巽孝之のレビュー一覧
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とあるギャラリーで目にした「エドガーアランポー」という存在。ぉお!江戸川乱歩の元になった作家か。調べてみると"ゴシック小説"との文字。気になる…
読んでみると、難解。古い翻訳小説にありがちな読み難さ。読むの辛いけど、エドガーアランポーのエッセンスだけでも取り込みたいと思い、有名だと呼ばれる「黒猫」と「アッシャー家の崩壊」のみ読む。"死体が生き返る"ことが共通の要素。当時では野蛮(ゴート)とされる心の闇を描くゴシック小説の先駆け。この類あるあるの当時は評価されず、後世に評価された芸術家。物語に面白さは感じられなかったけど歴史や文化の繋がりを紐解くと最高に刺激的でよい読書体験だった。いつかエドガーアランポーの推理系の話も読みたい。 -
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ネタバレ再読はほぼしない私だが、エドガー・アラン・ポーはお話について行くだけで精一杯なので2周するくらいがちょうど良い。巽孝之氏の解説を読んで結構満足。
『黒猫』は何度でも読める犯罪小説。
『赤き死の仮面』は初読時には雰囲気に惑わされていたが、7つの部屋は一体何を表しているのでしょうかね。最後が「死」を表しているのだとして、人生におけるターニングポイントのようなもの?それともすべて死にまつわる何か?うーんわからん。「仮面の人物に実体がなかった」というのも不思議だ。実体を伴わない方が恐怖が増大するというだけの理由でそうしたとは思えない。うーんわからん。結論:再読してもわからん。
『ライジーア』は意志は肉体を超越するということについてだけど。最後の"奇跡"については、ライジーアの意志なのか語り手の意志なのか、対象が謎ですよね。ポーの詩集も読んでみるかな。
『落とし穴と振り子』は幻想風味はなく、リアリティと臨場感溢れる脱出ホラー。まあまあ。
『ウィリアム・ウィルソン』はドッペルゲンガーを扱った恐怖小説。今読むとよくある話だなあと思ってしまいますが、やはりポーがこのジャンルの先駆者なのでしょう。 -
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ゴシック編に続きミステリ編ですが、編集者の趣味か?非ミステリも混じっています。3読目ともなればかなり余裕を持って読める。隠し場所の意外さに気を取られてサラッと流していたが、何気にデュパンは数学の公理は異教の伝説みたいなもんだとディスりまくっているのを見逃してはいけない。代数学専門の兄に読ませたら発狂しそうな内容だ。ポーは知り合いの数学者に大嫌いな奴でもいたのだろうか、それとも詩人としてのプライドか。論理の『モルグ街の殺人』、心理の『盗まれた手紙』と記憶しておこう。
『群衆の人』は人間観察が趣味の語り手がとある老人に惹かれて尾行するお話。都会人なら誰しもが持つ感情、罪悪の権化、ただ集団にいるだけでは幸福も人生の意味も見出せないといった群衆の本質たるものが描かれているのだと思うが、まあよく分からん。翻訳もイマイチなそうなので他のでも読んでみるかな。
目玉は『ホップフロッグ』これが読みたかった!江戸川乱歩の『踊る一寸法師』はこれに影響を受けたらしいので。道化師とは基本的にいじられキャラなわけですが、それも度がすぎるとこういう結果を招いてしまうという教訓ですね。小学校の学級文庫に置いておくべきでしょう。ましてや彼は親友への暴力がきっかけになっているので、まだ幾分か優しいのですが…
ホップフロッグは身体能力の欠如。それに対して、オランウータン(またもや笑)に仮装させたことは知性・品性の欠如を揶揄した皮肉でしょうか。天井を見上げるときたねえ花火が見えるという映像的に派手なラストは『踊る一寸法師』よりはるかに印象に残りました。 -
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短編集なんだけど最後まで読んでないです…。
