あらすじ
史上初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた残虐な母娘殺人事件を、人並みはずれた分析力で見事に解決したオーギュスト・デュパン。彼こそが後の数々の“名探偵”たちの祖である。他に、初の暗号解読小説「黄金虫」、人混みを求めて彷徨う老人を描いたアンチ・ミステリ「群衆の人」を新訳で収録。後世に多大な影響を与えた天才作家によるミステリの原点、全6編。生誕200年記念。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
探偵小説の元祖たるデュパンものをちゃんと読もうと思って。むかーし簡易版で読んでいるので犯人などは知っていますが、やっぱりちゃんと読むと違いますね。現代感覚とは違った当時の社会の雰囲気とかが感じられます。
『モルグ街の殺人』
文学初の名探偵と言われるオーギュスト・デュパンの物語、のつもりで読み始めたら冒頭は論文でした・笑
語り手は、経済的に困窮する元名門出身のデュパンと知り合う。デュパンの読書量、鮮やかな想像力、そして趣味の一致から親交を結び、パリで同居することになった。
ある日デュパンは語り手の考えをズバリ読み取った。そして推理過程を説明する。デュパンは語り手の行動や表情を見て、語り手の思考に自分の思考を合わせたのだ。
この推理方法はデュパンの人となり紹介のようなものですね。
語り手とデュパンは、モルグ街の屋敷(アパートメント)で、レスパネー母娘が殺された事件を知る。逃げ場がないはずの現場で、人間とも思えないような残酷な暴力の痕がある。
デュパンは、証人たちの証言のニュアンスの違いとか、暴力の痕跡とか、現場立地状況などを検証して真相を解明するのだった。
文学初の名探偵推理小説というだけあって、有名どころの探偵小説の原型がみられた!
作者は、探偵の推理方法を示しておく。
作者は、事件や証言のすべてを読者に示してから、名探偵による謎解きが行われる。
名探偵と、書き手のコンビ
密室など、困難な仕掛け
意外な真相
組織的に調べるの警察に対して、名探偵は思考し、真相を提供する。
名探偵は、推理の理由をきちんと読者に説明する
この事件の真相は、これだけ読んだら「それ、できる?」と思わんでもないが(^_^;)、探偵小説の原点が一番「意外な真相」となってるのもむしろ面白いかもしれません。
『盗まれた手紙』
オーギュスト・デュパンの推理モノ。
デュパンはパリ警視総監G氏の訪問を受ける。G氏は非常に重要な手紙を見つけ出さなければいけないが難航しているのだ。
警察が極秘事件をこっそりと名探偵に相談する流れもこれが原点か 笑
事件の概要は、ある貴婦人が、悪どいD大臣に大スキャンダルの元になる私的な手紙(多分不倫とかそんな感じ)を盗まれた、というもの。D大臣は貴婦人恐喝するネタを握ったことで宮廷での政治を動かすことができてしまう。貴婦人は内々に警視総監に捜索を依頼したのだ。
G氏はパリ市警による徹底的な屋敷や大臣身辺捜査を行ったことを話す。
まさに「書斎の本すべてのページを確認した」レベルの細かい捜索で、さぞかし広い大臣のお屋敷と思うと聞いただけで「ご苦労さま…」
まあデュパンが見事に手紙を取り返すんですけどね。
そして読者への推理の説明として「相手の知性に合わせて考えること」について説明が行われます。
警察は自分ならどこに隠すかで捜査する。机の隠し引き出しとか、壁紙の後ろのような秘密の場所だ。警察と同じ思考の犯人ならこれでよいが、警察より知性が上回る、または下回る者にこの法則は当てはまらない。
D大臣は、大胆な陰謀家で、数学者で詩人の素質がある。大臣こそが警察の思考に自分の思考を合わせて、どこが捜査されるかを読み取る。そこで警察が思いもつかない場所に手紙をおいていた。
盲点とか、思考の方法とかをしっかりと言語化して読者に示しています。
『群衆の人』
語り手がロンドンのカフェでなんとなくまわりを眺めている。語り手は病気回復期で、自分の知性が戻ったことを楽しみながら、街路を通る群衆たちの、服装、雰囲気、表情、身振りなどを観察して分類したりしてみた。
ふと目に留まった老人がいる。悪魔的なものを感じる表情、ボロボロになっているが良い生地の服、ダイヤモンドと短刀を忍ばせている。
