安達茉莉子のレビュー一覧
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安達茉莉子さんとお話ししたことがあるのだが、その人柄や話し方たるや、安心感が湧き出てくる感じ。そんな茉莉子さんの「お悩み相談の森」ならば、読むしかあるまい。とってもよかった。
「人生は、実験の連続。実験していきましょう」という一節、言葉を変えいろんな人から話を聞く。「人生は練習試合」「人生はトライ&エラー」など。やってみてなんぼじゃいと思う。
イギリスのことわざ「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」どんなに周りはいろいろ気を揉んでも、結局は本人にしかできない…このことって、日常からよく感じている。でも、「自分が自分を信じられない時に、自分のことを自分より信じてくれる人が、誰にだって必要。」このことってすごく重要だなと思った。「私なんて」と自分のことを思っても、そばにいてくれる人がいることがどれだけ心を救うか計り知れない。
立場上守秘義務があるのに、同僚が管理職の自分から情報を引き出そうとする相談で、「優しいサイコパス」になるか、「俺はいいけど…YAZAWAはなんて言うかな?」的に返すという手法、取り入れさせていただきます(笑)
仕事の楽しさって、自分がここにいて何かのためになっている、意味がある、誰かが喜んでくれていると、違いを実感できることが大きい。
・その人たちがやりたいことを、会社や組織の力を使ってやっている。
・仕事は別に何でも良いけど、達成感や結果を得られるのが好き。
・特にやりたいことがあるわけではないけれど、人の役に立つのが好き。
仕事をする際のモチベーションで1番手っ取り早いのは、自分が周りを喜ばせるエンターテイナーになること。個人事業主in会社みたいな感じで、やってみるのも1つの手かもしれない。※ただし、感情労働にはご注意!
↑※「感情労働」とは…
頭脳労働でもなく、肉体労働ではなく、感情を使った労働。感情を使って、あるいは抑えることで管理することが前提になっている労働。例えば、接客業やカスタマーサポート、対人職では、例え自分が疲れていたり、嫌な気持ちになっていても、笑顔で丁寧に対応することが求められるし、感情のコントロールそのものそのものが職務に組み込まれている。
感情労働の2つの段階。①サービスの相手に対して、喜んだり悲しんだりと感情を動かしてみせることで、相手の顧客満足度を高める「表層演技」を行うこと。本心と表に出す感情に齟齬があり、続けることもあり、ストレスが蓄積する。②「自分も本当にそう感じているんだ」と自らに信じさせていくことで、相手だけではなく、自分自身そのものを変える努力をする「真相演技」。自分は本当に心からそう思ってるんだと思い込むこと。
この「感情労働」と逆の例としてYさん出場。Yさんとは書いていないが、Yさんであろう(やさしいサイコパス)。友達とトンガ旅行で、友達が現地でクレジットカードが使えなくなって困っていた時、領事館まで行ったのを見届けて「後は頑張れ。検討を祈る」とさらっと友達を置いて帰国。働いてた職場でも平気で16連休を取る。人にどう思われるかはあまり気にしない人。基本的にわいさんはとても親切で、感情で動くのではなく、筋や通りが彼の行動原理になっている。安達さんがものすごく苦手な人のお見舞いに感情的に行きたくないことがあったときのアドバイス→お見舞いと言うのは来てもらえるとうれしいものやし、人として得の高い行為やから、言ってやったらええ。それでも嫌なものは嫌やろうから、帰りにうまいもんでも食ったらええ。
この感情労働という言葉が、すごく心に残った。感情は無いけれど、自分にも相手にも優しくできる。そんな犠牲のないコミュニケーションのあり方を探す日々という安達さん。
