チャイナ ミエヴィルのレビュー一覧

  • 都市と都市
    この小説をSFという範疇で語るのは非常にもったいない。SF的なミステリであり、小説である。(昔風に言えばslip stream、伴流文学である)。

    二つの都市国家が同じ地域を占めているという状況でも十分に特殊ではある。加えて、その二つの国家は『壁』という物理的なもので仕切られているわけではなく、お...続きを読む
  • 都市と都市
    読むのが疲れるが、味わい深いスルメのような作
    表紙   7点岩郷 重力   日暮 雅通訳
    展開   7点2009年著作
    文章   7点
    内容 815点
    合計 836点
  • 言語都市
     言語学の教科書では、まず言語名称目録観の否定、なんてことが書いてある。言語は実際の事物の名前のカタログではないということである。言語と事物が一対一対応することはなく、言語は言語で独自のシステムを形成しており、言語と事物は恣意的に結びつけられている。〈林檎〉が「リンゴ」と呼ばれるのはまったく何の必然...続きを読む
  • 都市と都市
     都市と都市、ヨーロッパのはし、バルカン半島のあたりにあると思われる二つの都市国家、ベジェルとウル・コーマは「地理的にはほぼ同じ位置を占める」。ほぼ同じ場所を占めるという紹介文の記述がまずわからなかった。いったいどういうことか。
     それは『アンランダン』の裏ロンドンのように同じ場所だが異次元、という...続きを読む
  • 言語都市
    遠い未来。人間とエンバシータウンで共生する、「ゲンゴ」を話す異星人たち。彼らと人間、そしてその両者を繋ぐ〈大使〉たちの間で起きる、「言語」を巡る物語。SFだけど哲学だ!
  • ペルディード・ストリート・ステーション 下
    圧巻。これぞスチームパンク!ヒロインが昆虫っていうのにまず度肝を抜かれて(でもうまくイメージできてない)、町の描写、科学と哲学のしっかりした基礎、ここまで無茶苦茶をやっておいてアラが見えないのが素晴らしい。小難しい深淵なSFってわけでもなく、漂うクレバーな雰囲気。ミエヴィル、やっぱりすごい。ガルーダ...続きを読む
  • 言語都市
    面白かった。
    最初は難解だったけど(今でも理解出来てない部分がいっぱいあるけど)読後感は面白かった!に尽きる。
    これぞSFって感じ。
    本の裏にあるあらすじから新しい大使が現れて不思議な力を悪用して星を乗っ取る話だと思っていた。大雑把に言えばそういえなくもないけど全然違った。
  • ペルディード・ストリート・ステーション 下
    凄かった。面白かった。チャイナ・ミエヴィルの作品を全て読みたくなった。

    幻想的かつ暗澹としたニュー・クロブゾンの都市描写、魔術学と科学を掛け合わせたとんでもないけど興味深い統一場理論、リメイドをはじめとした悪趣味感たっぷりの登場キャラクター達。ファンタジー、SF、ホラーの境界を行き来する感じでカオ...続きを読む
  • ペルディード・ストリート・ステーション 下
    す、すごいお話だった…!
    上巻とはうってかわって凄まじいスピードで物語が展開していきます。

    夢蛾(スレイク・モス)のなんとおぞましい事か。
    否応なく食物連鎖に組み込まれた生き物は、「捕食」は避けては通れない。
    でも、この蛾の捕食シーンは思わず嫌悪感をもよおすほど><

    大蜘蛛のウィーヴァーが良い味...続きを読む
  • ペルディード・ストリート・ステーション 上
    なんだか「凄い」ものを読んでいる!!

