あらすじ
算数で「平行」を習ったときから、ひとには見えない黄色いレインコートに身をつつむことになったホラウチリカ。ある日、大学の恩師から紹介された仕事は古代ローマの女神像のおしゃべり相手だった――。誰もがコミュニケーション不全を抱える世界で、有機物と無機物の境界すら越えて、わたしとヴィーナスは手に手を取り合い駆け出していく。新しい関係性の扉をひらく無敵のシスターフッド小説!!
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Posted by ブクログ
主人公の名前、大家さんの話し方、
少しみんな奇妙な感じ。
そのぎこちならさが心地良く、適度な距離感を保ち、気づいたらすごく好きになっていた。
人が変化していく力を感じた。
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この作者の初めて読む作品。不思議な話に引き込まれました。文章の表し方も独特でくせがあり、私は好きでした。所々難しい所がありましたが、面白い作品でした。
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クセは強いが、読んでいて何故か癒やされる作品だった。ラストに向けての展開が好みで読後感も良かった。
「ラテン語が話せる主人公が、美術館のヴィーナス像と話をするアルバイトをする」という発想は天才的。
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新聞書評で見かけて気になっていた本。
何やら不穏な設定に馴染むのに少しだけ時間がかかったが、黄色いレインコートに身を包んでいるぎこちなさと不快さを自分も肌に感じながら、ラテン語を日常語のように操る主人公とともにヴィーナスの元へ通ううちに、だんだんとだんだん楽しくなった。
冷凍倉庫でのバイト、ハシバミという名の学芸員(整った容姿の)、隣の部屋の小学3年生、大家のセリコさん(「う」と「い」の音が抜ける人)、隣の部屋でポルトガル語講座を聞いているトド、葬儀屋を兼ねている美容院…
おもしろかった。
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こんなケッタイな小説読んだ事ない。
物事をどう見たらこんな文章になるんだろう。
話があっちこっちに飛ぶような、事象を裏側から見てるような、それでいて話は進んでいく。
一体この話はどこに行くのだ?何処に収斂するのだ?と思ったら素晴らしいラストが待っていた。
どうやってヴィーナスを盗み出したのが具体的描写が全くないので不明だが、しかも台車に乗せたくらいでヴィーナスと一緒に飛行機に乗れるのか。
それにしても爽やかなラストであった。
癖になりそうな変な小説。
デビュー作も読んでみようかな。
Posted by ブクログ
黄色いレインコートに身を包んだ女性が紹介されたバイトは古代ローマ女神像とのおしゃべりだった、、、というお話(?)。
ありえないようで、しかし不思議と説得力のようなものがあって、ありえそうにも思えてくる、なかなかに退屈しない物語であった。
日常を描きながらも、展開があり、黄色いレインコートや大家さん(?)、冷凍庫バイト、隣のお子さん、と登場人物も個性的でよかったと思います。
非現実のようでリアルに思わせられるのは流石です。
Posted by ブクログ
マジック・リアリズムになんの抵抗もないのですらすら惹き込まれる様に読んだ。海外の小説の様な、短編映画の様な。
登場人物の描写に、他者との距離感やパーソナルスペース、コンフォートゾーンといった表面的な部分に身をつまされることもありながら、自他との境界線が曖昧な感覚を覚えたりもする。
一箇所、とてもいいなと感じた文章があったけれど忘れてしまった。物語的に特にそんなに重要ではないのだろうけれど、そういった場面、文章に出会えると偶然に感謝したくなる。
ところどころ惹かれるところはあるのだけれど、それがどういうものなのかうまく言語化出来ない。なのでもう一度読んでみたいと思わせる力のある作品でした。次回作も楽しみです。
Posted by ブクログ
2人の会話で、私もヴィーナス像と会話している気分になって楽しい。
クライマックスなんて、ロマンチックなのに可笑しくて、読後の幸福感がとてつもない。
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芦田愛菜さんで映画化してほしい。
博物館で休館日にヴィーナスの話し相手のアルバイトをする、ただし会話はラテン語で。というちょっと不思議なお話。
最初のうちは少し読みづらく感じたけれど、少しずつ世界に引き込まれて最後はホッとできる、そんなお話だった。
主人公の、人との関わり合いを避けがちな不器用さだったり、休みの日はYouTubeのライブカメラを見ているのが好き、という部分に共感していた分、ヴィーナスと出会って、勇気を出してインナーカラーを入れたり背筋を伸ばして歩くようになったあたりの主人公の多幸感が伝わってきて、自分まで変われそうな気持ちになった。
自分は何色のどんなものを纏っているのか、トウマに聞いてみたくなったし、ゆくゆくはセリコさんみたいな正体不明の大家さんになりたいし、アテナのモーニングルーティンすごく興味ある。
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ラテン語を話す女性と古代の彫刻との不思議な関係。
脱げない黄色いレインコートを常に着ていると思っている女性。人との関わりを避ける鎧の象徴かな。耳が遠い大家のおばあさんはふわふわの耳当て。自分だったら何を身に付けているのかなと想像すると面白い。
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『空芯手帳』が良かったので、同作を手に取った。