「自分に正直になるってどうやるの?」の章は丸々書き写したいほどであった。相手に気を遣って配慮したり、顔色を読むのがデフォルトになっていたり、あるいは脳が疲れていて判断をする気力がもう残っていなくて、誰かに決めてもらいたかったり。自分1人の時でも、人目を気にしたり、お金や時間等など諸条件を考えて、わからなくなってしまうから。
気が向けば、本当に細いな、どっちでも良いレベルのノーリスクの選択から始めていく練習をするのがお勧め。宇宙からすると超どうでもいいこと、でも、自分のハート、あるいは胃袋に本気で聞く。脳のことは忘れて。その小さな「自分との本音対決ゲーム」を遊びで積み重ねているうちに、いつしか、自分は本当はこうしたいと言う、自分の本心と手をつなぐことができる。そんな時、自分が自分の1番の理解者で、味方であると言う安心感があるから、何をするにしても、自分を取り巻く環境的にも自然と整っていくので、居心地も良くなっていく。 -
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なんていいタイトルなんだ。いつからフェミニストになったのか、いつフェミニズムに出会ったのか、ではなくインターネットでは揶揄や冷笑の単語となっている『フェミ』を使い、おなじみの風邪薬のキャッチコピーのようなリズム感でフックと軽快さを両立している。
タイトルの通りなのだが、この本にはあらゆる人がフェミニズムにいつ、どのようにして出会ったのかがリレーエッセイ形式でまとめられている。もちろんトランスジェンダーの書き手も、ノンバイナリーの書き手もいる。
フェミニズムとの出会いが劇的な人もいれば、ぬるっとじわっと出会っていたという人もいて、これはあらゆる人に語ってほしいテーマだと思ったし、私も近いうちにまとめたいと思う。
どのエッセイも読み応えがあり、内容としてもおもしろかったのだが、武田砂鉄さんの”編集者はこの原稿を森喜朗や麻生太郎には依頼しないはずなので、”という一文がウィットに富んでいて痛快で笑ってしまった。
そういえばなんだかんだで武田砂鉄さんの著書はまだ読んでいない気がするので近いうちに読みたい。そしてこの感想を読んでくれたそこのあなたにも答えてほしい。
『あなたのフェミはどこから?』 -
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ネタバレまるで朝ドラ「虎に翼」の「はて?」というセリフのタイミングを集めたような本。
当たり前だと思っていたのに「あれ?おかしいかも?」と気づく場面。
様々な立場の方の寄稿が集まってて一つ一つ短い。軽そうで、全然軽くない。
この本にはフェミニズムというテーマだが、「弱さを認めて、差別を減らして、共に生きていく社会」みたいな風潮が感じられる。弱さを見つめるために、それぞれが自分の生い立ちを話している項が多い。
以下、ネタバレ
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鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記」
p.69
「子どもがいるんだから、そんなに無理して働くことはないんじゃないか。一度仕事のペースを落として、子育てに専念したらどうだ」
言われたその場で号泣した。仕事を取り上げられることが怖かった。私から仕事を取り上げないでくれと、泣いた。そして腹が立った。同僚には子を持つ男性もいる。彼らがいくらプライベートを犠牲にして働いても、どれだけ不調をきたしても、飲みに誘って慰労するくらいで「子育てに専念したらどうか」とは言われない。なぜ私だけ、仕事を奪われなければならないのか。
あれ。もしかしてこれって、私が女だから?