語り手は老人の後を付けてみた。老人はただ街路の人通りの多いところを行ったり来たりしている。市場、貧民街、ロンドン中心街。人が少なくなると苛立ちさえ見せる。
語り手はついにこの男を「群集の人」と評する。老人は、彼自身からもその行動からも何一つ見いだせるもののない「深い罪の典型であり本質」なのだ。
個性、人間性を排除して群衆を具現化したみたいな?ただ彷徨い、人といたがるけれども、なにも得ることができないし、人に何の影響も与えることはできない。
名探偵デュパンは「相手の思考に合わせるんだよ」と言っているが、ポーは「合わせられない思考の持ち主」も書いたのかな。
『おまえが犯人だ』
殺人解明としても面白いし、小説の構造も良いし、かなりのブラックジョークを呑気さで覆ってる雰囲気もいんだけど現代感覚では「この方法やっていいのか(・・;」という気もする。
ある事件を解明させた「わたし」が事件を振り返る。
ラトルボロ村のお大尽シャトルワージ氏が行方不明になった。帰ってきたのは怪我をした馬だけだ。
この事件に対して、シャトルワージ氏の友人グットフェロウ氏と、甥のベニフェザー青年が対立した。
グットフェロー氏は名前の通り善良(グッド)な奴(フェロウ)の評判で、突然村に住み着いたのだが明るく大胆な性格で村に馴染んでいた。ベニフェザー青年は遊び人で叔父さんのシャトルワージ氏とは遺産贈与で揉めていた。
「シャトルワージ氏の秘密の失踪だから騒がないほうがいい」というグットフェロウ氏と、「叔父さんは殺されたのだから、殺人として捜査しなければ」というベニフェザー青年は、大いに揉める。
結局殺人として捜索することになったのだが、指揮を取ったのはグッドフェロウ氏だ。そして次々とベニフェザー青年に不利な証拠が見つかる。ついには殺人犯人として死刑判決が出た。
しかし「わたし」はある仕掛けをしたんだよ。真相は解明したし、人々の信仰心も回復させることになったんだ。
小説として面白いんだけどミステリでもあり怪奇でもあり…。だって犯人を告発するのは、死体本人ですよ。題名「おまえが犯人だ」が旧約聖書から取られてることも含めて、誰にも言い逃れできない。
…しかしこれやっていいのか(・・;
『ホップフロッグ』
悪趣味な寓話的なおはなし。
ある王国の王様は冗談が大好き。
しかしこの王様の冗談は大変趣味が悪い(-_-;) 知性がないし、道化師たちを侍らせて苛めることが「冗談」なのだ。
道化師のなかに、不格好な小人のホップフロッグ(ぴょんぴょうんが得るみたいな意味)と、小人の踊り子トリッペッタがいた。
王様はいつものように二人の小人を苛めて、取り巻きの大臣たちといっしょに笑う。そんな王様と大臣にホップフロッグが示した余興のアイデアとは…。
『黄金虫』
暗号解読小説の元祖的な小説だそうだ。
語り手は友人ルグランの元を訪れる。ルグランは名門出身だが変わり者。一族は資産の大半をなくし、ルグランも少ない資産で黒人解放奴隷ジュピターに身の回りのことをやらせて、昆虫採集とかしながら生活してる。
その日のルグランは「新種の黄金虫を見つけたぞ―」とはしゃいでいる。その黄金虫は、虫好き中尉に貸しているので、語り手にスケッチを描いてみせた。語り手は「これ黄金虫なのか?まるで髑髏みたいだけど?」という。ルグランは気を悪くするが、改めて自分でもそのスケッチを見て顔色を変える。
しばらくして語り手の元にジュピターがやってくる。「御主人様がすっかりおかしくなってしまったんでさあ」と嘆きながら、ルグランが語り手を呼んでいることを伝える。
訪ねるとルグランは「黄金虫が財宝を示してくれた!さあ財宝のところに行くぞ、やっほー!」という感じ。
語り手とジュピターは「…こいつ、ついにイカれちまった…」と思うが、とりあえず彼を刺激しないためにも付き合うことに。
ルグランが辿り着いたのは巨木のもと。ジュピターを登らせ「いくつめの枝をどこどこに」などと指示をする。
すると、枝の先には髑髏が打ち付けてあるではないか!ルグランはジュピターに、黄金虫に紐をつけて髑髏の左目から垂らすように指示する。
そして三人でひたすら掘ったが、何も出てこない。語り手は「さあ、これで彼を精神科にいかせよう」などと思う。
しかしルグランは自分のミスに気が付き、改めて場所を指定して掘った。
すると、海賊キッドの膨大な隠し財産が出てきたではないか!!