モルグ街の殺人と群衆の人と盗まれた手紙だけ読んだので、そこだけ記述。
元祖密室殺人と言われているモルグ街の殺人だけど、あれ?このシーンみたことあるぞって思ったのが、その時直近でプレイしていた「レインコード」の場面。
あーじゃあトリックは縄梯子ね〜とか安直な考えで読み進めていたんだけど、あれ?これ縄梯子か?って途中で迷走する。
犯人オランウータンかよっていう衝撃的すぎる結末に短編ながらに横転した。
ミステリの世界の常識に惑わされた結果、ポーに翻弄されてしまった。
ポーの作品の中で出てくる名探偵デュパンは、ポアロとかとはまた違った英国紳士の渋さがあって憧れる。
群衆の人はロンドンの喧騒の中で、人間観察をしている主人公が描かれている。当時のロンドンの街並みが綺麗に描かれていて、東京のそれとは異なった美しさを彷彿とさせる。見ず知らずのおじさんをストーキングするだけの話なんだけど、結論として彼は彼であることを悟られることを拒んだ群衆の人という結論に落ち着く笑。東京の人の他者を排除して、群衆に溶け込んでいる様と類似性を感じた。群衆に溶け込むのはある種、心地の良いことで、だけども人の温かみとは離れた、矛盾した感情の上で成り立っているような気がする。
正直なところ、盗まれた手紙の内容あんまり覚えていない。
だけど推理する側が推理する側と同じ立場になって推理しなければ真実に辿り着くことはできないというところが印象的。
賢ければ何事も解決できるというわけではなく、相手の目線に立って推測することが真の賢さだということを知った。 -
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今までゴシック色を意識して本を読んだことが無かったので、なるほど、これがゴシックなのかとなんとなくの実感を得ることができた。
かっちり整然とした(いわゆる格式高い)文章のせいか、読んでいて常に緊張感があったし、分厚い鉄のドアのような冷たさや重さがホラー要素と絶妙にマッチしてるなぁ、不吉だなぁと感じさせられた。
ライジーアが個人的な好みで、彼女の特徴をこの文体で表せる限りの美しい言葉をふんだんに使用して描いていたところが印象的だった。そのため、いかに彼女が美しいかが手に取るように想像できた。
他の作品と比べて、この作品には熱量(彼女への激しい思い)があり温かさを感じる気がするが、それ以上に積乱雲のような暗くて厚い雲が全体を覆っているような不穏さを強く感じた。このなんとも言えない読後感はなかなか味わえないものだなと思う。
詩を登場させる作品がいくつかあり、解説でもその部分が非常に高く評価されていたが、私自身あまり実感できなかった(西洋的な考え方に乏しいのもあって)ために何度も読み返しては…うーん、となることも多かった。ただ、詩で表現される淡々とした狂気の描写は格式高い文章と相まって作品に一層の暗さと深さを醸し出していることは感じ取れた。
今の自分ではこの本の魅力を引き出すことができなかったので、また時間をおいてから読んでみようと思う。 -
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はじめてポーの作品に触れた。
私が愛してやまない夢水清志郎事件ノートシリーズの著者である はやみねかおる先生に影響を与えた作家。
夢水清志郎事件ノートを読んでいると、ポーの作品を彷彿とさせる描写がいくつか見られ、今回そのルーツを辿ったわけである。漠然とした感想だが、幼い頃に訳もわからずとりあえず暗記をして望んだテストの、真の答え合わせをしている気分で楽しかった。
さてポーの作品自体の感想にうつるが、非常に残虐でありながら美しく、非常に恐ろしいのに好奇心を刺激するような、私自身の心情の矛盾を肯定するようなものだった。
収録作品の中に、矛盾を孕んだ加害者意識について触れているものがあったが、まさにその意識を追体験するかのようだった。
翻訳者の力量と、ポーの類稀なる心理描写が素晴らしかった。
時間のある時に原文を自身で訳しながら読むのも楽しそうだ。