チャイナ ミエヴィルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地“エンバシータウン”を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた“大使”をクローン生成し外交を行っていた。だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のようにアリエカ人の間に浸透し、この星を動乱の渦に巻き込んでいった…。現代SFの旗手が描く新世代の異星SF。ローカス賞SF長篇部門受賞。
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Posted by ブクログ
この星の先住民族であるらしいアリエカ人。
彼らは二つの口を持ち、言葉ではなく音に乗せた意識、
ゲンゴで意思の疎通を行なう。
地球人から進化したらしいテラ人は
アリエカ人との意思の疎通を大使に委ねている。
大使は二人一組で特別に育てられゲンゴを使用することができる。
新たに赴任してきた大使は強大な力を持つブレーメンという
外の星から思惑を抱えてやってきたのだった。
ということを理解するまでに結構時間が掛かる、
歯応えのあるSFでした。
通常設定を理解すればその先は早く読めるのですが、
この作品では後の方で明らかになる設定が結構あったので
最後まで読むのが大変でした。
SFらしい作品。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレという訳で、後篇です。
いやはや、夢食いモスラに哲学しすぎる巨大タランチュラ、
おまけにスカイネット的ジャンク製AIと来ましたか。
スチームパンクと言えば蒸気機関と機械仕掛けの狭間で自我が芽生える、
というのはお馴染みですが、その特異な精神の在り方がが
ヴァンパイアすら吸い殺す精神を食べる系のクリーチャーの天敵、というのは何とも。
人工知能VS超常現象クリーチャー、その狭間で人は、街は?
的な展開で今後も続いて行くような気がします。行けばいいな(願望)
このボリュームでパート1ってのも贅沢な話で。読むの結構かかったよ。
鳥人ヤガレクがどうにも「ウォッチメン」のロールシャッハさんとダブって見 -
Posted by ブクログ
「都市と都市」で色んな人の魂をかっさらったチャイナ・ミエヴィルの本邦最新文庫作。
どちらかと言うとこちらの作品のほうが古く、またシリーズ化もしているのですね。
特筆すべきは何といっても世界観でしょう。
いきなり都市の地図。
そして始まる固有地名連発のモノローグ。
入り乱れる種族・文化圏とギミック。
これは・・・ハイファンタジーに入れるべきなのか?という気もしますが、
スチームパンクとファンタジー要素は相性がいい、ということで。
上巻は「どうよ、この世界観」的な描写が延々続いて話が進まないので、
こういうの美味しく頂けない人は挫折しやすいかも。
まぁ、途中からジェットコースターなんですけどね -
Posted by ブクログ
モザイク状に組み合わさった領土を持つ、二つの都市国家間で起こった殺人事件を捜査する刑事の姿を描いた小説。
読んでみると純粋なSFやファンタジーという感じではなく、都市の様子なんかはけっこう現代的な印象。
しかし設定は綿密に作りこまれていると感じます。ファンタジーやSF要素のあるミステリはたまにトリックを成立させようとするあまり、世界観やルールが作りこまれすぎていて不自然な印象を受ける時があるのですが、この小説は二つの国家間でのルールを自然に生かした、世界観ありきの小説で都市と都市の魅力を引き出すために殺人事件を使っているんだな、と感じました。
少し切ないラストもいい印象で、架空世界を舞台