後日、ルグランは、語り手とジュピターに解説してゆく。
黄金虫をスケッチしたのは、その傍にあった羊皮紙で、そこにあぶり出しによる不思議な記号が書かれていた。ルグランはそれが「海賊キッドの宝」と推察して、記号を暗号解読していったのだった。
仮に「!$&%)」みたいな記号があったとして、入手状況や各国語の法則によりこれが何語で、どの記号がどの文字を表しているかを解明します。
おそらくこの暗号の作り方、解き方は元々あるのでしょう。
これを推理小説として大衆に解説したのが「暗号解読ミステリの原型」なのかな。
ルグランはこの記号を英語にし直すのですがそれにしても「悪魔の玉座の」みたいな暗号なので、キッドの性質や当時の環境を考えてそれがどこかを解明していきます。
現在感覚では、ジュピターの描写は差別的な感じもあるけれど、登場人物としてちゃんと個性があったりご主人とも遠慮のない関係なので当時の雰囲気がわかる範疇かなあ。
小説としても、頭の良い人と振り回される語り手及び読者、最後はお宝見つけてバンザイ!とスッキリしています。
Posted by ブクログ
硝子の塔の殺人を読み終わった時に、元々ホームズやポアロといった古典海外ミステリ好きを自負しているが、最古のミステリは読んでいないことに気づき本作を読み始めた。
ネタバレはミステリにおいて禁忌であるので、最古といえどそこは守らせていただく。
短編集なので、一つ一つはすぐに読めてしまう。
この本の顔である、モルグ街の殺人について触れるとすると、残虐な殺人の犯人が余りに意外過ぎて「嘘やろ??」と声が出てしまった。
また、黄金虫についてはホームズシリーズの踊る人形を先に読んでいたので、黄金虫が起源になっていたのか!と驚かされた。
今日に至るまで、後世に多大な影響を与え、推理小説を確立したポーに最大の敬意を込めて当評価をつけさせて頂きたい。
Posted by ブクログ
もっと堅い話かと思っていたけどそんなことはなかった。おもしろかった!