p.70
・精神を病む女性の多くが経験している性被害
・DV被害者の圧倒的多数が女性であること
・ひとり親の大半が女性であり、多くが働いていながら、貧困率が非常に高いこと
・無職在宅の成人男性は「ひきこもり」として問題視されるのに、同じ状況で暮らす成人女性は「家事手伝い」という名が与えられアンタッチャブルなまま放置されること
・外国から、特にアジアから嫁いでくる女性がおしなべて若く、そして配偶者である日本人男性のほとんどが高齢であること
・望まない妊娠における男性の不在
・「毒親」とラベリングされる母親の影に隠れた、話を聞かない父親の存在
・「障害者の性」にまつわる議論から排除される女性障害者
p.70
環境への懐疑的な眼差しは、男性の優位性を何よりも脅かすものである。そして医療や福祉といった対人援助の組織は、マッチョ化しやすい。誰かが誰かを支援するという不均衡な関係は、支配に限りなく近いものであり、支援する側は無意識的に支配力を希求する。
星野概念「パワーのこと」
p.102
「負ける精神医療」の「負ける」は、精神医療の医療っぽい、権威的な側面を医療者が手放し、人としての側面への意識を強く持ち続けるという雰囲気をまとっているように感じます。一見、専門職性が薄くなるような負け感があるかもしれませんが、これこそが対人的かかわりの奥義なのではないかと思っています。
※「負ける精神医療」は精神科医・山本昌知先生の言葉
水上文「BLとフェミニズム」
p.116
いわゆる「女性向け」の物語において、少女たちはなぜこんなにも「男性から選ばれること」ばかりを夢見させられているのか。問いの全てはBLと共にあった。だからわたしにとってBLについて考えることは、世界について考えることと同義だった。大袈裟にすぎるようにきこえるかもしれないけれど、でも本当にそうだった。
金井冬樹「The powerless Do Have Power.」
p.123
社会が自分の味方をしてくれると感じている元気な男の子たち、そもそもそんなことを考えずに済む人たちとは、いずれ別の生き方をするのだろう、と。
このとき感じたこの感覚が、良くも悪くも僕の人生の核に近いところにあると今になって感じます。
(中略)
僕の大好きなパーソナル・ジンの魅力の一つは、多数の読者に読まれることを想定していないため、言いたいことを言える、つまりセーファースペースを確保した上で話ができることです。必然的に「話す相手を選ぶ話題だけれど、話さずにはいられないこと」が書かれる傾向が強く、それは、いつかの友達の笑っていいのかわからないジョークー傷ついてもやり過ごさなければならない時の、乾いた、怒りと苦しさと諦めがないまぜになったあのユーモアを思い起こさせ、勇気を与えてくれます。
※ジン(zine)個人や少人数による自主制作の出版物
p.124
男性にとってフェミニズムとの距離感は難しい面もあると思いますが、単に女性に対して反省を示したり感謝したり、女性を守ろうとすることではなく「男性も女性も、いずれかに当てはまらない人も、ジェンダーによる差別をうけない社会を目指すこと」や「階級や障害によるあらゆる差別のない社会を目指すこと」、つまり自分の今いる場所から差別をなくそうと努めることが、フェミニズムへの参加につながるのだと思います。
能町みね子「神はいないが」
p.154
私に神はいない。ずっとそう思っていた。今も思っている。
私はそういったものを幼い頃から徹底して持てず、何かを絶対的存在に捉えたり、すがる存在を持ち続けたりできる人のことをうらやましかった。 -
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多様な職業や様々な性自認を持つ19人が「あなたのフェミはどこから(はじまりましたか)?」の問いに対して、ナラティブに応えてくれる。個人的な生育歴や経験は多様でもどこかで共通する体験が語られ、フェミニズムとの出会いや現在の活動、到達点などを綴るリレーエッセイとなっている。1948年に定められた世界人権宣言の第1条は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と記載され、第1条のあとに「人間は、理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と続く。○国ファーストと排外主義が飛び交う今日において、人権感覚を研ぎ澄まし、ジェンダー平等の視点で、フェミニズムを学ぶことは、人間としての良心を磨くことであり、自身のこれまでの生き方・考え方を内省する重要な機会と捉えるのは私だけだろうか?
