原作である表題作が収められた、短編集である。
    どれも良い読書体験ができたが、やはり映画を先に見た私としては「あなたの人生の物語」が一番印象深い。

    地球外の知的生命体との交流によって目覚めを経験し、時間軸が狂うことで人生を理解することになる女性。
    過去から未来へ続いていく時間軸の中では、言わば知らぬが仏の状態で手探りの道になる。
    これが普通の考え方である。
    でも未来に起こることを知っていたら?
    それが悲しく耐え難い出来事だったとしたら?
    進もうとしている道をそれでも歩めるだろうか?

    覚悟と理解が必要だ。
    進むと決める覚悟。
    行くの?なぜ?その答えを自分で理解すること。

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    2025年09月27日
  • 息吹

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    文庫化で再読。避けられない運命とそれに対峙する人間の知性という通底するテーマを感じた。SFでありながら、世界の説明よりも知性の行動にフォーカスしている点が、ジャンルを越境した魅力の源なのだろう。

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    2025年09月18日
  • 息吹

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    凄まじいSF短編集だった。短編集はあまり良い出会いが無く、長編の方が没入できるし感動できるなぁと思い込んでいた自分の価値観を見事にひっくり返された。
    特に「商人と錬金術師の門」「偽りのない事実、偽りのない気持ち」「不安は自由のめまい」には心が打たれた。
    誰しも過去のあの時に戻れたら、見れたら、もし変えたら今の自分はどうなるか、とか人生に悩む時に空想してしまうが、それをSFの世界観の中で、高い解像度と抜群のリーダビリティで描かれていて、色々と考えさせられる。

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    2025年09月05日
  • あなたの人生の物語

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    ネタバレ

    とても面白かった。
    一つ一つの短編が骨太であり、読むのに時間がかかってしまったが、楽しい読書体験だった。
    一つづつ振り返っていこうと思う。

    「バビロンの塔」
    この短編集の中で一番読みやすかった。
    情景描写が見事だった。

    「理解」
    詳細な描写に思わず読み込んでしまった。

    「ゼロで割る」
    一回読んだだけでは意味があまりわからなかったが、何回か読み直したり、考察サイトを見ることでやっと理解できた。
    レネーは自身が発見した形式的発見によって自分の中の既存の世界が崩れてしまい、自殺未遂をしてしまうほど追い込まれる。恋人であるカールは、自身がかつて自殺未遂をした際、その時の恋人に傷を癒してもらった経

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    2025年08月31日
  • 息吹

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    短編集の中で息吹が最も心に残った。
    探検家と呼ぶ同志、宇宙に存在する者に対して遠くから応援されているような感覚になった。

    今、自分がここに刻む、一呼吸が奇跡であると。息吹なんだと。

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    2025年08月25日
  • 息吹

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    ネタバレ

    SF × 哲学の魅力
    単なるSFではなく、哲学的な問いや人間の根源的な悩みと自然につながっている点が素晴らしかった。高度な設定を土台にしながらも、難解さより「人間の感情」に重心があり、読んでいて心に残る。自分はSFに身構えていたけれど、むしろ哲学小説として楽しめた。

    短編集ならではの多様さ
    長編のように構えて読む必要がなく、それぞれの物語に個性があってリズムよく読めた。とくに冒頭とラストは印象が強く、最短の「予期される未来」にも思想の鋭さがあり、「短さ=軽さ」ではないことを痛感した。一方で「デイシー式の進化論」は難解すぎて、自分にはまだ理解が追いつかなかった。再読したら違う景色が見えるのかも

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    2025年12月01日
  • あなたの人生の物語

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    SFが苦手でなければ是非読んで欲しい短編集
    異星人とのファーストコンタクト
    表題作「あなたの人生の物語」
    斜線堂有紀がオマージュ作を作り、神が実在する証拠にあふれた
    「地獄とは神の不在なり」
    SFな世界観でひたすら空高く目指す
    「バビロンの塔」
    バカSF
    「ゼロで割る」
    風刺SF
    「顔の美醜について」
    本当にレベルが高い豊かな読書体験が出来る
    難点は著者の作品がなかなか出ないこと
    富樫先生と共に待っています 感謝の正拳突き

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    2025年08月24日
  • 息吹

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    すげぇ本。
    下手な学術書を軽く凌駕する含蓄。
    「偽りのない真実、偽りのない気持ち」が特に刺さった。真実によって変わる人と、真実を呑み込む人と。

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    2025年08月05日
  • あなたの人生の物語

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    哲学空想系の脳汁でまくり短編集。
    読み切ってしまうのがもったいないと思いつつ、何度も心を落ち着かせながら拝読。

    少々クセありなので読み手を選ぶかもしれない。

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    2025年05月08日
  • 息吹

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    本屋では毎回ハヤカワSF文庫の棚を凝視している自分ですが、ちょっと厚めの本作「息吹」は毎回視界に入って印象に残って、しかし購入はしないというパターンが続いてました。

