樋口陽一のレビュー一覧

  • 憲法 近代知の復権へ

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    樋口陽一氏と言えば戦後憲法学のスターだが、今や保守派からは「ガラパゴス化」と揶揄され、左翼陣営からさえアナクロニズムとも非現実的との評が囁かれる。それでもなお頑なに近代の普遍的価値、とりわけ個人の尊重という理念にこだわり続けてきた。評者自身も氏に対して、いまだにフランス革命への郷愁を捨てきれない西欧かぶれの頑固親父、或いは永遠の少年というイメージしか持っていなかったのだが、じっくり読んでみると、この人はやはりただものではない。

    法律家として当然とも言えるが、左翼にしてはめずらしく二元的思考ができる人だ。物事を多面的に観る眼を持っている。氏は「連環と緊張」というフレーズを好んで用いるが、国家は

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    2025年08月24日
  • 近代国民国家の憲法構造 増補新装版

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    『近代立憲主義と現代国家』(1973年)で鮮烈なデビューを果たした戦後憲法学の旗手が、ベルリンの壁とともに雪崩をうって社会主義体制が崩壊した後に、講座派マルクス主義経済史学の枠組を色濃く残すデビュー作の問題意識を継承しつつも、憲法理論として自立した立場を確立した記念碑的著作だ。昨年30年振りに増補復刊されたが、現在に至る樋口氏の理論的・実践的立場の支柱をなす著作であり、樋口憲法学を深く理解するための必読文献だ。

    樋口氏が考えるフランス革命の歴史的意義とは、中間団体の粉砕により、一般意思を体現する集権的国家と諸個人の二極構造を創出したことだ。自力で下からの革命を完遂出来なかったドイツにおいて、

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    2025年08月24日
  • 憲法と国家の理論

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    清宮四郎と宮沢俊儀は戦後日本の憲法学のスタンダードを築いた両雄だが、二人は戦前の憲法学をリードした美濃部達吉の高弟であり、日本の公法理論に陰に陽に大きな影響を与えた純粋法学者ケルゼンからも多くを学んだ。清宮は美濃部、ケルゼン、宮沢を「憲法学の二師・一友」と呼んだが、本書は彼らの共通点より、むしろ微妙な、ある意味では決定的なズレを意識して読むことで愉しみが倍加する。宮沢はケルゼンから学んだイデオロギー批判の手法を用い、科学としての法律学(=純粋法学)の立場から師美濃部の学説を形而上学と断じ、その克服を企図した。清宮はケルゼンから法の究極にあるものとして「根本規範」を受け継ぎながら、それを換骨奪胎

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    2023年12月30日
  • 「憲法改正」の真実

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    ネタバレ

    自民党てなんで憲法改正てなんでするの?
    憲法て難しい。
    そんな疑問があるかと思いますが、その疑問を解決するのがこの本だと思います。
    内容は憲法についてと自民党の憲法改正の裏側をなどを語っています。
    正直言うとかなり恐怖です…
    特に自民党の世襲議員の憲法に対しての知識のなさや大物議員の高市や片山さつきのとんでも発言…
    読めば読むほど恐怖と唖然する。
    小林節さんが呆れる理由がわかります。
    (妖怪の孫でも小林節さん出てます)
    また、自民党改正案と日本国憲法を比較しながら、わかりやすく語っております。
    さらによく話題になる緊急事態条項もなぜ危険なのかもよくかかれています。
    憲法改正の議論はどうしても法

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    2023年09月23日
  • 「憲法改正」の真実

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    安倍政権は、危ないということがよく分かりました。
    憲法とは、改憲とは、また、政府の暴走の危機が無いとは言えないことが分かりました。

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    2018年08月09日
  • 「憲法改正」の真実

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    憲法は一般的に国会で作られている法律と異なり、その上位にあるものであることを改めて認識できた。
    なんとなく知っているつもりでもそれができた経緯や世界での考え方について歴史から説明があって理解しやすかった。
    この本は護憲派と憲法学者と改憲派として自民党の憲法勉強会に何度も呼ばれていた憲法学者の2人の対談で読みやすかった。
    改憲派の方も自民党の憲法に対する認識を目の当たりにして今の政権には改憲してほしくないと反対に回ったのだそう。

    憲法は権力者が暴走しないように制限をかけるために作らることが世界的にも多数派である中、自民党は自分たち権力者に対してはその制限を軽くして、さらには愛国心(現在の草案で

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    2017年11月02日
  • 「憲法改正」の真実

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    大変勉強になりました。
    この本に出会えたことに感謝します。
    「知る義務」という言葉に、大いに反省。
    誰のせいでもない、自分自身が無責任であることのしわ寄せが、今いよいよ自分の身に降りかかってきているのだと思います。
    多くの人がこの本に出会い、冷静に、議論し、判断し、行動することを、祈ります。

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    2017年09月18日
  • 「憲法改正」の真実

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    2015年6月の衆院憲法審査会。参考人として呼ばれた憲法学者3人
    が3人とも、戦争法案は違憲であると明言した。

    自民党推薦の憲法学者の先生までが「違憲だ」としたものだから、激
    高した自民党・高村センセイのお笑い発言まで飛び出す始末だった。

    「たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある。」

    この「考えてきた」というのは、「そもそも憲法とはなんたるものか」では
    なくて「どう変えたら自民党に都合がいいかな」の「考えてきた」なのじゃ
    ないのですかね。