某作品のtwentyは誤植…? やってみたらfortyだったのだけれど……
Posted by ブクログ
The Murders in the Rue Morgue(1841年、米)、
The Gold-Bug(1843年、米)。
ミステリの開祖エドガー・アラン・ポーの短編集。
ポーといえば『黒猫』『アッシャー家の崩壊』などの不条理で不気味な怪奇小説も有名だが、『モルグ街の殺人』『黄金虫』などの推理小説では、別人のようにロジカルで理知的な側面をみせてくれる。なかでも『モルグ街の殺人』は史上初の推理小説として有名である。あまりに頭が良すぎて変人の域に達している名探偵、語り手となる探偵の友人、ペダンティックな世界観など、ミステリのお約束である「型」の殆どが、この時点で既に完成しているのが興味深い。
これらの作品の発表から約半世紀後、コナン・ドイルによる「シャーロック・ホームズ」シリーズがブレイクし、推理小説というジャンルが確立される。しかし、ホームズシリーズの第1作『緋色の研究』と比較しても、『モルグ街の殺人』の構成力や切れ味の良さは際立って高い。また、『黄金虫』に出てくる暗号解読法は、ドイルの『踊る人形』などに継承されて有名になり、いまやミステリの世界では初歩的な手法となっている。ひとつひとつは小品ながら、後世への影響力が大きい作品群であり、ミステリマニアを自認する人には必読の古典といえる。
Posted by ブクログ
ポーの作品はあまりこれまで読んだことがなく、ホラーのイメージが強かったけど、まさかこういう(今となっては)ドストレートなミステリを描いていたとは知りませんでした。でも薄っぺらすぎず、程よく重厚で哲学的で詩的で。楽しめました。
Posted by ブクログ
1849年に40歳で亡くなっているらしいので、日本はまだ江戸時代。
そう考えると、その時代にこれだけの小説が成立しているのは驚きだ。
若干読みづらさはあったが、どれも面白く、中でも「お前が犯人だ」が面白かった。
Posted by ブクログ
1800年代前半にこんな推理小説が書かれたなんて驚いた
モグル街、黄金虫、失われた手紙など、どれも面白かった
今回は短編を時間かけて読んだから、もっと短期に読むべきだった
Posted by ブクログ
この書におさめられている、「モルグ街の殺人」は
私が小1の時にクラスの学級文庫(おそらく先生の私物)で最初に読んだ本。私のミステリ好きの原点かもしれない。
だから犯人はオランウータンって子供心に衝撃だったし、たぶん子供向きの本だったからマイルドだろうけどなかなかの惨劇。
改めて読んでみたけどデュパンの論理的思考は古臭くないし、新鮮だった。
Posted by ブクログ
モルグ街の殺人はどこかで読んだことあったが、ミステリ好きとしては読まないわけに行かない。
原点を感じる小説で、どれもミステリとして基本のような仕掛けがあり、しかし退屈ではなく、当時の読者の新鮮な驚きを追体験したような心地だった。
黄金虫が個人的には好き。面白かった。
Posted by ブクログ
推理小説を語るなら是非読んでおかないと、と思い手に取りました。推理小説の元祖と言われているので、内容も典型的なものなのかなという先入観を持っていましたが、最初に読んだ「モルグ街の殺人」から予想もしなかったオチに驚かされました。流石に名高い作者の作品だけあって一読の価値があったと思いました。
Posted by ブクログ
史上初の推理小説。推理小説の父でもあるポーのモルグ街の殺人は、密室殺人、名探偵の登場、意外な犯人と現在受け継がれている推理小説の枠組みを確立したすばらしい作品であった。
Posted by ブクログ
モルグ街は100分テキストで、盗まれた手紙はアンソロで既読。印象的だったのは「おまえが犯人だ」かな。ポーらしい不気味さありつつコミカルで吉。ホップフロッグはなんとも言えん気持ちになる。黄金虫は英語が母語ならさらに楽しそう
(黄金虫が暗号解読の話だと知らず、「いつ、誰が死ぬの?」とハラハラ読んでいたのはここだけの話。暗号文出てきた時、キョトンとした笑)
ポーはまさに「マガジニスト」なんだなーとしみじみと思う。この人ほんまになんでも書けるんだな(全部読んでないから知らんが)ミステリに関しては、今出ている基礎は全部ポーが作ったんじゃね?と乱暴なことも考える。私の大好きなクリスティーのアレ、たぶんポーのコレに影響受けてると思われ。
Posted by ブクログ
世界初の探偵小説は楽しかった。江戸川乱歩ばかりでポーの存在すら知らなかった私だが、真犯人の以外さが何年たってもなお新鮮で胸が踊ったのは作者のチカラそのもので驚嘆。色せずびっくり。黄金虫も暗号ということでかなり頭を使ったが良い作品でした
Posted by ブクログ
ミステリ
かかった時間150分くらい?
