松田美智子のレビュー一覧
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俳優、水谷豊さんの自叙伝。
水谷豊さんのイメージって、人それぞれ違うだろうな。
古くは「傷だらけの天使」のチンピラだったアキラ‥「熱中時代」の元気いっぱいの北野先生‥今だったら「相棒」の右京刑事の印象かな。
あ、キャンディーズのランちゃんの旦那さんとしても有名か。
この自伝には水谷豊さんが出演された様々な映画やドラマのエピソードも満載‥他にも『オレの愛妻物語』『男たちの旅路』『赤い激流』『事件記者チャボ』『浅見光彦ミステリー』『刑事貴族』等々‥最初の奥様であるミッキーマッケンジーさんとの結婚と別れ、伊藤蘭さんとの出会い、結婚、そして趣里さんの誕生。また盟友だった松田優作さんとの交流も書かれていた。そして数々の目覚ましい活躍の後にミレニアム2000年、47歳の時にあの『相棒』が始まったのである。
本の中から水谷豊さんの耳よりエピソードをいくつか。(既にご存知だったらすみません)
1.水谷豊さんの芸能界デビューは『マグマ大使』(江木俊夫の友達役)だった。
2.『傷だらけの天使』のアキラ役への抜擢は萩原健一(ショーケン)の推薦だった。
3.『俺たちの旅路』で共演した鶴田浩二の台本は台本を持たずに演技していた。(台詞が完璧に頭に入っている)
2.熱中時代の北野先生の特徴あるキャラクターは、水谷豊自身の受け持ちの先生の真似だった。
などなど『へぇ』と思うようなこともたくさん記してあった。
本編は2023年に書かれたが、文庫は出たばかり。昨年の9月に趣里さんがご出産し、水谷豊さんは73歳でお爺ちゃんになられたようです。
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ネタバレ 購入済み
野暮を承知で…。
2025年1月読了。
映画好きだし、役者さんの伝記的な本等も大好きなのだが、今作ほど《意外な読後感》に成ったのは初めてで、正直自分でも戸惑いが隠せないし、菅原文太と云う人の〈意外性〉に心底驚いた。
「東北育ちで親の愛を受けずに育った」「そこそこ頭が良いのに進学を諦め、なし崩し的にモデル〜役者へ」「世間で思われているよりも遅咲き」「人間関係は意外な程ドライで、ベタベタした付き合いを嫌った」「奥様の影響でバリバリの左翼思想に成っていた」…等、驚くことばかりで〈菅原文太〉のイメージが全く違うものに変わってしまった…。
特に晩年の「改憲反対」「原発反対」「米軍の辺野古移転反対」「安倍政権反対」…等を読むと、奥様の影響とは言え『右翼から左翼へ鞍替えしちゃったみたい』と云うデコトラの会長さんの言葉が、何とも重たく(悲しく)響いたのだ。これだけの〈ビッグネームな役者さんが政治問題に強く発言するのは、左右はどうあれ、読後、彼を慕うファンもさぞかし意外だっただろうし困惑しただろうなぁ…〉と。そして大変な読書家で、東映会館の自分の楽屋でも台本ではなく持ち込んだ本を読んで過ごしていたと云うのも、驚きだった。
彼の話をする際にはどうしても『仁義なき戦い』を避けては通れないが、彼自身がそれ程愛着を持っていなかった点などは、後年に成って「何かといえば『仁義なき戦い』のことばかり聞かれることにウンザリしていた」のは、武田鉄矢が「『金八先生』のことばかり聞かれることにウンザリだ」と語っていたのと共通していて『言われてみれば確かに…』とは思ったが、業界内での人間関係もバサバサと絶ってしまうくだりは初耳で本当に意外で驚いたし、とかくこの業界は《話を都合良く盛る》人たちばっかりなので、春日太一さんの著書等を読んでいても思うのだが、此処まで踏み込んだ話は初めて聞く事ばかりで驚きの連続だったのは、ひとえに著者の丹念な聞き取りの賜物だと感じ入った。