    福島第一原発事故の際に時の首相・菅直人が「僕は原発に詳しいん
    だ」と言ったくらい恥ずかしい発言だわ。

    その問

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    2017年08月24日
  • 「憲法改正」の真実

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    恥ずかしい話、憲法改正についてよく分かっておらず、他人事の気がしていた。この本を読んで、今憲法について何が起ころうとしているのかやっと分かった。書いてあることは非常に基礎的なことから書かれており、とても分かりやすい。

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    2017年03月23日
  • 「憲法改正」の真実

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    ネタバレ

    護憲派の泰斗と改憲派の重鎮、二人の憲法学者が自民党の改憲論を切る。護憲派で憲法学界の権威と言われる樋口陽一と、かつては自民党のブレインであった改憲派の小林節ががこの対談を通して一致して今の憲法改正案に反対を唱えている。長年9条改正をめぐって意見を異にしてきたこの二人がなぜ二人して反対するのか。それはこの憲法案が立憲主義を破壊し、法治国家の原則をなくし、専制政治の状態に近づいているから。そもそも「憲法は国民を縛るものではない。国家権力を管理するための最高法規である」という憲法の基本を蔑ろにしているから。そのことをわかりやすく語っている。そして何よりもこの二人が共闘して語らねばならない状況こそが、

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    2016年09月28日
  • 「憲法改正」の真実

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    一気に読ませますね。2人の議論が完全に噛み合っている。こういう対談は珍しいのでは。
    以下、気になった点をメモ。
    ①プレとポストの虚偽
    ②法と道徳の峻別
    ③復古主義と新自由主義
    ④権利と義務の表裏関係における主体の問題
    ⑤明治立憲史と天皇機関説
    ⑥憲法制定権力

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    2016年09月11日
  • 「憲法改正」の真実

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    新書で対談という形態だけに、読みやすく、わかりやすいものとなっている。単純に護憲・改憲というのではなく、今の与党がしようとしていることを正しく理解して、流されないようにする必要がある。反知性主義に負けてはいけない。

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    2016年07月29日
  • 「憲法改正」の真実

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    自民党の改憲派は''自分たちを正当化するために''憲法を変えたいのだ、ということがよく分かる。分かりすぎてげんなりする。
    有権者(つまり私)はこの状況を知る義務がある。
    ひとりひとりが「引き返せるときに」自分たちが何に利用されようとしているのか、本気で考えたほうが良い。私たちは今、大きな転換点にいる。

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    2016年06月10日
  • 「憲法改正」の真実

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    今の政府は無血でクーデターを起こしたってことだ。こうしてどんどん憲法を無視し続けると最後にはどうなるのか。

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    2016年05月25日
  • 「憲法改正」の真実

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    憲法とは何か、どうあるべきか。
    憲法改正が取り沙汰されるなか、全国民が理解しておくべき内容がわかりやすく書かれている。

    具体的には、自民党の憲法改正草案の批判で論が展開されている(いちいち納得)が、改憲派にしてみれば、この反論を受けて突っ込まれないような改正案を作れればいいのではないか。

    そういう意味で、改憲派にこそ読むべき本であるとも言える。
    よって、すべての人が読むべき本である。

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    2016年05月07日
  • 「憲法改正」の真実

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    自民党のご意見番として活躍していた改憲派の憲法学者と、重鎮とされる護憲派の憲法学者の対談。どちらもいまの憲法草案や安保法制については反対している。この事実。読めば読むほどいまの政治を担ってる人達が怖くなる。日本はナチスドイツのような道を徐々に歩んでいる。この波に抗うことができるだろうか。それにはたくさんの人にこの本を読んでほしいと思った。戦争は絶対に嫌だから。

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    2016年04月24日
  • 「憲法改正」の真実

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    小林先生は決して改憲派というわけではないように思うので、もっと対決によって論点をあぶり出したほうが良いとは思った。
    ただ、最後にすごいのが来た。人民読本。これでこの本で言いたいことは尽くされてるのではとさえ思える。

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    2025年10月20日
  • 「憲法改正」の真実

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    予備知識の乏しいぼくでもわかるように書かれている。自分の無知を思い知った。無知なママでいたほうが幸せだったのかもしれない。が、この国の現状を知れて良かったと思う。国民のどれだけが今の惨状を理解しているのかわからない(実際ぼくも理解していなかった)が、この国の惨状は国民の意識の低さがもたらしたものなのだろうと自戒を込めて考えた。

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    2022年10月01日
  • 「共和国」フランスと私 日仏の戦後デモクラシーをふり返る

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    著名憲法学者である筆者が、2006年に日仏会館で教養講座を担当したときの講義録。話し言葉なので読みやすい反面、話し言葉なので主述関係などが掴みにくいところもなきにしもあらず。
    内容は大変勉強になります。「共和国」とは何か、「人権」とは何か、私たちは安易に「欧米」とひとくくりにして理解したつもりになっているけれど、フランスのそれらは、アメリカともイギリスとも考え方は全く別物と、この本でも改めて認識した。今後とも読み返して、理解を深めていきたい。

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    2021年04月07日
  • リベラル・デモクラシーの現在 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで

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    約200ページの薄い新書ながら中身は濃い。立憲」という言葉、概念は既に明治維新のときに使われていたことを初めて知った。憲法擁護義務に反して首相が憲法改正を呼号するいま、憲法の基本的な見方を学ぶ重要性を痛感。

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    2020年02月16日