「モルグ街の殺人」をはじめとした、ポーのミステリ短編集。「盗まれた手紙」は知っていたが、未読の短編がかなり魅力的でよかった。
ミステリではあるが思索的で詩的で、そりゃ江戸川乱歩も憧れるわな、という感じである。なぜか「短編集II」から読んでしまったが、「I」も読んでみたい。
Posted by ブクログ
モルグ街の殺人と黄金虫について記す。
パリのモルグ街でレスパネー母娘が殺害された。現場の部屋では、家具は壊され、タンスや金庫は開け放たれ、そこら中に金貨が散乱している状態であった。数人の証言者からは、フランス人男性の叫び声ともう一人の声が聞こえたということのみしか判明しなかった。しかし、比類なき分析力を有するデュパンは、殺害方法、現場の様子、証言者の内容の食い違いなどから、フランス人男性から脱走したオランウータンがレスパネー夫人宅に入り、母娘を殺害したと導くのであった。
サリバン島に住むルグランは、新種らしき黄金虫を捕獲する。羊皮紙に包んで持ち帰ったルグランは、その羊皮紙には熱すると文字が浮かび上がるという化学的仕掛けがあると知る。彼は浮かび上がった髑髏と山羊のマークから、キャプテン・キッドが残した暗号であると推察し、何日間も解読に没頭した。登場回数から「8」が「e」であると突き止めたことを皮切りに解読に成功し、財宝を手にするのであった。
モルグ街の殺人では、数人の証言がまとめられており、読者にとって配慮のある書き方になっている。現代の科学技術を用いれば、動物が犯行を行ったことを導くことは困難ではないと思われるが、あまりにも斬新な結末で驚かさせた。文章の中に登場していない者が犯人であり、トリックも存在していないことから、本格ミステリーではないが、デュパンという端倪すべからざる分析力と論理的思考力を持ち合わせた名探偵がものの見事に事件を解決するさまは誰もが魅了されるであろう。
黄金虫は、初の暗号解読小説と言われている。英文書で「e」が最頻出であること、そこから「the」を特定し、暗号解読に繋げていくことなど、初心者にも丁寧に暗号解読の基礎を記しており、現在でも読み継がれるベストセラーである理由に納得のできる書である。
その他、警視総監を小馬鹿にし、デュパンが手紙の在り方を突き止める『盗まれた手紙』、浮浪人の老人の追跡を描いた『群衆の人』、勧善懲悪を描いた『お前が犯人だ』、道化師が暴君を懲らしめる『ホップフロッグ』が収録されている。『群衆の人』は老人を追跡しても無駄であるという結論に、だから何?というような釈然としない気分になるため、理解の難しい作品なのかもしれない。
Posted by ブクログ
「盗まれた手紙」はラカンをやるのにあらすじを知ってしまっていたが、それでも面白く読めた。
「モルグ街の殺人」もいろんな前知識があるとさすがに犯人がわかってしまうが、それでも死体がなかなか陰惨な状況であるのに驚いたり、これが探偵小説のはじまりかぁという感慨があったりで、たのしめた。
Posted by ブクログ
西澤くんに貸してもらった本☺︎
最初むずかしすぎたけど、おもしろかった
は?って思っても解説をきいていたら納得できることばかりだった
一番の驚きは、これが1800年代に書かれた最初のミステリー小説だってこと…クオリティ。
Posted by ブクログ
Edgar Allan Poeの作品から、モルグ街の殺人(1841)、盗まれた手紙(1845)、群集の人(1840)、お前が犯人だ(1844)、ホップフロッグ(1849)、黄金虫(1843)のミステリー6編を収録した短編集。世界初の名探偵、オーギュスト・デュパンの3作品のうち2編を収録("マリー・ロジェの謎"未収録)。彼がいなければシャーロック・ホームズなどの探偵は生まれなかったかもしれません。忘れてはならない"黄金虫"。暗号を用いた推理小説として有名ですが、海賊の宝を探す冒険小説的な内容で面白いです。
