八木詠美のレビュー一覧
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「寝てても起きてても最悪なこの世界で。」
「だって朝は勝手に来るから、どうやったって光が射すから。世界に期待することにも飽きたけど、呪うことにも飽き飽きしたから。(p.177)」
ひっきりなしに届く通知やポジティブを押し付ける会社に憔悴する社会人のリアルさに心が削られ、
さらに不眠の夜描写…リアルすぎて吐き気がしてきそうでした。
私事ですが20代である病を発症し一番強く出たのが不眠で、精神科にかかり今でも睡眠導入薬のお世話になっているんですが、不眠当時の、「寝よう!」と思っても今関係ないことが頭に浮かんできてずっと考えてしまう……まんまでした(そもそも「寝よう!」と真剣にやるのがダメ)
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Posted by ブクログ
普通の日常の中に、少しずつ混ざってくる変な違和感。
現実と妄想の境界が曖昧になっていく感じ。
不条理なことが起きても、主人公が妙に淡々としているところ。
そんなところが大好きな村上春樹っぽくて、個人的にはかなり好みだった。
そして何より、会社社会の不条理さや、現代社会を生きることのしんどさに共感しかない。
誰のためなのかわからない社内制度や謎の取り組み、便利にするために導入したのになぜか不便さが増していく職場のあれこれ。
もう「わかるわかる」と頷きっぱなし。
思わぬところで出会えた、うれしい発掘本。初読み作家さんだけど、他の作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
あらすじにて、現代社会に疲弊する社会人という設定が面白く表現されていたので、気になって本作を手に取りました。面白いけど、2度目読むのは辛いんだろうなぁと思います。特に社会人歴が長くなればなるほど…
本作は、ウェルビーイングを形だけうたう企業で、心身ともに疲れ切り、不眠症になってしまった女性の物語。旦那さんが不眠対策を紹介するが、一向に不眠症が治らない。そんな中、主人公はメンタルクリニックに行くことを決意し…という物語。
極限環境下での人の精神状態が見事に描写されていて、社会人としては正直辛かったです。極限環境下での視野の狭さとか自分では気づかない体の限界等は、振り返ると思い当たる節があるな -
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ネタバレ職場で無意識に課せられてる雑用にキレて「妊娠している」という設定になった柴田さん…すごい。
いつバレるかとヒヤヒヤしましたが、そんなありきたりな展開ではありませんでした。
「妊婦」として抱えていた嘘が実体を持つ終盤には驚愕しました。
しかしそれも、柴田さんの“嘘”だったのかもな。産科でのエコーにまで嘘を吐き通して……
「妊婦」というカテゴリーにいるけど、外側から見ている柴田さんが冷静な目で描写してて面白かったです。エアロビとか。
本当の自分をわかってあげられるのは自分しかいない、というのを改めて考えると、孤独だけどなんと心強いものでしょう。
当たり前なのだけれど、日々に忙殺されると簡単に忘 -
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来客後のコーヒーの片づけ…
煙草の吸殻が突っ込まれている
放置されたままだ…
「今日は片づけ、代わってもらえませんか!今、妊娠してて、コーヒーのにおいも、煙草の煙もダメだし…」
こうして主人公は妊娠5週目に入った…
もう冒頭からこの偽装妊娠がどうなっていくのか、心配で、心配で…
と思ったら、全く大丈夫だった…(笑)
妊婦になった主人公に余分な仕事や雑用を押し付けてくる人もいないし、定時に帰られるし、なんならみんな体を気遣ってくれる!
とにかく主人公の妊娠生活は淡々と進むのだ…
母子手帳アプリに記録をつけ、食事に気をつけ、マタニティビクスに通う…
しまいには、本当に妊娠しちゃたの?って思ったく -
Posted by ブクログ
マジック・リアリズムになんの抵抗もないのですらすら惹き込まれる様に読んだ。海外の小説の様な、短編映画の様な。
登場人物の描写に、他者との距離感やパーソナルスペース、コンフォートゾーンといった表面的な部分に身をつまされることもありながら、自他との境界線が曖昧な感覚を覚えたりもする。
一箇所、とてもいいなと感じた文章があったけれど忘れてしまった。物語的に特にそんなに重要ではないのだろうけれど、そういった場面、文章に出会えると偶然に感謝したくなる。
ところどころ惹かれるところはあるのだけれど、それがどういうものなのかうまく言語化出来ない。なのでもう一度読んでみたいと思わせる力のある作品でした。