八木詠美のレビュー一覧
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タイトルが秀逸。優しい夫と暮らし、福利厚生のととのった会社で在宅勤務をこなす平凡な日々は、不眠という突然の症状によって崩壊する。
眠ろう眠ろうとして、次々と脈略のない記憶ばかりよみがえってきてしまうようなシーンは身に覚えがあった。まんじりともせず白々と朝が来てしまったときのあの絶望感も。こちらの絶望などおかまいなしに、たやすく陽はのぼる。
〈平日に休みを取って出かけるのはNと観劇に行って以来だった。日差しは厳しいが空気はからりとし、わたしはPCの画面の外にもこうして世界が広がり、水曜日の午後が存在することに歩きながら黙って驚き続ける。途中で街路樹の下を通る。葉の一枚ずつが語りかけるように光り -
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ネタバレ今年の芥川賞候補作家の著作(ノミネート作品ではない)で、太宰治賞受賞作。
女性が社会的に無自覚に押し付けられているあれやこれやについて、わかりやすく考えさせる内容ではあるが、今回はこの本を読んで感じた「キモさ」について書こうと思う。
主人公は、ふとしたことから会社で「妊娠している」と嘘をつき……そのままその嘘をつき通して出産、産休育休まで迎えるわけだが……。
最後まで、別にこの嘘が暴かれるわけでもなく、物語は平和に(?)終わる。まぁ、これだけでもモヤモヤはするんだけど、なんかずーっとじわじわとキモかったのが、主人公が、この嘘をついたことに対して、1ミリも罪悪感を感じていないことだ。かといって、 -
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ネタバレ表現が詩的だからか、表現は美しいのだけど、ストーリーが掴みにくかった。
週に一度、古代ラテン語が話せるアフロディーテの彫刻の相手になるバイトというほんのりSF設定(他の方の感想読むと、マジックリアリズムというのか…)なので、逆にその文体が丁度いいのかもしれないけど。
なので私にとってはあまり響かず、雰囲気を楽しむだけに留まってしまった感覚は拭えない。
人とのコミュニケーションが苦手な主人公が、その気持ちを強めると、レインコートが厚くなったり鬱陶しくなるのだというのは感じ。それがテーマな訳でもなさそうだし、かといって他にこれといった主軸が分からなかったので、ハマらなかったかな。 -
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空芯手帳は、軽い衝撃を受けた、笑
妊娠しているというウソをつき始めて、十月十日を超えても、ウソをつき通す主人公、柴田。
妄想なのだけど、やけに現実味があって、その塩梅が狂気を感じさせる。
時々、え、妊娠してるの?してないの?どっちなの?となる。笑
妊婦のコミュニティに溶け込んでいるのも面白い。笑
『妊娠というのは本当に贅沢、本当に孤独。』
とな。、
まだ体感としてはわからないけど、
同じ女性だろうと、他人だから完全には理解しえなくて当然で、だからこそそれを前提にして、
驕らず、謙虚に相手を思いやることが大切だと言いたいのかなぁ。
あとは、自分を守るためには、時に嘘もつくこと。
それが主人 -
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何とも突拍子もない設定の物語です。主人公は普段は冷凍倉庫の荷出し係として働く若い女性。ある日彼女はラテン語の会話能力を見込まれ、博物館に展示されるビーナスの話し相手になると言うバイトを斡旋される。
大理石製のビーナスが会話をするというのも突拍子が無いですが、博物館も何処か非現実的な雰囲気があり、学芸員もなかなかの曲者。さらに主人公の住むアパートやその大家や住人も時代に取り残されたように奇妙です。意外に、奇妙そうで何故かまともなのが冷凍倉庫の仕事です。
何か深遠なテーマがあるのかと思えば、主人公がまとっている(と認識している)人からは見えない黄色いレインコート~これは一種の対人プロテクタで、他人 -
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ネタバレ「職場にキレて偽装妊娠。」の帯に惹かれて手に取った一冊。
最初はコメディを読むくらいの感覚で面白おかしく読み始めたけど、主人公が母子手帳アプリを使い始めたり、マタニティビクスに参加したり…。妊婦健診でエコーに胎児が写った時には頭が混乱してこのお話をこの先どう読み進めて良いかわからなくなってた。
だけど、「自分だけの場所を、嘘でも良いから持っておくの。人が一人入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから。その嘘を胸の中に持って唱え続けていられたら、案外別のどこかに連れ出してくれるかもしれないよ。その間に自分も世界も少しくらい変わっているかもしれないし」(P.173)という主人公の言葉を読んだ時