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自身がフェミニズムに対して、ちゃんとつかまえることができていないからだと思うが、わかりやすく入ってきたのは、星野概念さんと武田砂鉄さんの文章。フェミニズムだけでなく、自分とは異なる人との対峙には、必ず客観性を忘れてはならない、という点はいつも思うことだし、そうすることで少しでも中に入り込むきっかけになるかもしれないのだと改めて思い返した。適度な距離と、想像力と、それを反芻する能力が高まることでお互いがもやもやせず、もう少し前を向いて生きていけるような雰囲気が作り出せそうな気もするが、それがなかなか難しいのだよな、と改めて思ってしまった。
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自転車の魅力が溢れすぎていて、絶対来年末までにクロスバイク買う!そしていずれはロードバイク!と決意させてくれた。
学生時代はTREKのクロスバイクで往復9km +バイト先まで往復4kmを毎日のように走っていたのに、今日まで離れていたなぁ…
妙蓮寺駅近辺まで少し距離はあるが、同じルートでサイクリングしたい!!と思わされた。
鎌倉とか真鶴とか、いいなぁ。
メンテナンスをサボってしまう性分なので絶対クロスバイクにしようとは思っているし、子どもが小さすぎてなかなか遠出はできないが、ちょっとずつ隙を見つけて近くでも走りたい。
この本を読んだ足で自転車屋に行きたくなるくらい焚き付けられてしまった。 -
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彼女をフェミニストにしたものはなにか。
幼い頃に田舎の封建的な暮らしで経験した家父長制の抑圧であり、
「よのなか」から女の子の身体に向けられる視線であり、
それらによる個人的な傷つき体験の数々かもしれない。
あるいは不自由極まりない、
毎月の大量出血や痛みでままならない身体そのものかもしれない。
あるいはプリキュアであり、侍女の物語であり、
マッドマックス怒りのデス・ロードやアナと雪の女王であり、
レディー・ガガや(G)I-DLEかもしれない。
そしてもちろん、私かもしれない。
『あなたのフェミはどこから?』 / 平凡社
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あなたの"フェミ”はいつ、どこから始まりましたか?
文筆家、写真家、彫刻家、翻訳家、編集者、
ライター、演出家、イラストレーター、学者、
ソーシャルワーカー、精神科医など19人が、
個人的でありながらも共通する体験でもあり、
連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴る。
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些細なことも含めて、生きづらさを感じることは多々ある。
その正体がちょっと分かった気がした。
全てではないけど、私が女性だからという理由で生きづらさを感じていることもあるなあと再認識できた。
自分の友達や子供がジェンダーを理由に生きづらさを感じないでほしいし、
自分も「知らず知らずのうちに」「悪気なく」「良かれと思って」誰かを傷つけたくはないなと思えた。
#あなたのフェミはどこから #フェミニズム #平凡社
#読書記録 #読書感想文 -
Posted by ブクログ
ネタバレ忘れ物をきっかけに電動自転車に乗ることになり、すっかり自転車の魅力にハマってしまった方の話。
二年ほど前に自身がペーパードライバーだったけど、原付の教習からスタートして車に乗れた時の「どこにでもいける!」と感動した時の気持ちを思い出した。
あの時私も移住先は前住んでいた所よりも田舎だけど、電車の便もいいし何処にでもいけると思っていたし、今もそう思っているけど、これも自分の制約を受け入れてただけだったんだなと思う。電車の時間や乗り継ぎも気にせず、いつでも何処にでも行ける。
それからこの本を読んで、やりたいことは色んな人に伝えていくべきだなとも感じた。この方の人徳による所も大きいと思うけど。
大変だったことも、自転車の神様からの試練として乗り越えて、糧にしていけるのも素敵だし、相性がいい乗り物と出会えてよかったなあと心が温まる。台南に行く話も是非読みたい。 -
Posted by ブクログ
安達茉莉子さんの驚くべき自己否定的発想とそれが故に湧き上がるなんとも言えぬ優しい考え方が大好き。それはきっと自分にも通じる自己否定、自信のなさから感じるものなのだろうと思う。
今回のこのお悩み相談の森はとても素敵な森でした。確かにお悩みのうちのいくつかは、悩みではないようにも感じたりしつつも、私もそんなふうに考えがち、と妙な親近感と共に読み進めた。意外とみんな、自信なんてなく生きているのかもなぁ、なんてことを思う。虚勢を張ったり、演技をしたり、思い込んだり、気づかないフリをした「して、一生懸命に、可愛らしく生きているのかも、と思う。オープンダイアローグが最後の最後に出てきて、納得。オープンダイアローグとネガティヴケイパビリティの優しい世界観がこの本、安達茉莉子さんを包み、私を包んでくれたように思う。