Posted by ブクログ
ゴシック編に続きミステリ編ですが、編集者の趣味か?非ミステリも混じっています。3読目ともなればかなり余裕を持って読める。隠し場所の意外さに気を取られてサラッと流していたが、何気にデュパンは数学の公理は異教の伝説みたいなもんだとディスりまくっているのを見逃してはいけない。代数学専門の兄に読ませたら発狂しそうな内容だ。ポーは知り合いの数学者に大嫌いな奴でもいたのだろうか、それとも詩人としてのプライドか。論理の『モルグ街の殺人』、心理の『盗まれた手紙』と記憶しておこう。
『群衆の人』は人間観察が趣味の語り手がとある老人に惹かれて尾行するお話。都会人なら誰しもが持つ感情、罪悪の権化、ただ集団にいるだけでは幸福も人生の意味も見出せないといった群衆の本質たるものが描かれているのだと思うが、まあよく分からん。翻訳もイマイチなそうなので他のでも読んでみるかな。
目玉は『ホップフロッグ』これが読みたかった!江戸川乱歩の『踊る一寸法師』はこれに影響を受けたらしいので。道化師とは基本的にいじられキャラなわけですが、それも度がすぎるとこういう結果を招いてしまうという教訓ですね。小学校の学級文庫に置いておくべきでしょう。ましてや彼は親友への暴力がきっかけになっているので、まだ幾分か優しいのですが…
ホップフロッグは身体能力の欠如。それに対して、オランウータン(またもや笑)に仮装させたことは知性・品性の欠如を揶揄した皮肉でしょうか。天井を見上げるときたねえ花火が見えるという映像的に派手なラストは『踊る一寸法師』よりはるかに印象に残りました。
Posted by ブクログ
短編集なんだけど最後まで読んでないです…。
モルグ街の殺人と群衆の人と盗まれた手紙だけ読んだので、そこだけ記述。
元祖密室殺人と言われているモルグ街の殺人だけど、あれ?このシーンみたことあるぞって思ったのが、その時直近でプレイしていた「レインコード」の場面。
あーじゃあトリックは縄梯子ね〜とか安直な考えで読み進めていたんだけど、あれ?これ縄梯子か?って途中で迷走する。
犯人オランウータンかよっていう衝撃的すぎる結末に短編ながらに横転した。
ミステリの世界の常識に惑わされた結果、ポーに翻弄されてしまった。
ポーの作品の中で出てくる名探偵デュパンは、ポアロとかとはまた違った英国紳士の渋さがあって憧れる。
群衆の人はロンドンの喧騒の中で、人間観察をしている主人公が描かれている。当時のロンドンの街並みが綺麗に描かれていて、東京のそれとは異なった美しさを彷彿とさせる。見ず知らずのおじさんをストーキングするだけの話なんだけど、結論として彼は彼であることを悟られることを拒んだ群衆の人という結論に落ち着く笑。東京の人の他者を排除して、群衆に溶け込んでいる様と類似性を感じた。群衆に溶け込むのはある種、心地の良いことで、だけども人の温かみとは離れた、矛盾した感情の上で成り立っているような気がする。
正直なところ、盗まれた手紙の内容あんまり覚えていない。
だけど推理する側が推理する側と同じ立場になって推理しなければ真実に辿り着くことはできないというところが印象的。
賢ければ何事も解決できるというわけではなく、相手の目線に立って推測することが真の賢さだということを知った。
Posted by ブクログ
推理小説の父、エドガー・アラン・ポーの作品。
ミステリーがテーマの短編が6編が掲載されています。
僕は、ポップフロッグと、おまえが犯人だが面白かったです。
ポップフロッグの奇術師が起こす復讐劇は、面白く、ラストの処刑シーンは怖いなーと思いました。
おまえが犯人では、ラストの結末は、恐ろしい感じがしてインパクトがありました。