人の人生なのだから、他者がその生き方にどうこうケチを付けるものではないのは至極当然な事なのだが、それを上回る程の意外性がとにかく印象に残った(それも想像していたのとは正反対に)。
「こういう人生を送った役者だったんだ…」と云う想いを持って、彼の出演した映画を又見返してみたくなった。特に『トラック野郎』や『仁義…』以前の作品等は、また違う味わいに変わって観られそうだ。
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Posted by ブクログ
現在は渡辺謙や浅野忠信など、ハリウッドで活躍している日本人俳優も珍しくなくなってきた。
別にハリウッドを持ち上げなくても良いのだが、やはりマーケットや全体的な制作本数などでは特別な存在として良いだろう。
その中にあって日本映画=サムライという大きなイメージを作り上げたのは三船敏郎だった。
おそらく三船敏郎がいなければニンジャもサムライもこれほど大きなモチーフとはならなかったと思われる。
ケン・ワタナベもラストサムライもショー・コスギもタートルズもミフネが築いた礎に乗っかっている。
この本はほぼ三船敏郎礼賛と言ってもいい内容だ。
著者は松田優作の元妻。才能あふれる才媛だ。元女優でこのような評伝やルポでも良い仕事をされている。
で、女性なのに、三船敏郎の不倫や女性問題にはえらく寛容な筆だ。いいけど。
私などは後期のテレビ時代劇や東映への客演・ハリウッド映画への出演選択など、どうかと思うところもあるのだが、本書ではそれもミフネへの出演オファーウハウハのような書き方しかされていない。
「1941」などは当時愕然として観ていた記憶がある。
逆にやっぱり「STARWARS」には出てほしかったなあと。アナキン役らしいし、そうなったら、その後のシリーズも今とはえらく違ったものになってたでしょう。
最晩年の認知症のくだりは、当時写真週刊誌かなにかで見た記憶もあるが、痛々しい限り。
それを追いかけて誰が得するのでしょう。マスゴミなどといわれても致し方のない所業です。
そういう意味では最後までかっこよかった健さんと文太兄ぃは凄かったですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ誘拐犯の自宅に監禁された17歳の女子高生はいかにして性の虜となったのか? しかも逃げる機会はあったのに、少女が逃げなかったのは犯人への恐怖か、憐憫か? 〈淫獣〉とまで呼ばれた中年男の克明な犯行日記をもとに、親子ほども違う疑似カップルの半年間の異様な同居生活とそれぞれの不可解な心理の謎に迫る衝撃のノンフィクション力作!(背表紙より)
ノンフィクションと謳ってはいるが、被害者、加害者への考慮のため、比較的事実は克明に書かれていない
書かれているのは、被害者と加害者の性的な行動、そして愛の全てである
だからノンフィクション小説というよりは、官能小説と言ってもよい
しかし、あとがきで朝山実氏が言うように性描写からだけでも、事件性がうかがえるのは、著者の松田美智子氏の腕と言うべきか
犯罪は犯罪だが、こういう愛の形もあると思って楽しんで見て欲しいと思う -
ネタバレ 購入済み
杉下さんは御歳73歳!!!
