巽孝之のレビュー一覧

  • 大渦巻への落下・灯台―ポー短編集III SF&ファンタジー編―

    Posted by ブクログ

    ◇ 大渦巻への落下
    地球空洞説を背景にして、極地でのアドベンチャー。

    ◇ 使い切った男
    あの人はね……っ、というところで毎回話題が変わって。
    実はサイボーグだった、というオチ。
    コメディみたい。

    ◇ タール博士とフェザー教授の療法
    精神病棟における、管理者と患者の交代劇。
    中井英夫みたいだなぁ。

    ◇ メルツェルのチェス・プレイヤー
    小説というよりは考察。

    ◇ メロンタ・タウタ
    未来から原題を皮肉る。これはよくわからなかった。

    ◇ アルンハイムの地所
    庭哲学。

    ◇ 灯台
    灯台守。

    0
    2017年03月25日
  • モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集II ミステリ編―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「モルグ街の殺人」
    小中学生だった私の脳裏に犯人は@@@@@@@という強烈な印象を叩き込んだ。
    いま読み返してみて、死体の陰惨な状況に驚く。好み。

     *「マリー・ロジェの謎」を敢えて省略する編集にはがっかり。

    「盗まれた手紙」
    真相は本当にしょうもない。
    が、そこに至るまでの迂遠や衒学や雰囲気づくりが小説を成り立たせている。
    その点が見本のような作品。
    ラカンが着目するのも頷ける。

    「群衆の人」
    異様な雰囲気だけで突っ走るような作品。
    解説では安部公房が例示されているが、現代文学としても、精神分析の対象としても、好例。(ヴァルター・ベンヤミン、流石)

    「おまえが犯人だ」
    真犯人を名指し

    0
    2017年03月15日
  • 大渦巻への落下・灯台―ポー短編集III SF&ファンタジー編―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    19世紀アメリカの作家ポー(1809-1849)の短編集。ミステリやSFというジャンルの源流とされる彼の想像力は、その時代社会の中でどこから産まれどのように育っていったのか。扱われている素材は、大渦巻、美容整形・サイボーグ、精神病院、人工知能、未来予測、人工楽園・・・。

    「大渦巻への落下」

    十代前半の頃に初めて読んだポーの作品集にも含まれており、訳は別とはいえ25年振りくらいに読み返したことになる。当時読んだのは子ども向けに訳されたもので、「黒猫」と「モルグ街の殺人」との間に挟まれ「メールストームの大渦巻」という題で収められていたと記憶している。子ども心に、大渦巻に襲われる中で弟が掴んでい

    0
    2017年01月28日
  • 黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集I ゴシック編―

    Posted by ブクログ

    黒猫・アッシャー家の崩壊

    エドガーアランポーを初めて読んだが、ゴシック編というだけあって中世的であったり神話的であったりする作品が集まっているように思う。象徴物が人間の精神を蝕んでいく奇妙な話や、分身の話、永遠の美女の話、地獄の話などなど。ウィリアム・ウィルソンは古典的な分身の話であるが、まさに映画ファイト・クラブやビューティフル・マインドのような話である。統合失調症の症状として現れる自己の化身の幻想の話は、どことなくジキルとハイドを想起させる。ジキルとハイドは二重人格者の話であるが、ウィリアム・ウィルソンやファイト・クラブは自分の分身が見えてしまうという話である。古典的ながら楽しく読むこと

    0
    2016年09月29日
  • モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集II ミステリ編―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エドガー・アラン・ポー 巽孝之訳
    ポー短編集Ⅱミステリー編
    モルグ街の殺人
    盗まれた手紙
    群衆の人
    おまえが犯人だ
    ホップフロッグ
    黄金虫
    古臭さを覚悟して読み始めたが、読みやすい本になっているが、光文社新訳文庫も読んで見たくなりました。

    0
    2016年06月04日
  • モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集II ミステリ編―

    Posted by ブクログ

    推理小説の元祖が読みたくて読破。
    推理小説という枠に収めるには惜しい小説だった。
    トリック自体はおそらく現代のほうが優れてるであろうが、小説としては傑作であると思う。

    0
    2015年05月24日
  • 『白鯨』アメリカン・スタディーズ

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    「世界名作十大小説」に必ず入る『白鯨』。
    この物語は、魔獣モビイ・ディックへの単なる復讐譚ではない。
    時空を越えて現れる巨大生物が象徴するものとは何か?
    ここに19世紀から21世紀へ至るアメリカ文明史を、そしてグローバルな現代史をスリリングに読み解く。
    新訳相次ぐ現在、アメリカ研究の第一人者が満を持して贈る。

    [ 目次 ]
    第1回 世界はクジラで廻っていた(時空を超える『白鯨』;ニューヨーク作家メルヴィル;「明白なる運命」の光と影)
    第2回 恋に落ちたエイハブ船長(神々の戯曲;エイハブ対モビイ・ディック;拝火教徒フェダラーとは誰か?)
    第3回 核の文学、文学の核(復讐するは「我

    0
    2010年07月18日