朱喜哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
雑多な話題を、複数の著者が哲学者らしくややこしくまとめたw書籍。
印象の残る or 勉強になったのは以下。
●スポーツの定義(非生産的でルールに則った競争)
●既に行動を変えている者への非難は非生産的。
●表層的な快楽を手軽に得るという意味で、フードポルノや不動産ポルノや貧困ポルノなどという概念がある。
●表現の自由が大事なのは表現することで自己理解が進むから。
●不良の更正を称賛するかどうかは、「徳」というものを全人格的な合計で評価するか、部分部分で評価するかの違い。
●転売屋は経済学的に正しいとする説もあるが売り手の意図に反する場合は悪とみなせる。
●学生スポーツで奨学金などの経済的利益で選手を集める癖に経済的活動を禁止するアマチュアリズムhq矛盾している。
●悪口が悪いことは、危害説でも悪意説でも反証が出てきて説明できないが、他者との優劣をつけることが悪いとする劣位説で説明できる。
●カンニングの悪は、不当利得説(実力と異なる評価を得る=悪)だとそもそもテストで必ずしも正当な評価ができるわけではないことを知っている以上説明しきれない。学習の妨げ説では、宿題のカンニングよりも入試のカンニングを罰することを説明できない。
●主張とは共通理解の提案。質問とは話題の提案。すべきでない話題の提案をする場合は質問であっても非難の対象となる。
●大惨事が起きる前にどのような言葉が使われているかを分析して新たな虐殺などの災厄を防ぐことが言語学者などに求められているのではないか。
●ある存在(幽霊、素粒子など)を信じるかどうかは、その存在が自分の正しいと信じる理論の必要不可欠な要素になっているかどうか(=存在論的にコミットしているかどうか)で決まる。 -
Posted by ブクログ
ネガティヴ・ケイパビリティの魅力と実践可能性についての対談(3人だから鼎談?)を書き起こした本。
正直、このレベルの会話ができることが尊敬。文字で追っていてもかみ合っているのか何なのか、分からないところもあったり。
ネガティヴ・ケイパビリティを扱うだけあって、これだ、という結論はなく語りは続く、という終わり方だった。
以下メモ
・ナラティブの危険性
「物語的誤謬」何かもっともらしい物語に落とし込むことで、過去にあったはずの多様な出来事、ありえたはずの無数の姿を見落とし忘れてしまう。
・陰謀論が力を持つ背景
世界を少しでも良くしたい
わからないことを知りたい
・コミュニケーションのモードが社会の秩序性(意味内容の秩序だったやり取り)から、つながりの社会性(場の空気を維持しつつ、つながりあうこと自体を目的とするもの)に変化している。
・マスターアーギュメント
これだけで何でも説明できます、とうたう理論や基準のこと。
・ネガティブ・ケイパビリティは、事実や理由に拙速に手を伸ばさず不果実さ、謎、疑いの中にいることができる力。
・若者のキャラ化 自分をデフォルメする
表情や声色、目線などの情報が見えずらいインターネットを介したコミュニケーションが支配的になった結果、予測可能なキャラに落とし込むようになった。
・「従順さのどこがいけないのか」という本を読み、従順ではいけないと思う。それは、この作者に自分が従順になっている?自立を促すメッセージの持つ矛盾。
・SNSで何かをカミングアウトすることはその弱さに寄り添うではなく、アテンションを集め瞬く間に周囲を敵と味方に分断する機能を持ってしまっている。
・個人の自己決定が大事とされる一方で、どんな帰結も各人の自業自得になる。今はどんな選択にも究極的に保障してくれるものがない。根拠が不安で多様な権威に確認を取り続ける。 -
Posted by ブクログ
面白かった。対談している3人が楽しそうだから、読んでいて楽しく面白いのも当然。言語に乗っ取られている、という表現があり、納得する。例えば医療者同士の会話の時、関係者以外が聞いたらギョッとするようなこと。それに気がつかないと、元吉野家の専務のような発言を講演でしてしまう。内輪ウケ、みたいな話かなぁと思う。
3人の会話は時に、私にとってものすごく簡単なことをめちゃくちゃ迂回して辿り着いたりしている。いかに、自分が直感的に物事を見ているかと気づく。
ネガティヴ・ケイパビリティ。何度読んでも素敵な概念だ。そして、とても難しい。宙ぶらりんで耐える。それは言うほど簡単ではない。ポジティブ・ケイパビリティの中で生きているから、つい白か黒か、YESかNOか。そんな単純な答え、簡単な答えで満足してしまう。でも、世の中は、世界はそんな単純明快ではない。答えを出さない、という答えがある。
自分の人生に対しても、焦らず、慌てずに、よく観察して、ゆっくり答えを見つける。そして、その過程を楽しめる友人がいること、その友人と言葉で共有できること、意見が言えること。簡単な答えに飛びつかない。
良い本だった。