ホラウチの新しいバイトは、休館日に美術館のヴィーナスとラテン語で話す事。そんなホラウチは、常に黄色いレインコートを着ている。
煙に巻いた訳の分からない設定だが、笑いながら読んでいるうちに真顔になり、最後はまた微笑んでしまう。誰しもコートか何かを着ているし、ヴィーナスの憂いも深刻だ。
癖になる作風だ。
Posted by ブクログ
新しいアルバイトの場所は美術館、仕事内容は話し相手、アルトよりの声を持つ女神の彫像の。
落ち着いた美術館で彫像とお話ができるなんて夢のまた夢、を味わうことができて本当に楽しかったです。著者さんは本作が二作目ということですが「すごい人が出てきた」というのが率直な感想です。
不自由さを身に纏っているのは自分だけ、それに合わせて生きているし生きていくと思っていた女の子たち。彼女たちの友情と愛情ができるかぎり続きますように。
#休館日の彼女たち #NetGalleyJP
Posted by ブクログ
静けさのある物語だった。
「私の心の奇妙なくぼみ」が印象に残った。
普段あまり意識していないが、くぼみに触れる気持ちよさを思い出した。
ヴィーナスの立場から考えたことはなかったが、飛び出すことのできない空間にいると考えるとせつなさを感じた。
Posted by ブクログ
表現が詩的だからか、表現は美しいのだけど、ストーリーが掴みにくかった。
週に一度、古代ラテン語が話せるアフロディーテの彫刻の相手になるバイトというほんのりSF設定(他の方の感想読むと、マジックリアリズムというのか…)なので、逆にその文体が丁度いいのかもしれないけど。
なので私にとってはあまり響かず、雰囲気を楽しむだけに留まってしまった感覚は拭えない。
人とのコミュニケーションが苦手な主人公が、その気持ちを強めると、レインコートが厚くなったり鬱陶しくなるのだというのは感じ。それがテーマな訳でもなさそうだし、かといって他にこれといった主軸が分からなかったので、ハマらなかったかな。
Posted by ブクログ
何とも突拍子もない設定の物語です。主人公は普段は冷凍倉庫の荷出し係として働く若い女性。ある日彼女はラテン語の会話能力を見込まれ、博物館に展示されるビーナスの話し相手になると言うバイトを斡旋される。
大理石製のビーナスが会話をするというのも突拍子が無いですが、博物館も何処か非現実的な雰囲気があり、学芸員もなかなかの曲者。さらに主人公の住むアパートやその大家や住人も時代に取り残されたように奇妙です。意外に、奇妙そうで何故かまともなのが冷凍倉庫の仕事です。
何か深遠なテーマがあるのかと思えば、主人公がまとっている(と認識している)人からは見えない黄色いレインコート~これは一種の対人プロテクタで、他人との付き合い辛さを象徴しているようではあるものの、それがメインテーマとは思えず。
むしろマジックリアリズムや独特の表現方法をを楽しむ本なのかと思います。そういう意味では楽しめました。
Posted by ブクログ
喋る石像や脱げないレインコート。そんな不思議に最初は戸惑いながらも、最後はじんわりとあたたかい気持ちで読み終えた。
何だか私もインナーカラーを入れたくなった。
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生きてるのに息が詰まるような生きづらさを抱えるホラウチリカとヴィーナス。
二人を繋ぐ、死んでしまった言語。
ラテン語がもう使われなくなったように、物事に永遠はないのだと知ってこそ、生きるように生きられる。
何かを待てるからこそ、生きられる。
シンプルにしんどい話かと思っていたけど、希望の話だった。
ホラウチリカがレインコートを着始めたきっかけは気になった。(授業の内容はきっかけの一つにすぎないはず)
比喩表現が随所にちりばめられていて、個人的には読みづらさを感じた文章だったけど、結果的には面白かった。
Posted by ブクログ
ラテン語ってどんな言語なんだろう?
会話文自体は斜体でラテン語は出てこない。
帯の紹介文にあった主人公のアルバイト内容に惹かれて読み進めたが、文が途切れ途切れで読みにくかった。
情景描写が少ないのかな?ある意味主人公の口下手さを引き立てていたのかもしれない。
いや傷害!窃盗!という突っ込みはさておき、「むらさきのスカートの女」「コンビニ人間」と近い世界観を感じた。
描写は少ないが、隣の男の子や大家さんのキャラが好き。
Posted by ブクログ
何かしてあげたい、一緒に何かしたいと思う人がいれば自分の殻も破れるね。レインコートも捨て去って、2人の自由で明るい未来が待っている。
Posted by ブクログ
なんかすごい作家さんに出会ったしまったな...(絶句)...。
これは一体?
一回読んだだけで感想を書いてしまっていいものか迷う。
『コンビニ人間』を読んだ時の衝撃に近いものがある…。
ホラウチリカが唯一心を通わせるのはヒトではなく、美術館のヴィーナス。
彼女が纏うのは、世界から身を守るように厚みを増す、他人には見えない黄色いレインコート。
でも、本当はだれもが皆、何かをまとっている...。
生きるために身を置く倉庫の職場と、心を放つために訪れる休館日の美術館。
その対比が何よりも鮮明にホラウチリカを語っているように感じた。
2023.6
Posted by ブクログ
夢を見ているような、不思議な読書体験だった。
主人公からみた現実世界の温度や色彩に頷くところもあり、、、その表現が的確で没頭した。
美容院行く時のシミュレーションする気持ち分かるなぁ。でもそれをいい意味で裏切っていく美容師(?)さん、良かった!
気づかないけどみんな何かを纏っていて、自然と自分を守ったりしているのだろうか。
本のカバー外したらピンク一色だったのが、心に刺さった。なんでもないけど、きっかけってどこにあるかわからないもんだなぁと思う。