2026年2月読了。
水谷豊と云う人は、個人的には『熱中時代』(刑事編もね)が一番強い印象の役者さんだったのだが、令和の世にインタビューされればそりゃ『相棒』の杉下右京に成るわけで、真ん中から以降はほぼ『相棒』の話が続いている。『相棒』ファンの方にはとても面白い本だろうと思う。
個人的に知りたかったのはデビュー〜『相棒』に至るまでの部分だったので、その分だけやや喰い足りない感はあったが、聞き手(書き手)があの松田美智子さんとあっては、昔語りに花が咲いただろうと思い、購読した。
『自伝』と云うからには生い立ちから語っているわけだが、旧知の仲ゆえか砕けた雑談の様にワーッと語られている為、読む側がシッカリと意識的に事実確認しながら読み進めないと、サーッと終わってしまうような一冊だった。
ご本人曰く「スピリチュアルな事は信じない」と言いながら、ロケ先の天気を変えてしまうエピソードや、若かりし頃に松田優作ととても親しくしていた話等も聞いたので、その辺りは面白かった。前の奥様(ミッキー!)との話はもっと聞きたかったが、現状を考えればそう根掘り葉掘り聞ける筈も無く…、主に過去出演してきた作品の話を中心に語られている。その点においては幸せな再婚をし、素敵な家庭に恵まれ、今は73歳にして現役の役者でありお祖父ちゃんである事を、楽しそうに自身で噛みしめているような一冊だ。『相棒』はまだまだ続くし、身体が動く限り監督業にも今後も挑戦したいなど、お元気で何よりですと、読後感はサラッとほんわかした気分だった。
しかし『相棒』ももう四半世紀に成るのだ、テレ朝もそろそろ手放す頃合いなのでは…、とファンではない自分には感じられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新潟少女監禁事件
密室の3364日
著者:松田美智子
発行:2009年2月28日
朝日文庫
初出:
「カプセル 新潟少女監禁事件 密室の3364日」(主婦と生活社、2002年)
→最高裁確定判決まで加筆して本書
この事件が発覚した際、小学生から大人になるまで、10年近くも寝室のベッドの上だけで生きてきた人が居る、犯人はどんなやつなんだ、同居していて全く気づかなかった母親もきっと大嘘つきなんだろう、って感じた。多くの人もそう感じたのではないだろうか。昭和の終わりに起きた女子大生コンクリート詰め殺人事件でも、うっすらと母親は気づいていたというから、10年間も一緒に暮らしていてそれはないだろう、と。そして、その後の報道が薄かった印象。被害者はどうなったんだろう、犯人はどんな刑に処されたのだろう、ほとんど知らなかった。なにより、10年近くなにがあったのだろう、と。
どうやら、被害者の心の回復を考えて、取材はもちろん、事情聴取も控えめにし、治療でも控えたらしい。思い出すことにより、二次被害となってしまうことを避けたようである。従って、本書でもどんな暮らしを強いられていたのかは殆ど書かれていない。本全体としても、自ら色々な人に取材を重ねて判明したことを書いているというタイプのものではなく、多くが単なる後半記録となっている。著者は団塊の世代に属するベテラン作家で、松田優作の最初の妻だったそうであり、松田優作に関する本も出しているようである。
事件が起きたまちへ行く、まずは天候やらそのまちの様子というか空気の描写やらから始まる。あまり腕のよくないノンフィクション作家の古い常套手段からスタート。とにかく無駄が多い文章で、公判の傍聴に行った時に、誰それと昼食でなになにを食べた、というような本題とはまるで関係ない話を毎回入れたりも。それでも我慢して読む。中身は純粋な公判記録に近いから読みやすかった。
本文314ページのうち、事件発覚までが55ページ。後半記録のうち、217ページまでが一審、判決に至るまでが綴られている。残り100ページほどは、二審、三審における後半記録だが、二審三審では、併合罪の適用に関する法律論争が行われただけだった。求刑15年に対して判決は懲役14年、未決勾留期間350日を算入し、実質13年という判決になった。9年2ヶ月もの長期の人生を少女から奪いながら、たった13年で出てこられることに。
検察は、まず逮捕監禁致傷罪で起訴し、その後、スーパーでキャミソールを盗んだ窃盗罪で追起訴している。当時の刑法で前者は最長で懲役10年だったため、併合罪を適用してその1.5倍である15年にするために行われた。それに対し、被告は控訴した。本人の心神状態を考慮すべきという点と、併合罪の適用に誤りがあるという理由。