    決して軽くはないボリュームですが、2日で一気に読んでしまいました。
    SF小説の最高峰とネットのあちこちで書かれていますが、読んで納得。SF小説に求めるものが全部入っていると思います。

    私がとりわけ感銘を受けたのは作品のラストを飾る中篇「不安は自由のめまい」です。
    人生の選択によって分岐した別並行世界と通信できる装置が、この中篇の中心的なギミックです。誰しも思い描いたことのある「あの時こうしていれば自分の人生はこうなったんじゃな

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    2025年03月30日
  • あなたの人生の物語

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    ネタバレ

    短編集。「あなたの人生の物語」、「地獄とは神の不在なり」、「顔の美醜について」の3つが好き。
    「あなたの人生の物語」について
    突然現われたエイリアンとコミュニケーションをとろうとする言語学者の話だった。
    このエイリアンはヘプタポッドと呼ばれることになるのだけど、そのヘプタポッドがとにかく変。頭の下に足みたいな手が生えているので、僕の頭のなかではずっとタコさんウインナーがヘプタポッドだった。歩きかたも変わっている。目が頭の周りについているので前に進むときも後ろへ戻るときも方針転換する必要がないのだ。なので後ろに下るときは、こちらへ来たときの逆再生のように見えてちょっと気持ちわるい。
    時間の捉え方

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    2025年03月11日
  • 息吹

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    ネタバレ

    時間をかけて読み終わりました。
    SF作品の中でも、特に人間の感情に訴えかけるものが思いの外多く、現代にも地続きに通じるような考え方に心を打たれました。

    タイムトラベルから始まり、遠い宇宙の違う種族、自由意志など存在しなくなった世界、AI等等、短編ごとにSFのテーマが全く変わっていて全体を通して読み応えのある作品でした。

    特に「予期される未来」は5ページほどで終わってしまう非常に短い短編なのですが、負の時間遅延が実装された事によって自由意志が存在しないという証明になる事実に繋がること、それを知った上で我々がこの先どう生きれば良いのか、これをたった5ページで表現しており、良い読後感を受け取りま

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    2025年03月05日
  • 息吹

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    ネタバレ

    読みごたえのある作品集だった。こんな一冊にはなかなか出会えないんじゃないかと思うくらいひとつひとつの作品が濃密で、いくらでも深く掘り下げることができる。テーマと読者への問いかけがしっかりしていて、完成度が高い。どれも短編・中編とは思えないくらい、作品の世界に没頭させてくれる。
    作品を通してここまで何度も考えさせられる体験は他ではあまり味わえないものだった。前作よりも断然こちらが好みだ。
    どれも凄い、けれど特に印象的だったのは「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」だろうか。AIの育成がテーマだが、失敗を重ねて悩み、意見が分かれながらも、現状をよりよくしようとする人間たちのリアルな歩みを見

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    2025年02月10日
  • 息吹

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    「偽りのない事実、偽りのない気持ち」がよかった。事実の正確性はどのくらい必要でどのくらい不要か?
    SFを通して人間を考えるの、好きだ。

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    2025年01月22日
  • あなたの人生の物語

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    濃密な8篇の短編集。
    著者自身はアイデアが次々と湧いてくるタイプではないとしているそうだが、各作品で描かれる世界の構成力が半端ない。
    SF的なものの見方・考え方が図抜けているといってもいいかも。標題作もいいけど「地獄とは神の不在なり」の無常感は凄すぎる。

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    2024年11月30日
  • あなたの人生の物語

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    表題作が美しく切ない。ガイ・ドイッチャーの「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」をSFにもってきた感じだけど、物語の構成がおしゃれ。

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    2024年11月20日
  • あなたの人生の物語

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    ネタバレ

    『ゼロで割る』
    本質的な理解などできない、意味がないということを、魂と同じように信じていたものから突きつけられてしまった孤独と、それが理解できず苦しむ孤独、分かり合えないものを数学的な視点と重ね合わせて描かれている。絶望と、伸ばした手の行き場がない苦しみがこの数学的問題に直面した数学者たちの痛みをわずかでも伝えてくれるような錯覚をいだいた。

    『あなたの人生の物語』
    どうやったらこんなお話が生まれるんだろう。ヘプタポッドたちの文字に関する化学的な部分の理解は私には難しくて理解しきれなかったけれど、結果としてそこにありながら過去、未来、現在が同時に同じように存在し、その全てを同じように知覚するこ

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    2024年11月07日
  • あなたの人生の物語

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    表題作、僕の読んだ中でいちばん美しい話だった
    自由意志が彼の中の大きなテーマなのだろうな
    僕はなくてもいいと、初めて思えた

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    2024年08月19日