    こんなに節操のない(褒めてます。笑)作品、読んだ事がない。
    人間、翼の生えた鳥人、昆虫人間、、、挙句の果てには、
    身体の大部分を改造された、もはや人間とは言えない生き物。

    猥雑で、グロテスクで、何もかもが混沌とした世界がとても魅力。
    「ブレードランナー」を彷...続きを読む
  • ジェイクをさがして
    すごいふしぎな短編集。
    ぞっとするものにやっとしてしまうもの、さまざま。
    「あの季節がやってきた」が好きかな。
  • ジェイクをさがして
    ホラー・ファンタジー色の強いSF短篇集。収録作の多くが主人公の体験する恐怖のみが濃厚に描かれ、その原因や結末は語られぬまま読者に委ねられている。この独特な味わいが個人的にはかなりツボ。どれも面白かったけど、お気に入りは「ある医学百科事典の一項目」「仲介者」「あの季節がやってきた」かな。
  • 言語都市
    なんだこれは!よくわからないけれど、何だか大変なものを読んだような気分。
    言語をテーマにしたSFだけれど、読んでいるこちらの脳がハックされた気分。地球由来の異なる思考による言語によって中毒を起こしてしまったアリエカ人そのもの。ミエヴィルおそるべし。考えさせられたとか、これからの人生に役に立つとか、そ...続きを読む
  • 都市と都市
    東南ヨーロッパにある、架空の地域が舞台になっている。この地域二つの都市が存在し、それぞれ違う民族の居住地があるのだが、一部については重なっている。そこでは、相手側の人々や建物などを見てはいけないし、もちろん干渉してはいけないというルールがある。これを破ることは「ブリーチ」と呼ばれる。またブリーチを取...続きを読む
  • 都市と都市
    2つの都市国家が同じ位置にありながら、互いに見えないものとして人々が暮らしている。生まれたときから見ないように訓練している。都市は完全にこちらに属する部分、重なる部分があり、重なる部分では見ないふりをしながらぶつからない様に避けねばならず、とややこしいファンタジー設定。
    しかし、冒頭は殺人事件現場で...続きを読む
  • クラーケン(上)
    ファンタジー。サスペンス。ミステリ。伝記。警察。
    様々な要素を詰め込んだ感じの作品。
    ファンタジー感溢れる、異様なロンドンの雰囲気が独特。
    女性警官コリングズウッドのキャラが好み。
    どんな結末になるのか、下巻に期待。
  • 言語都市
    初ミエヴィル。まず、アリエカ人と彼らの棲む都市(バイオリグと呼ばれる生物から生成した家や道具でいっぱい!)の異形さに圧倒される。異世界に踏み込んだ感がすごい。アリエカ人には口が二つあり、その二つの口から同時に発声し会話をする。人間の通常の会話はノイズとしか受け取られず、そのため「大使」と呼ばれるペア...続きを読む
  • 言語都市
     人類はは辺境の星で、「アリエカ人」と呼ばれる異星人と共存していた。
     彼らの言語は特殊で意思疎通をするための「大使」と呼ばれるクローンを生成し、人類は平和に過ごしていたはずだった。
     ところが、新任の「大使」エズ/ラーが登場したことにより、そのバランスが崩れ始める。エズ/ラーの言葉はアリエカ人にと...続きを読む
  • 都市と都市
    帯でなく表紙へ大書されているように
    SF関係の賞だけでなく世界幻想文学大賞も受賞している本
    中身は解説にもある通りハードボイルド調の警察もので
    この前読んだ「愛おしい骨」と同様に
    翻訳を透してそれだけで文化の違い(というより日本が島ということか)を
    感じる風な小説だが
    舞台設定が奇抜でそこがSF側の...続きを読む
  • 言語都市
    わーい、すごいすごい!
    想像力の幅と深さが桁外れ、著者はSF界の殿堂入りまちがいなしだな。

    あまりネタバレしてしまうのもよろしくないので具体的なことは書かずに。

    ゲンゴから言語へ。
    たかが日本語文化と他言語文化だけでも理解しあうのは困難なのに、全く違った大系・概念・表現のコミュニケーション手段を...続きを読む