モルグ街の殺人、黄金虫は、有名ですが、説明部分が多く読みづらい所があり、いまいち分からなかったです。
でも、2作品とも良かったです。
黒猫を収録されているポー短編集も読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
小学生の時に、江戸川乱歩を読み漁っていたことを思い出し、エドガーアランポーを読んでみた。
古典的な部分もあり、読みやすい作品ではなかったけれど、史上初の推理小説と言われている作品で、ミステリ好きを語るなら読んでおきたい作品だと思う。
ミステリの原型ここにあり。
Posted by ブクログ
古い作品だから言い回しが難しくて読みにくい。お気に入りは黄金虫とホップフロッグ。黄金虫のちゃんと宝が出てくるかっていうドキドキ感がよかった。ホップフロッグは馬鹿な大臣たちに気持ちよく復讐しててよかった。デュパンはシャーロックに似てたからコナンドイルはだいぶ影響受けてたのかな。
Posted by ブクログ
ミステリー物六篇。著名な「モルグ街の殺人」「黄金虫」が良かった。19世紀前半の作品であり、元奴隷の黒人従僕が登場したり当時の時代背景を窺える。今日ではさらに複雑な事件解決を図るものが出ているが、推理小説の端緒とみれば興味深い。2020.9.30
Posted by ブクログ
ポーの作品は、言わずと知れた推理小説の嚆矢。アッシャー家の崩壊や黒猫など恐怖小説の著作でも有名だが、本短編集は推理小説6作から成る。
「モルグ街の殺人」は史上初の推理小説だとされているが、本文中に“わたしがひとつの超自然現象について詳述しているだとか、伝奇小説を執筆しているのだとか思ってもらっては困る(p18)”と断ってあるのが、当時はミステリーがどういうものか分からず誤解する人も恐らくいたのだろうなと想像すると面白い。真犯人は今や有名になってしまっているけれど、意外な謎解きで、いま読んでも十分楽しめる。
「群衆の人」は不条理な雰囲気の作品で、今回が初読。解説に曰く「アンチミステリ」だそうだが、結局どういう意味かよく分からず。言葉から推すに、いかにも怪しそうに見える人であっても、現実にはその行動に特に理由は無い、ということなのかな。大都市で、道ゆく人が互いのことを知らず、たとえ気になっても立ち入った事情を聞くことは憚られるという距離感や匿名性が、ミステリーが生まれた原点だろうかというのは、僕の妄想だが。
Posted by ブクログ
「モルグ街の殺人」
小中学生だった私の脳裏に犯人は@@@@@@@という強烈な印象を叩き込んだ。
いま読み返してみて、死体の陰惨な状況に驚く。好み。
*「マリー・ロジェの謎」を敢えて省略する編集にはがっかり。
「盗まれた手紙」
真相は本当にしょうもない。
が、そこに至るまでの迂遠や衒学や雰囲気づくりが小説を成り立たせている。
その点が見本のような作品。
ラカンが着目するのも頷ける。
「群衆の人」
異様な雰囲気だけで突っ走るような作品。
解説では安部公房が例示されているが、現代文学としても、精神分析の対象としても、好例。(ヴァルター・ベンヤミン、流石)
「おまえが犯人だ」
真犯人を名指しする語り手の執念こそが怖ろしく思えてくる、これも現代文学に通用する。
「ホップフロッグ」
寓話。畸形趣味。
この作品集で初めて出会った前作、今作は、どちらも素敵だ。
「黄金虫」
換字式の暗号。小学生には難しいよね。
Posted by ブクログ
エドガー・アラン・ポー 巽孝之訳
ポー短編集Ⅱミステリー編
モルグ街の殺人
盗まれた手紙
群衆の人
おまえが犯人だ
ホップフロッグ
黄金虫
古臭さを覚悟して読み始めたが、読みやすい本になっているが、光文社新訳文庫も読んで見たくなりました。