八木詠美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本を1冊読んで、自分の生き方の痛いところを突いてくるようなセリフにひとつでも出会えたなら、その読書はそれだけで儲けものだと思う。
野上さんが倒れて飯沢さんが助けに来た場面。バッグの中を整理しながら、こちらの問いを聞き流さずに淡々と放たれたこの一言が、ずっと頭に残っている。
「賢いふりをしながらインスタントな手段を取り続け、ご自身を少しずつ弱らせているということです」
向き合って詰問するのではなく、手元を動かしながら逃げ場をなくすように吐き捨てられる描写のうまさも相まって、胸にぐさりと刺さった。
なぜここまで響いたのかといえば、完全に自分の癖を見透かされていたからだ。
これまで自己分析 -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎感想
芥川賞候補作品。一気読み。
読みやすい純文学。ラストも希望があって良い。
終盤の現実と非現実の往来が村上春樹的、悪魔的な出冬と救いの飯沢の対比が効果的であり、これは何のメタファーかな?と考えるのがおもしろい。エンタメ的な部分が多く、グローバル受けしそうな作品。
生きていくって、結局いつの時代も不自由だ。
その時、その時代の悩みがある。
結局人間は自分本位なんだから、受け身で居続けると壊れるし、かといって自己防衛、攻撃的な態度では社会でうまくやっていけない。避けようのない理不尽、違和感の蓄積、ありがた迷惑な親切や、過剰とも思える、鈍感力、スルー力、ウェルビーイング推進。傷つかないた -
Posted by ブクログ
初めて読んだ八木詠美さんの本。
なぜ小説を書いているのか、小説家から見た今の世界の嘆きにとても共感。次は小説を読んでみたいな。
"自分が小説を書くのは、さびしいからだと思う。ふと思いついた想像の切れ端、すぐには声にできなかった疑問や反発、そこからにじんだ心のうちの何かを誰かに伝えたいのにどうすればいいのかわからなくて、でもそれらをなかったことにしたくなくて、行き場なく蓄積していくうちに、言葉がこぼれ、物語が始まる。小説は言わなかった言葉でできている。"
"大して説明もしないうちに「結局さ」と、結論めいたものを突然話し出す人を目にすると、いつもそっと心が冷える。 -
Posted by ブクログ
留学でお世話になった先生から久しぶりに連絡が来て、この本を紹介してもらった。
タイトルの“空芯”とはどういう意味なのだろう、と思いながら読み進める。
主人公の柴田さんは、「名前のない仕事」を押し付けてくる会社へのちょっとした抵抗のつもりで、妊婦を装うことにする。
定時帰りから始まり、マタニティビクス、アプリへの記録と着々と出産への過程を辿る彼女の姿は、活力に満ち溢れていて頼もしい。
しかし、その反面、空っぽのお腹を抱えたその姿は、どこか痛ましく、空虚にも思える。
偽装妊娠なのだから、もちろん夫も存在しない。夫無しで出産まで辿り着けてしまう──その事実に気づいた時、ある種の怖さが込み上げる