憲法は一般的に国会で作られている法律と異なり、その上位にあるものであることを改めて認識できた。
なんとなく知っているつもりでもそれができた経緯や世界での考え方について歴史から説明があって理解しやすかった。
この本は護憲派と憲法学者と改憲派として自民党の憲法勉強会に何度も呼ばれていた憲法学者の2人の対
...続きを読む談で読みやすかった。
改憲派の方も自民党の憲法に対する認識を目の当たりにして今の政権には改憲してほしくないと反対に回ったのだそう。
憲法は権力者が暴走しないように制限をかけるために作らることが世界的にも多数派である中、自民党は自分たち権力者に対してはその制限を軽くして、さらには愛国心(現在の草案では国ではなく家族を対象に変えているが)など道徳的価値観を憲法に入れることで国民を縛ろうとしている。
1つの道徳心で国民をしばるのは人それぞれの価値観でダイバーシティが謳われる世の中の流れからは逆らっている。
中でも2人が声を揃えて問題にしているのは「個人」 →「人」へと表記が変更されたことだ。素人の私にはたったそれだけのことで、何の意味があるのかわからなかったが、2人が言うには、犬や猫などの動物ではない人として尊重される程度で一人一人の個人として、それぞれの人の価値観を尊重するわけではない。つまり個人の価値観よりも、家族のためや日本古来の伝統を守るように憲法で縛られてしまうことがありえるのだそう。
草案は何度も修正されて、自民党の改憲派の真意はわかりにくくなっているが、最初の方から関わっていたからこそ知っている改憲派たちの本音(事実や最初の憲法草案などからの推測にはなるが)がを知ることができた。
世界的な多数派の意見が正しいというわけではないが、個人的には、価値観の多様性を認め合いながら個人を大切にしあえる社会であってほしいと切に願う。