高裁における判決では、心神状態なら責任能力があると判断したものの、併合罪の適用には問題があるとし、なんと懲役11年(未決勾留を差し引くと10年ほど)に減刑された。一審判決を破棄、あらたな判決であり、情状酌量ではない、とした。理由は、キャミソールの盗難はあわせて2千数百円であり、高額ではなく、その後に弁償もしている。窃盗罪は常習者で3年ぐらいの懲役なので、この場合、それは考えられない。併合罪は、確かに最長の懲役の1.5倍にできるから、逮捕監禁致傷罪10年の1.5倍で15年となるが、その場合でも、量定にあたっては、逮捕監禁致傷罪9年、窃盗罪7年として、結論で懲役15年とはできるが、逮捕監禁致傷罪14年、窃盗罪2年として15年とはできない、とした。
9年2月の犯行に対して、11年という懲役が短すぎると言うならば、刑法を改正するしかない、とも付け加えた。その後、刑法は改正されてそれぞれ刑期は5年ずつのびている。
あまりに軽い印象を与えた判決であり、上訴は検察側も行った(弁護側も)。最高裁の判決は、二審の判決の破棄、一審判決をイキとした。とはいえ、すでに3年近くたっていて、残りの刑期は10年ちょっと。被害者側にしたら、あまりに軽い印象は否めない。
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事件発覚の日、新潟県警の小林本部長は、特別観察の為に新潟入りしていた中田好昭関東管区警察局長を接待するため、三川村のホテルへ向かう途中で刑事部長から報告を受けた。ところが、警察局長との接待麻雀を優先させ、ホテルに宿泊、会食、飲酒。翌日も白鳥見物に。結局、依願退職、退職金受取も返上した。
被害者の食事は、最初(逮捕監禁は平成元年6月~)は1日1回、重箱に詰められた弁当。のり、卵焼き、天麩羅、レタスなどでお腹をすかすことはなかった。平成8年ごろから「お金がない」と、コンビニの弁当1個だけになり、貧血で倒れ、生理も止まった。
犯人は母親に対してもスタンガンを使った。供述では、テレビを見ていて、母が居眠りしたりするので、目を覚まさせるため、とのこと。
犯人は「罅割れる(ひびわれる)」「魘される(うなされる)」など、難解な漢字を使っている。辞書を読み続けていて、覚えていたと思われる。精神科医の分析では、強迫性障害の患者は、文字もまた強迫観念と結びついていて、不快なものを文字と結びつけ、自分なりに処理しているというか、文字の中に閉じこめてしまう、とのことだった。罅割れるというのは、彼にとって自分の形式が乱されることであり、かなり不快なことだが、それを漢字にすることで不快感を軽減している、とのこと。
被害者は、頻繁に暴力を受けた。痛いと声を上げると、母親に存在がバレるため顔が変形するほど殴られる。スタンガンを当てられて我慢ができない時には、自らの腕をかんで声を上げないようにし、耐えた。殴られているのは自分ではないと第三者的に考え、肉体から自分の心だけを抜け出させる解離性の障害まで出ていた。
一審の公判は、毎回、傍聴希望者が多く、大勢のアルバイトに並ばせる必要があり、それでも抽選に外れることがあった。二審の最初の公判日は、オウム事件の公判でも使われたキャパの広い法廷が使われ、67席があり、抽選なしだった。それにしても新潟地裁での騒ぎに比べて余りに関心が薄れていることに拍子抜けする思いだった。
#新潟少女監禁事件
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Posted by ブクログ
発覚当時、大きな衝撃をもって世間の耳目を集めた事件。確かその後、警察の捜査に問題があったことも判明したのではなかったか。
ニュース等でなんとなくは知っていたが、本書を読み、被害者が受けたあまりに凄惨な仕打ちの数々には涙を禁じえず、無残に奪われた貴重な貴重な9年間を思って心底胸が痛んだ。彼女が耐え続けた地獄のような日々を知ったご両親の心痛がいかばかりだったかと想像し、そしてなお、自分を保ち命をつないでいた被害者の類い稀なる精神力の強さと聡明さに、深く感銘を受けた。
加害者は、自己愛性人格障害と強迫性障害という診断を受け、出所して2017年に病死しているという話だ。
現在は40代半ばと思われる彼女が今、幸せな人生を送っていることを心から願ってやまない。